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こだわりの“しなり”と“ジェットホール”で抜群の推進力を実現
《GULL》GTフィン誕生!
これまで数多くのフィンを世に送り出し、多くのダイバーから支持される《GULL》。その新たなラインナップとして注目されていたフィン「GT」がいよいよ2020年10月、発売されます。発売に先立ってテストで使ってみた「マリンダイビングWeb」編集長の鴫谷もその使い勝手の良さにすっかり虜に。開発のきっかけや製品のこだわり、苦労などを、(株)キヌガワ営業部の傍島浩史さんと、開発に携わった技術部の藤田尚隆さん、播磨めぐみさんにうかがってきました。
聞き手:鴫谷隆(マリンダイビングWEB編集長)
GTフィン開発のきっかけ
(株)キヌガワ営業部の傍島浩史さん(右)と、開発に携わった技術部の藤田尚隆さん(左)、播磨めぐみさん(中央)
――待望のGTフィンがいよいよ発売となります。僕もテストで使わせていただき、その使い勝手の良さにすっかり惚れてしまったのですが、そのインプレッションは後に置いておいて、まずはGTフィンを開発しようと思ったきっかけを教えていただけますか?
藤田:今回のジェットホール型の前にバラクーダを出したこともあって、スピード系のフィンではないものを作ろうと始まり、官庁やコマーシャル系向けのハードスペックのフィンがいいのではないかという話になりました。実はハードスペックのフィンを作りたいという想いはずっと前からあったのですが、スキューバプロさんのジェットフィンのパテントがあったり、製造手法が独特だったりで、なかなか開発にまで至りませんでした。その後、マンティスフィンやココフィンといったジェットホールをつけたフィンを弊社でも製造し始めたことをきっかけにジェットホール付きの成型方法を確立し、やっと準備が整ったと思いました。営業部からも、すでにショートやロングなどいろいろな種類のフィンがある中で、新しいジャンルが欲しいというリクエストもあり、では次のアイテムはハードスペックにしようと決めたのが、そもそもの始まりですね。
――昔からの想いに状況が追い付いてきたというわけですか。
藤田:そうですね。それと個人的なことですが、私自身がずっとジェットフィンを使っており、いつかは自分の手でジェットフィンタイプを作りたいという想いがあったのも大きいですね。
――最初のお話をうかがうと、あまり一般ダイバー向けではないフィンを開発したように思えるのですが。。。
藤田:確かに最初はかなりのプロ向きに考えており、「使えるものなら使ってみろ!」ぐらいの勢いで(笑)設定していたのですが、いろいろとトライアルを重ねていくうちに、せっかく良いフィンを作るならやはり一般のダイバーの皆さんにも使っていただけるものにしようと設定が変化していきました。
傍島:営業部からも開発に賛成を出した背景としては、近年のダイバーのフィンの好みと、ドライスーツの使用状況が、昔と大きく変わっているということがあります。昔はパワフルで長めで、ちょっと硬くて、「これを履いているとかっこいい」というようなフィンが人気でしたが、今はそうではなく、柔らかいフィンが好まれるようになってきました。また、ドライスーツのマーケットも劇的に変化しており、1年の多くの部分をドライスーツで潜るというダイバーが増えていますよね。そうするとマンティスドライのようにドライスーツに合った、ちょっと重量があるフィンもいいのではないか、もっとドライスーツユーザーに対して喜んでいただけるようなフィンがあるといいのではないかと考えました。そのあたりも踏まえて、先ほど話のあったようにジェットフィンを使っていて「パワフルなものを作りたい」という藤田の想いがあったり、播磨の技術部の考えもあったりで、意見をいろいろやりとりして紆余曲折がありながら、ここまでたどり着いたという次第です。
――そうして開発が決まって進むわけですが、開発に当たってこだわった点、苦労した点は何ですか?
