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耳ぬき不良は治る!
第6回 完結編 耳ぬき不良の訓練と治療(文・三保 仁)

耳ぬき不良は治る!

これまでの5回の連載で、耳ぬき不良の診断までをお話ししてきました。最終回の今回は、耳ぬき不良の治療です。以前お話ししたように、現在鼓膜が完全に正常の方であれば、耳ぬき不良は治るものです。耳ぬき不良を完全に治して、快適なダイビングライフを楽しみましょう!
※月刊『マリンダイビング』2017年4月号に掲載された記事です。

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オトヴェントについて

以前お話ししたように、耳管機能検査で耳ぬきのやり方を理想的な方法に変えた方がよいと診断された場合、オトヴェントを使って訓練をします。本来は、滲出性中耳炎の子どもたちのために、在宅治療を目的として作られた鼻で膨らませる医療特許ゴム風船ですが、私がダイバーの耳ぬきを訓練するために有用だと気づき、耳ぬき治療に取り入れたものです。

図1 オトヴェント

日本のオトヴェント特約輸入販売代理店の会社の方と何度も協議を重ね、医療機関でなくても、一般の方がインターネット通販で入手できるようにこぎ着けることができたのです。購入者がダイバーであれば、販売時に私が監修した耳ぬき治療専用の取扱説明書を同封してもらっていますが、漏れていたり読んでいない方もいて、全員には役に立っていないようです。その結果、オトヴェントは持っているが耳ぬき不良が治らないというダイバーが、近年はたくさん来院するようになってきました。

図1 オトヴェント

以前お話ししたように、耳管機能検査で耳ぬきのやり方を理想的な方法に変えた方がよいと診断された場合、オトヴェントを使って訓練をします。本来は、滲出性中耳炎の子どもたちのために、在宅治療を目的として作られた鼻で膨らませる医療特許ゴム風船ですが、私がダイバーの耳ぬきを訓練するために有用だと気づき、耳ぬき治療に取り入れたものです。

日本のオトヴェント特約輸入販売代理店の会社の方と何度も協議を重ね、医療機関でなくても、一般の方がインターネット通販で入手できるようにこぎ着けることができたのです。購入者がダイバーであれば、販売時に私が監修した耳ぬき治療専用の取扱説明書を同封してもらっていますが、漏れていたり読んでいない方もいて、全員には役に立っていないようです。その結果、オトヴェントは持っているが耳ぬき不良が治らないというダイバーが、近年はたくさん来院するようになってきました。

オトヴェントの正しい使い方

オトヴェントは、絶対に耳に害がなく、しかも耳ぬきができるようになるために必要な圧力を計算して作られた医療特許商品です(図1)。そこら辺の駄菓子屋で売っている風船を代用しても、強すぎれば耳を壊して危険ですし、弱すぎれば効果が出ないので、決してほかの風船で代用しないでください。

そして、海の中にオトヴェントは持って行けません。しかも、鼻は水中マスクで覆われているわけです。ですから、オトヴェントを使わなくても、その強さでバルサルバ法で息めるように訓練することが最終目的です。

オトヴェントを持っているが耳ぬきが治らない方の原因は、ただ単にオトヴェントを鼻で膨らませていれば、耳ぬき不良が治る「治療器具」だと勘違いしている人ばかりです。膨らませてはいるけれど、いざ鼻をつまんでバルサルバ法を行なうときには、下手な耳ぬきのやり方のままなのですから、耳が抜けるはずがありません。

そうではなくて、耳ぬきに必要なオトヴェントの強さを体に覚えてもらうために膨らませるのです。そして、たまにできているのでは意味がありません。いつでも毎回その強さで息むことが板につくまで訓練する必要があります。オトヴェントより強く息んでいる男性は、息みすぎで抜けないのですから、オトヴェントの強さに弱める訓練をするわけです。オトヴェントよりも弱くしか息めない、か弱い女性は、オトヴェントの強さで強く息めるように訓練するのです。

また、オトヴェントを一気に膨らませてはいけません。耳管がうっ血して耳が抜ける確率が悪くなる上、一気に鼓膜が膨らんでしまうと、急に内耳に圧力がかかって耳を壊してしまうこともあるからです。慣れるまでかなり難しいのですが、4秒かけてゆっくりと風船をグレープフルーツ大に膨らませ、グレープフルーツ大になったらそのまま1秒保持して、合計5秒間で1回の耳ぬきを覚えることです。3秒で膨らませ、2秒間保持の5秒程度でもかまいません。その耳ぬき方法を、オトヴェントを使用しないでできるようになることがゴールです。

図2 適切なオトヴェントの大きさ

よく、大きく膨らませすぎてしまうという間違いをする方が多いので、図2の写真を参考にして下さい。大きく膨らませてしまうと、風船にかける圧力は弱くなってしまうので、弱い耳ぬき方法になってしまいますし、1つ20回まで使用できる風船の寿命が極端に短くなって、無駄になってしまいます。

