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海のいきもの
第37回 ニシキフウライウオと、その仲間

海のいきもの

そろそろ冬の気配が感じられる南日本、でもダイビングはベストシーズン!
透明度も上がってくるし、季節来遊魚(熱帯・亜熱帯性の魚たち)もまだいっぱい見られるぞ。
今月はその中でも人気のニシキフウライウオとその親戚筋を紹介。●構成・文/山本真紀(2017年11月制作)

錦の風来坊さんたち

ニシキさんの親戚関係

写真は頭を斜め下に向けて浮かんでいるニシキフウライウオのペア。パッと見は藻屑か枯れ葉、実に見事なカムフラージュ。撮影/東伊豆・富戸
◆分類
ニシキフウライウオはトゲウオ目ヨウジウオ亜目ヨウジウオ上科の中のカミソリウオ科というグループに属する(下記表参照)。カミソリウオ科はインド-太平洋の暖海に1属3種が確認され、他にカミソリウオとホソフウライウオがいる。ヨウジウオ亜目の魚たちは、いずれも奇妙な体型や長い管状の口を持つユニークな魚たち。水中写真の被写体としても人気だ。

トゲウオ目 
 ヨウジウオ亜目
 ・ウミテング上科(ウミテング科)
 ・ヨウジウオ上科(カミソリウオ科、ヨウジウオ科)
 ・ヘラヤガラ上科(ヘラヤガラ科、ヤガラ科)
 ・ヘコアユ上科(ヘコアユ科、サギフエ科)

ニシキフウライウオ

ヤギ類やウミトサカ類、ウミシダ類などの近くで、頭を斜め下に向けて静かに浮いている。体やヒレに皮弁が多く、基本的に縞模様があることが特徴。ただし、色はいろいろ。
❶赤いヤギの近くにいる赤い個体。基本的にホストに似た色をしていることが多い。撮影/東伊豆・熱海
❷こちらは緑ベース。茶や黒、黄など個体によってカラーバリエーション豊富。撮影/紀伊半島・串本
●英名:(Harlequin)Ghost pipefish ●大きさ:8~10cm ●分布:南日本の太平洋岸、琉球列島;インド-太平洋

錦さんの子育て事情

メスが卵を守ります

写真は腹側から腹ビレにある育児嚢を撮影したところで、隙間から卵がのぞく(すでに発眼しており、銀色の目玉が見えている)。カミソリウオ科の魚は、孵化までメスが卵を保護する習性がある。撮影/紀伊半島・串本

お子ちゃまです

まだまだ小さな幼魚は色素も未発達でボディはシースルー。カミソリウオか判断に迷ったので魚類研究者に見てもらったところ、ニシキフウラウイの幼体とのこと。撮影/インドネシア・ノーススラウェシ島

よく似た錦の仲間たち

ニシキフウライウオが属するカミソリウオ科には、現在のところ他にカミソリウオ(下記参照)とホソフウライウオという2種が確認されている。ホソフウライウオは尾柄部や吻が著しく長く、腹ビレにオレンジの斑点が出ることが多いといった特徴はあるもののカミソリウオと区別しづらい。また、今後の精査によって複数種に細分される可能性がある。

カミソリウオ

海藻の周辺を好むせいか生息水深はニシキフウライウオより浅く、また岩礁より砂地でよく見られる。ニシキフウライウオ同様、メスのほうがオスよりひとまわり大きく、腹ビレにある育児嚢で卵を保護する。
❸緑藻の近くにいるグリーンのペア。手前がメス、奥がオス。撮影/伊豆海洋公園
❹こちらは赤い個体。このほか白、黄、茶などカラーバリエーション豊富。撮影/東伊豆・八幡野
●英名:Ghost pipefish ●大きさ:8~10cm ●分布:南日本の太平洋岸、伊豆諸島、琉球列島;インド-西太平

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