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ゼロから始める水中写真~TG-6編
解説/水中写真家・清水 淳
Vol.1 箱を開けたらチェックすべき11のこと
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水中写真を上手に撮らせてくれるコンパクトデジタルカメラとして超人気のカメラ「TG-6」。ビギナーのフォト派ダイバーに向けて、TGシリーズの開発にも着手してきた水中写真家・清水 淳先生より手取り足取りのアドバイスを4回集中連載で聞いてみましょう!
写真・文/水中写真家 清水 淳
- ▼TG-6と純正防水プロテクターがオススメの理由
- ▼チェック1:箱から出す。箱は捨てないで取っておく
- ▼チェック2:SDカード、バッテリーを装着。カバーは必ず閉めてロック!
- ▼チェック3:本体のレンズリングは外して、ハウジング同梱の反射防止リングを付ける
- ▼チェック4:Oリングをグリスで塗るときに出し過ぎに注意
- ▼チェック5:ハンドストラップで流失防止
- ▼チェック6:シリカゲルは忘れずに。入れ場所にも注意
- ▼チェック7:光ケーブルアダプターもセット
- ▼チェック8:SDカードはスピードクラス10のものを!
- ▼チェック9:予備バッテリーと充電器は別途買いましょう
- ▼チェック10:液晶保護フィルムも購入を
- ▼チェック11:防水プロテクターのモニター保護フィルムは剝がさない
TG-6と純正防水プロテクターがオススメの理由
これから水中撮影にチャレンジされる方に最もおすすめの撮影セットがこのコンパクトデジタルカメラTough TG-6(OM SYSTEM 以下、TG-6と表記)と純正防水プロテクターの組み合わせです。
TG-6は小型軽量なデジタルカメラで、カメラ単体でも水深15mの水圧に耐えられるタフなボディを持ち合わせています。水中撮影の初心者にありがちな、メンテナンスの不良やセットアップミスが原因で防水プロテクターに浸水して水没した場合でも、カメラ不動になって買い換えなければならないと言った悲しいアクシデントにはなりにくいのが最大の利点。また、水中撮影に非常に長けたカメラで、初めて出会う水中の生物のマクロ撮影から、一緒にダイビングするバディのショットはもちろん、広角側にも強いレンズを生かして広がりのある水中景観の撮影も楽しめます。
水中撮影に慣れてきたら多様なアクセサリーを併用してさらに本格的な水中撮影の道へもチャレンジができる、奥深いポテンシャルを持つカメラとして、ダイバーの中では広く支持を得ています。今回からこのTG-6と純正防水プロテクターPT-059を使った水中撮影の楽しみ方を紹介していきます。最初は、このカメラを箱から取り出して、どのパーツが何のために同梱されているのか? カメラとプロテクター以外に必要なアイテムは何か?といった「基本のキ」を説明したいと思います。
チェック1:箱から出す。箱は捨てないで取っておく
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上の写真はTG-6と防水プロテクターPT-059を箱から出した状態です。
ここから、使用するために必要な前準備を行います。いろいろと細かいパーツが入っていますが、不要かな?と思うパーツも捨てずに箱ごと取っておいてください。
不要なものもあって、カメラに取り付けるハンドストラップは防水プロテクター使用時には使用しません。
保証書が入っているか?確認すること。保証書には販売店名と購入年月日が記入されていることの確認を。万が一の故障時には保証書が必要になる場合もあるからです。
ハードな使い方をする水中撮影機材なので破損に備えて保険の加入もお勧めです。
◎ダイバーズ保険≫保険のABC
チェック2:SDカード、バッテリーを装着。カバーは必ず閉めてロック!
