日本屈指の天然自然アクアリウム
柏島の海がスゴイ
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四国・高知県南西端の柏島は、日本で最も魚種が多いといわれている沖縄の海と並ぶ天然アクアリウム。春~初夏の海の見どころを現地ダイビングサービスの皆さんにお伺いしました。
※2024年4月の情報です。
5~7月の柏島の海の魅力
柏島は太平洋に面していて、四国と九州の間を通る栄養分豊富な豊後水道の影響を受ける得意な海に恵まれています。年間を通して気温が温暖で、冬は北風の影響を受け寒い日もありますが、年間を通してダイビングができるダイビングパラダイス。5月ともなれば水温が平均で23℃近くなり、ベストシーズンの始まりです。7月には平均水温27.3℃と南国そのものに。そんな柏島の5~7月頃の魅力を、現地ダイビングサービスの皆さんに聞いてみました。
※ダイビングサービス名は、初出以降はダイビングサービス名(一部)とガイドさんの姓のみを表記していますのでご了承ください。
水温が上がりフィッシュウオッチングのベストシーズン!
柏島はちょうど、温帯の伊豆と熱帯の沖縄との間にあります。冬に水温が下がり、それに伴い海藻が色とりどりに生えてきて、世界でも珍しいソフトコーラル、ハードコーラル、海藻が一緒に見られる、まさにこの季節が四国の海って感じのベストシーズンです。
(コメント/《柏島ダイビングサービスAQUAS》松野和志さん)
水温が上がってきて、ネジリンボウやヤシャハゼなどの砂地のハゼたちや、ハナヒゲウツボなどの柏島らしい魚たちや、季節来遊魚も見られるようになります。
(コメント/《柏島ダイビングサービス フィンハウス》梶原秀一さん)
アオリイカはじめ、生きものたちの繁殖シーズン
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生き物たちの繫殖シーズンです。ジョーフィッシュ(写真)やイシモチの口内保育、アオリイカの産卵や多くの魚たちの産卵、育卵を見られ、生物たちの魅力的な生態シーンを観察できます。
(写真とコメント/《フィンハウス》梶原さん)
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資源保護の観点から毎年アオリイカの人工産卵場所を複数箇所設置しております。
5〜6月は産卵を控えた親のアオリイカを観察でき、オスは最大4kgを超える個体も!! メスは平均1.5kgと小さく、タイミングが合えば産卵のためにメスを取り合いしてオス同士がバトルしているシーン、卵を産み付けているシーンをご覧いただけます! 群れで行動しているので産卵を控えた群れに遭遇すると、ダイナミックで感動すること間違いなし!!
(写真とコメント/《Divers Cafe & Bar 7me(ナナミ)》大西新祐さん
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5月から7月は産卵シーンなどの様々な生態系が見られます。口内保育をするイナズマヒカリイシモチ(次の項に写真あり)やハッチアウトするハナイカ(写真)など貴重なシーンが見られるのはこの時期の柏島ならではの魅力です。
(写真とコメント/《柏島ダイビングサービスSEAZOO》目黒次生さん)
最終日はウミガメ狙いでスノーケリングやスキンダイビング
関東方面で飛行機移動の方は、前日までFUNダイビングをお楽しみいただき、最終日はウミガメスノーケリングやスキンダイビングをすることができます。ウミガメの回遊ルートや甲羅クリーニングスポットを毎年リサーチしているので、5月から11月頃まで約90%の高確率で遭遇します!
また、ノンダイバーの方でも、柏島でボートスノーケリングやボートスキンダイビングでウミガメ散歩(一緒に泳げます)ができます。
(コメント/《7me》大西さん)
絶対見せたい魚&生きもの
柏島の海域では、これまで日本で最も魚種が多いといわれていた沖縄の海域に生息するのと同じぐらい多くの、1,300種以上の魚が確認されています。エビ・カニ、ウミウシなど海岸生物も同様に多数生息していると考えられています。
中でもフィッシュウオッチング派やフォト派にオススメの魚、生きものTOP3を各ダイビングサービスのガイドさんに聞きました!
