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沖縄の青い海をひまわりで守ろう!
“赤土等流出問題”を知る

沖縄の青い海をひまわりで守ろう! ダイバーなら知っておきたい赤土等流出問題

世界に誇る、日本の宝「沖縄の青い海」。美しいサンゴ礁が広がり、たくさんの魚がすむその美しさはダイバーならだれもが認めるところ。ところが、そんな美ら海が赤土等(あかつちとう)の流出で損なわれてしまう恐れが……。一体どんなことが起こっているのか、ダイバーならまずは「赤土等流出問題」を知り、それを防いで美ら海を守っていくために、できることを始めていきたい!
協力:沖縄県営農支援課

※2019年11月現在の情報です。

赤土等流出問題って一体何?

赤土等が海に流出すると
サンゴの海が大変なことに!

沖縄では、大雨や台風の後などに、海岸線に沿って海が赤く染まることがよくあります。これは赤土等が海に流れ込んだために起きる現象。沖縄の土は粒子の細かいサラサラの赤土等(赤くない土壌のところもある)で、開発中の場所や収穫後の畑など、土壌がむき出しになっていると、雨などで表面の土が流されてしまいます。
しかも沖縄には大きな川がなく、傾斜地が多いなどの地理的条件が重なって、流された土はあっという間に海まで流れ出てしまい、赤くにごった海が出現するのです。

赤土が海に流れ込むと、青く澄んでいた海がこんな風に赤くなって……

赤土が海に流れ込むと、青く澄んでいた海がこんな風に赤くなって……

海に流れ出た赤土等は、粒子が細かいためになかなか沈殿せず、長いこと海に漂い、時間をかけてサンゴ等に降り積もります。すると太陽の光が遮られてサンゴが光合成を行なえなくなり、死滅してしまうことも。サンゴが死んでしまうと、そこをすみかとしていた生物たちも自然といなくなり、廃墟のようなサンゴのガレ場になってしまいます。
ひとたびこのような状況になると、元のきれいなサンゴ礁の海が再生されるまでには長い時間がかかります。赤土等流出問題は、地元沖縄の人だけでなく、世界に誇る沖縄のすばらしい海を愛する全ての人にとって他人事ではない大問題なのです。

美しいサンゴ礁が広がる沖縄の海。ここに赤土等が流出すると……

美しいサンゴ礁が広がる沖縄の海。ここに赤土等が流出すると……

ガレ場となってしまった海。こうした海にならないようにするためにできることは?

ガレ場となってしまった海。こうした海にならないようにするためにできることは?

赤土等流出問題について
もっと詳しく

赤土等流出はどのようにして起こる?

沖縄県環境保全課

©沖縄県環境保全課

1 赤土等は沖縄を支える宝

沖縄の亜熱帯地域特有の赤土等は、サトウキビやパイナップルなどの沖縄の農産物を育くむ大切な大地の恵み。沖縄独特の風景を造り出している赤瓦やシーサーなども赤土等が原料となっています。
つまり、赤土等は沖縄文化の土台となる、とても重要な存在なのです。

赤土で作られた赤瓦やシーサー

赤土で作られた赤瓦やシーサー

2 赤土等はどこから流出?

赤土等の流出は、開発や米軍基地での演習などによるものもありますが、実は約84%が農地からによるもの(2016年度データ)。
収穫後の畑はむき出しの状態になっていて、その状態のときに雨などが降るとせっかくの大地の恵みが海へ。

沖縄全土で栽培されているさとうきび。育成中はいいが、刈り取られた後の畑は赤土等がむき出しに

沖縄全土で栽培されているさとうきび。育成中はいいが、刈り取られた後の畑は赤土等がむき出しに

3 雨や台風が来ると…

沖縄は台風の通り道。時にとてつもない豪雨が降ることや、スコールなどで集中的に激しい雨が降ることも。そうすると、何も植えられていない表土はいとも簡単に流されてしまいます。沖縄には大きな川がないので、すぐに海まで流れ出てしまうのです。