では細かく見ていきましょう。
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TG-6の前面と裏面です。
カメラの液晶モニターに保護用の半透明のシートが貼ってあります。これは使用前に剥がします。
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SDカードは別途自分で準備します(SDカードの選び方は最後のほうで紹介します)。TG-6のバッテリー室にSDカードスロットがあります。SDカードのラベルが見えるように装填するのがコツ。カードエラーが出ていないか? 電源を入れて確認することを忘れないようにします。
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SDカードには物理的なロックスイッチが備えられています。ロック状態を解除しないと使用できないので注意。また撮影後に誤ってデータを消去できないようにロックすることもできます。
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専用バッテリーをTG-6に装填します。バッテリー室にバッテリーの向きを示すラベルがあるのでその矢印にバッテリーの印を合わせて装填をするだけです。
向きを間違えてもバッテリーを装填できてしまうので装填後にパワースイッチを押して電源が入ることを確認しましょう。水中でミスに気がついても、エグジットするまでセットし直すことはできません。
バッテリーの装填時に、カメラ下のバッテリーカバーを開いて行いますが、充電が終わったらこのカバーを閉めて不用意に開かないようにロックスイッチを入れましょう。これを怠ると、万が一、プロテクター内部に水分が侵入したときにカメラ内部にも水分が侵入して故障してしまいます。
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カメラ本体にバッテリーを装着したら、USBケーブルをつないで本体内充電を行います。
ケーブルを差し込む時に、カメラ横のアクセサリーパネルを開いて行いますが、充電が終わったらこのパネルを閉めて不用意に開かないようにロックスイッチを。バッテリーカバーと同様、これを怠ると、万が一、プロテクター内部に水分が侵入したときにカメラ内部にも水分が侵入し、故障してしまいます。
チェック3:本体のレンズリングは外して、ハウジング同梱の反射防止リングを付ける
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黒いリング状のパーツは防水プロテクター内での乱反射を防ぐ反射防止リングで、ハウジングのパーツとして同梱されています。
TG-6に標準装備されているレンズリングを取り外して、これと交換します。ここ、ポイントです。わからないで標準装備のレンズリングのまま使用している方が多いからです。
反射防止リングを取り外すにはレンズ横にあるレンズリング取り外しボタンを押して、リングを回すと外せます。
チェック4:Oリングをグリスで塗るときに出し過ぎに注意
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防水プロテクターPT-059の前面と背面です。反射防止リングは先ほど紹介しましたが、このハウジングの箱に同梱されているパーツやグッズを紹介しておきます。
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Oリングリムーバー。防水プロテクターのOリングの取り外しに使用します。
メンテナンスについては次回で詳しく解説しますが、水中使用時には毎回このOリングを外して、清掃とグリスアップを行います。
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シリコングリス。Oリングへ塗布するTG-6専用グリスです。他社製品は使わないでください。
グリスの量は、そんなに多く出す必要はありません。人差し指の上に乗るぐらい、2㎜玉ぐらいですね。
チェック5:ハンドストラップで流失防止
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ハンドストラップ。手首にかけて長さ調節ができ、水中で流失防止のために必要です。防水プロテクターにセット。自分は大丈夫!と思っていても、ダイビング中は何が起きるかわかりません。必ず付けておきましょう。
チェック6:シリカゲルは忘れずに。入れ場所にも注意
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シリカゲル。防水プロテクター内部が内外の温度差で結露するのを防ぎます。カメラは使用していると内部が熱くなって、周囲の水温とかなり温度差が出ることがあります。シリカゲルがあれば結露を防げますが、ないと防水プロテクター内部に水滴が付いて、水没の原因になったり、レンズ面が曇って撮れなくなる可能性がありますので、必ず入れてください。
なお、いい加減な場所に入れるとレンズ前にシリカゲルが来たりするので、必ず防水プロテクターにカメラを収めた後に、底部の隙間に入れてください。また、防水プロテクターを閉める際に挟んでしまうと水没の原因となりますので、シリカゲルは内部にしっかり収めて、挟んでしまわないように要注意。
チェック7:光ケーブルアダプターもセット
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光ケーブルアダプター。外部フラッシュを光ファイバーケーブルを使ってシンクロさせる場合に使用します。 カメラと防水プロテクター単体での撮影時には使用しませんから、外部フラッシュを使用しない場合は不要です。ただ、いずれ外部フラッシュが欲しくなる場合に備えてセットしておくことをお勧めします(後で探すのも大変だと思われるので)。
チェック8:SDカードはスピードクラス10のものを!
