ベテランイントラ・かっしーが回答♪
苦手スキルやダイビングの悩み Q&A
第14回 ひやりハットのトラブル対策スキル

前が見えなくてプチパニック

Q
水中で視界がどんどん狭くなってプチパニックに。あとで一緒に潜っていたダイバーの方に、マスクが曇っていたと言われました。どうしたら良かったのでしょう？
（流星／２年／22本）

A
視界が狭くなった原因が何だったのか、マスクの曇りだけが原因だったのか？　いくつか考えられますね。
1　マスクが曇ってた。
2　マスクに水が入り気味で見えにくかった。
3　マスクが上気味にズレて視界が狭くなった。
4　焦りやパニックにより精神的に視野が狭くなった。
これらの原因が考えられますね。また、これらは、連鎖的に重なって起きることも多いです。

よくあるパターンは、マスクを上気味に着けていて、マスクに水が入りがちになって、何度もクリアーしてるうちに、もっとマスクがズレて、さらに曇り止めが流されて曇ってきて、焦ってプチパニックになる。
こんな同時に起こるの？って思うかも知れませんが、よくあるトラブルです。

解決するには、1〜4の1つ1つを予防すればいいんです。
1　曇るマスクは曇り止めの量や鼻息の問題でなくて、マスクをしっかり洗ってないのが原因です。初めて使うマスクやしばらく使ってなかったマスクは、ガラス面に油膜が付いていて、お風呂の鏡のように曇ってしまいます。歯磨き粉とかクレンザーをつけて歯ブラシで強く磨いてください。軽く磨くだけではダメです。ちゃんと磨けたかチェックする時は、冷た目の水でマスクを洗い流したあとに、息をハーッと吐いてみてください。それで曇らなければOKでしょう。

2と3は、マスクの着け方を注意してください。マスクが上過ぎてる人が多いです。上気味に着けてるとマスクの下側に鼻がぶつかり、鼻の横から水が入りやすくなります。鼻の下に2〜3mmは隙間が空くように装着してください。
また、ちゃんと着けてもズレていく場合もあります。後頭部のストラップが上過ぎるとマスクが引っ張られて上にズレます。フードなどを被ってるとフードに空気が溜まって浮くのでマスクも上にズレます。ストラップがキツ過ぎるとちょっとしたきっかけでズレます。マスクの着け方は、超〜重要です。

4は、とにかく焦ったら、我慢しないで止まって、ゆっくり深呼吸して落ち着くようにしましょう。焦ってきたけど、まだ大丈夫とか思わずに、悪化する前にリカバリーするのが大事です。

以上を気をつけて潜れば、解決するんじゃないかなと思います。

残圧計機能付きのダイコンを付け忘れた！

Q
いつも何かを忘れて潜ってしまいます。この間は残圧の出るタイプのダイブコンピュータを付け忘れて潜って大変でした。こういう時ってどうすればいいでしょう？　それよりも忘れ物をなくす方法も教えてほしいです！
（わすれんBO／３年／80本）

A
ワーオ！　残圧計機能のあるダイブコンピュータを忘れるのはヤバイですね。
ダイコンの機能は、無茶なダイビングじゃなければ、最悪、他の人について行けばなんとかなるけど（でも、何があるかわからないので必ず1人1台持ちましょう）、残圧計の機能は、他の人とシェアできないし、わからないとヤバイですね。
解決方法は、即潜水を中止するか、だいぶ余裕を持って潜るぐらいしかないですね。余裕持っててもトラブルに万が一遭ったことを考えるとヤバ過ぎます。
残圧計の機能付きのダイコンを購入した人にもアナログの残圧計も付けるようにしてもらってます。絶対そのほうがいいです。

忘れ物を無くす方法は、基本に返ってバディチェックですよ。誰でもヒューマンエラーはありますからね。

ダウンカレントにはまり残圧は50以下

Q
ハンマーリバー見たさにダイビングに出かけ、無事会えたのですが、戻る時にダウンカレントにはまってしまって。気づいたら水深30ｍより深くにいて残圧が50を切っていました。ガイドさんが助けに来てくれてエアをくれて事なきを得ましたが、もしそばに誰もいなかったらと思うと怖くてたまりません。もし一人だったらどうすればいいですか？
（TAKA／3年／108本）

