潜ってよし、撮ってよし!
柏島 5~7月の見どころ

ダイビング天国として人気の柏島はサンゴ、ウミガメ、魚群から人気のマクロ生物までダイバーの「見たい」「撮りたい」がぎっしり詰まった海。特に水温が上がってくるこれからの季節は、産卵行動や幼魚などが爆発的に増え、見どころも俄然増えてきます。毎年5~7月の魅力を、おすすめのダイビングサービスのガイドさんに聞いてみました!
撮影者の氏名は敬称を省略させていただいています。
※2025年4月の情報です
柏島はこんなところ
四国の南西端、高知県大月町にある宝の島

写真/松野和志(柏島ダイビングサービスAQUAS)
柏島は、ダイバーが選ぶマリンダイビング大賞2024では「ベストダイビングエリア国内」部門で6位、まだ潜ったことのない「初めて行きたい国内エリア」部門で2位と、沖縄を除く日本全国のダイビングエリアで上位に選ばれています。この傾向はほぼ毎年同様で、常にダイバーたちの注目の的に挙げられています。
でも、どこにあるか、まだ行ったことがない方にはピンと来ないかもしれません。
柏島は四国の南西端に位置する高知県大月町に属していて、四国と九州の間を流れる豊後(ぶんご)水道と太平洋が交わる辺りにある周囲わずか4kmの小さな島です。上から見ると柏の葉のような形をしていることからその名が付いたといわれています。島といっても四国本土と2本の橋でつながっていて、島だけでなく本土側も住所は「大月町柏島」となっていて、両方にダイビングサービスがあるのが特徴です。
豊かな海に恵まれた島
島を取り巻く海は晴れた日にはエメラルドグリーンに輝き、透明度がいい日はボートの影が海底に映ってまるでエーゲ海のフォトジェニックポイントのよう。島の北側に「後浜」(うしろのはま)と呼ばれる長さ約500mの海岸があって、その沖一帯が島一番のダイビングスポットになっています。
内湾側では養殖が盛んで、高知県唯一のクロマグロが養殖されているほか、ブリやマダイなどが生産されています。漁業が盛んな島ですので、魚介類がとっても美味しいのも柏島の魅力です。
5~7月の柏島の海
海の生きものが活発になるシーズン

浅瀬のサンゴの上ではキンギョハナダイやスズメダイの仲間たちが大乱舞
写真/梶原秀一(柏島ダイビングサービスFin House)
これからのシーズン(5月頃から7月頃)の柏島の海ではどんなお楽しみが待っているのでしょう? まずは《柏島ダイビングサービスFin House》の梶原秀一さんに聞いてみました。
「水温が少しずつ上がってきて、生物が非常に活発になるシーズンです。産卵や育卵など生物たちの生態シーンがもっとも見られるようになります。また、ハゼの仲間なども現れるようになり、海の中がどんどん賑やかになっていきます」
恋の季節、子育てシーズン
撮影/大西新祐(Divers Cafe &Bar 7me)
柏島の海を愛する《Divers Café & Bar 7me(ナナミ)》の大西新祐さんもこの時期の海を熱く語ります。
「柏島は一年を通して生態系が豊かでめっちゃ面白い海です!! 5月からアオリイカや珍しいハナイカの産卵シーンとハッチアウト。まだまだ海藻が豊富なのでウミウシなどもいっぱいいます。水中はまさに恋の季節&子育てシーズン♡ ジョーフィッシュやイシモチ類の口内保育に始まり、クジャクベラなどの綺麗なベラ類の求愛シーンも狙えます!! 水温上昇に伴いプランクトンが増え春濁りが入り透明度はめっちゃ綺麗な時も続けば、一瞬落ちるタイミングもありますが、その分生態系も夏に移行しハナヒゲウツボやニシキフウライウオなどの夏限定の生物も観られ、マクロダイビングでは影響ありません。ワイド狙いは、透明度が爆上がりし安定する梅雨明けからがオススメです!!」
フォト派には口内保育ほか撮影しどころいっぱい!

