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ニュース2020.02.18

実はビギナーダイバーにこそ使ってほしい
注目度上昇中の「フルフェイスマスク」って何?

沖縄では体験ダイビングで利用するショップも増えているなど、注目度が上がってきている「フルフェイスマスク」。どのような仕組みなのか、どんなメリットがあるのかなどを、フルフェイスマスクの普及に努める一般社団法人《海中技術研究開発センター》代表理事の慶松亮二さんに聞いてみました。

フルフェイスマスクってどんなマスク?

現在のレジャーダイビングの主流は、「ハーフマスク」という鼻と目を覆う素潜り用マスクにレギュレーターを組み合わせたスタイルになっています。これはスキンダイビングの名手だったジャック・イブ・クストーが、「もう少し長く水中に留まりたい」という気持ちから作り出したもの。ですから“鼻で呼吸することができなくて当たり前”というスタイルなのです。

しかし人間は、鼻と口で呼吸できて初めて十分な呼吸量を確保することができる生き物です。「フルフェイスマスク」は、この口と鼻で呼吸できるスタイルを提供します。それにより万一の際の換気不足からくる、恐怖感やパニックを相当程度防ぐことができる優れものなのです。とにかく鼻で空気を吸うことができる安心感と快適さは、一度体験すれば病みつきになるでしょう。

フルフェイスマスク》

フルフェイスマスクのメリットは?

フルフェイスマスクの最大のメリットは、「パニックを防止して潜水の安全性を飛躍的に高める」ことなのですが、そのほかにも数々のメリットがあります。

まず、「マスククリアがいらなくなる」ということが挙げられます。
マスククリアの技量がいらなくなることはありませんが、フルフェイスマスクそのものが、マスククリアを必要としない構造(勝手に水が出ていく&そもそも水が入りにくい)になっているのです。

もちろん、フルフェイスマスクが外れてしまったり、必要があって外した時には、ハーフマスクに交換するか、または再度フルフェイスマスをつけ直すわけですが、この際はマスククリアをしなければなりません(こういう事態そのものが滅多に起こるわけではありませんが)。

次のメリットに「耳ぬきがしやすい」という点が挙げられます。
鼻と口が自由に使えるので、唾を飲むことも顎を動かすことも容易にでき、陸上で高層階にエレベーター移動するときと同じように耳ぬきをすることができます。もちろん、鼻をつまんでの耳ぬきもできます。

もうひとつの大きなメリットとして、「水中で会話ができる」ということがあります。
水中会話装置を使って会話する際にも、レギュレーターをくわえていないので明瞭に話すことできるのですが、もっと凄いのは、何も装置がなくても少し大きな声で話せば、バディと明瞭に会話ができるということです。

バディが話している間、ちょっと呼吸をセーブして(排気音が邪魔をするので)聞き耳を立てれば十分に聞き取ることができるでしょう。もし聞こえなければ、もう少し大きな声で話すように伝えましょう。少し慣れれば普通に会話することができるようになります。

まだまだフルフェイスマスクのメリットは数多くありますので、簡単に列挙してみましょう。
●冷たい水に肌が触れないので、冷たい水への対応力が向上します。
●濁水や汚水に対して保護になります。
●顎が疲れません。
●顎や歯にダメージを持つ人でも快適に潜れます(レギュレーターをくわえなくてよい)。
●呼吸する空気が湿っていますから、喉の渇きが起こりにくくなります。
●呼吸ガスが温かく、体の冷えが緩和されます。
●万一水中で失神しても、レギュレーターが口から外れる恐れがないので、溺水が起こりにくい。(ただしエア切れの場合は、浮上後すぐにフルフェイスマスクを外さなければなりません)

フルフェイスマスクを使ううえでの注意点は?

最大のデメリットは、万一マスクやレギュレーターが壊れたり、エア切れという事態になった時の対処です。フルフェイスマスクを外して予備のレギュレーターをくわえ、さらに携行している予備用のハーフマスクを着けてマスククリアをしなければなりません。ハーフマスクのスタイルの時よりひと手間余分に必要です。そのため、正しく対応できるように新たな練習が必要となります。

 次の問題点は、レンタルのフルフェイスマスクを置いているダイビングサービスはまだ少ないと思われるので、どうしても購入する必要があるということです。安全で快適なダイビングには良い買い物だと思いますが、予算は必要な要素です。

同じくフルフェイスマスクのダイバーと潜った経験のあるガイドやバディが少ないこともデメリットのひとつです。ダイビングの前には、自分の使うフルフェイスマスクの緊急事態について伝える必要があります。


ややもすると「テクニカルダイビングなどの特殊なダイビング向け」のように思われがちなフルフェイスマスクですが、そのメリットを見ると、実は初心者ダイバーにこそベストなマスクなのではないかという気もしてきます。耳ぬきに不安がある人や、水中での呼吸にストレスがある人などは、試してみるといいのではないでしょうか。

とはいえ、むやみに使うのではなく、慶松さん曰く「メリットの多いフルフェイスマスクですが、新しい機材が増えるということは、正しい知識と技術を伴わないと重大なデメリットとなってしまうかもしれません。正しい指導を受けてフルフェイスマスクスペシャリティダイバーになりましょう!」とのこと。

 今後、フルフェイスマスクが使える環境がどんどん広がってくるといいですね。

 ●写真・情報提供/一般社団法人《海中技術研究開発センター》

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