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レポート2023.09.29

水中での活動範囲をさらに広げる、マレス「HORIZON」XR(エクテンデッド・レンジ)に挑戦!

ダイビングの楽しみをさらに広げるスタイルとして注目したいのが、マレスのスポーツリブリーザー「HORIZON」。「マリンダイビングWeb」でも以前にその講習の模様をお届けしましたが、実はさらに水中の活動範囲を広げるコースが用意されています。それが「SSI HORIZON SCR XR(Extended-Range)DIVERコース」。どんなコースで、このコースを受講することで何が変わるのか、ディーラーである東京・巣鴨の《アクアクエスト》での講習の模様と共に詳しくお届けします。

◆マレスHORIZONとは

イタリア生まれのダイビング器材ブランド「Mares(マレス)」から登場したスポーツリブリーザー。リブリーザーのリーディングカンパニーであるrEVO社と共同で開発した、画期的なレジャーダイビング用リブリーザーで、ダイビングの新たな可能性を広げる器材として注目されています。HORIZONで潜るためには、「SSI HORIZON SCR DIVERコース」もしくは「SSI HORIZON SCR XR(Extended-Range)DIVERコース」を受講する必要があります。

▶「SSI HORIZON SCR DIVERコース」の講習の模様はこちらをご覧ください

◆マレスHORIZONとは
◆マレスHORIZONとは

XR(Extended-Range)とは

SSIのExtended-Range(エクステンデッドレンジ)プログラムとは、その名のとおり、ダイビングの楽しめる範囲を拡張するためのプログラム。SSI HORIZON SCR DIVERコースでは、1種類のエンリッチド・エアを使用して、最大水深30mまでの範囲を無減圧で潜るのに対し、SSI HORIZON SCR XR(Extended-Range)DIVERコースでは、2種類のガス(ボトムガスと減圧用ガス)を使用し、最大水深40mまでの範囲を減圧(最大25分)して潜ります。水中での活動範囲がさらに広がり、楽しみの可能性をより高めることができるコースとなっています。

XR(Extended-Range)とは

最初からSSI HORIZON SCR XR DIVERコースに参加して、すべてまとめてトレーニングすることもできますし、まずはSSI HORIZON SCR DIVERコースに参加して、後から追加トレーニングでHORIZON SCR XR DIVERを目指すこともできます。今回は後者のパターンで、SSI HORIZON SCR XR DIVERに認定されるのに必要な追加トレーニングを受講しました。

-学科セッション-
減圧ダイビングを計画するための様々な計算方法を学ぶ

SSI HORIZON SCR XR DIVERコースで学ぶ学科セッションは全部で8セッション。うち7セッションはSSI HORIZON SCR DIVERコースで終えるので、追加トレーニングとしては1セッションだけですが、ここで初めて減圧ダイビングについて学ぶので、しっかりと学習する必要があります。特にボトムガスや減圧ガスのガス量の計算をはじめとする潜水計画の計算は、これまでよりも複雑になるため、理解できないまま進んでしまうことがないよう、ひとつひとつ確実にこなしていくことがおすすめです。

Eラーニングでセクションの学習を終えたら、次はショップでインストラクターからレクチャー。《アクアクエスト》では澤田さんが、ホワイトボードを使いながら潜水計画の計算についてわかりやすく解説してくれます。すごいのは、《アクアクエスト》には計算するためのExcelシートがあるのですが、それをお客様が作ったということ。必要な項目に入力すれば、自動で計算してくれてとても便利。日々アップデートされており、これさえあればHORIZONでの減圧ダイビングの計画も、素早く確実に立てられるのはうれしい限りです。おかげで最終テストにも無事に合格することができました!

Eラーニングではセクション8を学習

Eラーニングではセクション8を学習

澤田さんがわかりやすく解説してくれます

澤田さんがわかりやすく解説してくれます

ガス量の計算についての考え方 

ガス量の計算についての考え方 

オリジナルのExcelシートがすごい!

オリジナルのExcelシートがすごい!

-海洋トレーニングセッション-
ガススイッチなど減圧ダイビングの手順を実践

以前のSSI HORIZON SCR DIVERコースでプール/限定水域セッションを1セッション、海洋トレーニングセッションを4セッション終えているので、今回は限定水域で復習をした後、海洋トレーニングセッションを2セッション実施。まずは、SSI HORIZON SCR DIVERコースで身につけたスキルがきちんと実践できるかおさらいしていきます。Sドリルをはじめ、高酸素、低酸素、高炭酸ガスなどのトラブルの対処法をしっかりと確認。SSI HORIZON SCR DIVERコースではボトムガスのみだったシリンダーが、今回はボトムガスと減圧用ガスでシリンダー2本となっており、そこも大きな変化です。さらに、DSMBの使用など、今回のトレーニングダイブでの必須スキルも実践していきます。

