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本格的なスキンダイビングから
フリーダイビングの入り口までをカバー

新ブランド「GULL SKIN」誕生!

本格的なスキンダイビングからフリーダイビングの入り口までをカバー 新ブランド「GULL SKIN」誕生!

国産メーカーならではのこだわりで質の高い製品を次々に生み出している《GULL》。その新たなチャレンジとして、本格的なスキンダイビングからフリーダイビングの入り口までをカバーする新ブランド「GULL SKIN」(ガルスキン)が誕生しました。「海をより気持ちよく泳いでほしい」という想いで作られた新たな器材のこだわりを、「GULL SKIN」を立ち上げた(株)キヌガワの傍島浩史さんと、開発に協力したフリーダイビング日本女子代表「人魚ジャパン」の岡本美鈴さんにうかがってきました。

聞き手:鴫谷隆(マリンダイビングWEB編集長)

メイドインジャパンの新たなチャレンジ
「GULL SKIN」を立ち上げた理由

メイドインジャパンの新たなチャレンジ「GULL SKIN」を立ち上げた理由

――まずはどのようなきっかけで新ブランド「GULL SKIN」を立ち上げようと思ったのでしょうか?

傍島:きっかけは4年くらい前でしょうか。社内の会議で「人魚ジャパン」という言葉が出てきたのが始まりでした。《GULL》の製品はマスク、スノーケル、フィンがメインですが、当時フリーダイビングのことはまったくわからなかったので、まずはそこを勉強してみようと思い、共通の知人を通じて岡本美鈴さんにコンタクトをとり、また我々の古くからのディーラーで美鈴さんの師匠である松元さんにお話をうかがうなどしました。まだ「GULL SKIN」といった構想はまったくなかったのですが、「常に新しいマーケットを創造していく」という我々メーカーのポリシーとして、とにかくスキンダイビング/フリーダイビングに挑戦してみようと。美鈴さんには、真鶴まで行くなどストーカーのように追いかけていましたね(笑)

(株)キヌガワの傍島さん
フリーダイビング日本代表「人魚ジャパン」岡本美鈴さん

美鈴:そうですね。そのころは、まさか「GULL SKIN」というブランドができるなんて想像もしていませんでした。私たちは当時すでに10年以上フリーダイビングを続けていましたが、スキンダイビング、ましてやフリーダイビング競技はあまり認知されておらず、現地で出会う方や器材メーカーの方には「こういうスポーツなんです」という説明が必要なアクティビティでした。そこに《GULL》のような国内器材メーカーに目をつけていただけたのは、すごく驚きましたし、うれしかったです。私たちはもちろん、素潜りのすそ野を広げ、事故を減らしたいと思っており、素潜りに対する考え方や器材の選び方や使い方を学ぶだけでも事故を減らせることを確信していたので、そういったことをメーカーさんや地元の方に理解していただき、一緒に活動していけたらいいなと思っていました。

傍島:美鈴さんと話していてすごく感じたのは、アスリート/選手としてだけではなく、スキンダイビングやフリーダイビングといった水回りの遊びを「安全に楽しく普及していきたい!」という想いを持っていることです。そこに共感して、彼女と何か一緒にできないかと、まずは彼女が手がける真鶴のフリーダイビングフェスティバルをサポートするところからスタートしました。
そこで美鈴さんも所属している《アプネアアカデミー》などのいろいろなフリーダイバーに出会い、アドバイスをいただき、また《PADI》などのダイビング教育機関でも資格整備が進んできた結果「GULL SKIN」という構想に行きついたわけです。
ですから基本的にこの「GULL SKIN」は、何もわからない状態の中から始めて、美鈴さんをはじめとする《アプネアアカデミー》のフリーダイバーの方たちがいなければ、当然ここまでこられなかったと思います。

美鈴:本当にここまでこられたのは夢のようですね。最初にサポートをいただいた真鶴フリーダイビングフェスティバルの開催では、自分たちだけでは限界を感じていたところでした。私たちの目指すことに共感いただいて関わってくださったことがとても印象に残っています。