4 サンゴ&藻場などが死滅

一度赤土が海へ流れ出て赤い海になってしまうと、粒子が細かい赤土等はなかなか沈殿せず、その間光合成の効率が悪くなってサンゴが死滅する可能性が高くなります。すると、そこにすむ生物も減り、アーサやもずくなどの藻場が被害を受けることも。

もずくやアーサなど沖縄を代表する海の特産物にも被害が及びます

もずくやアーサなど沖縄を代表する海の特産物にも被害が及びます

赤土等流出を防止する活動 
SUNFLOWER PROJECT

赤土等流出のためのこれまでの取り組み

「赤土等流出問題」については、1970年代頃からすでに表面化してきており、沖縄県もさまざまな取り組みや活動を行なってきました。
例えば1995年には赤土等流出防止条例が施行され、大規模開発などでの対策などが行なわれ、1993年~2016年では赤土等流出量全体の48%を削減し、開発事業では83%の削減が実現しました。

農地からの赤土等流出を防止する 
SUNFLOWER PROJECT

畑の休耕地などにひまわりを植えることで赤土等流出を防ぐことができます

畑の休耕地などにひまわりを植えることで赤土等流出を防ぐことができます

そんな中、2018年6月新たなる活動がスタートしました。沖縄県庁(農林水産部営農支援課)が主体となって進める「SUNFLOWER PROJECT(サンフラワー・プロジェクト)」。ひまわりで沖縄の海を守ろうというプロジェクトです。
これは赤土等流出問題の84%を占める農地からの赤土等流出防止に焦点を当てた取り組みで、収穫後や休耕地にひまわりなどを植えるなどして、流出を防ごうというもの。
活動を広めるためには各農家の協力が必須。この活動と農家を結ぶ重要な役を各自治体の農業環境コーディネーターの方々が担っています。実際に個々の農家へ出向いての対応や植え付けなどの活動をはじめ、イベントも開催。この問題を多くの人に知ってもらうためのPR活動も行なっています。

農業環境コーディネーターの働きかけで、農家の人たちにも徐々に活動が浸透

農業環境コーディネーターの働きかけで、農家の人たちにも徐々に活動が浸透

これまでのおもなイベント活動

2019.8.17~8.18
糸満市「南部豊かな海づくり大会」出展
2019.7.27~7.28
恩納村「うんな祭り」出展
2019.5.24~6.2
池袋サンシャイン水族館「沖縄めんそーれフェスタ」出展&パネル展示
2018.11.27
「SUNFLOWER PROJECT×ひまわりの絆プロジェクトin 恩納村」ひまわり播種イベント
2018.6.1~6.3
池袋サンシャインシティ「沖縄めんそーれフェスタ2018」出展

ここにあげたイベントはほんの一部。赤土キャラクターの「もっちん」が登場したり、VR映像を駆使したり、子どもたちにも参加してもらうひまわりの種の収穫など、さまざまな取り組みが行なわれています。今後もいろいろなイベントが開催される予定なので、お楽しみに。

イベントの開催で、より多くの人へ向けて活動をアピール(池袋サンシャインシティ水族館にて)

イベントの開催で、より多くの人へ向けて活動をアピール(池袋サンシャインシティ水族館にて)

「もっちん」:沖縄県で生まれた赤土等の妖精です。体の前側は赤土の色、後ろはジャーガル(沖縄に分布する土壌の一つ)の灰色をしています。口癖ともちもちした体から「もっちん」と名付けられました。

SUNFLOWER PROJECTを支える
農業環境コーディネーターの活躍

実際に「SUNFLOWER PROJECT」ではどのような活動が行なわれているのでしょうか。
活動の最先端にいるのは、農業環境コーディネーターの方々。ここでは、沖縄本島南部にある糸満市の農業環境コーディネーターの金城奨さんにお話を伺いました。

糸満市赤土等流出防止対策地域協議会農業環境コーディネーター金城 奨さん

糸満市赤土等流出防止対策地域協議会
農業環境コーディネーター
金城 奨さん

―― いつ頃から農業環境コーディネーターのお仕事をされていますか?

