沈船&洞窟ダイビングで秋冬春は大にぎわい
東伊豆 熱海
都心から車でも電車でも約1時間の熱海は、本格的な沈船ダイビングや洞窟ダイビングなど冒険的な海として大人気です。老舗の温泉地として観光客が多い熱海だけに、花火大会などのイベントが多く開催されているのも魅力。透明度爆上がりの秋~春も熱海で潜っちゃおう!
※2024年11月現在の情報です。
期間限定「小曾我洞窟」で洞窟ダイビングを体験!
都心から約1時間で洞窟ダイビングができる贅沢
暗闇の洞窟を進んでいくと、行く手に明るく青い海が見えてきます
写真/豊嶋康志(ダイビングサービス熱海)
静岡県随一の観光シティ熱海は伊豆半島の東側の付け根辺りにあり、都心から車でも電車(新幹線)でも1時間余りで行けるとてもアクセスのいい場所です。目の前の海はダイビングスポットもいくつも開拓されていて、根に魚や生きものが集まるダイビングスポットのほか、「沈船」スポットや洞窟スポットでアドベンチャラスな体験ができるという贅沢なロケーションなのです。
初心者でも潜れる洞窟スポット
毎年11月1日にオープンとなる期間限定スポット「小曾我洞窟」は、スポットの最大水深が12m、最大水深は10mなので初心者でも体験できるのが魅力です。南側の水中にぽっかりと開いた縦長の穴から入っていくのですが、中は暗く、わくわく感がたまりません。入り口付近は秋頃、びっしりと魚も群れていて、魚をかき分けて入っていくこともしばしば。洞窟内にも魚たちがいて、ライトで照らすと川のように流れ去っていくのも幻想的です。
「小曾我洞窟」は2本目に潜ることが多い
11月にオープンする「小曾我洞窟」ですが、4月30日まで潜ることが可能です。
「秋は動画のように入り口も出口も、洞窟内もクロホシイシモチなどがとても多く、静けさが漂う洞窟内もにぎやかな雰囲気です。水面付近にキビナゴがびっしりいることもあります。今年はアジの仲間もめちゃくちゃ群れていますね。年が明けると不思議なことに魚たちがいなくなるケースが多いのですが。でも、冬は透明度がさらに上がるので青くて幻想的な洞窟を楽しんでいただけます。春先もまだ透明度は高いことが多いので、春の連休に潜りにいらっしゃるお客様も多いですよ」と、熱海に潜って27年の大ベテラン、《ダイビングサービス熱海》のチーフガイド、豊嶋康志さんは話します。
「『小曾我洞窟』は港からボートで10分足らず南へ行った、曾我浦大橋の下にあります。水深が浅いので、たいてい『沈船』やほかのスポットを潜ってから2本目に潜るスタイルになります。水深が浅い分、潜水時間もやや長くなります」と説明してくれました。
洞窟の外は銀世界のよう!
「小曾我洞窟」を出ると、一面に砂紋(さもん)の美しい銀世界が!
写真/豊嶋康志(ダイビングサービス熱海)
「小曾我洞窟」は洞窟を出た後も、楽しめます。基本的には砂地に点在する根を回りながらフィッシュウオッチングとなります。ちっちゃなコケギンポやエビの仲間が岩の上下に潜んでいたり、イソギンチャクに季節来遊魚ミツボシクロスズメダイの群れがいたり、アイドルのミナミハコフグの幼魚が見つかることも! 少しすると一面の銀世界のような砂地が広がっている場所もあります。波がつくる砂紋もとてもきれいで、海の青さをのコントラストが最高です。きっと癒されること間違いありません!
さらに、エアがあれば再び洞窟へ。逆コースは全然違うところを潜っているようです。冒険気分たっぷりな熱海の洞窟ダイビング。まだ体験したことのない方はぜひ今シーズン、潜りに行ってみませんか?