AQUASの松野さんが絶対見せたいTOP3
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ナギナタハゼ。世界中で見せられるのは柏島だけだと思います。
写真/松野和志
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ウミウシ(写真はゾウゲイロウミウシ)。海藻が生えいてるこの季節だからこそ見せたいです。
写真/松野和志
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カエルアンコウ(写真はクマドリカエルアンコウ)。人気がありリクエストも多い種です。個体も多いので是非見せたいです。
写真/松野和志
SEAZOOの目黒さんが絶対見せたいTOP3
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イナズマヒカリイシモチ。柏島で発見された固有種で、「民家下」でよく見られます。
写真/目黒次生
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ハナヒゲウツボ。ほかのウツボに比べてとても華奢で可憐でフォトジェニック。比較的浅い水深で会えます。「後浜」が狙い目です。
写真/目黒次生
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アケボノハゼ。柏島の対岸のスポット「勤崎(つとめざき)」で見られる美しいハゼ。フォト派にとても人気です。
写真/目黒次生
7meの大西さんが絶対見せたいTOP3
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アオウミガメ。ダイバーだけでなくスノーケラーやスキンダイバーにも人気です。「後浜」で会えるスポットがあります。
写真/大西新祐
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クダゴンベ。格子柄で光を当てるととても色鮮やかなため、フォト派に大人気。口が細長く表情豊かです。「後浜」で見られます。
写真/大西新祐
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ゼブラカニ。イイジマフクロウニなどのウニに潜んでいます。「竜ヶ浜」でよく見かけます。
写真/大西新祐
フィンハウスの梶原さんが絶対見せたいTOP3
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ホムラハゼ。世界に生息するといわれていますが、とてもレアなハゼ。柏島ではかなり高い確率で見られます。撮るのはとても難しいのですが。「民家下」が狙い目。
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ピグミーシーホース。「後浜」の水深20mちょっとのヤギで観察できます。
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カエルアンコウの仲間たち。写真は色カエルアンコウの幼魚です。柏島全域で愛らしい姿にお目にかかることができます。
柏島の人気ダイビングスポット
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ダイビングガイドさんが名前を挙げている柏島のダイビングスポットはマップの位置にあります。
特に「後浜(後の浜)」(読み方は「うしろのはま」)は柏島の北側の広範囲にあり、ブイがNo.1からNo.6まであって、さらにその間に1.5、2.5、3.5があるなど、1つのスポットとは言えない状況です。
数あるスポットの中でも人気の高いところを簡単に紹介します!
後浜
今回登場したガイドさんたちが全員挙げているのがこの「後浜」。「No.2」を挙げた《フィンハウス》の梶原さんはその理由を「砂地にはハゼの仲間が多く、ピグミーシーホースやハナヒゲウツボなども見られる。浅場はサンゴの群生があり、安全停止をしながらのんびり観察できる」と言っています。
民家下
こちらも満場一致で人気の、柏島からボートで5分ぐらいのスポット。北側の浅瀬には養殖用のイケスが沈船のように点在。すっかり魚礁となっていて、生物の宝庫となっています。「ホムラハゼやオシャレハナダイ、ベラの仲間たちなど、レアな生物が盛りだくさんのポイント」と《フィンハウス》の梶原さんも絶賛。
なお、《アクアス》では、「民家下」に4つあるブイの1カ所を「ラスベガス」というスポット名で呼んでいて、ここも魚種が豊富でオススメです。
勤崎(つとめざき)
柏島から約10分。ダイナミックなドロップオフからなだらかなスロープもある地形で、柏島側とはまた異なる海中景観が楽しめます。アケボノハゼやハナゴンベなどフォト派に人気の美しい魚や、コブダイ、ユウゼンといった「柏島にもいるの!?」といった魚も生息。キビナゴが群れていることもあり、カンパチやツムブリなど回遊魚も回ってきます。