スキューバダイビングのスキルアップ術Q&A
ベテランイントラ・かっしーが教えます
第37回 ドライスーツの苦手を克服!
スキューバダイビングでは安全に潜るためのスキルを身に着けておく必要があります。でも、耳ぬき・中性浮力・潜降など、なかなかできない!という方の声が多いのも事実です。
これまでたくさんのダイバーを輩出し、スキルアップの手助けをしてきたベテランイントラ・かっしーこと柏崎洋介さん(スキューバプロショップ大井町店店長)に、読者の皆さんの質問や悩みに答えていただきます!
今回は、ダイビングも衣替えの季節。ドライスーツの苦手意識や苦手スキルの克服法や装着法をかっしーさんが熱血指導してくれました!!
柏崎洋介さん率いる《スキューバプロショップ》はダイビングスキルに悩みのある方やブランクダイバーにも優しいお店です。大井町、渋谷、東伊豆・富戸にお店があるので『マリンダイビングWebを見て』と直接相談してみましょう!
ドライスーツ着用の際、潜降時にエアはどうすれば簡単に抜ける?
Q
ドライスーツでの潜降がスムーズに上手くできません。エアの抜き方はどうしたら改善するのか知りたい。
(どやぽん/5年/135本)
A
ドライスーツの潜降で苦戦する人、結構いますね。
基本的な潜降まで手順は……
①陸上でしゃがんで首に隙間を開けて空気を搾り出す。
②水面でBCDに浮力がある状態で、ドライスーツのバルブから、しっかり腕を上げて搾るように排気する。
③BCDの空気を抜いて潜降開始し、潜りながら、もう一度、しっかり腕を上げて搾るように排気する。
④あとは、ドライスーツは触らず、しっかり息を吐いて潜降する。
これが基本の潜降手順ですが、①~④がしっかりできれば、潜降できるはずです。
でも、うまくいかない人もいるので、コツをアドバイスしますね。
②③の水面の排気の時ですが、姿勢が悪いと抜けにくいです。また、排気のやり方を間違って覚えている方が多いです。排気は、左手を上げて抜くだけではダメです。ドライスーツ内全身の空気を左手に集めて抜くようにしましょう。左手から一番遠い右足の空気を左手に集めるように意識してください。その際、膝が曲がってると膝より下の空気が抜けないので、しっかり膝を伸ばして足の空気を左手に集めましょう。
集まった空気を抜く際もコツがあります。左手の肘を曲げて下げて左肩に空気を集めて排気しますが、その時、頭も下げて猫背気味になる方が多いです。そうすると空気が首の後ろに移ってしまい空気が残ってしまいます。胸を張ったまま排気するようにしましょう。
④の潜降の時は、呼吸に気をつけてください。息を吸いがちになってる方が多いです。抜かないと!って意気込み過ぎて息を吸いがちになりますが、落ち着いて息を吐きながら排気するようにしましょう。排気しようとすると浮いていくって方は、意外とこれが原因だったりします。
あと、後ろに倒れないようにバランスを取ろうと、足をバタつかせてしまう人も多いです。フィンは動かさないようにしましょう。
以上の点を注意して、潜降してみてください。
ドライスーツの購入を考えています
Q
冬もたくさん潜りたいので、ドライスーツの購入を考えています。ただ、以前レンタルでドライスーツを使用したことがあるのですが、スーツに空気を入れて浮力を調整するのがすごく苦手でした。なにかうまくできるようになるコツはありますでしょうか?
(じょん/4年/120本)
A
マイ・ドライスーツいいですね! ドライスーツを使いこなすには、排気方法をマスターすることと、ドライスーツやインナーを工夫することが大事です。ドライスーツを購入するってことなので、スーツの選び方をアドバイスしますね。
ドライスーツは、排気しやすいのを選ぶのがいいです。排気しやすいドライスーツのポイントは、
①抜きやすい排気バルブを選ぶ
絶対オススメは、リストバルブをつけるといいです。手を上げるだけで抜けるので、断然、排気が楽になりますよ。肩のバルブは、オートの性能がいいタイプがオススメですよ。
②ゆったり気味のスーツにする
ゆったりしたスーツにすることで、スーツ内の空気の移動がスムーズになります。ぴったりのスーツだと、排気バルブに空気が集まりにくいので、抜けが悪くなります。特に足がぴったりだと足の空気が残って、足が浮いてしまいます。ゆっくりのスーツにすれば、だいぶ楽になりますよ。
③柔らかいスーツにする
柔らかいスーツにすると、腕を動かしやすいので、腕が上がり排気のポーズがとりやすくなります。生地が柔らかいタイプにしたり、ファスナーを金属製じゃなく、樹脂製にするのもいいです。また、ファスナー位置を通常のバックファスナーからチェストファスナーにするのもありです。
一度試着して、自分に合ったタイプを選ぶのがいいですよ。うちの店では、各種ドライタイプを試着できるのでぜひご相談ください。
インナーの選び方については、この後の質問でお答えしますね。
ドライスーツの時にフィンが履きにくい
Q
ドライスーツの際にフィンが履きにくい~! 体が硬いから!? 良い方法はないですか?