ダイバーだけじゃなく魚も集まる「沈船」
熱海の沈船は日本最大級
「沈船」はとても大きく、全身を見るのは難しい
写真/豊嶋康志(ダイビングサービス熱海)
熱海のダイビングといえば「沈船」が有名です。このスポットの水深30m付近に鎮座している沈船は、38年前の1986年に沈んだ砂利運搬船で、船名は「旭16号」です。全長81m、最大幅18mと、日本の沈船ダイビングスポットの船の中では最大級と、とても貴重な沈船スポットとされています。これが東京都心から約1時間、港から5分足らずで潜れるのだから素晴らしいことですね!
今シーズンはアジの群れが爆発的に多い!
「沈船」スポットに毎日のように潜り続けている豊嶋さんは、これからが特に潜ってほしい季節と力説します。
「秋から冬にかけては海中の浮遊物が減り、透明度がグッと良くなるからです。81mの船体が丸ごと見えることはありませんが、見えちゃうんじゃない!?というほど遠くまで見渡せることがあります。さらに今年はとにかく魚影が濃くて、『小曾我洞窟』にもいるマアジが、ここでは爆発的に多くいて、船が見えなくなるぐらい!」なんだとか。
マアジが玉や壁のようになっているということは、それを狙って大型の魚たちもやってくることを意味します。豊嶋さんが撮影した動画のように大きなワラサの群れも来ていますし、運が良ければもっと大物も!? 沈船ならではのドキドキ感にプラスしてわくわくが止まらない「沈船」スポットです。
沈船は見どころ満点! 冒険気分もたっぷり
船首から離れて中層を泳いでみるのも気持ちいい~!
写真/豊嶋康志(ダイビングサービス熱海)
カリブの海賊や宝探しのイメージもある「沈船」ですが、熱海の「沈船」はもともとが砂利運搬船でしたので、お宝は期待できません。でも、甲板の上にはウインチがあったり、船内には階段などが残されています。船首から離れてブルーの海で無重力を感じるのもドキドキ感も増します。船内はいずれも老朽化しているので入ることはできませんが、船内をのぞくことができ、冒険気分満点♪
マアジだけじゃない、魚たちのオアシス
船内はイシモチの仲間たちがびっしり!
写真/豊嶋康志(ダイビングサービス熱海)
海の世界では、「沈船」といえば、魚たちのオアシス、魚礁というのがデフォルトです。熱海も例外ではなく、とにかくたくさんの魚や生きものたちのオアシスとなっています。
うれしいのは、日本や近海の固有種、サクラダイが普通に見られること。オスの美しさはハナダイの仲間の中でもトップレベルですが、メスもピンクがかったオレンジ色のボディがとても美しく、フォトジェニックです。
さらに、近年伊豆半島で顕著なのですが、10年前はとても珍しかったアカオビハナダイが温暖化の現象かとても増えていて、ここ「沈船」にもたくさんすんでいます。産卵も行われていて、幼魚の大群が大乱舞しているところも見られます。
船内には(船の外にも)体長7~8cmのクロホシイシモチが多いのですが、キンメモドキやネンブツダイも。イシモチの仲間といえば口内保育をすることで知られますが、初夏に産卵、ハッチアウトして夏の終わり頃から12月頃にかけて群れが大きくなります。冬季には減るものの、まったくいなくなることはありませんのでご安心を。また、彼らを狙ってハタの仲間も潜んでいますし、回遊魚も回ってきます。
船の周りにはタカベやイナダも群体で回ってきてにぎやかです。
ソフトコーラルも美しい!
