スキューバダイビングのスキルアップ術Q&A
ベテランイントラ・かっしーが教えます
第34回 マスクがらみのトラブル回避法
スキューバダイビングでは安全に潜るためのスキルを身に着けておく必要があります。でも、耳ぬき・中性浮力・潜降など、なかなかできない!という方の声が多いのも事実です。
これまでたくさんのダイバーを輩出し、スキルアップの手助けをしてきたベテランイントラ・かっしーこと柏崎洋介さん(スキューバプロショップ大井町店店長)に、読者の皆さんの質問や悩みに答えていただきます!
今回はマスクに水が入る、マスククリアができないなどマスクがらみのトラブル回避を教えてもらいます!!
柏崎洋介さん率いる《スキューバプロショップ》はダイビングスキルに悩みのある方やブランクダイバーにも優しいお店です。大井町、渋谷、東伊豆・富戸にお店があるので『マリンダイビングWebを見て』と直接相談してみましょう!
エントリー時にマスクに水が入る!
Q
エントリー時にマスクに水が入ることがよくあります。全没もあります。カメラやライトをたくさんぶら下げつつ安全に快適にエントリーできるコツが知りたいです。
(ともみん/5年/280本)
A
ボートエントリーですかね。確かにカメラやライトを持ってると、マスクが押さえにくくなりますよね。1番いいのは、カメラはボート上の人に渡してもらって、しっかりマスクを押さえることですが、それができないときは、どうするとマスクに水が入りにくいかアドバイスしますね。
一つは、カメラを持ってる手の腕のあたりでマスクを押し付けるようにします。
あとは、少し顎を引いて、下を向き、水面にマスクが当たる瞬間に鼻から息を吸って、顔にマスクを貼り付けるようにするといいですよ。
試してみてください。
マスククリアしても水が抜けづらい
Q
マスククリアをしてもどうしても水が抜けづらい。どうすればいいですか?
(masaki/2年半/80本)
A
マスクの水が抜けにくい理由は、3つあります。
①マスクがきつ過ぎて鼻の下にあまり隙間が開かなくて、水が抜けにくい。マスクは、あまりきつくしめ過ぎないほうがいいです。鼻から息を出しただけで、鼻の下部が開くくらいにしておきましょう。
②マスクが顔に合ってない。顔が小さい人や顔が細い人とかに多いですが、鼻の下じゃない所(コメカミや頬など)に隙間ができて、そこから空気が抜けるので、鼻の下からマスクの水を追い出せないです。
③これが1番多いです。マスクが上過ぎて、鼻の下がマスクに当たってる状態で、鼻からの息がマスクの中にたまらず、すぐにマスクの外に出てしまい、水を追い出せない。また、マスクを押さえる手が上に押しすぎても同じように抜けにくくなります。マスクの鼻の下に2〜3mmくらいは隙間を開けて装着しておくと、簡単に水が抜けますよ。
マスクが合わないのが原因で鼻の下に隙間ができない場合もあるので、マスクと顔の相性も大事です。
常にマスクに水が入っている!
Q
妻はダイビングライセンスを取ってから30本ほど潜っているのですが、常にマスクに浸水しています。前髪はマスクに入っていませんが、髪を後ろで束ねているのでマスクベルトの位置が悪いのでしょうか?
(ちなみに、私は……アユたん/12年/400本以上)
A
マスクに水が入りやすい理由も1つ前の質問の回答と同じで、鼻の下に隙間がなくマスクに当たってるのが原因かなと思います。
マスクが上過ぎるんだと思いますが、ストラップの位置も関連してきます。ストラップが上過ぎるとマスクも上に上がり気味になってきます。髪の毛の結び目が上過ぎて、ストラップが上気味になる場合もあります。
マスクストラップは、真後ろに水平になるようにしましょう。そして、マスクの鼻の下に2〜3mmくらいは隙間を開けて着けるようにしましょう。自分だとわかりにくいので、エントリー前にチェックしてあげてください。
マスクが曇るのはなぜ?
Q
ダイビング中、マスクが曇るのはなぜでしょうか。
(ナギサ/5年/年間8~10本)
Q
ヒゲのせいでマスクが曇りますか?
