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水中写真家・清水淳のビギナーズ水中撮影テクニック 第9回
TG-6の水中顕微鏡モードをより効果的に

水中写真家・清水淳のビギナーズ水中撮影テクニック

前回は内蔵フラッシュを使った「水中顕微鏡モード」の楽しみ方を解説していただきましたが、今回は普段清水先生がTG-6を使って撮影しているアクセサリーとその使い方について解説していただきます。

水中顕微鏡モードは
被写体まで1cmが最大倍率に

まずは「水中顕微鏡モード」にセット

まずは「水中顕微鏡モード」にセット

水中顕微鏡撮影では補助光の選び方が重要になります。
その前にまず「水中顕微鏡モード」での被写体との距離感を覚えておきましょう。
レンズ前1cmで最大の倍率が得られるのですが、防水ハウジングに入れた場合には、レンズと被写体の間にハウジングのレンズ面が入り込んだ形になりますので、実際にはハウジングのレンズ面0cmからピントが合うことになります。

ハウジングのレンズ面から1cmほどありますが、十分にピントが合います

ハウジングのレンズ面から1cmほどありますが、十分にピントが合います

2灯ライトシステムがオススメ

ライト&アームのセット

ライト&アームのセット
ハウジングレンズ面より前に各パーツが出ないように、ライトやアーム類を固定します

この位置関係で被写体に光を当てるのは、相当に難易度が高いです。
内蔵フラッシュで撮影すると、フラッシュの位置の関係で配光がかなり偏った状態になってしまいます。そのために左右から自由度の高いアームで被写体とハウジングの隙間に光を挿し組む形の照射が必要です。そこで2灯ライトシステムの出番となります。水中顕微鏡モードを使った撮影で、高品質な画像を手にするにはこの手法をお勧めしたいです。
ただし少し注意も必要になってきます。
ハウジング前面より被写体側にライトやアームシステムが出っ張らないようにセットすること(上の写真例)が大事です。

アクセサリーを使って、モニター側にライトをセット

TWIN LIGHT SYSTEM02PC

TWIN LIGHT SYSTEM02PC

ライトはすべての部品がカメラのレンズ部より前に出てこないように(モニター側に収まるように)セットバック

ライトはすべての部品がカメラのレンズ部より前に出てこないように(モニター側に収まるように)セットバック

LEDライトのハウジングへの固定にも注意が必要になってきます。RGBLue(アールジーブルー)のTWIN LIGHT SYSTEM02PCを固定する場合には「YSエクステンション」を使い、モニター側にライトをセットバックします。
この配慮を怠るとライト本体やアームで被写体を押してしまうことになりかねないので、注意が必要です。
ライトを使って水中顕微鏡モード撮影を行う場合は、フラッシュを「発光禁止」にセットします。

LEDライトでの撮影/内蔵フラッシュ発光禁止

LEDライトでの撮影/内蔵フラッシュ発光禁止
基本的にLEDライトを使った撮影では内蔵フラッシュの発光を止める

使用するLEDライトの色温度でホワイトバランスを選ぶ

水中ホワイトバランスは3つの段階があります

水中ホワイトバランスは3つの段階があります

水中顕微鏡モードを選択、基本設定は内蔵フラッシュを発光禁止にセットしたら、ホワイトバランス(WB)です。使用するLEDライトの色温度によって使い分けましょう。まず水中ホワイトバランス標準(水中2)で撮影してみて赤みが強ければ、水中WB1に変更します。赤みが足りなければ水中WB3を試すと良いでしょう。
基本的には水中マクロ撮影と同じなので、左手を上手に使いカメラをしっかリと固定すること(第7回連載参照)が大切です。

ピント合わせに拡大鏡が必須

AFターゲット選択

AFターゲット選択
OKボタン長押しでAFターゲットを表示させます。十字キーでピントを合わせたいポイントへターゲットを移動させ、選択が終了したらOKボタンを押します

拡大鏡UMG-01

拡大鏡UMG-01
シニアの目でなくても、このジャンルの撮影ならば拡大鏡を使い正確にピント合わせを行いたいもの。マスクを拡大鏡に押し付けて、のぞくように使います

ピント合わせはOKボタン長押しを使いAFターゲットを移動させ正確にピント合わせを行います。
シニアユーザーの方は拡大鏡の使用が不可欠。AOI(エーオーアイ)の拡大鏡「UMG-01」はモニターを拡大するだけではなく、撮影者の個人差に合わせて視度調整機能が備わっています。レンズを右や左に回すことによって、老眼の進み具合にある程度対応できるようになっています。さらに遮光フードに覆われているので明るい場所でもモニターが明るくはっきりと確認できます。大きく見えて、はっきりとピントを確認できるので、シニアの方だけではなくTGでマクロ撮影を愛する方皆さんに使っていただきたいアクセサリーです。
マスクをこの拡大鏡にピッタリと接してのぞくのがコツ。

以上のアクセサリーと撮影方法を用いて撮影した作品がこちら。

作品「ブルーのホヤにホヤカクレエビ」

作品「ブルーのホヤにホヤカクレエビ」
撮影モード:水中顕微鏡モード
焦点距離:100mm(35mm換算)
露出補正:-0.7EV
フラッシュ:OFF
ホワイトバランス:水中標準
仕上がり:水中
シャッター速度:1/100
絞り値:F4.9
ISO:AUTO(800)
ブラケット:MPBK-02
レンズホルダー:MPLH52
拡大鏡:UMG-01
LEDライト:RGBLUE TWIN LIGHT SYSTEM02PC

【コラム】
YSエクステンションとは

RGBLue Systemシリーズの固定位置変更のために準備されたパーツ。
YS規格(OLYMPUSのフラッシュも同じ規格)の製品であれば流用が可能です。
私はTG-6でSystem03を使う場合は、このYSエクステンションを使用してライト本体部分をハウジング後方にセットバックしています。

YSエクステンション

YSエクステンション

次回もお楽しみに!

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「感動の一瞬はこうして生まれた……水中写真家 作品探訪」連載
清水 淳さんインタビュー記事も併せてご覧ください。

水中写真家 作品探訪 清水淳さん

清水淳

清水 淳(しみず じゅん)
PROFILE

1964年生まれ。
水中写真や海辺の風景を撮り続けている。執筆や撮影を行ないながら、沖縄・那覇にて水中写真教室マリーンプロダクトを主宰。
また、カメラメーカーの研究開発にも携わり、水中撮影モードや水中ホワイトバランスの開発アドバイザーも務める。1998年にデビューしたOLYMPUS C900Zoomから最新機種まで全てのOLYMPUS水中モデルのチューニングテストを行なっている。
カメラ機材に精通し、機材の特性を生かす能力が評価され、水中撮影アクセサリーメーカーのアドバイザーやテスト撮影の要望も多い。
執筆活動では、水中撮影機材の解説や撮影の仕方、楽しみ方の記事をPADI Japan/デジカメ上達クリニック、OMDS/水中デジタルカメラ・インプレッション、マリンダイビングWeb/水中デジカメ撮影教室、オーシャナ/カメラレビューを現在連載中。最近では、「清水淳のマンツーマン水中写真教室」が好評いただき熱意あふれるフォトグラファーたちと一緒に撮影をしている。
公益社団法人日本写真家協会会員。
▶清水淳オフィシャルサイト