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GULLスタッフに聞きました!
マスクについての疑問・悩みにお答えします

GULLスタッフに聞きました!マスクについての疑問・悩みにお答えします

私たちダイバーが海を楽しむうえで、なくてはならない器材がマスク。最も身近な器材ということもあり、マスクに関する疑問や悩みを持っている人も少なくないようです。そこで、マンティスをはじめとする人気のマスクを数多く擁する《GULL》で立ち上げから40年以上の経験を持つお客様相談室・室長の小林正男さんと、GULL東京営業の五味さん、安藤さんに、ダイバーの皆さんが持つマスクについての疑問・悩みにお答えいただきました。

聞き手:鴫谷隆(マリンダイビングWEB編集長)

GULLお客様相談室/室長
小林正男

1982年に《GULL》が立ち上げられたときからのメンバーであり、ダイビング業界で40年以上の経験を持つベテランスタッフ。ユーザーからの問い合わせに対する的確なケアが好評。GULLお客様相談室の室長として、ユーザーからの疑問や悩みにきめ細やかに対応している。

マスクの中に水が入ってくる

小林:マスクの中に水が入ってくるのは、隙間が原因です。最も多いのは、マスクと顔の間に髪の毛が挟まってできる隙間ですが、「髪の毛はちゃんと挟まらないようにしているのにマスクに水が入ってくる」という方も。その場合、以下の3つの原因が考えられます。
1.マスクが顔にフィットしていない
2.レンズとマスクの間に砂がかんでいる
3.ストラップの締め過ぎでスカートの縁がめくれてしまっている

マスクのフィットについてですが、多くの皆さんがマスクを購入する際、顔につけてフィット感を確かめていると思います。「マスクを顔につけ、鼻から息を吸って、マスクが顔から落ちなければOK」という形で確認している人が多いかと思いますが、実はこれだけでは不十分。ダイビング中はレギュレーターをくわえるので、口が「うー」の形になります。口を閉じた状態でマスクがぴったりフィットしていても、レギュレーターをくわえて口の形が変わったときに隙間ができて、そこから水が入ってきてしまう可能性があるので、マスクのフィッティングの際には、指を1本噛むようにしたり、うーっとアヒル口のように口を尖らせたりして、鼻から息を吸ったときにピタッとマスクが顔についた状態でいられるかどうかを確かめましょう。マンティスなどのGULLのマスクは、スカートが柔らかく、日本人の顔の形状に合わせたデザインとなっているため、口を動かした際にも水が入りにくくなっています。

指をくわえる

指をくわえる

うーっとアヒル口に

うーっとアヒル口に

2つ目の原因として、レンズとマスクの間に砂が挟まり、それが隙間の原因となっていることが考えられます。南の島の細かい砂などが隙間に入ると、なかなか取れないのですが、それが重なると隙間ができてしまうことも。砂が入ってしまっているかは見ればわかりますので、その場合はマスクを分解してレンズを外し、隙間に入ってしまった砂をきれいに取り除きたいところです。マンティスのように分解しやすいマスクもあれば、マスクの種類によっては分解しにくいものもありますので、不安がある場合はダイビングショップにメンテナンスをお願いするといいでしょう。

もうひとつ、ストラップの締め過ぎも、マスクに水が入る原因となります。「マスクに水が入らないように」と、ストラップをギューッと締める方がいますが、実はこれは逆効果。マスクが顔に強く押し付けられすぎることによって、スカートの顔に当たる部分がめくれ上ってしまい、そこから水が入ってきてしまいます。マスクに水が入ってくるという方は、そこも確認してみてはいかがでしょうか。

マスクに髪の毛が絡まって痛い

安藤:基本は髪の毛をきちんとまとめておくことなのですが、よくあるのは、こめかみのあたりの毛がマスクのバックルに絡まるというものですね。特にストラップを締めたり緩めたり動かしていると絡まりやすく、ストラップを締めたときに髪の毛がバックル内に巻き込まれてしまうことも。

