第7回 カエルアンコウの仲間
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第7回 カエルアンコウの仲間Frogfishes
ユニークな風貌で人気を集めるカエルアンコウの仲間。肉厚な胸ビレと腹ビレを手足のように器用に使って海底を歩き、捕食時は大きな口を開けて獲物を丸飲みする。
また、見た目だけではなく生態もとてもユニーク。額から伸びている棒状の部分(吻状棘)の先端に、“エスカ”と呼ばれる疑似餌をつけ、小魚をまるで釣るよ うに捕獲する。一風変わった捕食シーンは一度見てみる価値あり。カエルアンコウの仲間は、世界中で48種が知られている。
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カエルアンコウの仲間
種類と生息場所
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<カエルアンコウ>
砂地の開けたスペースを好み、もこもこした白っぽいエスカを持つことが見分けるポイント。色彩変異が豊富で黄、茶、黒、白などさまざま。大きさは15cmほどになる。
カエルアンコウの仲間は互いによく似ているので、それぞれの特徴を押さえよう。
【見られる海】
南日本、東部太平洋を除く世界中の温帯~熱帯の海域に生息
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<クマドリカエルアンコウ>
2~8cmほどの幼魚は、一般に白地に赤い斑紋のかわいらしい姿をしているが、たまに黄の斑紋というタイプも観察される。成長すると、体はゴツゴツし、顔はいかつくなってしまう。
【見られる海】
インド・西太平洋の浅い岩礁やサンゴ礁に生息。幼魚は、伊豆半島などでは夏から冬にかけて出没することが多い。
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<ベニカエルアンコウ>
白やピンクなど色彩変異は激しいが、体側の眼状斑と第2背ビレが棒状に見えることで見分けやすい。生息環境も独特で、岩に生えたカイメンにピッタリと寄り添っているか、あるいはくぼみにはまり込んできる。 大きさは5~10cm程度。
【見られる海】
南太平洋を含むインド・太平洋、東部大西洋に生息
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<イロカエルアンコウ>
黄、赤、茶など色彩変異が個体によって激しく、しばしばクマドリカエルアンコウのような模様をしている個体もいる。ずんぐりした雰囲気はオオモンカエルア ンコウ(特に幼魚や若魚)とよく似ているが、20cmを超えるような大型のものは本種ではない。大きさは5~15cmほど。
【見られる海】
南日本を含む、インド・西太平洋に分布
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<オオモンカエルアンコウ>
サンゴ礁性の大型種で、しばしば伊豆半島にも出没して話題となる。小さいうちはほかの種と似てわからない場合があるが、体長が20cmを超える個体は本種であることが多い。また、岩礁やカイメンの上にいることが多い。大きさは20~30cmに達する。
【見られる海】
南日本を含むインド・太平洋、東部太平洋の熱帯域に生息
おさかなコラム
“エスカ”って何!?
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カエルアンコウの仲間が持つ疑似餌“エスカ”。最初にその使い方についてご紹介したが、そもそも“エスカ”とはいったい何なのだろうか?“エスカ”は実は背ビレが変化したものと考えられている。種によって、動かし方はもちろん色や形も異なる不思議な器官だ。
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水底近くをエビのように見せて動かしたり、少し上向きに動かして小魚のように見せたりとさまざまなバリエーションがある。そして“エスカ”に気をとられた魚が近くまでやってくると、大きな口を開け一口でパクリ!時には自分よりも大きい魚を丸飲みにすることもあるようだ。ダイバーなら貴重な捕食シーンにお目にかかることができるかもしれない。
水中撮影のポイント
人気の被写体でスキルを練習
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カエルアンコウの仲間は近場でよく見られ、動きも少ないためビギナーにもおすすめの被写体だ。“半押し”でシャッターを切る練習をしたり、さまざまなアングルから撮ってみたりと楽しみ方はあなた次第。焦らずに撮影できるので、いろいろな撮り方に挑戦しよう。
ライティングにひと工夫
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表情豊かなカエルアンコウの仲間。凹凸がある被写体なのでライティングを工夫すると、さらに表情を引き出すことができる。正面や横からなどさまざまな角度からアプローチしよう。
マクロ撮影をマスターしよう!
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カエルアンコウの仲間は小さい個体が多いので、カメラの設定をマクロモードにするのがおすすめ。さらにワンランク上の写真を目指すなら、マクロレンズを使ってみよう。その場合、寄ると光が回らないので、外部ストロボや水中ライトを使いたい。しっかりと寄って顔のアップ撮影など一味変わった構図にも挑戦してみよう。