傍島:もともとの彼女の目標である「すそ野の拡大」していくということで考えると、我々はこれまでのMANTIS(マンティス)やMEW(ミュー)といった《GULL》製品の強みを生かしながら、本格的なスキンダイビングからフリーダイビングの入り口まで、まさにすそ野を広げるための製品展開を一緒にやっていけるのではないかと。そこに彼女たちのソフト(指導理論)とセットにすることができれば、お客様がとても受け入れやすいものになると思います。
今回、「GULL SKIN」という独自のブランドを立ち上げたのも、「本格的なスキンダイビングからフリーダイビングの入り口までをカバーする器材」と区分けすることで、そこに特化して製品開発できるうえ、お客様にも指導するインストラクターにもわかりやすく提供できるという考えがあったからです。まあ在庫は大変ですが(笑)。

美鈴:私たちが器材メーカーのキヌガワさんに貢献できるひとつとして、まずは開発サポートでしょうか。そして、その器材を快適に使えるアドバイスも併せてお伝えしていきたい、協力したいと思っています。ちなみにロングフィンに関しては、ほとんどが海外製なので、Made in Japanのロングフィン、日本で購入できることにとても憧れていました。今回の「GULL SKIN」の立ち上げは本当にうれしいことですね。

――では、そこから、いかに使いやすいものを作るかということに進んでいったというわけですね。

内容積100ccにこだわったマスク「ANELIA」と
シンプルなスノーケル
「CANAL FLEX SP」

内容積100ccにこだわったマスク「ANELIA」とシンプルなスノーケル「CANAL FLEX SP」

傍島:スキンダイビング/フリーダイビング用のマスクなので、やはり内容積が小さくて軽量、なおかつフィット感が良いもの。《GULL》らしさにもこだわって、マンティスのデザインを踏襲し、この「ANELIA」という形に行きつきました。中でもこだわったのが、マスクの内容積です。当社の代表的ローボリュームマスクの内容積でも110㏄なのに対し、「ANELIA」は内容積100ccを実現しました。特に確実な基準があるわけではないのですが、美鈴さんの師匠の松元恵さんから「100ccを切ってほしい」という熱烈なリクエストをいただいたもので。。。(笑)

――マスクの内容積は重要ですか?

美鈴:やはり内容積が少ないと「圧平衡」に大きなメリットがあります。たとえば10mをこのマスクで潜るとマスク内の100ccが水圧で50ccになります。圧平衡するには、減った50ccの空気を肺から出して補わないといけません。ですから、内容積が小さければ小さいほど、肺から出す空気を節約でき、そのぶんを耳ぬきに使えます。スキンダイビングやフリーダイビングに関しては、なるべく内容積が少ないマスクが良いというのが、世界のスタンダードになっています。

傍島:マスクの内容積を減らそうとすると、鼻がフレームに当たってしまったり、一眼だと強度の問題でガラスを厚くしないといけなかったり、いろいろと問題があります。。。フリーダイビングでは、ゴーグルにスカートがついているような形状のものもあり、今後研究していきたいと思っています。我々もシリコンスカートの部分は会社として絶対の自信を持っているので、あとはその形状と鼻との関係性さえうまくいけば、たぶん次のモデルはいけるのかなと想像しています。

美鈴:次のモデル、とても楽しみです。フリーダイビングには、ゴーグルにスカートがついているような内容積の少ないマスクが使いやすいですが、その分視野は狭くなります。なので、スキンダイビングでは好みが別れますね。その点では「ANELIA」はとても視野が広くて、内容積の狭さを実現しながらこんなマスクが作れるのかと、《GULL》の技術力に驚きました。私は実際に、海外遠征やレッスン、講習でも使っていますが、私にはぴったりです。スキンダイビングにもフリーダイビングにも使えるので、いつも愛用しています。

「ANELIA」詳細情報はこちら

――スノーケルは使ってみていかがでしたか?

美鈴:いいですね。軽いし、マウスピース部分が柔らかく、抵抗が少ない形状なので、スキンダイビングから競技まで今のところすべてのシーンで使っています。

――そもそも、スキンダイビングに適したスノーケルは、どのようなスノーケルですか?

