第8回 ウミウシの仲間
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ウミウシとは Sea slugs & Nudibranch
ウミウシは現在世界で3,000種が確認されているが、魚類と違ってあまり研究が進んでいないため、これからも増えると見られている。小さな体だがカラフルなものや奇抜な造形のものまで多種多様で、ウミウシ好きダイバーが多いこともうなずける。また、マクロ好きフォト派ダイバーの被写体としても人気がある。
ウミウシは軟体動物で巻貝の仲間。進化の過程で貝殻がなくなったとされている。今でも貝がついているものや、身体の中に貝をもっているものもいる。
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ウミウシの仲間
種類と生息場所
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<ウデフリツノザヤウミウシ>
“ピカチュウ”の愛称でおなじみの人気種。ウミウシ人気を代表する一種といえるだろう。しばしばアントクメなどの褐藻の上に着生しているが、それを食べているのではなく、海藻の上に生えたコケムシを餌としている。シーズンは晩秋から春にかけてがピーク。
【見られる海】
日本では房総半島以南で見られる。インド―西太平洋温帯~熱帯に生息
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<カンナツノザヤウミウシ>
ウデフリツノザヤウミウシとよく似ているが、 体全体に黒い斑紋が散っている。背中の突起先端が黒く染まっているのも特徴のひとつ。大きさは2~4cm程度。
【見られる海】
日本では本州沿岸、海外ではインドネシアなどでも観察例がある
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<ツノザヤウミウシ>
ウデフリツノザヤウミウシとよく似ているが、 体は半透明の乳白色で、地色が同じミズタマウミウシと雰囲気が似ている。触角や突起、尾などの先端はオレンジ色をしている。体の黒い水玉がつながってラインになっている個体もある。
【見られる海】
インド―西太平洋の温帯~熱帯域に生息
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<サガミリュウグウウミウシ>
青い地色に黄色の斑点、濃い緑色のエラと一度見たら忘れられないほどインパクトのある模様。相模湾で最初に採集されたので名前に“相模”と入っている。体長は5~13cmになる。
【見られる海】
南太平洋、沖縄、台湾などで見られる
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<トサカリュウグウウミウシ>
サガミリュウグウウミウシの色違いのようにも見えるが、エラを比べてみると少しボリューム感がある。イシガキリュウグウウミウシなどの肉食の種に襲われることがある。
【見られる海】
インド―西太平洋に生息
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<イシガキリュウグウウミウシ>
重厚感にあふれ、ときに20cm以上にもなる大型種。獰猛な肉食で、ほかのウミウシを捕らえて丸飲みすることが知られている。
【見られる海】
インド―西太平洋に生息
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<ミカドウミウシ>
体をくねらせて、特に夜間に泳ぐ。英語では“スパニッシュダンサー”と呼ばれる。色や模様にはバリエーションがあり、体長は60cmに達することもある。よく見られるのは5~20cm程度のもの。
【見られる海】
日本では房総半島以南で見られる。インド―西太平洋の熱帯域に生息
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<ミアミラウミウシ>
個体によって色彩変異が激しく、模様だけを見ていると別種のようだ。特徴は外套膜(ヒダ状の部分)の周縁が大きく波打っていること。体長は3~10cm程度。
【見られる海】
日本では房総半島以南で見られる。インド―西太平洋に生息
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<ニシキウミウシ>
エラの後ろにも突起があることが大きな特徴。色や模様は個体ごとに異なり、バリエーションが豊富。体長は5~10cm程度で、活発によく動き回る。
【見られる海】
日本では房総半島以南で見られる。インド―西太平洋に生息
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<コンペイトウウミウシ>
乳白色の半透明な体色と突起の先端の黄色が美しい。鰓部分には黒褐色の斑紋が入っている。体長は2~7cm程度。
【見られる海】
沖縄では冬から春にかけて、八丈島では春先にやや深場で見られることが多い。西部太平洋の熱帯域に生息
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<ガーベラミノウミウシ>
半透明な体にエノキダケのような突起が並ぶ。センナリウミヒドラなど樹状のヒドロ虫類の上でよく見られ、コイル状の白い卵塊を産みつける。
【見られる海】
佐渡以南の本州中部に生息
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<セスジミノウミウシ>
岩礁のヒドロ虫類についていることが多い。赤や白っぽい個体などカラーバリエーションがある。体長は1~4cm程度。
【見られる海】
インド―西太平洋に生息。伊豆半島や沖縄で見られることは少ない。
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<スミゾメミノウミウシ>
樹状のヒドロ虫類の上でよく見られ、フリルのようなピンク色の卵塊を産む。墨で染めたような黒色のもののほかに、藍染め色や茶色っぽい個体もいる。
【見られる海】
日本では相模湾、富山湾以南で見られる。インド―西太平洋に生息
おさかなコラム
ウミウシって目があるの!?
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“触角”や“二次鰓(にじえら)”など少し変わった名称があるウミウシの体。見分けるポイントや撮影のコツには、これらがよく出てくるのでおさらいしておこう。
仲間を食べる!?
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ウミウシの仲間の多くは肉食性。ウミウシがウミウシを捕食することや、ウミウシの卵を食べてしまうこともある。種ごとに捕食対象が限られていることから、飼育が難しいともいわれている。
ウミウシは捕食対象が限られているため、食料となる生物の周辺を探すことで効率よく見つけることができる。ヤギやヒドロ虫類、海藻、カイメンなどの周りを狙おう!
水中撮影のポイント
色も形も個性派ぞろい ウミウシを撮ろう!
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カラフルな体色や変わった形など個性的な個体がたくさんいるウミウシ。撮影については、すばやく動く生物ではないので寄ること自体は簡単。でも小さい個体が多いので、見つけるのがやや難しいかも。ピントがうまく合わなくて、ぼやけた写真になることもよくある。
ピントは触角や二次鰓(にじえら)に!!
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ピントを合わせるコツは“目”が鉄則だが、ウミウシにはその目がない(あっても小さくてわからない)。そこでポイントになるのが触角と二次鰓。ここにピン トを合わると、写真全体がはっきりした印象になる。ウミウシの写真がボヤっとした感じになってしまうあなたはこれで解決!!
背景を変えてみよう
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ウミウシは背景と色が似ていて、区別しにくいこともある。写真に撮るときも、背景に溶け込んでしまうとせっかくのウミウシも存在感がダウン。色がまったく 違う背景や、角度を変えて背景を海の青にするとウミウシがきれいに撮れる。マクロモードやクローズアップレンズを活用しよう。