図2 適切なオトヴェントの大きさ

オトヴェントは、絶対に耳に害がなく、しかも耳ぬきができるようになるために必要な圧力を計算して作られた医療特許商品です(図1)。そこら辺の駄菓子屋で売っている風船を代用しても、強すぎれば耳を壊して危険ですし、弱すぎれば効果が出ないので、決してほかの風船で代用しないでください。

そして、海の中にオトヴェントは持って行けません。しかも、鼻は水中マスクで覆われているわけです。ですから、オトヴェントを使わなくても、その強さでバルサルバ法で息めるように訓練することが最終目的です。

オトヴェントを持っているが耳ぬきが治らない方の原因は、ただ単にオトヴェントを鼻で膨らませていれば、耳ぬき不良が治る「治療器具」だと勘違いしている人ばかりです。膨らませてはいるけれど、いざ鼻をつまんでバルサルバ法を行なうときには、下手な耳ぬきのやり方のままなのですから、耳が抜けるはずがありません。

そうではなくて、耳ぬきに必要なオトヴェントの強さを体に覚えてもらうために膨らませるのです。そして、たまにできているのでは意味がありません。いつでも毎回その強さで息むことが板につくまで訓練する必要があります。オトヴェントより強く息んでいる男性は、息みすぎで抜けないのですから、オトヴェントの強さに弱める訓練をするわけです。オトヴェントよりも弱くしか息めない、か弱い女性は、オトヴェントの強さで強く息めるように訓練するのです。

また、オトヴェントを一気に膨らませてはいけません。耳管がうっ血して耳が抜ける確率が悪くなる上、一気に鼓膜が膨らんでしまうと、急に内耳に圧力がかかって耳を壊してしまうこともあるからです。慣れるまでかなり難しいのですが、4秒かけてゆっくりと風船をグレープフルーツ大に膨らませ、グレープフルーツ大になったらそのまま1秒保持して、合計5秒間で1回の耳ぬきを覚えることです。3秒で膨らませ、2秒間保持の5秒程度でもかまいません。その耳ぬき方法を、オトヴェントを使用しないでできるようになることがゴールです。

よく、大きく膨らませすぎてしまうという間違いをする方が多いので、図2の写真を参考にして下さい。大きく膨らませてしまうと、風船にかける圧力は弱くなってしまうので、弱い耳ぬき方法になってしまいますし、1つ20回まで使用できる風船の寿命が極端に短くなって、無駄になってしまいます。

耳の音を指標にしてはいけない

耳ぬきをすると、耳にポンとかシュッなどと音が聞こえることを、耳が抜けたのだと勘違いしている人がたくさんいます。そして、音がすると耳ぬきができたと勘違いして、そこで耳ぬきをやめてしまうのです。だから、鼓膜がまだ完全には膨らみきっていない状態です。そうすると、他の人よりも何度も耳ぬきが必要になり、医学的には耳ぬき不良なのです。オトヴェントを3~4秒かけてゆっくりと圧力をかけると、そういう音がしなくなります。それが最もよい耳ぬきの状態です。

前述のように、オトヴェントの強さで合計5秒かけて圧力をかけてゆくと、鼓膜が外側に膨らみきって、鼓膜に圧力がかかっている状態になります。この耳の圧迫感が理解できるようになることが重要で、それが「耳ぬきができた」「鼓膜が膨らみきって、耳ぬきが終わった」状態なのです。まれに、どんなにゆっくりと圧力をかけても、耳に音がしてしまう人がいますが、そういう人でも、音がした瞬間は耳管が開いたときの音なので、耳ぬきが終わったのではなくて耳ぬきが始まったときの音なのだと思ってください。耳が抜け終わったときには、エレベーターに乗ったときや、飛行機に乗ったときのように耳に膜が張ったような、こもって音が聞こえている状態になります。それも耳ぬきが終了した目安になります。

理想的な耳ぬきのタイミングと頻度

一回一回の耳ぬきができるようになっても、耳ぬきを行なうタイミングや頻度を間違えていると、これも耳ぬき不良の原因になってしまいます。

図3を見てください。皆さんがダイビングを始めるときの学科で必ず習う内容です。しかし、この表を丸暗記してテストに合格しても、何ら意味がありません。一番右の「体積の差」というものは、私が付け加えたものです。この気体の体積に注目してください。水面から水深10mまでで気体の体積は半分になってしまうのですが、同じ10mを潜降するとしても、水深20mから30mまででは、気体の体積は水面から比較すると、1/3が1/4になるので、その差は1/12しか変化していません。すなわち、深く潜れば潜るほど耳ぬきは必要なくなっていくのです。私はテクニカルダイビングで深度100m潜水を何度か経験したこともありますが、水深90mから100mまでの間、耳ぬきは一度もしないぐらいです。

図3 水深・気圧・体積

ですので、理想的な耳ぬきの頻度は、「浅い所ほど頻回に行わなくてはならない」ということなのです。水面から水深5mまでの間は50cmごとに、水深5m~10mの間は1mごとに、水深10m以深は耳に圧迫感や違和感が起きないうちに適切に行なう、というのが、まったく耳に負担がかからない理想的な耳ぬき頻度です。これを、表1にまとめました。中性浮力が上手になればこの限りではなく、5秒で1回の耳ぬきを行ないながらゆっくりと潜降できるようになります。

理想的な耳ぬきのタイミングと頻度

◆まず、水面で耳ぬきを行なう。抜けたら潜降開始。

◆水深5mまでは、50cmごとに耳ぬきを行なう。

◆5~10mは1mごとに行なう。

◆10m以深は、耳に圧迫感を感じる前に適切に。

耳に不快感が起きる前に耳ぬきを!