絵になるアヤトリカクレエビなど甲殻類も増えてくる
写真/目黒次生(柏島ダイビングサービスSEA ZOO)

柏島で新種と発見されたイナズマヒカリイシモチは、口内保育が盛んになる時期
写真/目黒次生(柏島ダイビングサービスSEA ZOO)
柏島には水中写真を撮ろうと集まるフォト派もとても多いのですが、フォト派に人気の《柏島ダイビングサービスSEA ZOO》の目黒次生さんには、フォト派向けの魅力を伺ってみましょう。
「初夏は求愛や産卵のシーズンです。イシモチの求愛から産卵そして口内保育の瞬間に出会えます。また甲殻類もたくさん出会えるシーズンです」
フォト派は撮りたいものをいくつか狙ってみては
フォト派が集まるダイビングサービス《柏島ダイビングサービスAQUAS》の松野和志さんは、「水温が上がり出すと柏島に水中写真を撮りにくるお客様がとても多くなります。比例するように被写体も多くなってくるからですね。カエルアンコウやウミウシなど海藻と絡めて撮影したり、イシモチの仲間たちの口内保育やハゼ類の育卵などの撮影がおすすめです。ワイドなら海面を覆うぐらいいるキビナゴとそれにアタックするカンパチなどが狙い目です」とオススメを教えてくれました。TG派は何でも撮れますが、一眼レフの方はマクロで攻めるか、ワイドで攻めるか、はたまた複数台持ちしてワイドもマクロも狙うか、計画を練って柏島に行くといいですね♪
5~7月に見てほしい柏島
《フィンハウス》の梶原さんおすすめの柏島シーンBEST3
サンゴ礁と魚の群れ

「後浜」のサンゴが群生する浅瀬にはアオウミガメの姿も!
写真/梶原秀一(柏島ダイビングサービスFin House)
「マクロで有名な柏島ですが、『後浜』の一面に広がるサンゴ礁も美しい光景です。キンギョハナダイやスズメダイの仲間など、多種多様な魚たちが群れを作っています。最近はウミガメもかなりの確率で見られます」
魚や生きものの繁殖シーン

大きなアオリイカの産卵行動も見もの! 真っ白な卵も美しいです
写真/梶原秀一(柏島ダイビングサービスFin House)
「アオリイカの産卵やイシモチの仲間の口内保育、スズメダイの育卵など、繁殖行動などの生態シーンが盛りだくさん。『民家下』など柏島全域で見られるようになります」
ハゼや季節来遊魚(柏島全域)

ヤシャハゼとハナハゼのWペア
写真/梶原秀一(柏島ダイビングサービスFin House)
「水温が上がってくる6~7月になると、砂地にすむハゼの仲間やハナヒゲウツボなどが見られるようになります。また、ニシキフウライウオなど季節来遊魚も現れます」
梶原さんにぜひ案内してもらってくださいね♪
《7me》の大西さんオススメの見どころ3
「民家下」でウミウシ

大きくてゴージャスな色彩のニシキウミウシ
写真/大西新祐(Divers Cafe &Bar 7me)
「ウミウシ類は柏島全体で観れます! その中でも特におすすめなダイビングスポットが『民家下』(一切エリア)です。
『民家下』は、柏島エリア&一切エリアのダイビングスポットでも人気で、人工の鉄枠(養殖イケス)が設置されております。水深もオープンウォーターダイバーでも行ける18m以内にも鉄枠が設置されていますし、20mからメインの鉄枠があります。ゴロタ、砂地、鉄枠と生態系も豊富でマクロ派&ワイド派も外さない、絶対に入って頂きたいダイビングポイントです♡」
水中写真ビギナーにオススメもいっぱい!

