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【短期集中連載】耳・鼻・のどのトラブルを解決!
Vol.2 鼻にまつわるダイビングトラブル

月刊『マリンダイビング』の人気連載「耳鼻咽喉科領域の潜水医学」(北島尚治著)が加筆・修正され、この7月、同タイトルの書籍として発売された。
ここでは3回にわたってダイバーが陥りやすい耳・鼻・のどのトラブルの防止策、対処法をわかりやすく紹介していきます。
第2回は「浮上後、鼻血が!」など鼻にまつわるトラブルについてです。

■監修/北島尚治(医学博士)■構成・文/本誌・後藤

☆本文中の※印は、『耳鼻咽喉科領域の潜水医学』(北島尚治著、水中造形センター刊)より引用していることを表します。

鼻が痛い!

そもそもマスクが合っていない!?

 ダイビング中、鼻が痛くてたまらない!
 日本人の間ではあまり問題にならないそうだが、欧米人にわりと多いトラブルなんだそうな。なぜだろう? マスクのノーズポケットが小さすぎて、鼻が高い、鼻梁が広いダイバーにはきつくてたまらないという次第。どちらかというと鼻がほっそりして低い日本人、アジア人には関係がないことかもしれないけれど、鼻が高い方や大きな方はマスクを購入したり、レンタルしたりする際にはこのノーズポケットのチェックもお忘れなく。
 ところで、本編で「マスク」というのはダイビングで使う水中マスクのことなので、あしからず。

鼻の大きさにノーズポケットが合っていなかったり、そもそもノーズポケットに鼻がしっかり収まっていなかったりしたら、トラブルの元に

鼻の大きさにノーズポケットが合っていなかったり、そもそもノーズポケットに鼻がしっかり収まっていなかったりしたら、トラブルの元に

潜降時、サイナスに痛みが

得も言われぬ痛みに襲われるのはなぜ?

 潜降時に耳ぬきができないという人も多いけれど、たまに耳ではなく額の辺りがとても痛くなってきて潜れないという人がいる。結構経験があるのではないだろうか。
 耳ぬきと同じで、痛みを感じたら少し浮上して痛みが治まるのを待ち、ゆっくりとまた潜降すると大丈夫だったりもする。それでも痛みが治らない場合は、無理して潜降せずに、インストラクターやガイド、バディにサインを送って、ダイビングを中止すること。
 原因は額の辺りにある副鼻腔が環境圧(水圧)よりも低くなって陰圧状態になり、自然口が粘液や粘膜組織で狭められたりふさがれたりするために起きるといわれる(※)。

浮上したら鼻血が!

恐怖の血だまり!?

 浮上してバディとOKサインをかわそうとすると、驚愕の顔が目の前に。「は、鼻血が出てるよ!」の声に、鼻の辺りを触ってみると真っ赤な液体が手に……。あまりのことに意識を失いそうになる……。な~んてのは最初の頃のこと。潜るたびに鼻血が出るというダイバーは「あ、いつものことだから」と平然としている。
 そう、ダイビングが終わって鼻血が出ている人ってそんなに珍しくはないのだ。
 なぜ出るのかというと、前述のサイナス・スクイーズを起こしていたり、内外圧の差が上昇すると、細胞や毛細血管から染み出る液が粘性を帯びて血液が出たりするため。マスクをささっと洗えば、出血したことも忘れるほどなのでご安心を。
 ただし、ダイビングも出血が止まらないとか、痛みが治まらないといった場合は、炎症を起こしている可能性もあるので、耳鼻咽喉科に行って診察してもらうこと。
 なお、耳ぬきをするときに、バルサルバ法で強く鼻を押し過ぎたために出血することもあるので、ご注意を。

浮上したいのに痛くて上がれない!

急浮上が原因か!? リバース・ブロック

 潜降時よりも経験者が多いのが浮上時の耳やサイナスの痛みではないだろうか。リバース・ブロックと呼ばれるもので、ものすごい痛みで我慢できなくなることも。浮上すればするほど痛みは増すので浮上したくても上がれない。深度を下げれば痛みは治まるのだが、それではNDLも不足してしまうし、残圧も心配……。海外ではこれが原因で死亡事故に至ったこともあるので、注意が必要だ。
 リバース・ブロックは副鼻腔開放が粘膜うっ血や副鼻腔ポリープなどで妨げられ、膨張した気体が放出されなくなるために起きる(※)。
 なので、痛みを感じたら膨張した気体を圧縮するためにやや深場に潜り、ゆっくりゆっくり浮上していくことで解決はできる。
 それでも浮上後、痛みが止まらない方は耳鼻咽喉科へ。

写真はイメージ

写真はイメージ

耳鼻咽喉科領域の潜水医学

判型:B5判 全116ページ
本体価格:2,800円+税
(株)水中造形センター刊

新刊発売!
世界初 耳・鼻・喉の潜水医学書

耳鼻咽喉科領域の潜水医学
耳ぬき傷害などのダイビングトラブルにどう対応するか
医学博士 北島尚治 著

月刊『マリンダイビング』で2017年11月号から2019年12月号まで掲載していた同タイトルの連載を加筆・修正、一冊の本にまとめた。ダイビングのことを知らない多くの耳鼻咽喉科医にも読んでほしいという北島先生の願いから、内容は医学生向けのテキストにもなるほど細かく難解に見えるが、ダイビング時やダイビング前後に耳・鼻・のどにトラブルを抱えている、抱えたことのある方には大いに役立つこと間違いなし!
耳鼻咽喉科領域のみの潜水医学書はこれまで日本にはもちろん海外にも存在していなかった世界初のもの。
今回ピックアップしているトラブルについても、起きる理由や対処法、治療法などが詳細に解説されている。ダイバーなら読んでおきたい。

ご購入はこちら

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耳鼻咽喉科領域の潜水医学
耳ぬき傷害などのダイビングトラブルにどう対応するか
医学博士 北島尚治 著
耳鼻咽喉科領域の潜水医学

判型:B5判 
全116ページ
本体価格:2,800円+税
(株)水中造形センター刊

本誌で2017年11月号から2019年12月号まで掲載していた同タイトルの連載を加筆・修正、一冊の本にまとめた。ダイビングのことを知らない多くの耳鼻咽喉科医にも読んでほしいという北島先生の願いから、内容は医学生向けのテキストにもなるほど細かく難解に見えるが、ダイビング時やダイビング前後に耳・鼻・のどにトラブルを抱えている、抱えたことのある方には大いに役立つこと間違いなし!
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今回ピックアップしているトラブルについても、起きる理由や対処法、治療法などが詳細に解説されている。ダイバーなら読んでおきたい。

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