傍島:私たち営業部から入れたリクエストは、ジェットフィンタイプ(ジェットホールを持っているフィン)というのは、スキューバプロさんをはじめ、多数のメーカーが製品化していますが、短くて硬いものがほとんどです。
――そうですね。「ジェットフィン=硬い」というイメージがあります。
傍島:少し長めのものや樹脂で軽めのものなどもようやく少し出てきたのですが、やはり硬めのものが多いと思います。ゴム特有の「しなり」を重視しているメーカーなので、ジェットホールを持ちながら「しならせてほしい」、ジェットホールからの、「水流の抜け感を体感できるものにしてほしい」という2点を備えたフィンを作ってほしいというのを、最初のリクエストとして出しました。
ポイント① しなり
藤田:「しなり」はゴムフィンメーカーの弊社では、第一条件で譲れないところです。ただし、フィンにかなりのボリュームがあるので、本来であればかなり固くなってしまいます。そこでゴムの配合や製品の厚みなどを考慮し、長さのあるセミロングというサイズ感を損なわないようバランスを取りながら設計しました。
――「しなり」を考えると、ゴムの固さやフィンの形状が大きいと思うのですが、作っていてどのような点が大変でしたか?
藤田:当然、ゴムの固さもあるのですが、幸いゴムの固さについてはかなりのレパートリーがあります。ある程度は形が決まってからでもゴムの固さや反発弾性など、ゴムの持っているスペックの調整はできるので、まずは形状を考えるところからスタートしました。ゴムフィンを作って歴史もあるので、その経験値や用途を活かして、厚みや幅、固さをイメージして理想の形状に落とし込むところが大変でした。
傍島:私たちが「しなり」を求めたのは、やはりジェットフィンのイメージが「ショート&ワイド」で、本当はそうではないかもしれないのですが「しなる場所がない」という固定観念があったからです。《GULL》にはサイファーというショート&ワイドのフィンから、バラクーダのようにロングで幅の狭いものまであるのですが、セミロングと言われる長さのフィンはありませんでした。少し長めだけれどロングまではいかない、それを実現できればしなるのではないかということで、開発を始めました。結果として、ジェットフィン型なのですが、SUPER MEW XXと同じようなしなりを実現しています。
――僕も実際に使ってみたときに、今まで抱いていたジェットフィンのイメージとは異なり、すごくしなっているのに驚きました。
播磨:パワフルさを失わないフィンの固さ、最適なしなりの調整というのは、何度も試作を繰り返し行ない、社内外の協力者にテストをしていただいて、最も適している硬度や配合を選択しました。
――理想のしなりを実現するのは、かなり大変でしたか?
播磨:そうですね。できることはすべて試してみました。「ゴムの仕込み」というものがあって、フィンの中でもここは柔らかくしてここは固くとか、全部固くしてみたりなど、弊社ではいろいろな硬さのゴムやパーツを用意できるため、ゴムの硬さだけでなく、配置でも機能調整ができます。「ハイブリッド」と弊社では呼んでいますが、ここは柔らかくしてここは固くとかいうのを何通りも用意して試していくうちに、だんだん組み合わせがわからなくなっていってしまうのですが(笑)。GTには最終的には3種類の固さのゴムを使っています。
――それによってしなり具合をうまく出しているのですね。
藤田:それと、フィンとして硬くないといけないところと、柔らかくないといけないところがあるので、履いたダイバーにとって気持ちいい性能が出る設定の硬度のバランスをとっています。
伊豆半島・熱海の「沈船」でのテスト使用。ジェットフィンタイプとは思えないほどフィンがよくしなっているのがわかります。グングン進み、推進力は抜群!
ポイント② 水の抜ける感覚
藤田:ジェットホールの水の抜け具合というところでは、グループ内でも私が一番ジェットフィンを使っている時間が長かったので、その経験を生かしました。形を作るのにはいろいろな手法がありますが、弊社の持っている製造設備の機器にあった金型を用意するのには特殊な手法をとっています。その金型の鋼材が10~20年前だとこの手法には向かない強度だったのが、新しい鋼材が出てきていて安心して進められるということもあり、今回の形に取り組むことができました。
――ジェットホールのところで播磨さんが設計に苦労した点はなんですか?