私はそれを防ぐため、髪の毛を全体的に押さえるヘアバンドを使っています。そうすると、バックルがヘアバンドの上にくるので、髪の毛が引っ掛かりにくく、なおかつ髪の毛が水中でフワフワすることもなくなるので、写真映りが良くなるというメリットも。ターバンやバンダナでもいいかもしれませんね。頭皮の日焼けを防ぐこともできるなど、いいことずくめです。特に、縛るほど長くない、中途半端な髪の長さの方におすすめです。

マスクの跡が顔にくっきり

五味:ダイビングでマスクの跡が顔につくのは、ある程度はしかたがないもの。GULLのマスクは跡がつきにくい構造になっていますので、それほど跡が気になることはないはずですが、それでもくっきりとマスクの跡がついてしまうようであれば、それはマスクのストラップの締めすぎが考えられます。

マスクのストラップの適切な締め方としては、
1.まずはストラップを全開に緩めて、顔につける
2.左右のストラップを均等に引っ張る
3.バックルのボタンを押して、自然に緩める

といった流れになります。もしかすると「ちょっと緩いかな」と感じるかもしれませんが、水中では圧力がかかるため、それくらいで問題ありません。むしろ締めすぎると、顔に跡がつくだけでなく、前述のようにマスク内に水が入ってくる原因にもなります。心配な場合は、プールや海の浅瀬などで試してみるといいでしょう。

バックルのボタンを押して、自然に緩むくらいがベストです

バックルのボタンを押して、自然に緩むくらいがベストです

小林:そのほかの原因としては、ダイビング中にマスクの圧平衡がきちんとできていないことも考えられます。水中では水圧によってマスクが顔に押し付けられますので、鼻から息を出して、きちんと圧平衡するようにしましょう。

すぐにマスクが曇る

五味:マスクが曇ってしまう一番の原因は、マスクに問題がないとすれば、「鼻から息を出している」こと。いくら曇り止めをしていても、鼻から息を出していると曇りやすくなります。ですから、マスクの中に水が入ってくるのが嫌で頻繁にマスククリアをする方がいますが、そのぶん曇りやすくなることに留意しておきましょう。それと、水温と息の温度の差が大きいほど曇りやすくなりますので、水温の低い海では曇りやすいですね。

小林:あとは油膜の問題があります。マスクを使う際は、まずは洗剤できちんと洗って油膜を落とすこと。普通の家庭用の中性洗剤で十分です。長時間のつけ置きは、シリコンに影響を与える可能性があるので、あまりおすすめはしません。以前に、漂白剤に長時間つけてしまった方がいましたが、シリコンが真っ白になり、固くなってしまったことがありました。ですので、中性洗剤でシャカシャカっと洗い、しっかりと流水で流せばOK。ネット上では「レンズを火であぶる」「熱湯で煮沸する」などの情報も見られますが、マスクやレンズにダメージを与える可能性もありますので、まずは「中性洗剤で洗って油膜を落とす」という基本を実践しましょう。きちんと油が落ちているかは、レンズに水を垂らしてみて確認。水を弾いているようなら油膜が取れていないことになりますので、改めて中性洗剤で洗うことをおすすめします。

五味:マスクのスカートやストラップに使われているシリコンからは、どうしても油やガスが発生します。GULLは独自の手法によりガスを可能な限り抜いていますが、それでもゼロではありません。ですからマスクの保管の際は、なるべくストラップがレンズにつかないようにしまう、風通しのよいところで保管するなど、工夫するといいですね。また、油といえばファンデーションや日焼け止めなどの油も、マスクが曇る原因になると言われていますが、油が直接レンズに付着し、そこに汚れがつくことで曇りやすくなりますので、ダイビング前に曇り止めをしっかりとしておけば、それほど問題になることはありません。

マスクを中性洗剤ではなく、歯磨き粉で洗う方もいます。研磨剤が入っているものだと、より簡単に油膜を落とすことができますが、どうしてもうっすらと傷はついてしまいます。それほど気になるものではないので問題ありませんが、洗う際は、指で優しくこすること。スポンジなどを使って強くこすると、すぐ傷がついてしまいますので、注意しましょう。マスクの傷も曇りの原因となります。