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使用するメディアはSDカード。データ書き込み速度が速いほうがいいのですが、静止画のみの撮影であれば、「SDスピードクラス10」のカードで問題なく使用できます。 高画質の4Kやハイスピード動画撮影を行う場合は、「UHSスピードクラス3」のSDカードが必要です。 性能が満たされないカードを使うと撮影ができないので注意が必要。写真は大手カメラショップオリジナルSDカードですが、私の場合TG-6には、この「サンディスクのエクストリームプロUHS-1」を使っています。サンディスクというメーカーは人気のブランドなのですが、粗悪なコピー商品が出回っているためにインターネットで気軽に安価なものを買うと失敗することがあります。その点、大型カメラ店のオリジナル・コラボ商品なら間違いがありません。現在の最新モデルは、サンディスク SANDISK SDSDXXU-064G-JOJCP [Extreme PRO SDXCカード 64GB Class10 UHS-I U3 V30 ヨドバシカメラ限定モデル](税込み¥12,000程度:編集部調べ)。
チェック9:予備バッテリーと充電器は別途買いましょう
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同梱されていないもので必ず購入したいのが、純正品の予備バッテリー「LI-90B」とリチウムイオン充電器「UC-92」。
同梱のバッテリーは普通2ダイブするとバッテリー残量がなくなることが多いです。1日に3ダイブ以上する場合やムービー撮影を主な目的にする場合は予備バッテリーが絶対に必要になってきます。
TG-6は本体充電といってバッテリーをカメラにセットして、カメラをUSBケーブル経由で充電するタイプなので、使い勝手がよくありません。別途純正品のリチウムイオンバッテリー充電器を購入しておかないと、充電中に潜ることになったときにカメラが使えなくなります。
なお、純正品以外の安価なバッテリーを見かけますが、電圧不適切や不安定電源供給のため、カメラ本体を壊す元になるので使用は厳禁。
チェック10:液晶保護フィルムも購入を
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TG-6背面の液晶モニターに貼る液晶保護フィルム。思わぬ傷から守る目的で使用します。モニターに一度傷がついてしまうと簡単に修理とはいきません。私の場合、どんなカメラでも購入したらすぐにこのフィルムを貼り付けています。いろいろなタイプがありますが、TG-6専用モデルがオススメ。
チェック11:防水プロテクターのモニター保護フィルムは剝がさない
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新品の防水プロテクターにはモニター部の保護フィルムが貼られています。簡単に剥がせるようになっていますが、これはそのままに。ないほうがハッキリと見えるという意見もありますが、使用中にモニター部分に傷が付き見づらくなる可能性があります。剥がれてしまった場合にはTG-6本体に貼ったプロテクトフィルムを準備して、同じ位置に貼り付けることを強く推奨します。フィルムのモデルによっては多少カットする必要がある場合も。
ざっくりとした説明になりましが、販売店やダイビングインストラクターも知らないことが多い情報なので、正確に理解していただきたいです。
次回は水中使用に備えたメンテナンスとメンテナンスに必要なグッズの紹介をします。
水中写真家であり、水中撮影術のスーパー講師!
清水 淳先生プロフィール
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写真家。しみずじゅん。1964年生まれ。水中写真や海辺の風景を撮り続けている。執筆や撮影、研究、テストを行いながら、沖縄・那覇にて水中写真教室《マリーンプロダクト》を主宰。
カメラ機材に精通し、機材の特性を生かす能力が評価され、水中撮影アクセサリーの開発アドバイザーやテスト撮影の要望、撮影に関する原稿執筆も多い。
マンツーマンで水中撮影を一緒に楽しむプライベートレッスンが好評でOM-1の使い方講習の要望が多い。
テクニカルダイビングを利用した新しい撮影ジャンルにも挑戦中。公益社団法人日本写真家協会会員
2023年も大好評開催!
写真家/清水 淳プロデュース
1泊2日計8ダイブの渡名喜&慶良間フォトクルーズ
「感動の一瞬はこうして生まれた……水中写真家 作品探訪」連載
清水 淳さんインタビュー記事も併せてご覧ください。