
フィッシュウォッチング500
今年(2018年)は国際サンゴ礁年!
というわけで、サンゴ礁に暮らす生き物とサンゴとの関わりに目を向けてみよう。
今回はサンゴをシェルターやマイホームとして利用する生物たち。●構成・文/山本真紀(2018年9月制作)
まずはビギナー編。
通常はサンゴの外に出て活動しているので、特に注意しなくても誰でも気づくサンゴの住人たち。
スズメダイの仲間たち
リーフ内などの浅場にある枝状サンゴの周辺には、キラキラと泳ぐスズメダイの仲間たちがいっぱい。青い群れならデバスズメダイやアオバスズメダイなどだろうし、白黒のストライプ模様ならミスジリュウキュウスズメダイやフタスジリュウキュウスズメダイなど。よく晴れた日は光のシャワーのなかキラキラと美しい風景となる。
❶枝状サンゴの周辺を泳ぎ回っているデバスズメダイ(多分)。撮影/モルディブ
❷危険を感じると一瞬にしてサンゴの枝の中に隠れてしまう。まさにシェルターだ。撮影/モルディブ
アカメハゼ
美しい眼をもつ2cmほどのハゼの仲間。枝状サンゴの周辺をホバリングしており、しばしば写真のように枝先で休む。外敵がくればもちろん枝内に緊急避難! インド-西太平洋に分布。撮影/沖縄・ケラマ
キイロサンゴハゼ
枝状サンゴの枝内に暮らすサンゴハゼの仲間は何種類もいるが、その中で最も「社交的」な種類。写真のように外に出ていることが多いので、ウオッチングもカンタン。大きさ2~3cm。撮影/沖縄・西表島
次に中級編。ちょっと見ただけでは存在に気づかない生き物たち。
サンゴの枝の間をササッと動くものもいれば、じっと静かにダイバーが立ち去るのを待つ者も。
サンゴガニの仲間
ミドリイシ類やハナヤサイサンゴ類の枝の隙間に暮らすサンゴガニやヒメサンゴガニの仲間。種類が多く、写真は最も一般的なオオアカホシサンゴガニ。名前の通りサンゴガニの中では大型種、とはいえ実際には2~3cm程度のチビなのだが、果敢にもハサミを振り上げダイバーをも威嚇している。他によく見られるものにはアミメサンゴガニがいる。撮影/沖縄本島
コバンハゼの仲間
ハナヤサイサンゴ類やショウガサンゴ類などの枝内に暮らす2~3cmのハゼ。写真はイチモンジコバンハゼの幼魚で、成長すると真っ黒に模様が変わる。他にアカテンコバンハゼなどが有名。撮影/沖縄・西表島
ニシキテグリ
昼は内湾の浅場にあるユビエダハマサンゴの枝内で過ごしているネズッポの仲間。繁殖シーズンは夕方になると外に出てきて、求愛行動や「結婚ランデブー」を行なうことが知られている。撮影/奄美大島
ベニゴンベ
イボハナヤサイサンゴの枝内奥深くに暮らすゴンベの仲間で、外に出てくることは滅多にない。中・西部太平洋の熱帯域に広く分布するが、レアもの。なぜかサイパンではけっこうよく見かける。撮影/サイパン
ダルマハゼの仲間
1~2cmほどの小さな種類が多く、ショウガサンゴ類やハナヤサイサンゴ類、トゲサンゴ類などの枝間に暮らす。カサイダルマハゼ(写真)やパンダダルハゼ、クロダルマハゼなどがいる。撮影/沖縄・ケラマ
最後にサンゴの「中」で暮らす生き物たち。サンゴが生きている限り安全!
イバラカンザシの仲間
塊状サンゴの上に生えた植物のように見えるが、イバラカンザシはもちろん動物。サンゴの表面に孔を開け、大切な本体部分はサンゴ内に格納。また、花のように見える部分は䚡冠(さいかん)という器官で、陰影を感じるとサッと引っ込む。撮影/沖縄・座間味
カンザシヤドカリの仲間
サンゴの孔から顔を出しているのはヤドカリの仲間。イバラカンザシなどが開けた孔を流用していることから、付いた和名がカンザシヤドカリ。長い触角を振り回して、海中を漂うプランクトンを捕食する。ヤドカリの中で一番フォトジェニック。撮影/沖縄・西表島
ヒメジャコガイ
唇お化けのようなコレ、正体は10cmほどのシャコガイの仲間。一般にシャコガイの仲間は海底に転がっているが、ヒメジャコガイは成長とともにサンゴに穿孔していくから安全。なお、「唇」は外套膜で、個体によって茶、緑など色はいろいろ。撮影/パラオ
ウミギクガイモドキ
こちらもヒメジャコガイと同じ二枚貝で、サンゴの表面に穿孔しているから絶対安全(多分)。大きさは5cm前後になる。蛍光カラーが意外とキレイで、撮りようによっては美形の水中モデル。青い外套膜の縁に並ぶ赤い点々は眼点で、光を感じる。撮影/久米島
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