美鈴:スキンダイビングでは、水面でスノーケル呼吸をしてから潜降し、水面に浮上し、また水面でスノーケル呼吸をして潜っていくという繰り返しなので、スノーケルは基本くわえたままになります。そのため重視したいのはマウスピースの快適さです。「CANAL FLEX SP」のマウスピースは本当に柔らかいです。これまでにいろいろなマウスピースを試しましたが、このシリコンの柔らかさがちょうどよく、特に口の小さい女性にはすごく合っていると思っています。私のスクールでもこれが合わないという声は聞いたことがありません。あと、排水弁がついていながらもパイプが抵抗の少ない形なので、水面移動もしやすいし、水中でもスノーケルがぶれにくい。スキンダイビングの導入としては使いやすく、人を選ばないのではと思います。

傍島:あとは、ドルフィンスイムや10mくらい潜って水面に戻ってくる際に、スノーケルの口元がジャバラだとぶれるので、ぶれないような形でしっかりとあごのところで止まるようにしています。それと、排水効率を考えて、極力シンプルな形にして邪魔にならないようにした結果、今の形になりました。《GULL》にはステイブルボディのスノーケルもあり、それでスキンダイビングができないわけではないのですが、やはりスクーバを中心に考えられているので、ぜひスキンダイビング/フリーダイビング用に開発した「CANAL FLEX SP」を使っていただきたいですね。「ANELIA」も「CANAL FLEX SP」もブラックとホワイトの2色展開です。少しずつですけれど、カラーバリエーションも広げていきたいと思っています。

「CANAL FLEX SP」
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柔らかいのにしっかり反発
気持ちよく泳げる
「SUPER SOFT MEW」

柔らかいのにしっかり反発 気持ちよく泳げる「SUPER SOFT MEW」

傍島:「SUPER SOFT MEW」は元々GULLのラインナップにあったのですが、「GULL SKIN」ブランドに移行しました。金型は普通のMEWですが、これをスキンダイビング用にするとどういうのがいいのかというところから始め、我々が一番自信を持っている、ゴムのしなりと、日本人の足の形に合う大きなフットポケットを武器に改良しました。この夏からはXSサイズを追加することが決まっており、もっと幅広く選びやすくなります。というのも、スキンダイビング/フリーダイビングは女性を中心に伸びてきていて、やはり足のサイズが小さい方も多いので、そこを対応しようということです。

美鈴:サイズの選択肢が増えるのはうれしいですね。《アプネアアカデミー》でスキンダイビングを始める方も女性が増えてきました。始める動機は「イルカと泳ぎたい」という方が多く、私自身もそうでしたが、イルカと泳ぐというところから海の楽しさにはまり「もっと上手くなりたい」とプール練習に来てくれます。海のためにプールで練習という考え方も広がりつつあり、指導者も増えてきたので今後フィンを使う機会はますます増えると思います。そこで、使用するフィンの硬さや足のサイズがフィットしていることは、快適さはもちろん上達や継続という点でも、大切な要素になりますね。

傍島:この「SUPER SOFT MEW」のゴムの硬度はリブ(両サイド)にはミューと同じ硬度を採用し、ブレードはさらに柔らかく快適な硬度を採用していて、正直スクーバではちょっと柔らかすぎるのです。なぜそこまで柔らかくしたかというと、素材がゴムなので重量があり、その重量を柔らかさでカバーしようという意図があるからです。すごく柔らかくてしなるので、俗にいう「自転車こぎ」のような方でも進みます。それを彼女たちに矯正してもらうと、もっと気持ちよく泳げるようになるはずです。ただ柔らかくしただけでなく、そういった目的を持って柔らかくしています。

美鈴:すごくいいなと思ったのは、リブ(両サイド)のゴムの固さと、ブレードで使用されるゴムの固さが違う点です。フィン全体が柔らかいと、蹴るパワーは軽くても反発が低く、水の抵抗に負けてしまって推進力につながりにくいのですが、このフィンはリブ部分がブレードよりも少し硬めなので、軽いパワーでも水をしっかりとらえて押してくれます。初心者の方、脚力に自信がない方や、お持ちのフィンでスキンダイビング中に重さを感じている方に、試していただきたいですね。
もうひとつ、フィンワーク練習用としてもおすすめです。例えば、「すぐ息が上がってしまう」「楽なフィンキックに修正したい」というスキンダイバー向けのフィンワーク練習用のフィンとしても使えます。プール練習用としては、ベテラン含めてすべての方にお使いいただけると思いました。

――この柔らかさに行きつくのは大変でしたか?

