スキューバダイビングのスキルアップ術Q&A
ベテランイントラ・かっしーが教えます
第26回 ダイビングスキルの不安を解消！

初日１本目の呼吸がうまくできない

Q
初日の1回目のボートダイビングでエントリーした後どうしても呼吸がうまくできなくて水面でもたついてしまい、潜るのにすごく時間がかかってしまいます。飛び込んだ途端、心臓がバクバクして息も上がってしまうからでしょうか。レギュをしながらの呼吸がうまくいかず、外して深呼吸したりして落ち着かせてます。エントリー直後、うまく呼吸を整える方法はありますか？ スムーズに潜水したいです。
毎回初っ端がダメで、2回目からは何とか潜ることができます。
（姫夢ママ／8年・148本）

A
ちょうど最近、同じ症状があった方と一緒に潜りました。
その方も、ボートでエントリーしたあと、心臓がバクバクして、呼吸がうまくできないって言ってました。次の日は、問題なく潜れてました。
原因のほとんどがストレスです。スーツの締め付けが原因な場合もあるので、きついスーツの方は、インナーを減らしたり、ファスナー開けたりして、ゆったり目で潜ってみると解決することもあります。
何回かこの連載でお話ししたこともありますが、ストレスの対処法は、エントリー前に深呼吸して落ち着く時間を作ることです。僕は、この時間を『リラックスTime』と呼んでます。
えっそんな時間ないよ。待たせちゃうじゃないって思うかも知れませんが、リラックスTimeは、15〜30秒くらいで十分なので、ほとんど待たせることはないし、あとが楽になります。そうすれば、エントリー後も少し落ち着けて呼吸できると思いますが、水面での呼吸も大事です。うまく呼吸できない人は、たいてい過呼吸気味になってます。あまり吐かないで、すぐ吸うので、だんだん肺がいっぱいになって吸えなくなってきます。とにかく、しっかり吐くのを意識して、すぐ吸わずにワンテンポ待って吸うようにしましょう。
また、水面で一番良くないのが、苦しくてレギュレーターを外して呼吸しようとすることです。レギュレーターを外してしまうと沈まないようにバタバタしたり、吸わないと浮かないので余計に過呼吸になってしまいます。レギュレーターをくわえて、水面に顔をつけて、しっかり吐くのを意識してしばらく呼吸を慣らすのが一番です。ハシゴやロープなどにつかまると落ち着きやすいですね。
ひとつ裏ワザがあります。レギュレーターの流量調節を少なめにすると、過呼吸になりにくく、呼吸が落ち着く人も多いです。苦しいとたくさん吸いたいと思われがちですが、逆に沢山吸えないほうがしっかり吐けるので楽になったりしますね。試してみてください。

吐きたいときはどうすればいい？

Q
ダイビングをしている時に、波酔いなどのせいでたまに吐き気が起きることがあります。もし万が一嘔吐しそうになった場合はレギュラーターをしたままできるのでしょうか？　ガイドに知らせて浮上したほうがいいのでしょうか？　こうしたほうがいいというものはありますか？
（ちい／1年／35本）

A
気持ち悪くなると辛いですよね。僕は、最近は平気ですが、昔はめちゃくちゃ酔いやすかったです。三半規管はある程度鍛えられるので、めげずに潜って慣れましょう！
水中で吐きたくなったらどうするかと言うと、我慢せず吐いたほうが楽になりますよ。
吐き方は、レギュレーターをくわえたままでも大丈夫な場合がほとんどですが、嘔吐物がレギュレーターの排気弁に引っかかってしまうことが稀にあります。そうなると水が入ってきて吸えなくなってしまうので、ベストな方法ではないです。レギュを外して、しっかり手に持ったまま吐いて、終わったらすぐくわえて呼吸再開するほうがオススメです。もしくは、詰まるのは稀になので、くわえたまま、詰まりにくくなるようにパージボタンを押しながら吐いて、最悪の場合を想定してオクトパスをくわえられるように準備しておくってのもありですね。
ガイドには、何となくアピールする程度でいいかなと思います。

水中で起こる恐怖心を抑えるには？

Q
初心者の頃、水中で無理に泳ぎすぎて呼吸が苦しくなり、パニック寸前になりました。それ以来、周りに捕まる岩などがない海中をずーっと泳いでいると、なんだか怖くなってドキドキするようになってしまいました。恐怖を克服する方法などあれば教えていただきたいです。
（Sato／7年／先日200本達成）

