2016年1月号
首都東京に世界自然遺産! ボニンブルーに染まる 小笠原
おがさわら丸で25時間30分の船の旅
東京都に属しながら南へ約1000kmの絶海の群島、小笠原。かつて島を開拓したハワイや欧米系の人々が「無人(ぶにん)」を「ボニン」と発音したことから ボニンアイランドの愛称でも呼ばれ、底抜けに明るい海の青は「ボニンブルー」と呼ばれてきた。まもなく日本で4番目のユネスコ世界自然遺産に登録される予 定だ。
年間を通して野生イルカが生息し、海況の安定する夏はドルフィンスイムでの遭遇チャンスも大! 魚群と大物のケータ列島への日帰りやお泊りツアーもスタート!
イルカとクジラは一年中ウオッチング
小笠原のまわりにはイルカとクジラがたくさん住み着いている。ドルフィンスイムツアーやホエールウオッチングツアーがあるほか、ダイビングに向かうボートの上で見られることも多々ある。3点セットを常に用意して、いつでも一緒に潜れるようにしておこう。
クジラは5~11月頃まではマッコウクジラ、12~4月頃まではザトウクジラのシーズンになり、ザトウクジラは大迫力のジャンプやブリーチングが見られるので特に人気。
また、運が良ければ水中で出会えることも!
9~10月はボニンブルーが特に楽しめるシーズン!
普段から透明度が良い小笠原の海。特に9~10月は一年で一番透明度が上がるシーズン! 常時30m、良いときは50mも見られるというから驚きだ。この青さ表現する“ボニンブルー”とは、小笠原がかつて“無人島(ぶにんじま)”と呼ばれており、そこに来たヨーロッパ人が“ボニン”となまったことが由来。水の中にいるとは思えないくらいの透明度を体感しよう。
小笠原への道
①まずはスケジュールを決めよう
大前提として、小笠原へ行く手段は「おがさわら丸」の船のみ。小笠原にはケータ列島、父島列島、母島列島といくつかの島があるが、まず到着するのは父島・二見港。ゆえに、父島を拠点にしてダイビングや陸上ツアーを組むのが一般的だ。
母島へは父島からの定期便「ははじま丸」が運航しているのでそれを利用しよう。所要時間は約2時間10分。
基本的に「おがさわら丸」は6日を1サイクルとしており、最短は行きと同じ船に乗って帰る1航海で、現地3泊+船中2泊の6日。これで物足りなければ、次の便で帰る2航海の12~13日となる。
②おがさわら丸を予約しよう
おがさわら丸の出港場所は竹芝桟橋(最寄駅はJR浜松町駅)。竹芝桟橋~父島間は所要時間約25時間30分。船内で1泊し、翌日の午前に到着する。船内 にはレストランや24時間使えるシャワー、売店、ラウンジなどが完備され、快適だ。ただし、船良いが心配な人は酔い止めを持って行くのをおすすめする。
ポイント
チケット予約は出港の2カ月前から。世界遺産登録されたことにより、1等以上の席は即日完売の状態らしいので、早めに電話をしよう。
お問合せ先
小笠原海運 TEL:03-3451-5171
船内のレストラン。まるでホテルのようにきれい。食事も充実しているので、1日以上乗っていても困らない。
ポイント
食事時間(朝8時頃、昼12時頃、夜19時頃)のレストランは混むので、できれば時間を少しずらしたほうが◎
③宿を予約しよう
足が確保できたら、次は現地での手配だ。小笠原には、ペンションや民宿がたくさん。宿の数が限られているだけあって、必ず予約をしてから行こう。
ポイント
場所は船が到着する二見港の近くに集落があり、その周辺が一番多くて買い物などにも便利。それ以外は境浦や扇浦などの集落外となる。メインストリートまでは遠いが、目の前に海があったり、ロケーションが良い所が多い。
④ダイビングサービスを予約しよう
次にダイビングサービスを予約しよう。
ポイント
以下に紹介するサービスは、すべて「小笠原安全対策協議会」に加入している。海上保安庁と合同の安全訓練でゲストの安全を第一に考えるのはもちろん、海底 清掃やサンゴ保全活動など、皆で協力しながら環境保護にも力を入れている。単に楽しさを提供してくれるだけでない、頼もしいガイドたちなのだ。
ケータ列島への遠征 マグロ穴でイソマグロ、サメ穴ではシロワニが!