(ナポレオンフィッシュ/12年/860本)
A
ドライスーツ着用時のフィンの着脱は、僕も悩みました。着脱をスムーズにするには、やっぱりフィン選びが大事です。
まずは、フィンポケットが大きいタイプを選ぶのが大事です。ドライスーツの足は、ウエットスーツの時よりだいぶ大きいので、ポケットに入りにくいし、脱ぎにくいです。
あとは、ストラップですね。ドライスーツスーツの時ってウエイトも重いし、動きにくいので、ストラップが引っ張りにくくなります。うまく引っ張れないと、水中で外れてしまうことも。オススメは、スプリングやバンジータイプです。ストラップを引っ張って掛けるだけなので、めちゃくちゃ楽です。
僕の今、使ってるフィンは、着脱が楽なのでオススメです。GULLのGTフィンです。あとは、AQUALUNGのRK3フィンなどもいいですね。
水中での締め付けや空気溜まりをなくすには?
Q
レンタルで数回ドライスーツで潜ったのですが、毎回締め付けが凄く体中が赤くなりますし、空気が足に溜まってる感覚があって排気がうまくいっておらず、浅瀬になるとよく海面浮上してしまいます。 そのようなことがあり挫けてしまい、ドライの時期は潜らないと決めてます。ですが、冬の海の透明度もまた魅力でドライで行ってみたい気持ちもあるため、どうすれば締め付けと足に空気が溜まるのを解消できるでしょうか?
(CATO/3年/50本以上)
A
ぜひドライスーツを快適に使えるようにして、透明度がいい冬の海を潜ってほしいです。
ドライスーツで快適に潜るには、上の質問でお答えしましたが、マイ・ドライスーツにするのが一番で、締め付けもなくなるし、排気も楽になるのでオススメです。でも、なかなか手が出ないと思います。
ほかの対策としては、インナーを工夫するといいです。
オススメのインナーは、バランスが良く、空気が抜きやすいインナーです。バランスに関しては、足が浮くとバランスが取りにくくなるので、上半身から順に厚めのインナーを着るようにしてください。足とか指先が冷えるから分厚い靴下や厚めのレギンスを着るなら上半身はもっと厚着してください。下半身が浮かなければ、バランスも良くなるし、ドライスーツの排気も楽になります。
ドライスーツの排気は、基本的に左肩から抜くので、上半身が浮きやすいようにしておけば、排気がしやすくなります。また、厚めのフリースやダウン、セーターのようなインナーを着る際は、空気が抜けにくくなるので気をつけてください。空気をたくさん含む生地なので、完全に絞りきれず、浮いてしまいます。空気を含まないインナーを重ね着するのがおすすめですが、厚めのフリースやダウン、セーターを着るなら上からピタッとするヒートテックなどを着て押さえ込むようにすれば排気は楽になります。ぜひ、試してみてください。
ドライスーツ着用時の浮力コントロールのコツを教えて
Q
ドライスーツで安全停止、浮きまくるのを上手くコントロールするコツがあれば教えていただきたい。
(匿名希望)
A
ドライスーツは、浅場に戻ってくるときが一番難しいですよね。安全停止を快適にするには、その前から、うまく排気して準備しとくのがポイントです。
ドライで潜る時は、後半が勝負です。
後半浮く原因は……
・タンクが、軽くなる
・ドライスーツの排気がうまくできてない
・排気が遅れがち
が考えられます。
前の質問でも回答したように、タンクが軽くなるのを見越して、少しウエイトを重たくしておくといいですよ。それでも浮く方は、排気がうまくできてないのが考えられます。後半浮く方はたいてい頑張って排気して、何とか浮かずに踏ん張ってるけど、最終的に抜きながら浮いていってしまうんですよね。
浮きそうな状態から、排気をしようと上半身を上げると余計に浮いてしまいます。その状態だと、浮上速度に排気が間に合わず、浮いてしまいます。じゃあどうするかと言うと、もっと早く抜けばいいんです。浮きそうじゃない状態なら立ち上がっても大丈夫なので、じっくりしっかり排気できます。浮きそうになってからでなく、早めに抜くのがポイントですね。
もっと具体的にアドバイスすると、だいたい浮きそうになるのは、水深15mぐらいから10mに戻るあたりです。水深12〜13mくらいで一度、じっくりしっかり抜いて、抜き切って、一旦リセットして、そこからBCに少し給気して中性浮力を取り直すと浅場が楽に、浮かずに、戻って来れますよ。
このようにすれば、安全停止もバランスよく、安定した状態で始められると思います。
プロフィール紹介
かっしーこと柏崎洋介さん
東京農業大学に入学後、ダイビングクラブに入り、すっかり海とダイビングの虜になる。在学中に《スキューバプロショップ》でアルバイトを始め、卒業後はもれなく同社へ。東伊豆の富戸でダイビングガイドを担当した後、同社の代表兼大井町店の店長に。ダイビング歴25年、インストラクター歴21年。現在はPADIコースディレクターとして、ノンダイバーからプロを目指すダイバーまで指導。
東京に2店舗、東伊豆に1店舗あるから
スキルアップやステップアップに超便利!
スキューバプロショップ
大井町店 TEL:03-6712-0920
ダイビングを始めたい!という方から、ファンダイバーや、もっとうまくなりたいという方にはステップアップコースを意欲的に開催。
話題の渋谷・宮下パークから徒歩1分のオシャレな渋谷店、交通至便な大井町店、そして東伊豆で海が目の前に立つ富戸店(写真)と3つの拠点で講習&サービスを展開。『マリンダイビング』主催のランキング企画で8年連続No.1を樹立した富戸店には、1位に何度も選ばれているダイビングガイドの山口敬大さんも常駐。のんびり、あったかな雰囲気にきっとリラックスできるはずです。