初めてのレックダイビングは
グアムがおすすめ!
「レックダイビング」とは、海に沈んだ船や飛行機の周囲を潜るもの。ベテランダイバーだけが楽しめると思われがちですが、実はグアムでならアドバンス保持者からレックダイビングを楽しむことができます♪
●監修/アクアアカデミー・岡宏之
※2020年3月現在の情報です。
レックダイビングとは?
レックダイビングの世界は終わりがないのもまた魅力。潜るたびに何かしらの発見があります
「レック(Wreck)」とは「難破船」を意味し、「レックダイビング」は海に沈んだ船や飛行機の周り、時にはその内部に入ってダイビングをすることを指します。戦争で沈んだもの、意図的に沈められたものなどさまざまで、長い年月を経たものは、ソフトコーラルが繁茂していたり、魚たちのすみかになっているものもあります。
レックダイビングの魅力
レックダイビングは、先述したように海に沈んだ人工物を目指してダイビングをするのですが、ではその魅力とは一体何なのでしょうか。
ダイビングと歴史を一度に楽しめる!
海に沈んでいるものの中には、戦争で沈んだものが多く存在しています。残されている資料と照らし合わせれば、いつ攻撃を受けたのか、誰が乗っていたのかなどがわかることもあります。
また、どんな教科書よりも博物館よりも至近距離で本物に「見る・触れる」ことができます。
よく観察してみると文字が書かれていたり、当時のロゴマークが出てきたりすることもあります
船内に入ることもできる
アドベンチャラスダイビング!
船内に入ると廊下や部屋などを見ることができて、当時の人々がここで生活していたことがより鮮明になります
沈んでいる船や飛行機はその衝撃で崩れているものもありますが、グアムの海には内部に入ることができるものも多く残っています。複製ではなく、当時使用されていた船や飛行機そのものの内部がのぞけるのはダイバーだけかもしれません。まるで映画のようなドキドキワクワクの世界を味わうことができます。
何度も潜ることで見える景色がある
レックダイビングは繰り返し同じスポットを潜るからこそおもしろいといっても過言ではありません。反復することで頭の中で船や飛行機の構造が整理されていき、当時生活・使用していた人たちの動線が頭の中に浮かんできます。まさにタイムスリップが起こる瞬間です。
グアムのレックの中には全長100mを超える船も少なくありません。1ダイブですべてを見て回るのは不可能なので、少しずつ開拓していくのもレックダイビングの楽しみの1つです。
レックダイビングを体験する前に
一般的なダイビングとは目的も楽しみ方も異なるレックダイビング。潜る前に押さえておきたいポイントをご紹介します。
撮影のポイント
船や飛行機は沈む際に崩れたり、回転したりして必ずしもまっすぐ、水面と平行に沈んでいるわけではありません。撮影時はついつい自分の平衡感覚で撮りがちですが、船や飛行機の天地(天井・床)に合わせて撮影してみてください。
ライトは断然ワイドタイプ
自分の水中ライトを確認してみてください。スポットタイプとワイドタイプでは照射角度がこんなに異なります
スポットタイプ(光の当たる範囲が狭いライト)でも問題なくダイビングできるのですが、レックを120%楽しみたいならば、ワイドタイプのものをオススメします。より広い範囲を目視できるほうが全体像をつかみやすく、レックの楽しさが倍増します。
潜り方の注意点
原型をとどめていても海水や潮で劣化しているものがあるのでむやみやたらに触るのはNG
船や飛行機はダイバーが楽しめるものであると同時に魚のすみか・貴重な史料でもあります。故意に壊したりするのはもちろん厳禁ですが、無意識のうちに蹴ったり、ゲージ類が引っかかってしまうことがあります。ゲージホルダーを利用したり、傷つけないようなフィンワークを心掛けてください。また、水中ライト、ダイブコンピュータは必須です。必ず自分のものを携行するようにしましょう。
初めてのレックダイビングは
グアムがおすすめな理由!
グアムは初めてのレックダイビングに挑戦しやすい環境が整っています。また、陸も飲食店やショッピングモールなどが揃っていて、ダイビングも陸も楽しめるグアムはまさにうってつけです。
直行便で3時間半だから通いやすい!
潜った後もグアムならショッピングしたり、ほかのアクティビティを楽しむことができます
先ほど「レックダイビングは何度も同じところに潜ってこそ楽しい」とお伝えしましたが、そうなると通えなければ意味がありません。日本の各地から直行便が飛んでいるグアムなら週末を利用して定期的に通うことができます。
暖かくて海況も安定している
温暖な気候、安定した海況は初めてのことへ挑戦するのに最適です
グアムは平均気温29℃、平均水温28℃と非常に過ごしやすい気候が特徴です。時差も小さいので体への負担も最小限に抑えられます(グアムのほうが1時間早い)。また、海況も非常に安定しているので安心してダイビングに臨めます。
レックダイビングのスポットがたくさん
船は主だったものだけでも5つ、飛行機は2つ。そのほかにも多くのスポットに恵まれているのがグアムです
グアムにはレックダイビングのスポットが、一度の渡航では潜りきれないほどあります。それぞれの船や飛行機に歴史やストーリーがあり、どこを潜っても楽しむことができます。
アドバンス保持者から
潜れるスポットも多数
アドバンスを持っていれば潜れる「バルボンバー」では、翼の金属部に手書きの文字を見ることができます
レックダイビングは多少深めの水深になるのでアドバンスを取得していることが前提となります。またさまざまなSPを取得していないと潜れないところもありますが、グアムならアドバンスだけでも潜れるスポットがたくさんあります。
グアムでレックダイビングに挑戦!
