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冬の海を快適に楽しむための
器材選びのポイント
気温・水温ともに下がる秋~冬の時期、快適にダイビングを楽しむためにはどんな点に注意すればいいのか、どんな器材やアイテムを選ぶといいのか、株式会社キヌガワでGULL事業部・大阪営業所の竹内さんと、東京本社の石井さんにお話をうかがいました。
聞き手:鴫谷隆(マリンダイビングWEB編集長)
防寒対策に便利な周辺アイテムは?
GULL事業部・大阪営業所の竹内さん(画面内)と、東京本社の石井さん(写真右)
――これからの時期、徐々に気温・水温ともに下がっていきますが、秋~冬の海を楽しむうえで、気を付けるべき点は何でしょうか?
竹内:皆さんご存知の一般的なことですが、水温が下がると、体力の消耗やストレスにつながります。寒さを無理に我慢し体温が低下することで判断力の低下の原因にもなり危険が及ぶので、きちんと防寒対策することが必要です。その上で、秋冬の綺麗な日本の海を楽しくダイビングしていただければと思います。
――快適さと安全面の両方で防寒対策は必要というわけですね。
竹内:そうですね。ですので、ダイビング時の環境に合わせて、うまく周辺アイテムを組み合わせて防寒対策を取るといいと思います。ウエットスーツ+フードまたはフードベストや、グローブのタイプを変えるなど、単にスーツのウエットスーツorドライスーツの選択だけでなく、周辺アイテムとの組み合わせをうまく調整するといいですね。
――今もいくつか出てきましたが、防寒対策に便利な周辺アイテムにはどんなものがありますか?
竹内:まずはグローブですね。防寒対策に重きを置くのか、操作性(指の動かしやすさ)に重きを置くかで選択肢は変わってきます。GULLでは選択肢を豊富に用意しており、操作性を重視するのであれば「SKIN HOT GLOVES 2(スキンホットグローブ2)」がおすすめです。厚さが2mmで伸びがよくて、保温と同時に細かい指先の操作性にも優れています。
さらに保温性を求めるのであれば「SKIN FIT GLOVES(スキンフィットグローブ)」があります。こちらは厚さが3mmで、内側がSCS素材になっていますので、保温性は格段に上がります。ただそのぶん、操作性は前者に比べると少し劣りますね。
この「SKIN FIT GLOVES(スキンフィットグローブ)」の着脱性を高めたのが、手首のところにファスナーをつけた「WINTER GLOVES(ウインターグローブ)」です。「SKIN FIT GLOVES(スキンフィットグローブ)」だと、片手にグローブをはめている場合、もう片手を着脱するのがなかなか大変なのですが、こちらはファスナーがついているので着脱がとても楽。内側素材には「FIR(遠赤外線起毛素材)」を使っているので、保温力も抜群です。手の表側には滑り止めもついており、快適にダイビングが楽しめると思います。
――用途や好みに応じて選べるのがうれしいですね。
竹内:今年はさらに新しいラインナップとして、「SKIN HOT GLOVES 2(スキンホットグローブ2)」の操作性+保温性を高めたミトンタイプのグローブも用意しています。親指と人差し指は自由に動かすことができるので、「SKIN HOT GLOVES 2(スキンホットグローブ2)」よりもう少し保温性が欲しいという人に使っていただきたいですね。手首の内側のところが少し長く、つまみやすくなっており、クルッと裏返しにして脱ぎやすいのも特徴です。
「SKIN HOT GLOVES 2(スキンホットグローブ2)」(写真左上)と新登場のミトンタイプ(写真右上)は厚さ2mmで操作性の良さが魅力。「SKIN FIT GLOVES(スキンフィットグローブ)」(写真左下)とファスナーのついた「WINTER GLOVES(ウインターグローブ)」は保温性に優れています
――フォト派ダイバーにとっても使いやすそうですね。続いてフード/フードベストについてはいかがですか?