傍島:そうですね。工場で技術部が苦労して何種類も作って、もっと固いもの、もっと柔らかいもの、いろいろとテストして、ここにこういう硬さのゴムを仕込む、あそこにこういう硬さのゴムを仕込むなどをして、結局、これを「作った」というわけではなく、これに「たどり着いた」という感じですかね。

美鈴:私も泳いでテストしました。テスト方法は任せていただけたので、25mプールにて、水面と水中でスキンダイビングのゆったり速度と全速力泳にてダイブタイム、フィンキック数計測、疲労度の評価などを行ないました。全速力などは疲労でタイムも変わるので、20本泳いだ平均値を出したりもしました。数週間試用したうえで、初心者の方にはこっちがいいなとか、もうちょっと慣れた方にはこっちがいいなとか、その意見を傍島さんにお渡ししていました。

傍島:実は普通のスクーバインストラクターにも使ってもらったりして、いろいろな意見を総合してみました。スクーバだけを本格的にやっている人からはダメ出しをもらうこともあり、すべてが良い反応が返ってくるわけではないので、そこは精査をしながら進め、「GULL SKIN」のコンセプトに合うフィンが生み出せたと思っています。

「SUPER SOFT MEW」
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「GULL SKIN」の象徴的存在
念願のカーボンフィン
「GS carbon」

「GULL SKIN」の象徴的存在 念願のカーボンフィン「GS carbon」

――当初からカーボンフィンの開発は視野にあったのですか?

傍島:ありました。ありましたけど、まあ覚悟がいりますよね(笑)。
基本的にGULLのフィンはゴム製品がメインなのですが、やっぱり大深度にいったときや、水面に帰ってくることも考えれば、当然カーボンフィンは必要だろうなと。美鈴さんがおっしゃっているように、フリーダイバーの方たちが、インターネットで海外から買ったりしている中で、100%国産とまではいかなくても、やはり国産メーカーとして投入していきたいと思っていました。「GULL SKIN」というブランドを立ち上げようと決めたのは、このカーボンフィンの存在が大きかったですね。「フリーダイビングの入り口まで」を掲げている以上、ここは避けては通れないと思いました。

――やはり開発は大変でしたか?

傍島:はい、もう本当に大変で。大変といいますか、わからない中での手探りのスタートで、美鈴さんや《アプネアアカデミー》の方たちと一緒になって作り上げてきた感じですね。開発にあたっては2つのポイントがあり、ひとつはフットポケット、もうひとつはブレードです。

フットポケットは、日本人の足の形状に合わせるのが第一と考え、《アプネアアカデミー》からいくつもカーボンフィンをお借りして、いろいろ履いてみました。すごく細いのを履いて足が痛くなることもありました。最終的に決めたのが、段平で日本人の足に一番合いそうなこのフットポケットでした。まずはこのフットポケットの採用を決定し、次にブレードをどうしようかと進んでいきました。

ブレードは長さと固さ、あとはレイヤーといわれるカーボンの編み方、どこで調子をつけるかなどを決めていくわけですが、我々の社内で相談しても初めてのことでまったくわからず、結局何から始めたかというと、原始的かもしれませんが、美鈴さんたちにテストしてもらい、そのデータをとるということでした。データといっても、なかなか数値化するのは難しいので、「このフィン柔らかくていい」、「ちょっと固いほうが好み」など彼女たちの意見を聞いたり、彼女たちが普段使っているものを私たちも使わせてもらい対比したりしました。そのほか彼女たちの意見だけでなく、我々素人の履いた感じというのも重視しました。素人の我々がうまく使いきれないのはやはりダメかなと。本当にいろいろと調整していきながら、このロングブレードとミディアムブレードという長さに落ち着き、1年くらいかかりようやく製品にすることができました。

美鈴:海でもプールでも相当泳いでテストしましたね(笑)。最初の指標にしたのは脚の「疲労感」でした。フリーダイビング的な潜りだけでなく、ゆったりとしたスキンダイビングのフィンワークもテストし、ダイブタイムのデータをとりました。疲労感については傍島さんのおっしゃるとおり数値化するのは難しいのですが、イルカと泳いでいるつもりでまったく休みなく泳いだ場合、抵抗のある水面をちょっと急ぎ気味で泳いだ場合、初心者の段階に多い膝蹴した場合、泳ぎを修正したあとの理想的なフィンキックで蹴ってみた場合はどうか、それを全速力でやってみてどうかなど。様々なレベルとシーンを想定し、腿や足首の疲れ具合を確かめました。