安藤:あとは基本的なことですが、曇り止めがきちんとぬれていないと、当然ながら曇りやすくなります。GULLでは、レンズに貼る曇り止めフィルムを用意していますが、これなら塗り漏れもありませんし、ダイビングのたびにいちいち曇り止めをする手間も省けますので、おすすめですよ。

曇り止めフィルム

釣り目、ブタ鼻、写真映りが悪い

小林:実はマスクは、眉毛が見えるのと見えないのでは、顔の印象が全然違います。GULLのアビームのように大きなマスクだと眉毛まで見えるので、顔の映りがいいですね。2眼のマスクだと、どうしても顔の見える範囲が少なくなるので、最近は女性ダイバーを中心に顔の表情がよく見える1眼タイプのマスクが人気です。顔にフィットするマスクの中で、自分の気に入ったものを選ぶといいでしょう。

■水中でのマスクの見え方

MANTIS LV

MANTIS LV

VADER

VADER

MANTIS LV

LANZE(クリアシリコン)

VADER

LANZE(ブラックシリコン)

MANTIS LV

VADER fanette

VADER

COCO

GULLマスク一覧

GULLマスクで変わるダイビングの世界

五味:それとマスクの付け方も大きいですよね。残念な付け方をしている人の多くは、マスクのストラップの締め過ぎが原因で、目が釣り目になっています。マスクを顔につけて、目を開けたままストラップを締めると、釣り目になってしまいがち。目をつぶった状態でストラップを引っ張るといいでしょう。先ほどお話ししたように、最後にバックルのボタンを押して自然に緩めて、ストラップがきつ過ぎないようにするのもポイントです。

マスクの付け方

目をつぶって顔をくしゃっとさせ、マスクをつけてみましょう。マスクをつけてから目を開けると、目が引っ張られずにパチッとなります。

まずは自宅の鏡などを使って、自分がどのようにマスクをつけているか確かめてみましょう。ストラップの角度や締め具合、マスクの位置など、いろいろと調整してみて、自分にとってストレスの感じない位置を探すといいですね。ダイビング中、マスクが気になって集中できないのはもったいないので、事前にきちんと準備しておくことをおすすめします。

小林:ブタ鼻については、ダイビング中にマスクがズレたりするとなってしまいます。GULLのマスクは、クリアタイプのスカートの鼻の部分にスモーク加工を施しているので、ブタ鼻や鼻水などが見えにくくなっていますが、それでも気になるようであればブラックシリコンやホワイトシリコンのタイプを選ぶといいのではないでしょうか。

女性ダイバーのための器材選び

マスクのスカートがぐにゃっと変形してしまった

五味:結論から言うと、戻すのは難しいです。多少であれば熱湯などで熱を加えて、形を戻すこともできなくはないですが、ぐにゃっと曲がってクセがついてしまうと、元に戻すのは厳しいですね。やはり変形しないようにきちんとケアしておくことが大切です。

まずはマスクの保管の仕方に気をつけましょう。スカートが曲がった状態で長時間置いておくと、変形してしまいます。レンズ面を下にして置くとか、きれいにケースの中に入れるなどして、スカートが曲がらないようにしておきましょう。ただし、ケースに長期間入れっ放しにしておくのはおすすめしません。先ほどお話ししたように、シリコンからガスが発生しますし、時期によってはカビの可能性もあります。カビがついてしまうと落とすことができませんので、定期的にケースから出し、換気することを心がけたいですね。

GULL五味さん

小林:それとたまにフィンのフットポケットにマスクを入れている方がいますが、これも長時間そのままにしておくのはおすすめしません。ゴムフィンだと色が移行してシリコンが変色を起こしてしまうので、一時的なら問題ありませんが、そのまま長時間保管するのは避けるようにしましょう。

マスクのスカートやストラップが黄ばんでしまった

小林:カビと同様、シリコンの黄ばみも取ることはできません。シリコンは紫外線やゴミなどが原因で黄ばんでしまいます。ですから、ダイビング後に洗って干すときなども、なるべく直射日光は避けたいですね。「風通しの良い日陰で」干すのが基本ですが、しっかり乾かさないとカビの原因になるので注意しましょう。

五味:黄ばみは経年もあるので、なかなか完全に防ぐのは難しいです。シリコンの宿命ともいえますね。機能的には問題ありませんので(固くはなってきますが)、そのまま使っていただければいいのですが、どうしても黄ばみが気になる場合は、交換するという手もあります。GULLの場合、パーツごとに購入することができますので、マスクごと買い替えなくても、スカートやストラップだけ購入し、交換することが可能です。

黄ばみ

左が新品のマスク。右が1年経ったマスク。黄ばんでしまうのはシリコンの宿命

ダイビング中にレンズが外れた!