播磨:弊社の設備機器に合わせた特殊な金型構造という前提条件があったため、ジェット効果を生むためにホールの水の入口をどう広くできるかが課題でした。「入口は広く、出口は狭く」というのが理想的なのですが、金型構造の都合でホールの形状には制限があったため、ジェット効果と金型構造条件の両方をクリアできるように考えて設計に落とし込むところが難しかったですね。
藤田:そこが今回の設計の醍醐味でもありますね。金型から品物が取り出すにも取る方向があるので、本当は広げたいけれども、狭くしておかないと金型から取り出せないなど考慮しなければいけないこともあります。金型を作るには、車1台が余裕で買えるくらいのお金がかかりますから、何個も金型を作るわけにはいきません。フィンとして理想の形で設計に入るのですが、そこで製造上の都合で譲らないといけない部分と、譲れない部分と、試行錯誤しました。
傍島:私たち営業部は技術部に対して「こういうものが欲しい」「こうしたい」など勝手なことばかり言います(笑)。それに技術部が可能な限り対応してくれます。今回も「ジェットホールの水の抜け感」について、営業部としてはわかりやすいセールストークが欲しいと。たとえば「しなることによってよりジェットホールに水が集まりやすくなります」と言われても、理屈でしかわからない。本当にそれが効いているのか、体感していただくのが理想ですが、やはりトークでも明確にアピールできるものがほしいわけです。そこで藤田が出してくれたのがこれですね。
藤田:やはり技術者として、既存のものを同じように作るだけではとても我慢がならない(笑)ので、プラスαをつけようと考えました。営業部からも「同じものを作っても意味がない」、「セールストークも欲しい」ということで、いろいろと考えた結果、ジェットホールに新しいシステム「ジェットホールスタビライザー」(特許出願中)をつけました。ジェットホールに細工をしているフィンは世界中にないので、そこに着目しました。より効率よく水が抜ける、かつ効果を最大限に活かせられるものはないかとしばらく悩んだのですが、抜けた水流をさらに安定させるスタビライジング機能をつけてはどうかと考えました。設計図上で計算したり3Dモデルで検討したりして今回の形を導入しました。
――水流を安定させるとは?
藤田:具体的な効果としては、ジェットホールを抜けていく水が散乱しないようになっています。ジェットホールのない普通のフィンを蹴ると、フィン後方に渦が巻いて引っ張られる力(カルマン渦)が発生し、推進力が相殺されてしまいます。ジェットホールを使うことでカルマン渦を抑制し、抵抗を少なくするというのがジェットフィンタイプなのですが、ジェットホールを出た瞬間に水が散ってしまい、推進力が損なわれてしまうという欠点があります。GTフィンでは、スタビライザーをつけることで水流を引き寄せる(コアンダ効果)が生まれ、乱流が発生する位置を遠くまで伸ばし、蹴った力が無駄なく推進力になるように設計されています。いろいろと文献などもひっくり返して考えた仕組みで、「穴で細工している」フィンは世界中どこにもないので、営業部のご要望どおりに「どうだ」という感じですね(笑)。
ポイント③ スプリングストラップ
傍島:それともう1つ注目していただきたいのが、このスプリングストラップです。通常のバックルだと水中拘束や破損の可能性もあるということと、このフィンは推進力がすごくあるので、それをしっかりと受け止めるために採用しました。ラバーベルトの設定がないのは《GULL》ではこのGTが初となります。
――単に着脱がしやすいというだけではないのですね。
傍島:はい、ラバーベルトの場合、フィンの推進力が大きいと伸びてしまいます。スプリングストラップなら伸びずに足にフィットしながら、しっかりとキックして進むことができます。なおかつ、バックル部分も尾錠の座に沿ってぴったり収まる一体成型になっているため、破損したりずれたりすることもありません。
藤田:実際、スプリングをつける前にラバーベルトでも試してみたのですが、やはり推進力に負けて伸びてしまいました。
ポイント④ デザイン
――そのほか、GTフィンならではのこだわりのポイントや開発で苦労した点は何かありますか?
傍島:播磨はたくさんあるのでは? 藤田の指導が厳しかったとか、営業部が勝手なことばかりいうとか(笑)
――播磨さんが本格的に設計を担当するのは今回が初だとうかがったのですが、どうでしたか?