柔らかいタイプ、固いタイプとそれぞれ個性がありました。固いタイプはパワーが少し必要ですが、スピードも楽しめる。柔らかいタイプは、ゆったり泳ぐと脚の負担がかなり楽。硬さと長さで計4種類のフィンがありますが、柔らかくて短いタイプは初心者スキンやスノーケリングでも楽しめるな、スキンダイビング経験者やフリーダイビング初心者だと柔らかめのロングかな、男性ダイバーなら硬めロングかな、など自分の中でいろいろな想定を作って、疲労感や、息があがる感じなどを試していました。

GULL SKINのテストスイム

傍島:まず美鈴さんに使ってもらったのがロングブレードの長い方で、これはプールの横に泳ぐ競技や練習用に非常にいいという評価をいただきました。一方、ミディアムブレードの短いほうは、バラクーダと同じくらいの長さで、短くしたぶん固くなるのですが、柔らかいフィンよりパワフルになります。なので、ドルフィンスイムや2本目のカーボンフィンに向いていますね。この長さのものは実はあまり販売されていないです。なので、ロングフィンは持っているけれども、もうちょっと練習用やサポート用に取り回しのいいフィンが欲しいというニーズに合っていると思います。

レイヤーの織は、しなったときに横ブレを防ぐような形にしており、ソフトタイプと、若干それよりも固いソフトプラスの2種類を用意しました。長さで2種類、固さで2種類の計4種類。まずはこれで提供していこうと。他のフィンを販売したときもそうなのですが、お客様に使ってもらうと「もうちょっと固いほうがいい」などいろいろな意見が出ると思うのですが、これはもう出してみないとわからないので、まずはここからスタートさせ、さらに広げていけたらと思っています。

美鈴:GULL SKINの 「CARBON FIN」はフリーもスキンも両方楽しめるフィンですね。スキンダイビングだけでなく、フリーダイビングの入門者にも本当におすすめです。カーボンは反発力があるので、軽いパワーでブレードが水を押してくれて、楽に進みます。それを生かすフィンワークを組み合わせると、酸素消費量を節約でき、水の中を長く潜水できるようになります。フリーダイビング初心者の方にはぜひ履いてほしいですし、スキンダイビングからこのカーボンフィンを使い、フリーダイビングに興味が出てきたらそのままフリーダイビングも楽しむという流れもいいと思います。

スキンダイビングにおけるカーボンフィンは、これまでは「フリーダイビングの競技用」というイメージが強く、たとえばイルカと泳ぎたいという方には、難しそう、費用が高い、入手しづらい、など実際に使うイメージが持てない器材でした。でもちょうどここ2、3年で、海外のロングフィンメーカーもスキンダイビング向けの短いカーボンフィンを製造するようになってきました。世界中でカーボンフィンがスキンダイビングの器材として普通に使われるようになっています。このタイミングでカーボンフィンが国内で入手できるようになるというのは、かなり画期的だと感じています。

GULL SKINを履いてプールでテストスイム

私はミディアムブレードのフィンをとても気に入っています。推進力はバラクーダと同じかそれ以上、なのに軽い! 競技の水面でのサポートや、スキンダイビング、ドルフィンスイムでは活躍しそうです。重量も軽いので持ち運びもしやすいですね。

ただ、カーボンフィンならではの弱点もあります。デリケートな素材なのでビーチエントリーなど、岩場では気をつけなければなりませんし、小回りが必要なところには向いていないので、浅場のスキンダイビングやスクーバダイビングなら従来のゴムフィンがいいですね。でも、そういう心配がないところ、たとえばドルフィンスイムのようなボートエントリーのポイントや、プールでは十分楽しめると思います。バラクーダが重くて使いこなせていないという方にはぜひ試してもらいたいですね。あと持ち運びが軽いというのも大きな魅力です。

