祝・ホットマングローブ創立20周年
西表歴35年のウメさんが魅せる!
圧倒的な海 西表島
19の春に西表島を初めて潜り、大物ありマクロあり、何でもありな海に完全にうちのめされたウメさんこと池澤正美さん。一度はサラリーマン生活を送るものの西表島が忘れられず島最大のダイビングサービスに就職。さまざまなダイビングスポットを開拓することにも貢献した後、独立。2000年2月、《ホットマングローブ》というダイビングサービスを立ち上げた。たくさんのダイバーを虜にしてきたウメさんの、熱いガイディングをご紹介しよう。
※2019年7月現在の情報です。
西表島らしい海、それはオガン
オガンと呼ばれる仲ノ神島(なかのおがんじま。仲之御神島などと表記されることも)。最も西表島から近くて、超ダイナミックな隠れ根「仲ノ神島・東の根」では巨大なイソマグロの群れがすぐそばで見られる
すべてはオガンのために
「オガンに行くために船も造ったし、日々のダイビングガイドのスキルもアップしようと努力してきた。オガン(を案内すること)はすべてのレベルアップにつながる」そう語るウメさん。
現在は大小2隻のダイビングボートを所有しているが、大きいほうは揺れの少ない仕様で、遠征するのに楽なブリッジがあり、デッキも広く、シャワー&トイレも完備。収納施設も充実しており、濡れては困るモノも普通に持って行ける。
快適な海の旅へいざなってくれるホットマングローブ号。
酸素供給キット、AED、血圧計を搭載
ウメさんこと池澤正美さん。1965年、東京都出身。「19の春で西表島に惚れ込んだ」と言う。“19の春”というのは同名のタイトルの有名な沖縄民謡にかけて、そう話しているようだ
「東の根」での光る演出
「オガンの『東の根』では、アンカリングするダイビングサービスもありますが、あの魚群を楽しむならドリフトダイブでエントリーして、イソマグロをかき分けながら根に下りるというダイナミックさを味わってもらいたい。エントリー後の30秒にこだわりたい」
そんな願いを叶えるために、発見に5年はかかったという絶妙なエントリー地点。
取材班はその夢のような体験をさせてもらうことに。
青い海にエントリーし、流れに乗りながら潜降していくと、目の前にイソマグロ!
同じ目線にイソマグロ!? しかも群れている。
大興奮しながら根にたどり着くと(筆者はそのままずぶずぶと深みに持って行かれてしまい、慌てて這うようにして浮上したが)、
イソマグロたちは何事もなかったかのように、目の前を右へ左へ、びゅんびゅん泳いでいる。
動きが速くて写真に収めきれなかったが、体長2m近いオグロメジロザメも中層をうろうろ。イソマグロが捕食したもののおこぼれをもらいにやってきているんだろう。
たまに潮に流されて頭上にやってくるイソマグロ。
エントリー後、水深を下げていくと、同じ目線にイソマグロ!
気づかれたのか、後ろ向きになっちゃったが(汗)
流れは速いこともある
南には大きな島など何一つない、大海原に浮かぶ仲ノ神島。その隠れ根だけに、潮が流れるとハンパなく流れるようで、ほかのダイバーの吐いた泡はもちろん、ウメさんの泡も真横に流れている。
棚の上にはそれでもたくさんの種類の魚たちがいて、流されないように必死で泳いでいる。
ふと気づくとタテジマキンチャクダイがよろよろと流されてきた。
でもダイバーなんてまったく気にしていないようで、ぶつかってくるほど。
何から何まですごいオガン。まさにアドレナリンダイブの王者といえる。
水深30m以深から13mぐらいまで垂直に立ち上がる根が「東の根」の特徴。高層ビルのような地形だ。根の上につかまっているダイバーの泡は横に流れている。これは流れている証拠
ふと見たウメさんの泡も横に…
ドリフトダイブなので、ガイドさんの近くで安全停止を。ブルーウォーターが気持ちいい
タテジマキンチャクダイも頑張ってるなと思ったら、あれよあれよと流されてぶつかってきた
ハードなだけじゃない、オガン
だが、ガンガンなオガンだけでなく、仲ノ神島の周りにはガラリと表情の異なるスポットがあるのも魅力だ。
今回は入らなかったが、ウメさんが独立する前に開拓した「く・ひるぎ」では、くの字形の切れ目から光がオーロラのように射し込む洞窟があったり、「西のスポット」では、真っ白な砂地にいくつもの長い根が走る、抜群に癒されるスポットがあったり。緩急極まる水中景観の連なりに、ただただ圧倒されっぱなし。これはオガン、ハマるわ。
真っ白な砂の道が連なる「西のスポット」
証拠写真でしかないが、ナポレオンも出現
西表島はすべてが圧倒的!
