サメについて知ろう!~種類や生態を詳しく紹介
サメの仲間Shark
サメの仲間は、エイの仲間などとともに軟骨魚類というグループに属し、一般の魚類(硬骨魚類)とは区別されている。
世界に1000種前後を数える軟骨魚類のうちサメの仲間は400種、そのほとんどはダイバーやスノーケラーに対して危険はない。しかし、イルカやアシカ、ウミガメなどの大型動物を襲うサメも少数いるので、注意は必要だ。
サメの仲間
種類と生息場所
<アカシュモクザメ>
頭部がハンマー形のサメで、和名のシュモクザメは鐘をたたくT字型の「撞木」が由来。世間一般では「凶暴」「危険」と言われているが、ダイバーの間では 「臆病」「神経質」というのが定説で、ダイバーを見ると逃げることが多い。本種は世界に8種ほどいるシュモクザメの仲間の中で最もポピュラーで、しばしば 大群をつくる。大きさ2~4m。
【見られる海】
世界の熱帯ー温帯の海。日本では夏の伊豆半島・神子元島、冬の与那国島に群れで現れる
<ジンベエザメ>
世界最大のサメであり、世界最大の魚類。大きさは10~12mに達するが、ダイバーがよく見るのは5~6m程度のものが多い。プランクトンや小魚を吸い込んで捕食するため、鋭い歯は持っていない。
【見られる海】
世界の熱帯ー温帯の海。モルディブのアリ環礁南部やタイのアンダマン海側(12~4月)などで遭遇率が高い
<シロワニ>
口を閉じても鋭い歯がむき出しで、見かけは非常に怖い。しかし、昼間は岩陰などに隠れていることが多く、ダイバーが近寄っても手を出さなければ危険はない。夜になると軟体動物、甲殻類などを積極的に食べる。大きさは2m前後。
【見られる海】
インド・西太平洋、地中海、南北アメリカ大陸の大西洋岸、北部アフリカ大陸の大西洋岸。日本では小笠原でよく見られる
<オグロメジロザメ>
パラオなどの南の島でよく見られるサメがこのオグロメジロザメ(グレイリーフシャーク)。肉食性で魚などを食べるが、ダイバーが攻撃をしない限り、いたって無害なサメの仲間。
【見られる海】
世界の熱帯ー亜熱帯海域の沿岸から外洋にかけて生息
<ネムリブカ>
スマートな体形のサメ。夜間は非常に活発に動き回るが、昼間はサンゴ礁の砂地や岩陰で寝そべっているため、こんな名前がついた。ダイバーがよく出会うサメで、性格もおとなしい。
【見られる海】
インド洋・太平洋。日本では鹿児島以南と小笠原諸島でよく見られる
<ネコザメ>
伊豆半島などでよく見られるネコザメは、別名“サザエワリ”と呼ばれるように、サザエやウニなどを食べている。その歯は人間の奥歯のようになっており、エサを磨りつぶすのに適している。
【見られる海】
日本から台湾にかけての、西部太平洋の浅い海に生息
<ナヌカザメ>
岩礁域や砂泥域の海底に寝そべって生活する小型種で、目つきの悪さはトップクラス!?外敵が迫ると海水を飲み込んで腹部を膨らませるというフグのような特性を持つ。
【見られる海】
北海道ー南西諸島にかけて生息
<オオセ>
沿岸岩礁域に生息する底生性のサメ。どことなくオオサンショウウオを連想させる丸い頭には肉質のヒゲがある。カメザメ(東京)、マムシワニ(島根)といったユニークな地方名を持つ。大きさは2m程度。
【見られる海】
日本からオーストラリアの西部大西洋域に生息
<ニタリ>
外洋性のサメなので、ダイバーが出会うことは希だが、伊豆諸島・八丈島などで目撃される。オナガザメの仲間は尾の上側が長いのが特徴で、これを利用し獲物を1ヶ所に集めてたたき殺す。大きさは2~3m。
【見られる海】
インド洋および太平洋の熱帯ー亜熱帯の外洋に生息
<トラフザメ>
ジンベエザメを小型にしたような体形だが、表層や中層に泳ぎ回ることはなく、普段は砂地に寝ている。神経質で、近寄ると逃げることが多い。幼魚は淡い黄色に黒い縞模様がある。
【見られる海】
中・西部太平洋、インド洋、紅海の熱帯ー亜熱帯に生息
おさかなコラム
サメ?エイ?どっち?
サメとエイはその体形から簡単に見分けられそうだが、中にはややこしいものもいる。その例が、サカタザメやウチワザメだ。この2種はサメと言う名前だがエイの仲間に分類される。 見分け方は鰓孔(えらを通って呼吸に使われた後の水の出口)の付いている位置で、サメは体の側面に付いているのに対し、エイは腹面に付いている。
エイのようだがサメの仲間
カスザメ
エイのように平べったい体形をしているが、サメの仲間に分類されるカスザメ。わかりづらいがよく見ると鰓孔が体の側面についている。ヒラメのように砂地に張りつき、じっとしていることが多い。
実はエイの仲間
サカタザメ
サメと言う名前でしかもカスザメよりも体がシャープなのでサメらしいサカタザメだが、鰓孔が腹面に付いているのでエイに分類される。
実はスズキの仲間
コバンザメ
ジンベエザメやマンタなどの大きな魚についているコバンザメは、サメやエイなどの軟骨魚類ではなく、スズキの仲間で、硬骨魚類に分類される。
これが卵??
人魚の財布 ナヌカザメの卵
日本近海に住むサメで、その卵がよく観察されるのがナヌカザメ。卵はその形から“人魚の財布”と称される。卵がふ化するまでは約1年間かかる。
ドリルみたい ネコザメの巣
ドリルのような形をしているのがネコザメの卵。一説によると、流されないようにこんな形をしているのだとか。こちらもふ化までは1年間かかる。
魚なのに子供を産む?
魚類というと卵で繁殖するのが一般的。しかしサメの仲間には卵生のほかに、人間と同じように生まれる胎生、胎内で卵をふ化させてから産む卵胎生がいる。
例えばハンマーヘッドシャークは胎生で、胎盤から栄養をもらい体長約50cmに成長した幼魚を一度の出産で15~30尾産む。
ジンベエザメは卵胎生で、妊娠中の個体が約300もの胎仔を抱えていたという例がある。 また先にも紹介したシロワニは卵胎生だが、海という弱肉強食の世界を生き抜くために胎内で子供同士が共食いをして成長するというから驚き。その結果、子供 は出産時には体長1mを超える大きさになる。
水中撮影のポイント
種類に合わせて上手く近づこう
中層を泳ぐサメに近づく場合は、むやみに追いかけたりせず、彼らの動きを読み、向こうから近づいてきたところでシャッターを切ろう。ネコザメやカスザメなど海底にいるサメにはちょっと離れた場所に着底し、少しずつ間を詰めながら近寄るのがコツ。
サメ撮影の基本!迫力のフォルムを抑えよう
サメ撮影の基本はその堂々たるフォルムをしっかりと収めること。コンパクトデジカメの場合はワイドコンバージョンレンズを装着し、迫力のある写真を狙いたい。ハンマーヘッドの群れは寄ることができなくても、下からあおってシルエットにして形を捉えるといい。
その種の特徴を強調!
凶暴な顔つきのシロワニは下からあおり、その鋭い歯を強調する、ユニークな顔のカスザメはギリギリまで近づいて頭の部分だけを切り取るなど、その種の特徴をとらえて撮影するのもおもしろい。これならデジカメの標準レンズでも上手く撮影することができる。