耳が痛くなると耳ぬきをして、耳が痛くなくなったから耳が抜けた、耳ぬきはそれで良いと考えている人がいます。ですが、それは大きな勘違いです。どの指導団体のテキストにも、「耳に不快感を感じる前から定期的に頻繁に耳ぬきを行なう」というような内容が書いてあるはずです。痛みを感じたらもちろん不快で遅いのですが、痛みを感じる前の状態で、耳に圧迫感を感じる状態があると思います。すでにその状態では、中耳腔に陰圧がかかって鼓膜はへこみ始めている状態なので、この時点ですでに耳ぬきのタイミングが遅いのです。すなわち、圧迫感も不快感なのです。水面で一度耳ぬきを行い、十分に鼓膜を膨らませておいてから潜降を開始し、水中で中耳腔の空気が収縮して鼓膜が平らになった状態で、まだ耳に圧迫感を感じていないこのタイミングで、ここで次の耳ぬきをしなくてはなりません。それが、テキストが言っている意味なのです。

耳ぬき不良に陥ったら、
無理をせずに中止しましょう

また、耳を壊してしまうのは、以上の理論からわかるように水深10m以浅がほとんどです。深く潜れば潜るほど、耳を壊しやすくなると思っている方が多いのですが、勘違いです。もしも耳ぬき不良を自覚した場合、少し上に上がってもう一度耳ぬきをやり直してみる、という一般的な方法を何度か繰り返しても十分に耳ぬきができない場合には、最も気体の体積の収縮率が高い水深5mまでに、潜水を中止するようにしてください。せっかく早起きをして、何時間もかけてダイブサイトまでやってきたとか、2日間しかダイビングができない短い旅行などの場合、せっかくだからといって、耳ぬき不良のまま無理やり潜水を続けて、一生聞こえない、一生潜れなくなってしまう方が後を絶ちません。

耳ぬき不良潜水は、毎回必ず事故につながるわけではありません。ですが、いつかは後悔することになる可能性が高いのです。まるで飲酒運転と同じです。飲酒運転をして、人身事故を起こしてしまった人も同じでしょうね。そういうことにならないように、耳ぬき不良はすぐに潜水を中止し、繰り返すならば専門的な治療を受けることです。

訓練をしても耳ぬき不良が治らない場合

それは、アレルギー性鼻炎と副鼻腔炎のどちらか、または両方が原因です。不思議なことに、これらの慢性的な鼻炎が重症でも、オトヴェントの訓練で耳ぬき不良が治る人がたくさんいますが、逆にとても軽症の人でも、訓練では治らずに鼻治療が必要な人がいます。重症度とは関係ないのです。また、いくら先に鼻治療をしても、技術的に下手な人は耳ぬき不良は治りません。ですから、まずはオトヴェントの訓練、それでもだめな場合に鼻治療の順です。オトヴェントで治らずに鼻治療が必要な人は、たった3~4%しかいないのです。

さて、これで連載終了です。これからも、耳ぬきに限らず安全潜水を心がけて、楽しいダイビングライフをエンジョイしてください!

これからダイビングを始める人へ

初めて潜る場合、耳ぬき不良は潜ってみないとわからないものです。ほとんどの人は耳ぬきができるものですが、子どもの頃に繰り返し中耳炎をやっていた人、飛行機やエレベーターで耳が痛んだり、耳が塞がった状態になる人、過去の体験ダイビングや講習などで耳ぬき不良があった人たちは、耳ぬき不良を起こす確率が高いです。これらに該当する場合には、潜水前に潜水医学に詳しい耳鼻科を受診しましょう。

三保クリニック 三保耳鼻咽喉科 院長
三保 仁先生

潜水歴32年、潜水本数約3,000本、講習実績200人以上のPADIマスターインストラクター。最近ではテクニカルダイビングを専門とし、トライミックスでの水深100m超え潜水、リブリーザーなども行なうが、もっぱらサイドマウントでのケーブダイビングを専門とする。これまでに診察したダイバーは7,000人以上。耳ぬき治療には定評がある。ダイバーおよび一般医師へ潜水医学を広報・普及させるために、各種学会、医学専門誌、ダイビング雑誌など多方面での講演や執筆活動に努めている。横浜の大倉山で開業中。「三保クリニック」で検索。

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