可憐なソフトコーラルが船体にびっしり
写真/豊嶋康志(ダイビングサービス熱海)
魚影の濃さも特筆ものですが、船体のボディを覆い尽くすソフトコーラルの美しさも必見です。「特に船体後ろの船壁はフォトジェニックです」と豊嶋さん。ハナダイの魚群とともに撮ると“映え”写真も取れますね♪
沈船を潜るには、アドバンス以上がオススメ
「沈船」は浅い甲板で水深18mと、オープンウォーターダイバーが潜れる最大水深なので、より沈船ダイビングを楽しむのであれば、アドバンス以上のスキルを身につけたダイバーにオススメします。
エントリーは基本的にジャイアントストライドエントリー。潮が流れていることもありますので、着水後は素早く移動して、ボートが係留しているブイのロープへ。順番にロープをつかみながら潜降して、ロープ下の船首が集合場所となります。潜降時にロープを離すと戻れなくなったりすることもあるので、必ずロープにつかまりながら潜っていきましょう。
潜降後は船の上や横を泳ぎます。中層を泳ぐことになりますので、中性浮力スキルは必須です。不安な方は、熱海のほかのスポットで練習してから潜るといいですね。
熱海は根のスポットも人気♪
一番人気の「ソーダイ根」
根の周りはソフトコーラルやカイメンがびっしり
写真/豊嶋康志(ダイビングサービス熱海)
火山の噴火や地形の隆起でできた珍しい柱状節理の地形も見られます
写真/豊嶋康志(ダイビングサービス熱海)
熱海は北風、北西風に強いので、冬でも潜れない日はほとんどないのが魅力。秋から冬は基本的には「沈船」「小曾我洞窟」の2ダイブで一日を過ごすパターンが多い季節ですが、北風が強くて洞窟に回り込めない場合に出かけるのがボートで約7分の「ソーダイ根」です。大小の根が連なっていて、根には色とりどりのソフトコーラルやカイメン、海藻などがびっしり! キンギョハナダイやスズメダイの群れも多く、近年は季節来遊魚だったはずのミツボシクロスズメダイが居着いています。クダゴンベやニシキフウライウオなども冬前までは見つかることがしばしば。その気になればウミウシもいろいろ見つかりますよ♪
ホットなアイドルも登場!「ビタガ根」
ライトやストロボをやさしく使って撮りたいボロカサゴ
写真/豊嶋康志(ダイビングサービス熱海)
「沈船」のすぐ南に位置する「ビタガ根」は、入り組んだ根にソフトコーラルやカイメンなどが密生するカラフルエリアです。ハナダイやスズメダイの仲間たちが群れる根には時折タカベやイサキなどの群れが回ってくることも。さらに大型のワラサやブリなどもやってきます。 そんな「ビタガ根」に2024年秋やってきたのがパープルカラーのボロカサゴ! 秋冬はあまり行かないスポットとはいえ、ぜひリクエストして会いに行きたいですね♪
ほかにも年間潜れるスポットはいろいろ。でも、秋冬春は、やっぱり期間限定の「小曾我洞窟」と「沈船」は外せません。車や電車は空いている時期ですので、ぜひ訪れてみてくださいね♪
冬でも見られる!熱海海上花火大会
《ダイビングサービス熱海》では船上で間近で花火を見ることもできますよ♪
写真/豊嶋康志(ダイビングサービス熱海)
熱海は海上花火大会で一般の観光客にも人気です。うれしいのは夏だけでなく年間を通してほぼ毎月開催されていること。2024年度は12月8日(日)、2025年2月21日(金)、3月23日(日)と、冬~春も行われる予定です。
一般的に観賞するのは陸からとなりますが、《ダイビングサービス熱海》では花火大会開催日に花火船を出してくれるので、より間近で見ることができます。ぜひお問い合わせを!
「沈船」「洞窟」を潜って27年! アツイ海を潜るならこちらへ
ダイビングサービス熱海
〒413-0022 静岡県熱海市和田浜南9-24
TEL:0557-82-7285
FAX:0557-81-1603
E-mail: diving@atami.biz
ベテランガイドの豊嶋康志(とよしま やすし)さん
写真/後藤ゆかり
熱海の海を潜るなら熱海でのガイド歴27年のベテランガイド、豊嶋さんが率いる《ダイビングサービス熱海》がオススメ! 豊嶋さんはほぼ毎日、「沈船」「小曾我洞窟」を潜っているほか、「ソーダイ根」や「ビタガ根」なども頻繁に訪れていて見どころを押さえているのです。ブリーフィングやガイディングはサラッとしていますが、リクエストがあればとことん応えてくれますので、予約時に潜りたいスポットや見たいものを伝えておきましょう。
ダイビングサービスが面する漁港前にシャワー施設やダイビング施設があり、器材セッティングも広々、洗い場&干し場も広くて便利です。水面休息時間は屋根付きの場所でのんびり過ごすこともできますし、冬場は大きなストーブがあるのでぬくぬくです。
協力/ダイビングサービス熱海
ライター/後藤ゆかり(MDWデスク)