(匿名希望)
A
ヒゲは、マスクの曇りとは直接は関係ないですね。ただ、ヒゲがあるとマスクに水が入りやすいので、マスククリアの頻度が多くなって、曇り止めが落ちて効かなくなってくるのは考えられます。
マスクが曇る原因は、4つあります。
① レンズと海水温の温度差で、海水でマスクのガラスが冷やされて、鼻からの温かい空気が結露して曇ります。鼻から息を吐き過ぎないようにすると軽減されますよ。
②マスククリアのやり過ぎやマスクが合わなくてマスクに水が入ってくると、曇り止めが落ちてしまい、ドンドン曇りやすくなってしまいます。水中でのマスククリアは最小限にしましょう。少しの曇りが気になってマスククリアするたびに、曇りが広がっていくパターンが多いでが、少しの曇りなら我慢したほうが得策です。
③マスクのガラスの内面の油膜。これが1番の原因です。おろしたての新品マスクは、油膜がついているので、歯磨き粉など少しの研磨剤が入ったものでガラスの内面を磨き洗う必要がありますが、この油膜を落としきれない人が結構多いです。僕は、歯磨き粉と食器用洗剤を1:1で混ぜて、歯ブラシで結構強く磨きます。そのあと水ですすいで、息をハ〜ッと吹きかけて、曇らないかチェックします。一発OKはまずなくて、大概、どこか部分的に曇るので、そこをさらに磨きます。何度かやって、ハ〜ッと息を吐いても曇らなくなればOKです。もう一つポイントがあって、すすぐ水は、温い水じゃなくて、海水温を考えて、冷ための水にしましょう。
最初は、これだけすれば万全だと思いますが、しばらく使ってると、また、曇るようになります。原因は、人間の油脂や化粧、日焼け止めなどがマスクについて、曇るようになってきます。お風呂の鏡と同じですね。曇りやすくなってきたら、また、最初のように磨いてください。
しばらく使わないでマスクケースにしまったままにしておくと、ほぼ曇ります。マスクケース内で揮発した油脂などがガラス面にこびりつくので、久々のダイビングの際も、よく磨いてから使うようにしましょう。
④最後は曇り止めの付け方、洗い方です。曇り止めをつけたあと流す時に、流しすぎると曇り止めが取れてしまいます。流す時は、指でさわったりしない。真水より海水で流す。温かい水で流さないようにしましょう。熱いお湯だと曇り止めが落ち過ぎちゃいます。
曇り止めの粘度も気をつけるといいです。ゼリー状や濃いタイプ、熱くて乾いてしてしまう時は、流し過ぎになりがちなので気をつけてください。
個人的におすすめは曇り止めフィルムです。曇り止め液と併用して貼っておくと、洗い過ぎや水が入ってきて曇り止め効果が弱くなっても曇らないですよ。1,000円程度で貼れるので、インストラクターとしては、全ての人に貼ってもらって、曇りストレスをなくしてほしいです。
ダイビング後にマスク跡が残る
Q
おでこにマスク跡が残ります。マスクストラップを締めてみる、緩めてみる、鼻息の工夫、泳ぐ時のマスクの向き、マスクを変えるなど考えられるあらゆることを試しましたが、どうしても跡がつきます。骨格や年齢的にどうにもならいでしょうか? 少しでも跡が残らない方法があれば知りたいです。
(ちゃちゃ/20年/600本)
A
うーん。いろいろ試してるようなら、骨格などの問題かもしれないですが……。
マスクのフィッティングは、すごくシビアで、硬さ、形、キツさ、全てがドンピシャの状態になることが理想的です。マスクシリコンの形や硬さと、それに合うキツさを見つければ、跡が残らなくなると思います。
あと、20年前のダイビングマスクと今のダイビングマスクは、全く違っていて、昔は、マスクシリコンが硬いし厚いので、キツめに締めるのが当たり前でしたが、今は、薄くて柔らかいシリコンなので、かなり緩くしてもフィットします。逆に緩いほうが、しっかり顔に張り付いたりします。
柔らかいマスクをかなり緩めに着けてるといいかもしれないです。あとは、ショップでマスクをじっくりフィッティングしてみるのもいいと思います。
うちの店では、マスクフィッティングブースがあり、じっくり座りながら、各メーカー、各種のマスクを選べるようになってます。もし、機会があれば、お試しください。
プロフィール紹介
かっしーこと柏崎洋介さん
東京農業大学に入学後、ダイビングクラブに入り、すっかり海とダイビングの虜になる。在学中に《スキューバプロショップ》でアルバイトを始め、卒業後はもれなく同社へ。東伊豆の富戸でダイビングガイドを担当した後、同社の代表兼大井町店の店長に。ダイビング歴25年、インストラクター歴21年。現在はPADIコースディレクターとして、ノンダイバーからプロを目指すダイバーまで指導。
東京に2店舗、東伊豆に1店舗あるから
スキルアップやステップアップに超便利!
スキューバプロショップ
大井町店 TEL:03-6712-0920
ダイビングを始めたい!という方から、ファンダイバーや、もっとうまくなりたいという方にはステップアップコースを意欲的に開催。
話題の渋谷・宮下パークから徒歩1分のオシャレな渋谷店、交通至便な大井町店、そして東伊豆で海が目の前に立つ富戸店(写真)と3つの拠点で講習&サービスを展開。『マリンダイビング』主催のランキング企画で8年連続No.1を樹立した富戸店には、1位に何度も選ばれているダイビングガイドの山口敬大さんも常駐。のんびり、あったかな雰囲気にきっとリラックスできるはずです。