A
ダウンカレントは、ホント怖いですね。僕も昔、超〜強烈なダウンカレントにペリリューコーナーでハマりました。
どうすればいいか？
うーん。エア切れになったらアウトですね。まずは、絶対にエア切れにならないようにしましょう。
ダウンカレントがあるかも知れないポイントで残圧50まで使っちゃダメですよ。そういうポイントは潜水時間も短め目で30分ちょっととかで、あまり深い所に長くいないと思います。30分で残圧50になるのは、呼吸法に問題があるかも知れません。普段大丈夫でも、ハードダイビングの時に精神的に余裕がなくなり、呼吸が早くなる人もいます。
エアに余裕があれば、解決方法はあります。
ダウンカレントに捕まったら、ダウンカレントが弱くなる水深まで、思いっきりフィンキックして深度をあげましょう。思いっきりキックしても上がれない時は、BCDに空気を入れて、ダッシュです。ダウンカレントの強さによっては、BCDをパンパンまで膨らまして、全力でフィンキックしないといけない時もあります。さっき書いたペリリューコーナーの時はそうでした。浅くなるとダウンカレントが弱まってくるので、BCDの排気を忘れないようにしましょう。すぐ排気できる準備をしておくのが大事です。

閉まっているバルブを自分で開ける方法が知りたい

Q
エントリーして水深10ｍの集合場所に潜降したら、エアが来ない！　バルブをいったん開けたんですが、また閉めてしまったみたいです。バディに慌てて知らせて開けてもらいましたが、自分で開ける方法を知りたいです。
（なみ／4年／110本）

A
あるあるですね。まずは、閉めたまま潜らないようにしましょう。開けたつもりなのにって人が多いです。親切なガイドやインストラクターだと、事前にバルブを開けてくれる場合がありますが、その後、自分で開いてるのに逆に閉めてしまうんですよね。エントリー前にチェックすれば、解決できます。
ただ、チェックにも注意点があります。
BCDに入る、吸えるからOKじゃダメです。一度開けたタンクを閉めてもレギュレーター内に空気が残ってます。その空気だけで5回くらい呼吸できます。女性ならもっと吸えるかも。潜降してから気づくのは、このパターンですね。

じゃあ、どうチェックすればいいかと言うと、エントリー前に残圧計を見ながら呼吸してください。閉めてたり、半開きだと残圧計の針が動きます。残圧計の針が動かないか見ながら、呼吸チェックをするように癖づけましょう！

ちゃんとチェックしてれば必要ないですが、自分で開ける方法は、手を伸ばしてバルブを開けるしかないですが、なかなか届きづらい。BCDの前のバックルを外して、ショルダーベルトを緩めて左手で下からタンク下側を持ち上げて、右手でバルブを開けましょう。少し届きやすくなります。それでも力が入らなくてバルブが回らない場合は、左手をBCDから抜いて開けるしかないですね。
ただ、焦った状態で、どこまでできるか、息が持つかも問題なので、エントリー前のチェックで解決しとくようにしましょう。

着けたはずのウエイトがない！

Q
ちょっと流れがあるところで潜っていたのですが、体が浮き気味に。着けたはずのウエイトがありません。どこかで落としたのか!?　必死にそばにある石や岩につかまって耐えましたが、こんな時はどうすれば良かったのでしょう？
（海狼／5年／256本）

A
そんなトラブルたまに見ますね。流れがあるポイントで岩に捕まってる時にウエイトが下の岩に引っかってバックルが緩んじゃうんですよね。緩んだ瞬間に気づいて締め直すのが一番ですが、すでにウエイトがない時は、持ち運べる岩を持って重りにしておいてから、BCDに入りそうな手頃な大きさの岩を探して、BCDポケットに入れていきましょう。パンパンに入れれば、浮かなくなるでしょう！
あとは、バックルが緩みやすくないようにして予防しましょう。元々、締まりが悪いバックルに当たる時もありますし、おもりの位置がバックルに干渉して緩みやすい場合もあるので、しっかりチェックしましょうね。

プロフィール紹介
かっしーこと柏崎洋介さん

東京農業大学に入学後、ダイビングクラブに入り、すっかり海とダイビングの虜になる。在学中に《スキューバプロショップ》でアルバイトを始め、卒業後はもれなく同社へ。東伊豆の富戸でダイビングガイドを担当した後、同社の代表兼大井町店の店長に。ダイビング歴25年、インストラクター歴21年。現在はPADIコースディレクターとして、ノンダイバーからプロを目指すダイバーまで指導。

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