第14回 海のいきもの 似てない親子~人気者でいこう!編
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幼魚から成魚へ成長するにつれ、模様がガラリと変わる魚を紹介してきた企画の第3弾!
まだまだたくさんの「似てない親子」はいるけれど、今回で一区切りといたしましょう。
というわけで、
今までの「マネっこ編」「性転換&ナワバリ編」から運悪く抜けてしまった赤ちゃん&親を紹介したします。
赤ちゃん界の超人気者です!
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クマドリカエルアンコウ
目の後ろの隈取り模様が特徴で、種類を区別しづらいカエルアンコウの仲間の中では、比較的見分けが簡単。
●幼魚:秋から冬にかけて、季節来遊魚として伊豆や紀伊半島でも見られる。小さいほど白が鮮明でカワイイ。
●成魚:成長するにつれ体が変色、表面も凸凹となってくる。数は沖縄でも少なく、大きさ10~15cmほどになる。
●黒タイプ:白→黄と模様替えをする個体が多いが、たまに幼魚のときから黒い個体もチラホラ。黄色の点もチャームポイント。珍しいのでとっても人気。
冬が旬! 天使の輪を持つ人気者
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ダンゴウオ
ダンゴウオの仲間は冷たい海を好む種類が多いのだが、形容詞の付かないダンゴウオは青森県以南の南日本各地で見られる。ただし、シーズンはやっぱり冬!
●幼魚:生まれたばかりのベビーは1cmに満たないおチビさん。頭にくっきりと白い帯があってキュート。ダンゴウオの観察を長年続けているエリアでは見られる確率高し。
●成魚:緑やピンクなど色はいろいろだが、よく見られるのは赤い個体。波やうねりがかかる岩場に多いが、腹ビレ部分の吸盤でくっついているのでノープロブレム。
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知られざる大物の幼い姿は・・・・
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コブダイ
佐渡島や房総半島(波左間海中公園)などで人気の巨大ベラ。成長すると70~80cmにも達し、オス(写真右)はデコッパチとなり下アゴも肥厚した厳つい面相となるが、幼いとき(写真左)はホントにごく普通のベラというお姿。
妖怪百目? 点々模様の幼魚たち
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ミナミハコフグ
●幼魚:ベビー界において最も有名なアイドルといえばこの子(写真左)。季節来遊魚として伊豆半島など近場の海でもおなじみで、岩や根の亀裂などでよく見つかるうえ、逃げ回らないので水中モデルにもぴったりだ。体中の黒い点々は、目玉とほぼ同じ大きさで、一説によると弱点である眼を隠しているとかいないとか。大きさは1~4cmほど。
●成魚:幼魚に比べ圧倒的にマイナー。逃げ足が速いのかダイビング水深にいないのか単に人気がないのか、写真も少ない。ここで紹介しているのはオスだが、メスは黄色やオリーブ色の地肌に黒縁取りのある白点が散在。15~20cm。
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カンムリベラ
●幼魚:ベラ幼魚界の2大スターといえばツユベラ(前々回で紹介」)とカンムリベラ。ツユベラはヒラムシやウミウシに擬態して身を守っているらしいが、こちらは背ビレの眼状斑や頭部にある多数の黒点で本物の眼の位置をごまかし、敵を惑わしているらしい。
●若魚:幼魚の派手な模様も、成長につれて地味に。写真は10cmほどの若い個体。面影はあるけれど色が無彩色で、残念ながらあまりかわいくはない。
●成魚:立派に成長した姿。大きさは20cmほど。カンムリベラは最大1mにもなるというが、そこまで成長した個体は頭部がデコッパチとなっている。
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おっとウッカリ忘れてた
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チョウチョウコショウダイ
コショウダイの仲間も成長につれガラリと模様が変わる種類が多い。その中でもユニークなのがコレ!
●幼魚:浅場や内湾でよく見られ、頭を斜め下に向けて体をクネクネさせる独特の動きをする。奇抜な模様と妙な泳ぎ方はヒラムシやウミウシへの擬態という説もある。
●成魚:幼少時の面影はほとんどない。大きさ30~40cmとなり、潮通しのいいサンゴ礁や岩礁で小さな群れをつくる。
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サザナミヤッコ
タテジマキンチャクダイ(前回で紹介)と並んで大型キンチャクダイの人気幼魚のツートップ。
●幼魚:季節来遊魚として夏から晩夏にかけて伊豆半島など近場の海に姿を見せるが、タテジマキンチャクダイより数が少ないようだ。和名の由来は、さざ波をイメージさせる幼魚の模様。大きさ1~5cm程度。
●成魚:成長すると30cm以上となる大型種。立派なお姿だが、ダイバーの人気度はやっぱり幼魚に軍配が上がるかも。