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スキューバダイビングのスキルアップ術Q&A
ベテランイントラ・かっしーが教えます
第29回 水中生物を見るスキル
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スキューバダイビングでは安全に潜るためのスキルを身に着けておく必要があります。でも、耳ぬき・中性浮力・潜降など、なかなかできない!という方の声が多いのも事実です。
これまでたくさんのダイバーを輩出し、スキルアップの手助けをしてきたベテランイントラ・かっしーこと柏崎洋介さん(スキューバプロショップ大井町店店長)に、読者の皆さんの質問や悩みに答えていただきます!
今回は水中生物を見るスキル、水中生物とのつき合い方について、教えていただきました♪
柏崎洋介さん率いる《スキューバプロショップ》はダイビングスキルに悩みのある方やブランクダイバーにも優しいお店です。大井町、渋谷、東伊豆・富戸にお店があるので『マリンダイビングWebを見て』と直接相談してみましょう!
生きものとの程よい距離感を教えて
Q
ウミウシや魚の幼魚を見つけて近寄るのですが、勢いがあるのか対象生物に接近し過ぎてしまいます。上手く観察できるよう、対象生物に近づく方法と、近寄ってから程よい距離を保つ方法を教えてください。
(1年半/119本)
A
生物の近寄り方ですね。生物の種類によってだいぶ変わってきます。ウミウシみたいにあまり動かない生物、ハゼなど穴にすぐ引っ込んでしまう生物、スズメダイやベラの幼魚など泳ぎ続けている生物の3パターンが思い付きますが、それぞれアドバイスしていきますね。
まずウミウシは、ぶっちゃけ近づき過ぎちゃってもいいです。可能ならサンゴなどの生物を傷つけない場所に着底したり、岩に掴まって安定して観察するのがいいです。ウミウシは数cmの位置まで近づかないとウミウシの魅力的な部分が見えないです。着底や掴まれない場合は、指1本でも、どこかにタッチして少しでも安定してギリギリまで近づくようにしましょう。指し棒などを支えるのに使うのもありですね。
ハゼ、ジョーフィッシュ、ギンポなど引っ込みやすい生物は、まずはギリギリ見える離れた位置で着底したり、体を安定させて、遠目から観察します。ここからは魚との駆け引きで、警戒してなければ数mmずつの気持ちでジリジリ近づいていきます。警戒したら止まってしばらく観察し、警戒を解いたら、また近づくって感じです。
スズメダイ、チョウチョウウオ、ベラなどの泳いでる幼魚とかを観察するには、まずは遠目から観察して魚の動きを見ます。不規則に自由に泳いでるようですが、お気に入りポイントがいくつかあるのがわかってくるので、そのポイントにそっと近づいて、何かに掴まるか、指や指示棒で体を安定させて、焦らずゆっくり観察します。追い回して観察するのはNGです。
マクロ生物を観察する際は、生物のあまり警戒しない位置をキープして、少しずつ警戒を解いていくのが大事です。体を固定するのが大事で、上から中性浮力で突っ込んで観察するのもNGです。
マクロ生物の見つけ方、探し方を教えて
Q
あまり行かないポイントでのマクロや生物探しのポイントなどあれば教えてほしいです。(マップを見てもイマイチわかりにくい時がある)
(匿名)
Q
マクロ(ウミウシメイン)を見つけるコツを教えてください。
(ちゃわんむし/12年/487本)
A
生物探しは、ガイドの永遠のテーマで、常に研究していますが、今回は基本的な見つけ方のポイントを紹介しますね。
まずは、生物の欲を知ることが大事です。水中生物たちは、基本的に生きるために、食べる、隠れる、繁殖する。この行動をします。繁殖は特殊な時になるので、生物を見つけるには、食べ物、すむ場所を見ていきましょう。
泳ぎの苦手なエビ・カニ系とか擬態系の魚は、隠れてないとすぐ狙われるので、すむ場所が重要です。トサカ、海藻、岩の隙間、コーラルなどを観察していけば見つかりやすいです。
ウミウシは、擬態系もいますが、どちらかと言えば食べ物で探すのがいいです。餌になる海藻や苔やコケムシなどがあるとこを見つけて、じっくり探していきます。
ウミウシにしてもほかの生物にしても、何かがすんでるところは、何となく気配がしたり、若干不自然な動きがあります。それを感じられるようになると見つけやすくなりますが、最初に話したようにガイドさんの永遠の研究なので、その域に辿り着くのは、なかなか難しいですよ。
やはり、すむ場所、食べ物を知って頭にインプットしておくのが大事なので、図鑑をじっくり読んで写真を背景や住んでる場所を含めて頭にインプットしておくのがいいです。
いつかジンベエやクジラと泳ぎたい
Q
まだ、体験ダイビングしかしたことないのですが、いつかジンベエザメやクジラと泳げるようになりたいです。可能でしょうか?
(匿名)
A
もちろん可能ですよ! それなりにスキルが必要になってくるので、ライセンス(Cカード)を取って、インストラクターについて、しっかり教わりましょう!
ダイビングは最初が肝心です。最初の半年でしっかり練習すれば、すぐにジンベエやクジラも見に行けるようになりますよ。最初の講習、オープンウォーターコースの次のステップ、アドバンスまでは取っておいたほうがいいですね。
気をつけるべき危険生物とは?