ピントが合わせやすいのがオルトマンワラエビ
写真/大西新祐(Divers Cafe &Bar 7me)
「《7me》のゲスト様は『カメラを始めました!!』って方も多くご来店くださいます。ブリーフィングで過去の撮影された画像をガイドが確認し、柏島ダイビングで思い出に残るシーンの撮影をアシスタントさせていただいています。あまりカメラに慣れていないゲスト様には、過去に見た生物を外し、好きな生物や会ってみたい生物のリクエストをお聞きして、ピントを合わせやすい(あまり動かない)生物からご紹介しております。写真のようにオルトマンワラエビは柏島のダイビングスポットにはどこにでもいますが、クダゴンベやフリソデエビ、ハナヒゲウツボやカエルアンコウ類などのついでにでしたら『後浜』、ゴールデンイールモレイ、ハダカオコゼ、ニシキフウライウオ、カエルアンコウ、ウミウシなどを狙うなら『民家下』などオススメです♡
アオウミガメとピグミーシーホースを両方狙える「後浜」

アオウミガメにはぜひ会ってほしい
写真/大西新祐(Divers Cafe &Bar 7me)
「柏島ならではのアオウミガメとピグミーシーホースといえば、『後浜』!! ピグミーは水深20~30mで狙えて、出現している場所によりますが、ハナヒゲウツボ、フリソデエビも1ダイブで狙えます。まず水深を落として【ピグミー→ハナヒゲ→フリソデ→〆にアオウミガメ】とコース取りができます。ガイドさせていただいていますが、本当にめっちゃ楽しい海です!! ウミガメは、水面から10m以内と安全停止前に狙えます♡」
5~7月に撮ってほしい柏島
《アクアス》の松野さんがおすすめする月別フォトジェニさん
5月はウミウシほかマクロからアオリイカ産卵まで多彩

ウミウシもまだまだフォトジェニック!
写真/松野和志(柏島ダイビングサービスAQUAS)
「5月はまだ海藻などが残っていたり、水温が少し低いのでウミウシなどがまだ見られる時期。マクロでじっくり狙える被写体が多いです。ワイドではキビナゴの群れやアオリイカの産卵なども狙えます」
6月は卵を守る生きものがフォトジェニック

マクロ好きのお客様に大人気の「たましい(アオサハギの子供)」も出てきます
写真/田中成人(柏島ダイビングサービスAQUAS利用)
「6月は、いろいろな魚が卵を守っている生態シーンも狙い目です」
7月は魚や生きものの動きが活発に!

ニシキフウライウオのお腹も卵でパンパン
写真/八木悦子(柏島ダイビングサービスAQUAS利用)
「7月は生物の動きも活発になってきて、楽しい時期です。より活発な生態シーンも狙えます」
《SEA ZOO》の目黒さんがオススメするフォトシーンBEST 3
イシモチの口内保育
「ヒカリイシモチ(上記参照)やキンセンイシモチなど、イシモチの口内保育はどのポイントでも見ることができます」
美しいハナダイの幼魚

スジチガイと呼ばれていたが2010年8月和名が付いたイトヒキコハクハナダイの姿も
写真/目黒次生(柏島ダイビングサービスSEA ZOO)
「コウリンハナダイや写真のイトヒキコハクハナダイなど、色が美しいことからフォト派に大人気のハナダイの幼魚も出始めますので狙ってほしいです。ほかにもスズメダイやベラなど美しい幼魚が出てきますので、ぜひ撮ってほしいです」
通称ワイングラスをぜひ!

まるでワイングラスのよう
写真/目黒次生(柏島ダイビングサービスSEA ZOO)
「この時期は通称『ワイングラス』と呼ばれているナガサキニシキニナの卵もきれいです!」
柏島を潜るならこのお店♪
県内や四国からだけでなく北海道から沖縄まで日本全国からダイバーが集まる柏島。ダイビングサービスも大月町の柏島と対岸に十数軒あり、日本を代表するダイビングビレッジとなっています。今回は海の案内をしてくださった4つのおすすめ店をご紹介!
高知県幡多郡
柏島ダイビングサービス AQUAS(アクアス)
TEL:0880-76-0100
E-mail: aquas@kashiwajima.jp
〒788-0343 高知県幡多郡大月町柏島130