グアムに行ったなら潜っておきたいレックスポットの歴史や見どころをご紹介します。
アメリカンタンカー
最大水深/平均水深:30m/20m、アドバンス以上
巨大な船体は一度潜っただけではすべてを把握するのが難しいかもしれません。何度もトライして頭の中の設計図を完成させてみてください。途中、撮影用に星条旗が設置されているのでぜひ記念撮影を!
1944年、日本軍がグアムから撤退後に、ハワイからコンクリート船(アメリカンタンカー)に燃料を乗せた状態でグアムまで5隻を曳航してきました。その内の4隻は(アプラ湾の)防波堤建設のために埋められましたが、最後の1隻はダイバーが楽しめるように沈められました。
東海丸
最大水深/平均水深:35m/20m、アドバンス以上
お風呂やエンジンもそうですが、手すりや階段など生活感を感じさせるものに触れて、レックダイビングの世界観を楽しんでみてください
1943年8月27日午後2時23分、アメリカ軍の潜水艦の魚雷攻撃により沈没したと記録が残っています。 船内の残留品はほとんど持ち去られてしまっていますが、エンジン周辺やお風呂場などの水回りは認識できる状態で維持されています。ぜひ、当時の船内の様子を思い浮かべながら探索してみてください。
バルボンバー
最大水深/平均水深:28m/24m、アドバンス以上
機体は半分失われてしまっていますが、ダイバーと比較してわかるように十分見ごたえのある大きさです
1944年2月のマリアナ沖海戦にて、グアム島上空での空戦の際に水面に不時着した1機ではないかと考えられています。機体が半分に折れてしまい、機体後部は失われていますが、細かい装備やエンジン、車輪などのパーツが残っています。翼部分にある手書きの文字も見どころです。
SMSコーモランⅡ
最大水深/平均水深:35m/25m、アドバンス以上
コーモランのエンジンオープニングのすぐ後方のバスタブ。おそらく乗船していた6名の士官だけが使えたものと思われます
1917年4月7日、第一次世界大戦期、アメリカ軍がグアムに上陸したこの日に、ドイツ軍船長が自沈したとされています。そのときにアメリカ軍兵士が発砲した銃弾が、アメリカの第一次世界大戦における最初の一発と言われています。
100年以上前の船のため全長は長いですが、幅や高さがないため船内探索がしやすく、トイレやバスタブなども残っています。
コーモランのエンジンオープニングに残る通路。両サイドの入り口からコーモランのアッパーデッキに繋がっています
アッパーデッキ(メインデッキ)の1つ下のデッキ(セカンドデッキ)の通路に残る階段はサードデッキに続いています
シープレーン(零式水上偵察機)
最大水深/平均水深:30m/20m、アドバンス以上
二本のフロートを上に向けて、仰向けに沈んでいます
日本軍の給油桟橋脇にひっくり返っていた機体ですが、桟橋の解体にともなって沖合に動かしたものと思われます。二つに折れていますが、主翼とフロートは完全な形で残っています。
木津川丸
最大水深/平均水深:40m/25m、アドバンス以上エンリッチドエアSPを持っており、経験本数50本以上
木津川丸の船首に残っている大砲とダイバー
木津川丸前方部にある船橋に残る階段。この階段を当時の人々が上り下りしていたと考えるととても不思議な気分
大砲の後方に残る砲弾のケースです。16発入りの箱が4箱あるのですが、1発だけなくなっています
1944年、グアムの東側で魚雷攻撃され航行不能となったのち、駆逐艦に曳航されアプラ湾内に退避してきました。その後の空爆攻撃などで沈没。現在では船首に残された大砲と砲弾を見ることができます。
現地ガイドに聞いた!
レックダイビングinグアム
グアムのレックダイビングのスペシャリスト《アクアアカデミー》の岡宏之さんにインタビュー! ガイドをしながら自らもレックの魅力にどっぷりつかってしまった岡さんの探求心と知識量は本当にすごかった!
Q レックダイビングにハマった
きっかけは何ですか?
《アクアアカデミー》オーナー・岡宏之さん。レックダイビングのことを語り出すと止まらない
――1983年、サイパンに《三菱重工》の方が訪れて、当時零戦やB29と信じられていた飛行機が実は違うということを、ダイビングをして説明してもらったところからハマりました。
Q レックダイビングの
魅力とは何ですか?
――ハマったきっかけの時のことがそのままだと思います。事実だと思っていたことがひっくり返ることもあります。昔の歴史に直接触れて、それを探求することができる楽しみですね。レックは水中考古学であり、ダイバーだけが訪れることができる水中博物館だと思っています。
Q「グアム」でレックダイビングをしている時はどのような気分、気持ちになりますか?
――その世界観にどっぷりつかっています。完全にタイムスリップしてますね。
最後にこれからレックダイビングに
挑戦したい人へ一言お願いします
今年こそグアムでレックダイビングデビューしてみませんか?
――最近の高性能な水中ライトの登場で、レックダイビングは初めて楽しく安全にできるようになりました。ピラミッドのような昔すぎる歴史は、当時の時代の人々さえも想像することが難しいですが、100年や150年前の人々の生活は今とそれほど大きく変わらず想像することができます。そんな身近な、しかし戻って直接見ることはできない当時の歴史に触れることができるのがレックダイビングです。タイムマシンに乗って歴史を遡ってみませんか。
グアムのダイビングツアー
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