それと、最初は気づかないかもしれませんが、GULL SKINの「CARBON FIN」はフットポケットの角度が結構ついています。フィンキックの際は、身体とフィンブレードが同じ水平ラインに近い状態だとブレードが水をつかみ良く進むのですが、それには足首を常に真っすぐ伸ばしている努力がいります。このフットポケットに角度がついていることで足首が多少曲がっていてもブレードと身体のラインが水面で揃うので、効率よく進みます。足首がちょっと固い方、まっすぐにするのに力が必要な方など、このフィンだとブレードと体をまっすぐにしやすい。水面移動がかなり楽になりますよ。私は海外のカーボンフィンも使っていますが、このフィンは現時点ではかなり完成度が高いと思っています。

GULL SKINの「CARBON FIN」

「CARBON FIN」詳細情報はこちら

今はあくまでもスタート地点
できることを広げ、
さらに進化させていく

傍島:我々としては単に商品を出して終わりというのではなく、ここからできることを広げて、進化させていく必要があると考えています。いろいろと苦労して開発してきましたが、やはり合う人、合わない人は出てくると思います。我々が訴えたいのは「まずは使ってみて、それから買ってください」ということ。そのために、モニター会やショップへの貸し出しなど、お客様が試すことができる機会を増やしていくつもりです。そこで実際に使っていただいて、いろいろな意見をいただき、それをまた次の商品開発に生かしていく。それが「すそ野の拡大」につながってくると信じています。

美鈴:そうですね。まずはこの「GULL SKIN」が登場したことにより、スキンダイビングやフリーダイビングに興味を持つ方がぐっと増えると思います。そこからの広げ方や進化も大切ですね。器材を楽しんでいただくための指導も進化していかなければと考えているので、いきなりスタートではなく、傍島さんの「まずは使ってみて、そこから」という部分はとても共感します。

傍島:それと、我々ももっと勉強をして、スキンダイビング/フリーダイビングの周辺器材というものも揃えていければと思っています。今は、フリーダイビングで美鈴さんたちが着ているものをヒントに、抵抗がないように表はスキン生地で裏はジャージ生地のウエットスーツや、フリーダイビングで使えるゴムのベルト、デリケートなカーボンフィンを傷つけないためのカバーなど、実用性に優れていることはもちろんのこと、「私はスキンダイバーです、フリーダイバーです」といったことがアピールできるような商品も提供できるといいですね。

美鈴:やはりスキンダイビングやフリーダイビングでは、器材の影響は大きいですね。効率だけでなく、メンタル面にも。傍島さんのおっしゃるように、つけているだけでスキンダイバーやフリーダイバーとわかるような器材って自分自身でもワクワクして、モチベーションがあがります。また、フィン先のカバーなど小さなお悩み解消アイテムも、お気持ちがありがたい! これまでの素潜り用器材はあまり選択肢がなく、自分が器材に合わせたり、慣れてしまったり、体力がある程度つけば使えるといったものが多かったのですが、この「GULL SKIN」の登場によって、入り口が広がり、個々に合う選択肢があることでスタートしやすくなりました。

傍島:あとは先ほども言いましたが、我々としてはお客様がこの器材を使える機会を少しでも増やしていきたいですね。美鈴さんの生徒さんでフリーダイビングをしている方を見ていると、1秒、5秒の時間や1m、5mの距離で一喜一憂しているわけです。どれだけ自分が練習してきたことで自己ベストを更新することができたか。我々の当面の次のステップは、そういう機会を、我々も一緒になって増やしていきたいというところです。スキンダイビングについては御蔵島などのゲレンデもあり、たとえば美鈴さんのところで練習をして、じゃあゲレンデに行きましょうとできる。でもフリーダイビングの大会は、なかなかないですよね。ですからメーカーとして器材を提供した以上、美鈴さんたちが手掛けるフリーダイビング大会などに少しでも応援しながら、大会が運営しやすいお手伝いをしたいと思っています。そしていつかは《GULL》としても大会などのイベントを実施するのが夢ですね。そういう場を提供することによって、我々の製品も生きてくるかなと。本当は「うちでプール買います!」といいたいところですけどね(笑)

「GULL SKIN」は、単にモノというだけでなく、そこに関するいろいろなものがあって、本当に可能性があるなと。ダイビング業界でこんなに新しいことは久しぶりだと思うので、このすそ野をさらに広げていければと思っています。

――「GULL SKIN」のさらなる進化を楽しみにしています。ありがとうございました!

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メイド・イン・ジャパンのこだわりと技術がダイバーをさらなる高みへ GULL
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