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海のいきもの
第27回 真冬のアイドル、ダンゴウオ

第27回 真冬のアイドル、ダンゴウオ

●撮影/相模湾・葉山

寒くて冷たい真冬のニッポン。でも、このキュートな姿で誘惑されると、
ついフラフラとダイビングに行きたくなってしまう。
今回はそんな真冬のアイドル、ダンゴウオを紹介します。●構成・文/山本真紀

ダンゴウオってどんな魚?

●撮影/日本海・南越前

ダンゴウオ
冬から春にかけて、南日本の沿岸で見られる小さなアイドル。名前の通り丸っこいボディがキュート。
●分類:ダンゴウオの仲間(カサゴ目ダンゴウオ科)は世界に30種近くおり、冷たい海を好む傾向がある。ここで紹介しているのは標準和名ダンゴウオという小型種で、比較的暖かい南日本にも生息。日本近海に生息するダンゴウオの仲間は、北日本を中心に約10種(ホテイウオ、ナメダンゴ、フウセンウオ、コンペイトウ、イボダンゴなど)。
●大きさ:指先ほどのサイズの丸っこい魚。成魚でも2~3㌢程度で、幼魚は豆粒サイズ。
●見られる海:沿岸のタイドプール(潮だまり)や浅い岩礁域に生息。主に青森県以南の南日本に分布。

岩礁ではこんな環境が狙い目

ガイドさんが右手に持っている指示棒の先に、小さなダンゴウオがいる。ダンゴウオは海藻の近くで見られることが多い印象があり、特に写真のような岩礁では、エツキイワノカワという岩のような海藻の上で赤い個体がよく見つかる。最初はガイドさんと一緒に潜って、生息場所や探し方のコツを教えてもらおう。
また、浅い転石の海底でも見られ、小石に紛れるように生息している。●撮影/相模湾・葉山

“天使”のあの子に会えるかも

バンダナを巻いたような模様があるのは、生まれたばかりの赤ちゃんだけ(尾の付け根にもある)。見られる時期は、湘南や伊豆半島の場合、2~4月くらい。
また、ダンゴウオの仲間は卵が孵化するまでオスが守るという習性がある。オスは小さな巣穴(死んだフジツボや穿孔性貝類の殻などを掃除したもの)を準備し、そこにメスを招き入れて産卵・受精させる。オスの抱卵は数週間続くというから、ウオッチングチャンスは結構ありそう。巣穴の場所を把握している現地ガイドさんがいれば、ほぼ確実に見られるぞ。●撮影/相模湾・葉山

波やうねりに負けない理由

ダンゴウオの腹ビレは、左右が癒合し、腹部部分で立派な吸盤状となっている。写真はランプサッカー(別名セッパリダンゴウオ)という北大西洋に生息する大型種の腹部で、丸い部分が吸盤としての役割を果たす。日本の小さなダンゴウオにも同様の吸盤があり、これで海藻や岩にガッチリ吸着。多少の波やうねりでも大丈夫。写真上のベビーも海藻にしっかり吸着している。なお、ランプサッカーについては一番下で紹介。●撮影/水槽

草餅、桜餅、みたらし団子と色はいろいろ

みたらし系
茶色っぽい海藻を探ってみたら、茶色っぽいダンゴウオを発見。しかも指先サイズだから完璧なカムフラージュとなっている。●撮影/日本海・南越前

草餅系
グリーンの個体は緑藻周辺にいることが多いが、このように茶色や赤い海藻にいることもある。また、光の加減で緑が茶色に見えることも。●撮影/日本海・南越前

栗まんじゅう系
岩礁やタイドプール以外に、浅い転石の海底でもダンゴウオはけっこう見つかる。小石を除けていったら、こんな焦げ茶色の個体を発見。●撮影/相模湾・早川

桜餅系
ピンクやパープルのダンゴウオは、転石またはサンゴモという石灰藻(写真のピンクの岩に見えるもの)周辺にいることが多いようだ。●撮影/南伊豆・須崎

卵はキャビアの代用品!?

これは上のほうで吸盤写真を紹介したランプサッカーの全身。成長すると40~50cmになる大型種だが、食用とするのは肉ではなく卵。黒く染色し、高級食材であるキャビアの代用品として流通しているのだ。体が大きいので1尾のメスから数万粒もの卵がとれるというから、お値段もかなり安い。ちなみにランプは「こぶ」、サッカーは吸い付くものという意味で、ランプサッカーはダンゴウオの仲間を総称する英名だ。●撮影/水槽
また、北日本に分布するホテイウオ(別名ゴッコ)は、鍋物や汁物として食される。もちろん、旬は冬!
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