ボトムガスと減圧用ガスの2本のシリンダーを使用

ボトムガスと減圧用ガスの2本のシリンダーを使用

チェックリストを確認しながらセッティングしていきます

チェックリストを確認しながらセッティングしていきます

トラブル時の対処法もしっかりおさらい

トラブル時の対処法もしっかりおさらい

DSMBの打ち上げなどの必須スキルも実践

DSMBの打ち上げなどの必須スキルも実践

そして今回のトレーニングのメインとなるのが、減圧ダイビングの手順の実践。潜る前に計画した時間/深度に沿って、ダイビングを実行していきます。つい長居をしてしまわないようにダイブコンピュータをチェックしながら、各深度での滞在時間を守って移動し、計画していた深度まで浮上したところで減圧用ガスにスイッチ。しっかりと計画した時間通りのダイビングができたときには、通常のレクリエーションダイビングにはない達成感を味わうことができました! ミッションを達成した喜び、ぜひ皆さんにも味わってほしいと思います。

計画に沿って減圧ダイビングを実施

計画に沿って減圧ダイビングを実施

浅場では減圧用ガスにスイッチ

浅場では減圧用ガスにスイッチ

なお、HORIZONの講習は、本数を潜れば、あるいはスキルができればOKというわけではなく、ランタイムも規準となっているため、経験時間も達成しての認定となります。今回の講習でも、スキル練習以外の時間、特に深場で生物を観察する時間もたっぷりととられていたため、普段はなかなかゆっくり観察できないハナダイたちや、マトウダイなどの深場の魚もじっくりと堪能することができました。呼吸音が少ないため、魚たちに寄ることもでき、フィッシュウオッチングやフォト派ダイバーにもHORIZON SCR XRはおすすめだと感じました。

ハナダイたちもじっくり観察が可能 

ハナダイたちもじっくり観察が可能 

深場に棲むマトウダイも登場!

深場に棲むマトウダイも登場!

《アクアクエスト》澤田さんが語る
HORIZON XRの魅力

《アクアクエスト》澤田さん

《Diving Lounge aqua QUEST(ダイビングラウンジ アクアクエスト)》
TEL:03-6906-8177
〒170-0002 東京都豊島区巣鴨1-31-6
HP:https://aquaquest.jp/

HORIZON XRの魅力は、より深く潜れることではなく、普段のレクリエーションダイビングで行ける深度、例えば水深25mあたりをターゲットとして減圧計画を立てて、長く潜っていられること、それも10分とかではなくかなり長くいることができ、かつ安全にダイビングをできるのが魅力だと思います。本当の意味でのボトムタイムを長くすることができ、しかも計画を立てて、ガス量の計算までできるというのが、HORIZON XRの一番の特長ではないでしょうか。特に水深20~25mあたりの、魚が群れていたりソフトコーラルが生い茂っている、いわゆる一番ダイビングのおもしろそうなエリアに長く滞在できるのはうれしいですね。今まではずっと残圧の心配またはDECOの心配をしながら潜っていましたが、その心配がなく遊べるのは快適です。

また、HORIZON XRで身につける知識には、通常のダイビングやHORIZON SCRでのダイビングに還元できる部分もたくさんあります。たとえば残圧の管理について、通常のダイビングではざっくり3分の1ルールですが、HORIZON XRでガス量の計算について詳しく学ぶことで、よりロジカルに把握することができるようになります。減圧についても、「DECOが出てしまったので、じゃあ3mで減圧停止しなければ」と行き当たりばったりだったのが、事前にきちんと計算して計画を立て、より安全に帰ってくることができるように。技術的なことよりも、そういった知識を身につけて心構えをしておくという意識的なものがすごく大切だと感じています。

《アクアクエスト》でHORIZON XRを楽しんでいるゲストの皆さんがおっしゃるのが、「DECOやエア切れを気にすることなく楽しめるのがうれしい」ということ。今までは1日何ダイブするかという考え方でしたが、HORIZON XRの場合は1ダイブで何分潜るか。「1ダイブで1時間半潜る」なんてこともできるので、1ダイブの充実感がものすごく大きく、通常のダイビングを2本した時よりも満足感が得られると評判です。また、1日の時間を有効に使うことができるので、食事などのアフターダイブの時間もたっぷりとれるのも魅力。皆さんもぜひHORIZON XRでのダイビングを楽しんでみませんか?

SSI HORIZON SCR XR DIVERコースを受講してみて

SSI HORIZON SCR DIVERコースを受講してからしばらく間が空いての受講となったSSI HORIZON SCR XR DIVERコースですが、前回以上にリブリーザーの魅力を感じることができた結果となりました。「減圧ダイビング」というと、テクニカルダイビングの領域で、すごくハードルが高いように感じるのですが、HORIZON XRは「いつものダイビングの楽しみの幅をさらに広げる」といったイメージ。今まで「もう少しゆっくりと見ていたかった」と思う水深での滞在時間がぐんと延び、「この水深にまだいて大丈夫なの?」と驚くほどゆっくりと楽しむことができました。じっくりと粘って水中写真を撮りたい人にも、HORIZON XRはおすすめのツールだと思います。もちろん、高酸素、低酸素、高炭酸ガスへの対処など、手順をきちんと守らないと、重大なトラブルや死につながることも。信頼できるディーラーでトレーニングを受けることの重要性も改めて感じました。しっかりとトレーニングを重ねながら、HORIZON XRを楽しんでいきたいと思います。

感想

(写真・文/鴫谷隆)


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