Q
ダイビングで気をつけたほうがいい危険生物について。
(なおぽん)
A
危険な生物ってたくさんいますが、一般的にいわれる危険生物と実際の危険生物は違ってたりします。講習の時に危険な生物って何だと思う?って質問をすると返ってくる回答が①サメ②クラゲです。
ハリウッド映画の影響ですかね。圧倒的なNo.1はサメです。あとは子供の頃からの教えでクラゲなんですかね。
ダイバーが普通に潜ってるエリアではサメは危険な生物No.1じゃなくて、見たい生物No.1だったりします。サメは泳いでるダイバーを見るとまず逃げていきます。サメはどんな場合危険なのか、長くなるので別の機会に紹介しますね。
クラゲもお盆過ぎると大量発生するといわれるけど、あれは海水浴場のような所の話でダイバーのエリアとは違います。
では、危険な生物はどんなのがあるかと言うと、僕の個人的な危険生物3選を発表します。
①カサゴ・オコゼの仲間
②ウニ・ガヤの仲間
③ウツボの仲間
です。
①カサゴ・オコゼは背ビレの毒が猛毒です。しかも、岩に擬態していることが多く、気づきにくいので、岩のつもりで触ったり、着底してしまうので注意が必要です。自分が着底するところ、触るところは、よく観察しましょう。また、指し棒などで距離を取るのもありです。
②ウニ・ガヤは、ウニの場合、岩の隙間や水底にいるのでカサゴ同様触らないように気をつけてください。ガヤは岩の上の生えてる鳥の羽根のような生物なので、素手やスーツの袖、裾の隙間から出ている皮膚に触れないように気をつけてください。めちゃくちゃ痒くなります。
③ウツボは、たいてい岩の下の隙間に隠れてます。口を開けて威嚇してきますが、向こうから攻撃してくることないです。やはり、ダイバーが知らずに隙間に手を近づけてウツボの口元に手があると噛みつかれてしまいます。手をつく際は気をつけましょう。泳いでるウツボが近づいてくることもありますが、狙いは自分じゃないので、安心してください。バタバタしてウツボ を刺激しないで、ちょっと待って、そっと浮いて離れましょう。
これらの危険な生物は、手をついたり、着底したりする時に気をつければ大丈夫ですが、中性浮力がイマイチだったり、バランスがイマイチだったりすると意図せず近づいてしまうので、やはり中性浮力、バランスの基本スキルは、しっかり練習しておきましょう。
グループの後方にいると何にも会えない
Q
ガイド1名に6名ダイバーといった感じで行動しているとき、先頭のほうでガイドさんがスレートに何かを書いて、生きものを見せてくれるじゃないですか。私は最後尾にいるほうが好きなのですが(後ろからぶつかられたり邪魔されたりしないので)、ガイドさんが案内してくれる生きものが見られないことが多々あります。特にハゼなどは最初のほうで引っ込んでしまうらしく、見たためしがありません。でも自分が前に行ったからといって、後ろの人までちゃんと見せてあげられるかも心配です。どうしたらいいでしょう?
(Yuu/10年/260本)
A
この質問、ガイドにとっても常に悩みの種になってます。ガイド側からの視点で話すと、興味ある人には全員に見せてあげたいんですが、次の生物を探したり、安全に帰れる時間配分も考えないとならないので、一つの生物にかけられる時間は限られてしまいます。なので、限られた時間で全員に見せられるようにスムーズに紹介したいんで、多少混み合ったり、ぶつかったりしても、早く見に来てほしいんですよね。一度、全員に見てもらって、興味がある人は、まだ、いれば、あとからじっくり再観察や撮影をしてほしいんです。
ほとんどのガイドさんが、こんな風に考えてると思います。だから、逆になかなか見に来てくれない人は、あまり興味ないからいいのかな? もう次行かないとだからしょうがないか?って判断してしまいます。
生物を見る際は、とりあえずは、なるべく早く、何とかスペースを見つけて、一度見に来てほしいんです。ゆっくり観察したいなら、最後にもう一度チャレンジするって感じで。
一方的なガイドの視点で話しましたが、ぶつかりたくない、迷惑かけたくないって気持ちも、よくわかりますが、近づいて来てくれれば、その辺はガイドがある程度コントロールしてくれるので安心して近づいて来てください。
プロフィール紹介
かっしーこと柏崎洋介さん
東京農業大学に入学後、ダイビングクラブに入り、すっかり海とダイビングの虜になる。在学中に《スキューバプロショップ》でアルバイトを始め、卒業後はもれなく同社へ。東伊豆の富戸でダイビングガイドを担当した後、同社の代表兼大井町店の店長に。ダイビング歴25年、インストラクター歴21年。現在はPADIコースディレクターとして、ノンダイバーからプロを目指すダイバーまで指導。
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東京に2店舗、東伊豆に1店舗あるから
スキルアップやステップアップに超便利!
スキューバプロショップ
大井町店 TEL:03-6712-0920
ダイビングを始めたい!という方から、ファンダイバーや、もっとうまくなりたいという方にはステップアップコースを意欲的に開催。
話題の渋谷・宮下パークから徒歩1分のオシャレな渋谷店、交通至便な大井町店、そして東伊豆で海が目の前に立つ富戸店(写真)と3つの拠点で講習&サービスを展開。『マリンダイビング』主催のランキング企画で8年連続No.1を樹立した富戸店には、1位に何度も選ばれているダイビングガイドの山口敬大さんも常駐。のんびり、あったかな雰囲気にきっとリラックスできるはずです。
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