マンタだって出ちゃうのだ
ウメさんに西表島を一言で言い表してもらったところ
「圧倒的」という答えが返ってきた。
陸の自然も海の中もすべてが圧倒的。それが西表島だというのだ。
確かにそのとおり。オガンの魚群も流れも癒し系のスポットも圧倒的だし、西表島の周辺でもマンタ、サンゴ、サンゴ礁、地形、さまざまな魚の群れ、ウミウシやエビ、カニなどの海岸生物も、ただただスゴイ! 次から次へと感動がやってくる。
そんな感動の海を少し動画で見ていただこう。
起承転結のあるガイド力を発揮してくれる
「鹿ノ川インディジョーンズ 」
「海のおもしろさはガイドで決まる」
これはもう、ダイビングの真理といえるが、このことを胸に常に海のことやコース取りを考えてきたのがウメさん。
中でもマンタも現れる鹿ノ川湾内に開拓した「鹿ノ川インディジョーンズ」は、ウメさんが大好きな冒険映画のようなスポットを探していた時に見つけたものだという。枝分かれする洞窟内をわくわくしながら進み、その先にはホーッと幸せになれる癒しの空間が広がり、と思ったらまた探検気分をそそる沈船が登場。
何度行っても最強のコース取り。
あまり詳しく語っておもしろくなくなっても困るので、大雑把に説明したが、最後にはまたウメさんらしい落ちもあり……。
南風が強い日はなかなか行けないが、ぜひリクエストしていただきたい。
天井から光が射し込むアーチが次々と現れ、冒険心をくすぐられまくりの「鹿ノ川インディジョーンズ」
アフターダイブも熱い!
地元出身の子だから応援しちゃう
《一隼》オープン!
「地元の出身の子が頑張ってて、今年4月1日にオープンした飲食店があるんだ」
とウメさんが連れていってくれたのは、住吉エリアの《民宿パイナップル館》からちょっと路地に入った所にある《一隼(いちたか)》。
この地区出身の川満隼人さんが、地元で飲食店を開こうと決意して15年。さまざまな修業を重ね、やっとオープンした飲食店だ。ちなみに川満さんもダイバー。
今は発酵モノにハマっていて、地元の産物から作る発酵モノを提供できるよう、試行錯誤しているところなんだとか。
「何を食べてもおいしい」とウメさんは言うが、
島でおそらく唯一のピザ窯で焼いたピザも、島で獲れた魚や野菜で作ったマース煮やサラダも、本当においしい。ほかのテーブルのゲストが頼んでいたものがおいしそうだったので何なのかを聞いたら、まだメニューにない「ぼろぼろジューシー(沖縄で雑炊のこと)」という。早速頼んで見ると石焼ビビンバなどを入れる器に盛られた雑炊が何とも香ばしくて、体も温まり、超絶ウマイ。ぜひ皆さまも注文していただきたい。
オーナーの川満隼人さん。石窯で作ったピザも絶品だ
島で獲れた魚のマース煮は塩がほどよく効いたやさしい味。なめらかな食感のジーマミ豆腐も絶品
《ヴィラ西表》の夕食も美味!
今回取材班がお世話になったのは、上原港から車で2分ぐらい、徒歩でも5分とかからない、上原公民館のすぐ近くの《ヴィラ西表》。
スペインを思わせる欧風の本館と、快適な新館、それにアパートメントスタイルで住むように過ごせるエコヴィラの3タイプから成る宿泊施設だ。ダイビング器材洗い場や干し場もあって、とても便利。
そんな《ヴィラ西表》のメインのウリは80種以上あるアクティビティなのだが、実はレストランのお食事もおいしい! 外部の方も利用できるので、ぜひ行ってみては?
島魚(写真はミーバイ)のみぞれ煮、お刺身盛り合わせ(アカマンボウ、セイイカ、アカジンなどのハタ類、サーモンなどからその日の旬を)、島豆腐の揚げ出し、馬刺し、茶わん蒸しにご飯やお味噌汁が付いた「贅沢御膳」は3,800円(内容はその日の旬の食材によって変わることがあります)
イタリアンレストランで修業してきた齊藤海静シェフが持っているの週替わりのパスタ(1,200円)。本格的なイタリアン♪