竹内:グローブもそうですが、なるべく肌を露出させないことが防寒対策の基本となります。頭部はいちばん熱が奪われやすいので、フードやフードベストでしっかりと保温することをおすすめします。フードは首もすべてしっかりとカバーすること。スーツとの間に隙間を作らずにシールされるものがいいですね。GULLの「FIRフードベスト」は、メンズとウィメンズがそれぞれ用意されており、フード部は3mm、本体は2mmの厚さとなっているので着脱のしやすさが特徴です。内側に遠赤外線起毛素材FIRを使っており、極寒の海でなければ十分に対応できる保温性を持っています。生地の厚さによるストレスを感じることもないので、非常に使い勝手のいい製品です。フードだけのタイプもありますので、水温やスーツの種類などによって使っていただければと思います。
――なるほど、グローブやフード/フードベストで肌の露出をしっかりと抑えることが防寒の大きなポイントですね。
石井:それと防寒アイテムとしてはブーツもありますね。厚みや生地の種類によって保温性が変わってきます。たとえばGULLの「SKIN HOT BOOTSⅢ(スキンホットブーツⅢ)」の場合、厚さが5㎜あり、内側は保温性の高いFIR(遠赤外線起毛素材)。それにファスナーがないので、そこから水が浸入してくることもなく、保温性は抜群です。
保温製品ではないのですがベストといえば、ウエイトベストもドライスーツシーズンには便利なアイテムです。ドライスーツですと通常よりもウエイトを重くするので、ベルトのみでは腰に負担がかかってしまいます。ウエイトをベストとベルトに分けることで腰への重力の集中を分散し、腰への負担を軽減します。GULL製品は仕様がシンプルで通常のウエイト(1㎏、2㎏)が使用できるので扱いやすく便利です。特に僕みたいな、体の大きい人(体重の重い人)、腰が弱い人にはウエットスーツ着用時にもおすすめなので年間を通して使用できる商品です。
他にもテンショニングバックル(アジャスタブルウエイトベルト、テンショニングバックル+ウエイトベルト)もウエイト回りの自動調整ができる為、水圧の影響でウエスト周りが伸び縮みする事によるウエイトベルトのズレを防止します。ドライスーツは着用時には余裕(だぶつき)があるのでウエットスーツ以上に有効ですよ!
ドライスーツに適したフィンとは?
――防寒対策という視点でいくと、水温が下がってくるとドライスーツを利用する人が増えると思うのですが、その際に器材で気をつけるべきポイントはありますか?
竹内:ウエットスーツ→ドライスーツに変えるときに問題になるのが「フィン」についてです。素足でフルフットフィンを履いていた方はもちろんのこと、ウエットスーツ+ブーツでオープンヒール(ストラップ式)のフィンを使っていた方も、ドライスーツになるとブーツの大きさが変わってしまいますからね。
――オープンヒールのフィンであれば、ストラップで大きさを調整できるので、問題なく使えるのでは?
竹内:ブーツの大きさが変わると、適したブーツポケットの大きさも変わります。長さはストラップの調節でカバーできても、幅や甲の高さは調節できないので、大きなブーツを無理やり突っ込んだり、中途半端なところまでしか足が入っていなかったりすることも。特に足の甲周辺がきちんとフィットしていないと、キックの力がしっかりとフィンに伝わらず、ダイビングの快適さは大きく減少します。逆に、ドライスーツのブーツのサイズに合わせてフィンを選ぶと、ウエットスーツ+ブーツで使ったときにかなりガバガバになってしまうでしょう。
以前はドライスーツ用のフィンというのがなかったので、ブーツポケットのサイズやブレードの長さがいまいち自分に合っていなくても何とか使っているという方が多いようでしたが、やはりウエットスーツのときとドライスーツのときで、それぞれに適したフィンを使い分けることが、快適にダイビングを楽しむうえでの大きなポイントだと思います。
――「オープンヒール(ストラップ式)のフィンを買っておけば、ウエットスーツでもドライスーツでも使えて1年中楽しめるよ」なんて話を聞くこともありますが、ウエットスーツのときに使うフィン、ドライスーツのときに使うフィン、それぞれに適したものを使ったほうがいいというわけですね。では、ドライスーツに適したフィンとはどのようなフィンでしょうか。
竹内:お客様から「ドライスーツのブーツに合ったフィンがない」「ブーツポケットの大きさとブレードの長さのバランスが悪い」などの声もあり、それならドライスーツ専用のフィンを作ろうと、2002年に最初に作ったのが「MANTIS DRY FIN」です。一般的な「MANTIS FIN」に比べてブーツポケットが大きいため、ドライスーツにフィットしやすいだけでなく、着脱が楽というメリットもあります。それに加えて、ドライスーツの場合はアンクルウエイトを足首につけるのが基本だと思うのですが、「MANTIS DRY FIN」の場合はソール部の重量(比重)を重くすることにより、アンクルウエイトを足首につけるよりも安定した水中バランスがとれるようになっています。フィン自体も1,550gと重量があるので、脚力に自信があり、より推進力を求めるダイバーにおすすめのフィンとなっています。