2012年、赤土等流出問題のプロジェクトが始まりまして、その頃から関わっています。当初はまだ赤土等流出問題があるということ、それがどれだけ沖縄の海によくない影響を及ぼしているかということがあまりよく理解されておらず、農家の皆さんにそうした問題があるということを知ってもらうところから活動を始めました。
一軒一軒の農家へ足を運び、農家のおじぃやおばぁたちに話しても「なにを言っているのか」「うちではできない」とあまり話を聞いてもらえないことも。最初はなかなか活動を理解してもらえず苦労しましたが、何度も訪ねて話をしていくうちに、少しずつわかってもらえるようになりました。

農家の方と活動する金城さん(写真左)

農家の方と活動する金城さん(写真左)

―― どのような活動をされているのですか?

具体的には、畑の土が流れないように収穫が終わった畑などに植物を一緒に植える(※対策1~4参照)ための資材や労働面での協力を行ないます。また、農家の方や住民の方などに向けて説明会を行なったり、イベントなどでのPR活動も行なっています。
昨年の夏は糸満市の真栄平という海を見渡せる場所に、ひまわりの花を5000m²にわたって植えるという活動も行ないました。辺り一面ひまわりが咲いてその向こうに海という、すばらしい眺めでしたよ。

イベントで5000m²ものひまわり畑が出現!

―― 今後の活動について教えてください。

テレビのCMなどの効果もあったと思いますが、次第に赤土等流出問題が認知されるようになりました。今では農家の皆さんもだいぶ協力してくださるようになって、個人で防止対策を行なってくださる方も増えてきました。
でも、まだまだ赤土等流出問題を知らない人も多いと思います。地元の農家の方だけでなく、観光で沖縄を訪れる方々にも、ぜひこの問題を知っていただきたいです。

実際の活動は1回で終わるわけではなく、費用も労働も個人で行なうのはとても大変です。PR活動などによって多くの人にこの活動を知ってもらい、支援や理解を広げていければと思います。まだまだ模索中の段階ですが、継続してやっていくことが大切だと思いますので、忍耐強く活動を進めていきます。せっかく沖縄の美しい海を楽しみに訪れてきてくださる皆さんには、青くきれいな海を楽しんでいただきたいですから!

赤土等流出を防ぐ対策4

対策1 緑肥
休耕地などにひまわりなどを植えて、裸地の状態を防ぐとともに、その後栽培する作物にとっても肥料となる「緑肥」とします。雑草の抑制効果も。

対策1 緑肥

対策2 グリーンベルト
畑の周囲に緑を植えることで、赤土等流出を防ぎます。月桃やベチバー、ハイビスカスなどがよく使われます。

対策2 グリーンベルト

対策3 マルチング
サトウキビなどの枯れ葉で表土を覆うことで、土壌の浸食や水分の蒸発を防ぎます。

対策4 株出し
サトウキビ農地における対策の一つ。収穫後、株を残してそのまま発芽させる栽培方法を行なうことで、畑の裸地期間を短くします。

ダイバーとして、
沖縄の海を守るためにできることは?

沖縄の美しい海を存分に楽しませていただいているダイバーとしては、赤土等流出問題は無視できません。地元にいなくてもできる活動は限られてしまいますが、こうした問題があることを知ることだけでもいいですし、それを誰かに伝えるだけでもいい。(記事のシェアはこちらから
また、いつでもだれでもできる支援として、寄付という方法も。
一人ひとりができることは少しでも、集まれば、続けていけば大きな力になっていきます。海を愛するダイバーとしては、この問題をこれからもずっと見守り、支援や協力をしていきたいものです。

寄付など活動の支援についてはこちら

沖縄県農林水産部 営農支援課
TEL:098-866-2280

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