人気ガイド・森脇純一さんに直撃インタビュー!
西表島の潜り方

ダイバーの憧れのマンタや回遊魚から色とりどりのウミウシやトロピカルフィッシュまで、多様性という意味では日本屈指の豊かさを持つ西表島。この海を潜って約20年。王子と異名を持つ人気ガイド、森脇純一さん(ダイビングチームうなりざき)に見どころや潜り方を聞いてみました。
※2021年2月現在の情報です。
3~5月頃の西表島の海の見どころ
マンタ高確率! バラクーダの群れも狙い目♡

「鹿ノ川・中の瀬」で高確率で会えるマンタ
当たればイソマグロとバラクーダのコラボも目の前に!
――西表島の海は例年3月に入ると春というよりは初夏に近いイメージがあるのですが、これからゴールデンウイークの頃はさぞにぎわっているのではないでしょうか。実際、どうですか?
森脇:5月頃までは南側の「鹿ノ川・中の瀬」でマンタが高確率で見られます! そしてここ2、3年はマンタに加えてバラクーダの群れも! ほかにも大物は「崎山・沖の根」でイソマグロとバラクーダの群れも狙えます!
あとはコブシメの産卵シーンや幼魚も出始めてきます。中でもアマミスズメダイの子どもは大人とはまったく違った容姿でブルーが際立つ人気者です。

大物好きにはたまらない「崎山・沖の根」の巨大バラクーダ群。まるでパラオにいるよう
――中でも一番見てほしいところは?
森脇:この時期の一番の見どころは、「崎山・沖の根」のイソマグロとバラクーダです。ここはドリフトで潜り当たり外れももちろんありますが、当たればイソマグロの100匹以上の群れとバラクーダの群れのコラボが見れることも! 水温が低いこの時期しか狙えない迫力のシーンです。
日本屈指のダイナミックスポット、オガン
大物好きなら誰もがハマる仲ノ神島
何が出るかわからないワクワクさがたまらない

彼方から湧き上がるように群泳してきたイソマグロたち。プリップリの胴体も大迫力。「三の根」
――西表島にはオガン(仲ノ神島=なかのおがんじま)という特別な海があります。森脇さんはオガンが大好きだと伺っていましたが、その理由を教えてください。
森脇:ダイナミックな地形とオガン独特の緊張感、その中で大物が当たった時の喜びは最高の瞬間です。何が出るかわからないワクワクのダイビングが魅力です。
オガンを潜るための条件
クリアして潜りに行けるようになろう

魚群に囲まれることもある。でも、中性浮力がとれなくちゃ、こんな経験はできません
――オガンを潜るためにはドリフトダイビングで、しかも流れがとても速かったり、逆らって泳がなくてはならなかったりすることもあるのですが、潜るための条件はありますか?
森脇:《ダイビングチームうなりざき》では、ダイビング初日の方はオガンへはご案内していません。初日は近場船でのんびり潜りながらのチェックダイブになります。
そしてオガンを潜るためには……
・経験本数は50本以上
・スムーズな耳ぬきとフリー潜降
・中性浮力がちゃんととれる
・ガイドの指示に従う
・流れに逆らって泳げる
以上がオガン船に乗れる条件です。
備えとしましては、基本オガンではドリフトダイビングになるので、フロートがあれば良いですね、あとは流れが速い時に岩などにつかまる時もあるのでグローブもあったほうがケガの防止になります。
移動も片道1時間で揺れることもあるので船酔いが心配な方は酔い止めもあると良いですね。
西表島はサンゴ礁も絶品!
世界屈指の美しいサンゴ礁
次世代の人たちにも残していかなければ

色とりどりのサンゴが群生

種類もさまざま。カスミチョウチョウウオをはじめ、サンゴ礁によくいるトロピカルフィッシュも大乱舞
――西表島を取材したプロカメラマンや編集者、ライターたちが口々に「ここのサンゴは日本でも一番!」と称賛していますが、実際どうなんでしょう?
森脇:私ももちろんそう思ってます。
私たちは普段からアンカーなどでサンゴを壊さないように気をつけてます。ダイバーの皆さんにもサンゴを壊さないように、気をつけながら潜っていただいてます。
オニヒトデの大発生や水温上昇での白化、台風被害など私達の手ではどうしようも無いこともありますが、できることから日々やりながら未来へサンゴを守っていきたいですね。

5月頃から9月頃にかけて、日を狙えばサンゴの産卵にもお目にかかれる(ナイトダイビング)
神秘的な地形も味わえる西表島
光のカーテンが見事!
オガンにも、西表島周りにもある地形スポット

西表島でもオガンでも地形スポットはある。1本目、2本目にハードなダイビングをした後にこんな光景を見たら、すっかり心がとろけそう。写真は「光の宮殿」
――魚群や大物が有名過ぎて、あまり知られていませんが、魅力的な地形を持つスポットもありますよね。
森脇:宮古島のようなダイナミックな地形ポイントはあまりありませんが、オガンの「光の宮殿」は水深も浅めで陽射しがバッチリ射し込めば光のカーテンが最高の癒しを与えてくれます。西表の南側の「ブルーラビリンス」はクレバスの中を進みながら探検している感じが好きですね!
魚や海岸生物の種類の多さもトップクラス
水中フォト派も絶賛
内湾、汽水域は魚たちのゆりかご

赤いおめめにキュンです♪なマンジュウイシモチ

“たましい”と呼ばれるノコギリハギの幼魚もめちゃくちゃキュートと、フォト派に人気
――西表島といえば魚種、生物の数も種類も多いですよね。取材でカメラマンの後ろでメモ程度にコンデジで写真を撮ることが多いのですが、もう火を噴きそうなぐらいハウジング内が熱くなったり、バッテリーがすぐなくなったりします。それだけ生物相が厚いということなんだと。
森脇:そうですね。島の西側に島で一番大きな湾、船浮湾があります。北風など外洋が時化たときは、この湾内で潜ることが多いですが、春はウミウシが多く見られます。船浮湾の奥には汽水域に近いポイントもあるので、人気のマンジュウイシモチ、ほかにもハゼやハナダイの群れも多い。3~4月は比較的空いているので少人数でのんびりフォトダイブができます。
すべてのポテンシャルが高い西表島を味わいつくそう
――最後に読者の皆さまに、西表島の海のこんなところを見逃さないで!というメッセージをお願いします。
森脇:西表の海は大物からマクロ、サンゴに地形、砂地となんでもありで、そのすべてにおいて高いポテンシャルを持っているので、大物だけとかマクロだけと絞るのではなく、その日の海況で楽しめるポイントを楽しんでもらえればと思います。
――ありがとうございました。皆さまも新型コロナウイルス感染症対策をしながら、ぜひ西表島のあふれんばかりの魅力を味わってくださいね。