播磨:まず、この業界特有の用語を理解するところからスタートしなければならなかったことが大変でした。開発が始まってからは「ごりごりのプロ仕様で硬くてパワフルなもの」ということで作り始めていたのですが、最終的には「トルクがありつつ軽快にしなって漕げて、キックの力を最大限に推進力に変えられるもの」というオーダーに変わったので、「パワフルさとしなり」を両立させることが難しかったのですが、弊社が持つ独自のゴムのノウハウやたくさんの協力者の方々のおかげで満足のいくものを皆さんに使っていただける段階までたどり着くことができました。
他にはやはりデザインですね。《GULL》がジェットホール型のフィンを作るというところで、《GULL》らしさがあり、尚且つパワフルさも感じられるデザインにしたいという想いもありました。「GULLらしさってなんだろう?」とイメージを膨らませて形に表現していくのが難しかったです。
藤田:《GULL》らしさというと、このフットポケットからフィン先への流れですね。《GULL》フィンのフットポケットのフィッティングの定評はかなりあると思います。そこからキールのつけ方や、ブレード本体のつける位置、さらには全体の流れですね。フットポケットからの引き出しが《GULL》独自のものになっており、一見して《GULL》のフィンだとわかっていただけるのではないかと思います。
――フットポケットのデザインもかっこいいですね。
藤田:デザインに加えて、つま先や甲などキックの際に力のかかるところを肉厚にして補強するという実用面も兼ね備えています。スケッチ段階で播磨から提案があり、肉厚や位置などをアドバイスしました。
――なるほど。デザインと実用性が両立しているのですね。
使用インプレッション
――こうして開発が進んでいったGTフィンですが、実際にでき上がってみてどうですか?
傍島:すごくいいフィンができたと思います。私は今56歳で、ダイビング歴は長いのですが、年間にさほど多くは潜りませんし、普段からトレーニングをしているわけでもありません。そんな私でも快適に使うことができました。もちろん、エントリーレベルの人が使うのは難しいと思いますが、このフィンの重さだけでウエイトを減らせるなど、いろいろと活用の方法があるように感じました。やや軽めに仕上げてもらっているので、20m以深になると少し頼りなさを感じるかもしれないというイメージもありましたが、実際はそんなこともなく、水圧に負けていない。でも浅いところでもしっかりと泳げるといった感じでした。最も大きなポイントとして感じたのは「あおり足」でのキック。すごく良くて、1回のキックでぐんと進んでいるのがわかります。底揺れしている場所でも、あおり足で2回くらいキックすると、ピュッピュッと進んで、そこからあっという間に脱出できました。カメラを持っている人にもすごくいいのではないかと感じました。
熱海「沈船」の水深20m以深の場所でも水圧に負けず、パワフルなキックが可能。1回のあおり足でグーンと進み、楽に移動することができます
――僕もテストで使わせてもらって、最初は「ジェットフィン=水面を泳ぐのが大変」というイメージがあったのですが、実際に使ってみると水面も楽にこげましたし、きつい感じはまったくありませんでした。それと水中の安定感も抜群。シェルタイプのドライスーツでアンクルウエイトなしで潜ったのですが、足が浮くこともありませんでした。何より、フィンキックしたときの「水をしっかりととらえている」という感覚がとても良かったですね。1回のキックでぐんと進んで、あおり足も気持ちいい。ミラーレス1眼のカメラを持って入ったのですが、移動も撮影時の安定感もよく、フォト派ダイバーにとっても最適なフィンなのではないかと思いました。
「マリンダイビングWeb」編集長の鴫谷も実際に使ってみました! 水中での安定感が良く、大きめのカメラを持ってのあおり足でもスイスイ進み、気持ちのいいダイビングが楽しめました
傍島:やはりこれだけ面積があり、キールの高さもかなりあるフィンなので、XXと同じ構造でジェットホールがなくすべてがゴムで埋まっていたら、蹴るのにすごく重たいフィンになっていたと思います。GTフィンは、その負荷がしなりとジェットホールによる水の抜けで抑制されていることが体感できるフィンとなっており、フィンの面積があるからこそ、とても効果的にあおり足ができるフィンになっていると思います。
――そうですよね。1回のあおり足で進む距離がすごいですね。