一方で「MEW CYPHER」と「SUPER MEW XX」も、ドライスーツ専用フィンではありませんが、ドライスーツでの使用も可能です。日本人の足の形に合わせてブーツポケットが甲高&幅広になっており、着脱しやすいのが特徴です。「SUPER MEW XX」は、スーパーミューの使用感を踏襲しつつブレード長を短くし取り回しが安易なストラップフィンにアレンジしています。「MEW CYPHER」は、通常のゴムフィンに比べ軽量、コンパクト(ブレード長が短め)で先端ラバー形状が少し出っ張っているぶん、最後の水の押し込みができるように設計されています。ブレードが短めで幅広なことから、水中での取り回しの良さもポイントでカメラ派ダイバーにも向いています(特にマクロ)。そこに、今までガイドさんなどから熱望の声が多かった、もうちょっと瞬発力を生み出せるように、硬くアレンジした「HARD MEW CYPHER」も今年から用意しています。短く幅広なブレードで取り回しの良さを残しつつ、ちょっとハードな場面でも対応できるようなフィンに仕上がっています。ぜひ使ってみていただければと思います。
「MEW CYPHER」を少し硬めにアレンジした「HARD MEW CYPHER」瞬発力もあり短いブレードで取り回しも抜群に良いです
――できればいろいろと試してみて、自分にとって一番使い心地のいいものを使いたいですね。
石井:そうですね。それと新たに「SUPER MEW XX」の重量を重くした、ドライスーツ専用の「SUPER MEW XX DRY」も登場しました。「MANTIS DRY FIN」と同じくアンクルウエイトなしで使うことができます。「MEW CYPHER」のように短くて軽くキックできるフィンではなく、ドライスーツでしっかりとフィンキックすることができるフィンに仕上がっています。
竹内:「MANTIS DRY FIN」よりも軽快に、それでいてハードにキックができるというのが特徴ですね。片足で「SUPER MEW XX」+250gと重すぎることもなく、快適にフィンキックをすることができます。体重の軽い方や女性などは、「MANTIS DRY FIN」よりも「SUPER MEW XX DRY」のほうが使いやすいのではないでしょうか。形状的にも「SUPER MEW XX DRY」はフィンの先端が凹んでいるので、他のフィンと比べて、フィンキックで振り切ったときの感覚がまったく異なります。凹んでいるところで負荷が分散されるので、思っている以上に進んで、非常に軽快な感じがあります。「MANTIS DRY FIN」からまたひとつ進化したフィンと言えますね。
――ドライスーツ専用のフィンの選択肢が広がったということも、とても良いですね。
竹内:そうですね。繰り返しになりますが、やはりドライスーツでのダイビングにはドライスーツに適したフィンを使うことがベストだと思います。GULLのドライスーツ向けフィンは、ブーツポケットの深さ・高さはもちろんのこと、底面がかかとのほうまでカバーしているので、フィンキックしたときに力のロスが少なく伝わる形になっており、フルフットに近いフィット感を感じることができるなど、さまざまな工夫が施されています。ドライスーツに適したGULLのフィンのラインナップの中から、ご自身に最適なフィンを選んでいただきたいですね。
石井:なお、ドライスーツ専用フィンの「MANTIS DRY FIN」と「SUPER MEW XX DRY」には、「スプリングフィンストラップⅡ DX」が標準でついています。フィンの着脱がより簡単・スピーディとなり、寒い冬場に手が震えてストラップを締めにくい、なんてこともないので、ドライスーツでのダイビングがより快適になりますよ。
ドライスーツ専用フィンの「MANTIS DRY FIN」と「SUPER MEW XX DRY」には、着脱性に優れ、ダイバーの動きにフィットする「スプリングフィンストラップⅡ DX」を標準装備
――ドライスーツにはドライスーツ専用のフィンを使うのがベストということが良くわかりました。たくさんのダイバーに、より快適にダイビングを楽しんでいただきたいですね。
石井:ドライスーツでのダイビングはウエットスーツでのダイビングに比べ、バルブで給排気の調節が必要だったり、ウエイトが重くなったりするなど、気を遣わなければいけない点も増えると思います。ですから自分にとって少しでもダイビングが快適になるアイテムを選んでいただきたいですね。それがグローブだったり、フードだったり、フィンだったり。海の中での過ごしやすさを第一に考えて選んでいただければと思います。
竹内:そうですね。ストレスを感じないアイテム選びをして、春夏秋冬それぞれの海を楽しんでいただきたいと思います。
――本日はありがとうございました。
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