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水中写真家・清水淳のビギナーズ水中撮影テクニック 第4回
TG-6+ストロボでワイド撮影成功術

水中写真家・清水淳のビギナーズ水中撮影テクニック

前々回、前回とTG-6での自然光ワイド撮影/半水面撮影のテクニックを紹介しましたが、今回からストロボを使ったワイド撮影の仕方を解説します。

水中ワイドモードを選択

水中ワイドモードにしていざ!

水中ワイドモードにしていざ!

TG-6には5種類の水中撮影モードが搭載されて、いろいろな環境で、そのシーンに最適なカメラの設定を悩まずに一発で呼び出してセットできるのが皆さんに選ばれる大きなポイントになっています。今回使用する「水中ワイドモード」はストロボを併用した水中景観撮影がその守備範囲となります。

水中ワイドモードにした時のTG-6はこうなります

水中ワイドモードにセットすると、ズームの画角がワイド側最大にセットされます。露出は背景が爽やかなブルーになるようにややアンダー側に調整されます。ホワイトバランスは水中標準に、ストロボは内蔵ストロボの強制発光が自動選択されます。もちろんカメラ単体でもワイド撮影は可能なのですが、カメラ単体撮影の場合、水中撮影では屈折率の関係で画角が狭くなり、撮影画角が十分とはいえません。また、浮遊物が多い環境で内蔵ストロボを発光させると、浮遊物に当たりノイズが発生します。
そういった理由から作品レベルの仕上がりを希望するのであれば、カメラ単体撮影よりアクセサリーを併用したシステムを最初から揃えることをお勧めします。

外部ストロボ選びはこれ!

TG本体のフラッシュモードはRC(リモートコントロール)を選択

TG本体のフラッシュモードはRC(リモートコントロール)を選択

光ファイバーケーブルを接続

光ファイバーケーブルを接続

外部ストロボを選ぶ場合に注意していただきたいポイントがあります。それはTG-6が採用している「R Cコントロールシステム」を搭載しているストロボを選ぶということです。ストロボの光量調整が極めて正確&簡単、撮影に専念するために譲れないポイントです。

外部ストロボを使った撮影術

外部ストロボを使った撮影術

作品例「水中ケーブと赤い魚」
撮影モード:水中ワイドモード
焦点距離:12.5mm(ワイコン使用時35mm換算)
露出補正:-1.7EV
フラッシュ:ON/-0.3EV(RC)
ホワイトバランス:水中標準
仕上がり:水中
シャッター速度:1/60
絞り値:F2.8
ISO:200
フラッシュ:OLYMPUS UFL-3×2
ワイドコンバージョンレンズ:UWL400A(0.5倍)
ブラケット:MPBK-02
アーム:MPアームSセット
光ファイバーケーブル:OLYMPUS PTCB-E02
ブラケット:MPBK-02
撮影地:モルディブ/TRIX CAVE

露出補正をコントロールして海のブルーを出す

ケーブから見える海のブルーをまず露出補正でコントロールします。EV0.0から徐々にマイナスに振っていきましょう。好きなブルーに仕上がったら、今度は赤い魚に当てるフラッシュの光量をフラッシュ補正で調整します。パッと見た時に鮮やかな赤が目立つようにやや強めにフラッシュ補正でコントロールします。ケーブの中の撮影は吐いたエアーが天井に当たり砂が舞ってくるので息を潜め素早く撮影するのがコツです。

RCシステムの水中ストロボをそろえたい

フラッシュのセッティング

フラッシュのセッティング

揃えたいアクセサリーは、RCシステムの水中ストロボ。今回は純正のUFL-3をチョイス。水中撮影を簡単にする大事なポイントです。カメラと外部ストロボがデジタル通信を行いストロボの光量調整を行うので極めて失敗が少ないのが特長です。
わかりやすく説明すると、カメラの内蔵ストロボを取り出してコードで繋いでカメラから離して発光させているような状態。
カメラのホワイトバランスの発色とストロボ光の色温度のマッチングも重要なポイントです。

ワイドコンバージョンレンズの選び方

ワイドコンバージョンレンズをセット

ワイドコンバージョンレンズをセット

次にワイドコンバージョンレンズ(以降ワイコン)ですが、画角が広すぎるワイコンは初心者には使いにくいので水中画角が120度のUWL-400Aをお勧めする。軽量で画質が良く歪みがない上に、ワンタッチの接続方式も選択できます。ネジ式のワイドコンバージョンレンズは、水中での脱着時にネジが噛み合わずイライラする場面が多い、またネジ部が摩耗しやすいのです。

アームの選び方

アームは長いほどいいですが、水中での取り扱いを考えると、これぐらいの短いタイプがオススメ

アームは長いほどいいですが、水中での取り扱いを考えると、これぐらいの短いタイプがオススメ

このようにレンズよりフラッシュの位置が後ろに来るようにセットする

このようにレンズよりフラッシュの位置が後ろに来るようにセットする

アームは長いタイプが浮遊物からのノイズが減りクリアーに写りますが、ビギナーには短いタイプが使いやすい。
私の場合片側50cmの3Lアームを使うことが多いのですが、今回紹介するアームはSタイプ。グリップ&ベースはOLYMPUS TG用に専用設計されたMPBK-02を使用しています。
フラッシュセッティングのポイントは、フラッシュの位置をできるだけ後方にセットすること。フラッシュの発光面がグリップより後方に位置させます。

水中ワイド撮影の成功の秘訣

水中ワイド撮影での成功への条件は、
①RCシステムのストロボを2灯で使う。
(ストロボ発光モードはR Cを選択する)
②正しい位置ストロボを固定する。
③水中ワイドモードを使う。
④被写体に十分に近づく。
この4項目を厳守すれば難しくないはずです。

次回もお楽しみに!

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「感動の一瞬はこうして生まれた……水中写真家 作品探訪」連載
清水 淳さんインタビュー記事も併せてご覧ください。

水中写真家 作品探訪 清水淳さん

清水淳

清水 淳(しみず じゅん)
PROFILE

1964年生まれ。
水中写真や海辺の風景を撮り続けている。執筆や撮影を行ないながら、沖縄・那覇にて水中写真教室マリーンプロダクトを主宰。
また、カメラメーカーの研究開発にも携わり、水中撮影モードや水中ホワイトバランスの開発アドバイザーも務める。1998年にデビューしたOLYMPUS C900Zoomから最新機種まで全てのOLYMPUS水中モデルのチューニングテストを行なっている。
カメラ機材に精通し、機材の特性を生かす能力が評価され、水中撮影アクセサリーメーカーのアドバイザーやテスト撮影の要望も多い。
執筆活動では、水中撮影機材の解説や撮影の仕方、楽しみ方の記事をPADI Japan/デジカメ上達クリニック、OMDS/水中デジタルカメラ・インプレッション、マリンダイビングWeb/水中デジカメ撮影教室、オーシャナ/カメラレビューを現在連載中。最近では、「清水淳のマンツーマン水中写真教室」が好評いただき熱意あふれるフォトグラファーたちと一緒に撮影をしている。
公益社団法人日本写真家協会会員。
▶清水淳オフィシャルサイト

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