【新連載】デジタル一眼を始めよう!
基本と水中写真の楽しみ方
第1回「デジタル一眼とは」
ダイビングの楽しみ方の1つに「水中写真」があります。カメラで写真や動画を撮って、SNSに投稿したり、プリントして残したり…潜った後も海を楽しむことができます。小さくて取り回しの良いコンパクトデジタルカメラ(以下、コンデジ)やアクションカメラ、より繊細で綺麗な写真が撮れるのが魅力のデジタル一眼など、撮影に使う機材もバリエーション豊富。この連載では、デジタル一眼の中でも近年主流になってきたミラーレス一眼を使いながら、水中撮影の楽しみ方についてお伝えしていきます!
※2024年10月の情報です。
「デジタル一眼」ってなに?
撮りたい状況や画角に合わせてレンズを交換できるデジタルカメラを「デジタル一眼」といいます。コンデジに比べるとセンサー(撮像素子)が大きいため、ボケを生かしたり、より繊細でシャープな写真を撮ることができます。
「デジタル一眼」の魅力
①デジタル一眼は描写が繊細で、ボケを活かした写真も簡単!
被写体の立体感や色の美しさが魅力。写真/斉藤利奈
とても美しい滑らで優しいボケですね。背景が綺麗にボケると、被写体が際立ちます。そして、色鮮やかで繊細な描写はデジタル一眼ならではです!
② 撮影者がコントロールできる幅が広い!
コンデジでは難しい明暗差の大きなシチュエーションも、美しく撮れます! 写真/清水淳
グラデーションが綺麗で、岩の細部まで鮮明ですね!明るいところと暗いところ、明暗差がある環境でも、環境に応じた設定を選ぶことでしっかり表現することができます。
デジタル一眼はコンデジよりも、設定の自由度が高く、より自分好みの作品を作ることができます。
③ オートフォーカスが速く、精度が高い!
デジタル一眼はコンデジに比べるとセンサーが大きく、より高度な画像処理エンジン(処理回路)を搭載しています。オートフォーカスが速く、精度も高いので、コンデジではピント合わせに苦労した被写体も楽々です。
小さなカエルアンコウのピント合わせもスムーズです。写真/清水淳
「大きなカメラで色々設定するのは大変そう…」と思う人もいるかもしれませんが、基本の設定など、操作はコンデジとほとんど変わりません。
OM SYSTEMが発売しているOM-1系のデジタル一眼の設定画面のアイコンはTGシリーズのものとそっくり!これならステップアップも安心ですね!
OM-1 シリーズの設定画面
「デジタル一眼」の種類
レンズから入った光を像として結び、内部のミラーで反射させたもの見て撮る「デジタル一眼レフ」、ファインダー内にモニターが内臓されていて、そこに映し出されるデジタル画像を見ながら撮る「ミラーレス一眼」の2種類あります。
ミラーレス一眼の魅力
①撮影後の画像をイメージしながら撮影しやすい
スマートフォンやコンデジの液晶のように、ファインダー内には設定値が反映された画像(ストロボを使用しなければ、撮影結果と同じもの)が表示されます。明るさや色味をファインダーで確認しながら撮ることができるので、失敗が少ないです。
②撮影後の画像がファインダーで確認できる!
背面モニターだけでなくファインダー内でも撮影した画像を確認することができるので、ファインダーから目を離さずに撮影を続けることができます。(※デジタル一眼レフは背面液晶で確認します)「被写体から目を離さず、少しずつ寄りながら撮る」という撮影もしやすいです。
③ピント位置やエリアの自由度が高い!
撮影する対象の大きさに合わせて、AFポイントのサイズや位置を選ぶことができます。マクロ撮影で「生きものの目にピントを合わせたい!」という時は、左のような小さいAFポイント、群れなど全体的にピントを合わせたい!という時は右のような大きなAFポイント、というふうに使い分けることができます。
④被写体認識や追従など、撮影に便利な機能が搭載されている!(一部機種)
ミラーレス一眼には、被写体を自動で検出したり、追従したりする機能がついています。魚に特化したモードを搭載しているカメラはまだありませんが、一部の魚を認識する!という報告も!
⑤小型・軽量のモデルが多く、荷物がコンパクトに収まる!
ダイビングに行く時は、器材や着替えなど荷物が多くなりがち。カメラやレンズがコンパクトに収まるのは魅力ですね!
デジタル一眼レフの魅力
①バッテリーの持ちが良く、1日3〜4ダイブする人も安心。
電力の消費が少なく、バッテリーの持ちが良いです。クルーズなどでたくさん潜る人も安心ですね!
②ピント合わせのタイムラグがほぼない
ファインダーの中にある鏡に反射した像を見て撮影するので、タイムラグがほぼないため、素早い動きをする生物を撮る時に安心感がある。
③ハウジングに対応済の機種が多い
デジタル一眼レフは発売から時間が経っているので、ハウジングの開発が完了しているものが多いです。最新のミラーレス一眼の場合、「カメラは発売されたけど、ハウジングはまだ…。」ということもあります。
※ただし、古い機種はカメラ・ハウジング共に修理ができないこともあるので要注意!
ミラーレス一眼もデジタル一眼レフも、それぞれ魅力がありますね!
最近はミラーレス一眼に注力するカメラメーカーが多く、「今からカメラを買いたいな。」と思っている人にはミラーレス一眼を選ぶ人が増えています。
コンデジからの移行する時に知っておきたいこと
コンデジは1台でワイドもマクロも撮ることができますが、デジタル一眼の場合、ワイドやマクロなどレンズを選んでセッティングします。
そう聞くと「デジタル一眼って、ちょっと不便⁇」と思われるかもしれませんが、オートフォーカスの速さや描写力などが優れているので、写真の仕上がりは抜群です!
プロの水中写真家やフォト派のダイバーの多くが、デジタル一眼、特に最近はミラーレス一眼を使っている!というのも納得ですね。
まとめ
オートフォーカスの性能も表現の自由度も高いデジタル一眼。コンパクトデジカメに比べると装備は大きくなりますが、ミラーレス一眼は小型軽量。中でもOMが採用しているマイクロフォーサーズは群を抜いています。
「綺麗な写真は撮りたいけど、本格的なカメラは難しそう…」という人も、ぜひチャレンジしてみてください。水中写真を始めると、ダイビングがさらに楽しくなりますよ。
協力:OMデジタルソリューションズ
ライター:斉藤利奈