ケータ列島への遠征が楽しみな夏。「マグロ穴」でイソマグロの大群に迎えられ、北之島「サメ穴」では歯をむき出しにしたサメのシロワニに遭遇。ケータ周辺 では媒(なこうど)島にある「マグロ穴」でもカスミアジやイソマグロが狙えるほか、穴をのぞけばカノコイセエビが。アオウミガメとの遭遇率も高い!
9月からは水が さらに抜け、今度はマッコウクジラも狙える季節。なんて贅沢な海!ちなみにザトウクジラの回遊は2~4月。水中で出会ったダイバーも少なくない!水温は最も高い9~10月で26~28度だが外洋でのダイビングなのでウエットスーツは5mm以上がおすすめ。
小笠原のスポットは? 夏はケータも狙える縦横無尽の遠征シーズン!
嫁島 マグロ穴
ケータ列島の南に位置。水深10~16mのドーム内に100尾単位のイソマグロ、カッポレやギンガメアジ、サワラやトビエイも現われる、小笠原のナンバーワンスポット。周辺海域や移動中に野生イルカとの遭遇率が高く、ドルフィンスイムもセットで楽しめる。
父島 マルベリ
父島の南側の円縁(まるべり)湾の沖にあたるスポットで、洞窟内で歯をむき出しにしたサンドタイガーシャーク(シロワニ)が狙えることでも人気。イソマグロやウメイロモドキの大群が現れることでもおなじみ。
父島 マンゾウ穴
父島の人気スポットのひとつ。30mあまり続くトンネルの後、ハート型の出口を抜けたら今度は砂紋の美しい砂地が広がるドラマティックな展開。カッポレの群れやネムリブカ、イルカも現われたりして、ヒーリング効果も抜群。
父島 閂ロック
南島と父島の間にあるスポット。水深30mの砂地の上を飛び回るマダラトビエイの大群、空には一度に100尾以上のウシバナトビエイが見られることも。砂地から閂(かんぬき)岩と呼ばれる岩がそびえ立ち、周囲にギンガメアジの群れ、イソマグロも!
固有種、固有色も・・・・小笠原の人気ものに会いに行こう!!
シロワニ
口を閉じても鋭い歯がむき出しになった怖い顔のサメ(サンドシャーク)。昼間は暗い岩陰などにいて実におとなしい。ケータの嫁島、父島の「マルベリ」でも狙える。
ツバメウオ
父島周辺など、とにかくさまざまなスポットの中層で遭遇する群れ。スコンと抜けた青い海に映え、フォト派におすすめのモデル集団でもある。
ユウゼン
黒い友禅柄のチョウチョウウオは小笠原、八丈などで見られる。小笠原では、3~5月にかけてユウゼン玉と呼ばれる大きな群れで見られて迫力!
カノコイセエビ
小笠原では夏、穴にごっそり群れている姿も見られるカノコイセエビ。小笠原にしか生息していないアカイセエビも見られる(脚の各節が青紫で白い縞模様がないのも特徴)。
黒いクマノミ
クマノミといえばオレンジ系が一般的だが、小笠原で見られるのは全身が黒白のツートンカラー。幼魚のうちはまだオレンジなのだが不思議・・・・
「おがさわら丸」で25時間半 のんびり船でのアクセス
飛行機で世界中飛んで行ける時代にありながら、小笠原へのアクセスは船の便のみ。《小笠原海運》の定期船「おがさわら丸」で竹芝桟橋から約25時間30分! 竹芝を朝10時出港で小笠原の父島到着が翌日の朝11時半。帰りは父島を午後2時出発で竹芝着が翌日の午後3時半。「おがさわら丸」の小笠原出港時の現地ガイドや宿の皆さんの見送りは感動的! めまぐるしい時代だからこそ貴重な、のんびり船での移動も楽しんじゃおう!
おが丸出港時にはたくさんの島の船が追いかけてきてくれる。