Q
10年以上前にライセンスを取りましたが、潜れるのは1年に1〜2回です。いつも、最初が怖いです。中性浮力が苦手ですぐに何かに捕まりたくなってしまいます。 数をこなさなければいけないと思いますが、海無し県の群馬に住んでいるのでなかなか海に行けません。上達の秘訣を教えてください。
（MACK）

A
怖さを克服する方法は、インストラクターとしても永遠の課題ですね。雑に回答するなら、間を開けずにたくさん潜って慣れるのが一番！　とにかく経験です。って感じですが、そんなスパルタだと続かないし、めげてしまいますよね。
なるべく、最速で怖さを克服する方法を教えてあげたいのですが、人それぞれなんですよね。
怖さを克服するのは慣れが一番なので、克服する方法より、怖くなってもパニックや呼吸の乱れ、息苦しくなったりしないようにする方法を覚えるといいと思います。
怖いと焦ってしまい全身に力が入り、ドキドキして心拍数が上がり、呼吸が早くなり過呼吸気味になって苦しくなるって、最終的にパニックってしまうんですよね。この怖くなったときの一連の無意識の反応の中で、コントロールしやすいのが全身の力と呼吸です。とにかく、力を抜いて、ゆっくり呼吸して、リラックスするのが大事です。
そう言われても、焦ってるときにそんなことできないよ、と思うかもしれませんが、自分のリラックスの方法や感覚を覚えてイメージを作っておけば、できると思います。
『全身の力抜いて、ゆっくり呼吸して、リラックスする。』僕は、こんなイメージをします。
お風呂に肩まで浸かって、ホッと一息つくように、ゆっくり息を吐いて、吐きながら全身の力を脱力する。こんなイメージを思い出して、焦ったときに同じルーティンで力を抜き、ゆっくり呼吸して、リラックスしています。
イメージは人それぞれあると思いますが、最初はプールや浅い海や慣れた海やつかまる所がある水中でリラックスするなど、自分流のやり方を実践して身体に染み込ませましょう。
また、リラックスのルーティンは、焦ったあとにやるだけでなく、エントリー前、潜降前、泳ぎ始める前などにやっておくと、予防にもなると思います。

パニックが起きそうな不安をどう解消する？

Q
水中で呼吸の不安からパニックになりかけて以来、パニックへの不安が常につきまといます。皆さんどのようにこの不安とつき合っているのか、対処法を参考にさせていただきたいです。
（こんぶのお化け／5年）

A
パニックになるかもしれないという不安は、一種のトラウマですね。トラウマを無くすには、かなりの時間をかけて慣れていかないとですが、パニックになりかけても大丈夫なリカバリー方法を覚えればいいんじゃないかなと思います。
リカバリー方法は、前の質問への回答にあるようなリラックス方法を試してみてください。
パニックになってもリカバリーできると思えれば、トラウマが無くなりやすくなるかなと思います。 質問者は今は、パニックになる方法が簡単にイメージできる状態なので、パニックになっても解決できるから大丈夫！ってイメージに塗り替えてみてください。

初めてのポイントは落ち着かない

Q
何年経っても初めてのポイントはドキドキがつきまといます。水中での落ち着き方の極意を伝授ください。
（プータロー／18年／400本）

A
初めてのポイントは、僕もドキドキします。初めてのポイントは、誰でもドキドキするもんです。ある程度の経験があれば、たいていの海は経験したことある海に近いハズです。
エントリーの仕方もエントリーした後の水面も、潜降後水中も、細かいシチュエーションに分けて考えたら、ほぼ初めてじゃないシチュエーションだと思います。
そんなもんだと、冷静に考えれば、少しドキドキもおさまるんじゃないかな？
大事なのは、冷静に考えてリラックスする時間を作ることです。僕の回答で何度も話してますが、リラックスTimeを作って、ゆっくり呼吸して、力を抜いてリラックスして、冷静に考えるようにしましょう。時間は、15秒〜30秒くらいあれば十分だと思います。エントリー前、潜降前、泳ぎ始める前にリラックスTimeを作るといいですよ。

プロフィール紹介
かっしーこと柏崎洋介さん

東京農業大学に入学後、ダイビングクラブに入り、すっかり海とダイビングの虜になる。在学中に《スキューバプロショップ》でアルバイトを始め、卒業後はもれなく同社へ。東伊豆の富戸でダイビングガイドを担当した後、同社の代表兼大井町店の店長に。ダイビング歴25年、インストラクター歴21年。現在はPADIコースディレクターとして、ノンダイバーからプロを目指すダイバーまで指導。

かっしーのダイビングスキル中心のYouTube