Photo by AQUAS
宿泊&食事込みのプランで楽しく水中撮影ができる店
柏島の閑静な住宅街に立つオシャレなダイビングサービス。宿泊施設もあり、このほど全室ツインベッドに変身し、ますます利用しやすくなっています。ガイドスタイルは「じっくりゆっくり写真と向き合ってもらえるようガイドします! 撮った写真をみんなでその日に観るログ付けも人気で、次の日こう撮ろう!というイメージが湧きます」と松野さん。水中写真を撮りたいという意欲が湧いてきますね。
高知県幡多郡
柏島ダイビングサービスSEAZOO(シーズー)
TEL:フリーダイヤル0120-4908-15
E-mail: info@seazoo.jp.net
〒788-0343 高知県幡多郡大月町柏島50番地

Photo by SEAZOO
フォト派に大人気! じっくり潜って撮れる快適店
2004年に柏島にダイビングサービスを建て、初心者から水中写真派、ベテランダイバーまで少人数制でていねいなガイディングに取り組んできためぐちゃんこと目黒次生さんとパートナーのけいこさんのお店。新しくなったお店では宿泊も可能です。「ゆっくり水中写真を撮っていただけるように2隻のボートでチームを少人数に分けています。エンリッチドエアナイトロックスのタンク(32%)も常備しています」と目黒さん。
高知県幡多郡
柏島ダイビングサービス FIN HOUSE(フィンハウス)
TEL:0880-76-0088
E-mail: info@finhouse.jp
〒788-0343 高知県幡多郡大月町柏島641

Photo by Fin House
圧倒的に魚料理が美味しい! ダイビング&宿泊一体型のお店
柏島大橋を渡ってすぐ、港にも近くて便利なダイビングサービス兼フィッシングサービス兼民宿。メインガイドはオーナーの息子さんの梶原秀一さん。
「ゲストの見たい生物やレベルに応じて、最も楽しめるダイビングを提供できることを目指しています。ボートはダイビング専用につくられていて、タンクホルダー付きで、BCDを背負うのも楽々です。宿泊施設も併設しており、食事はとれたての魚を使った料理を提供しています」
高知県幡多郡
divers cafe & bar 7me
TEL:090-6609-0127
E-mail: diverscafebar7me@gmail.com
〒788-0342 高知県幡多郡大月町一切174-2

ボート3隻でグループ分けして細かいガイディングを提供
2020年8月にスノーケリング&スキンダイビング専門店としてオープン。代表の大西さんは熱く語ります。
「私たちは、【7meだからできる】を合言葉に、初めて訪れられる柏島のゲスト様一人ひとりに寄り添い、リクエストをお聞きしております」。自社ダイビングボートを3隻保有し、ダイビング、スノーケリング&スキンダイビングと使い分け、一般ダイバーからショップツアーまで柏島の海を全力でガイド。柏島のダイビングサービスとして唯一ノンダイバー方向けのサービスも展開、一番人気メニューウミガメスノーケリング&スキンダイビングツアーでは7〜9月の期間で約500~600名が来店するほど。
柏島へのアクセス
電車なら宿毛駅、飛行機なら高知空港か松山空港を目指す
柏島へのアクセスは、車でも電車でもまず高知県の宿毛(すくも)駅を目指します。
宿毛駅からはダイビングサービスの送迎を事前にお願いしておけば送迎車で約45分で柏島に行けます。
マイカーで行く場合、関西方面から、例えば神戸からは片道約6時間、岡山から約5時間です。
九州方面からは佐賀関港から九四フェリーで愛媛の三崎港へ、または臼杵みなとから宇和島運輸フェリーやオレンジフェリーで愛媛の八幡浜港へ行き、そこから車で南下します。佐賀関港から柏島へは車で片道5時間弱です。
なお、東京や日本全国からは飛行機で高知空港または松山空港を目指します。
高知空港からは空港到着後バスで高知駅に向かい、電車で宿毛駅に行くことになります。松山空港からはまず電車で宇和島駅に向かい、バスで宿毛駅に行くことになります。いずれも宿毛駅からダイビングサービスの送迎を利用しましょう。
ライター/後藤ゆかり(MDWeb)