傍島:伊豆のダイビングショップの方にもトライアルで使っていただいたのですが、やはりあおり足での伸びがすごいと評価いただきました。私の中で「あおりトルク」と言っていますが、そう言いたくなるくらいあおり足でのトルクに優れています。それに適したダイビングスタイルというと、まず考えられるのはフォト派ダイバーでしょうか。カメラを持ってのエントリーは大変ですが、スプリングストラップなので着脱が本当に楽ですし、水面の泳ぎ出しもすっといけるので、とても快適です。あとは、ある程度の重量のあるものを移動しないといけない人、例えば漁師や作業ダイバー、いざというときにお客様を曳航しないといけないプロダイバーにも適していると思います。ただ、潮流が速くピッチで泳いでいくような海域ではきついので、神子元でも流れの穏やかなときや、ゴロタのような安定感の悪いところからエントリーし、ある程度の深い水深まで行くような、例えば伊豆海洋公園のビーチや大瀬崎の先端などで効果的と考えます。けっしてそんなに多くは泳ぎ回らない、根を回ってゆっくり行く、でも底揺れがしていたり、エントリー/エキジットのときに水面がバチャバチャしていたり、そういうところでは最適ではないでしょうか。沖縄などリゾートでのボートダイビングではやはりフルフットのゴムフィンを使って気持ちよく潜ってもらって、ゴロタのところでも波に負けない、あるいは底揺れに負けない、あるいは撮影時に安定させるという、どちらかというと近場エリアのビーチエントリーでちょっと深めのダイビングに向いていると思います。
――そうですね、このフィンで潮に逆らってガンガン泳ぐというよりも、もう少し穏やかなところでゆったりと大きく泳ぐというほうが向いているイメージです。当然、プロのダイバーにもおすすめできるフィンだと思いますが、フォト派ダイバーをはじめ、一般ダイバーの方にもぜひ使っていただきたいです。
傍島:先ほども話しましたが、「ジェットフィン」タイプというと、どうしても「上級者向け」や「特殊なフィン」というイメージがあるかもしれません。おそらくバラクーダも販売当初は特殊なフィンだったと思います。こんな長いゴムの塊、誰が使うのかと。ただ、今や神子元では当たり前のフィンとなっています。このGTフィンも同じなのではないかと。ですから技術部にリクエストした「しなり」と「ジェットホールの水の抜け感」で、「ジェットフィンタイプなのに軽くこげる」それでいて「ひとかきでの推進力が抜群にある」というフィンを実現できたと思います。万人向けではないのですが、このフィンに合うダイバーは必ず多く存在し、ぜひ体感してほしいという想いが強くあります。
――セミロング&ワイドで、ジェットホール型でありながらしなる。GTフィンはまさに「FEEL THE MONSTER」のキャッチフレーズにふさわしいフィンといえますね。
今後の展開予定
藤田:このフィンに向いているような海域でインストラクターさんやガイドさんにトライアルしてもらうと、「これよりもう少し固いほうがいいな」という声も聞きます。ただファンダイビングで泳ぐだけでなく、万が一の時にお客様を引っ張るといったシーンなどで最大限に活用できるので、もう少し固いほうが安心して使えるかもという意見も聞きます。
傍島:今回のフィンについてはある程度軽快に漕げるものに仕上がっていますので、さらに発展した場合ですよね。実はバラクーダもスタンダードタイプとプロフェッショナルタイプがあります。我々の強みを生かして、このGTフィンをレジャー向け、あるいはプロ向けに分けていく必要性もすでに感じています。もうひとつはSNSでの展開ですね。今まで行なってこなかった方法でまずは広く見ていただく、そして体感していただく。新型コロナウイルス感染症の問題はありますが、まずは使って体感していただきたいという想いがあるので、しっかりと対策をしながら問題のない範囲でモニター会などにも積極的にこのフィンを持っていきたいと考えています。
それとぜひ期待していただきたいのがGシリーズについてです。Gシリーズのマスク、スノーケル、バラクーダときて止まっていましたが、このGTフィンができてGシリーズに厚みが出ました。今後、ここをより拡張していき、ダイバーの皆さんの期待感に答える商品を出していきたいと思っています。
――作り手のほうとしてはどうですか?
藤田:もう期待に応えるしかないですね(笑)。私もモニター会などに同行し、直接お客様から喜んでいただいているコメントなどを聞くと、それはなにものにも代えがたいので、ひとりでもそういう人が増えるような製品を作っていきたいですね。
播磨:ついていきますという感じです(笑)
傍島:工場でのモノ作りというと、どうしても男性のイメージがありますよね。私が知っている限り、ダイビング業界に女性の技術者はいません。ですから、播磨にはぜひがんばってもらって、女性目線の器材が今後開発していけるといいと思っています。単にデザインが女性向けというだけでなく、ちゃんと理にかなったものが出てくるといいですね。
藤田:乞うご期待ということで。
播磨:(笑)
――本日はありがとうございました!
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