小林:これは怖いですね。GULLの場合、たとえばマンティス系(マンティスLV、マンティス5、マンティス)ではレンズをシリコンとフレームで二重にくわえ込み、さらにセンターネジで固定する作りなので、マスクの構造上、レンズが外れるということはまず考えられないのですが、マスクによってはレンズのはめ込みの仕方などでこういったことが起こるのかもしれません。ダイビング前にしっかりとレンズがはまっているか、きちんと確認しておきましょう。

ストラップが下にずれ落ちる

小林:これもダイバーの皆さんから多いお悩みですね。頭の形によって適したポジションが異なるので、いろいろと試してみて、ストラップがずれない場所を探してみましょう。たまにストラップで耳がつぶれている方がいますが、元々ストラップは耳にかからない角度で設計されているので、鏡を見るなどして耳にかからない位置を確認してみましょう。髪の長い女性の場合は、後ろでまとめて、それをストラップの間に通すことで位置を固定するという方法もあります。

安藤:ダイビング前に、自分の耳にストラップが被っていないか、触って確かめてみるといいですね。髪の毛が挟まっていないかと確認するついでに、耳もチェックする癖をつけるといいと思います。

五味:髪の毛によってどうしてもストラップが浮いてしまうんですよね。ストラップが下にズレたときに、そのままグイっと上に戻す方がいますが、それだと髪の毛ごと上に持ち上げているだけなので、すぐにまた下がってしまいます。ストラップを髪の毛から離した状態で上に戻すようにしましょう。マスクのストラップカバーは、マスクをつけるのは楽ですが、どうしても滑りやすくなりますので、ストラップがズレて悩んでいる方はカバーをつけないというのも手です。

小さなマクロ生物が見えない・・・

小林:これはレンズを入れるしかないですね。GULLの2眼マスクには、オプチカルレンズが用意されていますので、ご自身の視力に応じて選ぶことができます。近視用のレンズが既製で用意されているほか、オーダーメイドで「近視用で乱視を伴うタイプ」、「遠視用のタイプ」、「手元を見るだけの老眼鏡タイプ」、「遠近両用タイプ」と、マスクによっていろいろなタイプが用意されていますので、自分に合ったレンズで快適にダイビングを楽しんでください。

ブラックシリコンって何がいいの?

小林:昔はクリアシリコンだけでしたが、光が入ってまぶしいという声がありました。また、先ほどお話ししたように、シリコンは経年で黄ばみますので、それが目立たないブラックシリコンの人気が出てきたというのはありますね。デザイン的なかっこよさもあるようです。ですので、GULLのマスクのラインアップにも、ブラックシリコンのものが増えてきています。

五味:最近は女性を中心にホワイトシリコンも人気がありますね。写真映えがいいのも人気の理由のようです。

GULLマスク

ストラップを締めようと引っ張ったら切れた。。。

小林:シリコンの経年劣化で切れることは実はあまりなく、何かの理由で切れ目が入ってしまったことが原因の場合が多いです。尖ったものに引っ掛けたとか、ツメで傷つけてしまったとか。その状態で強く引っ張ると切れてしまうことがあるので、マスクをつける前にストラップを伸ばしてみるなどして、切れ目が入っていないか確認してみましょう。マスクは比較的乱暴に扱ってしまうことが多いのですが、傷つけないように扱うことをおすすめします。

マスクについてのお問い合わせは、GULLのお客様相談室へ

GULLでは、マスクやフィンなど製品に対する使用方法・保管方法・修理などに関するお問い合わせや、様々な製品のご案内など、ダイビングに関わるお問い合わせにGULL製品の専門知識を持ったスタッフが対応しています。お気軽にご相談ください。
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