年間125万人が訪れるダイビング情報サイト

Marine Diving web

現地の海から2022.09.01

バットフィッシュに恋をして~ガラパゴス諸島探訪記~
第1回 プロローグ

はじめまして、「バットフィッシャーアキコ」と申します!妙な名前でしょう?何故だかはこれからお話ししますね。

「ガラパゴス諸島の海にはアンジェリーナ・ジョリーがいる」と地元のダイビングガイドたちが語る存在がいます。その名はガラパゴスバットフィッシュ。アンコウの一種ですが、確かにアンジェリーナ・ジョリーと見紛う程のセクシーな唇をしています。こんなにユニークなのに、なんとその生態はほぼ未解明。この「なぞカワ」っぷりに私の人生は一変したのです。

 話は遡ること13年前の海の日。下北沢のヴィレッジヴァンガードで偶然手にとった本がガラパゴスバットフィッシュとの出会いでした。甘食パンに手足が生えたようなフォルム、何かを言いたげな目、そして真っ赤な唇……。その写真を目にした瞬間、稲妻に打たれたかのような衝撃を受けました。

 すぐさま本を購入し、近くのマクドナルドに入店。そして改めて写真を眺めてうっとりしていたら、気づけば2時間が経過していました。

「この魚がいるガラパゴス諸島はスペイン語圏だから、スペイン語を話せるようになれば会えるじゃん!」

当時高校3年だった私はこうして大学でスペイン語を学ぶことを決めました。恋した私はもうワクワクです。目を閉じれば、麗らかなお花畑の先でガラパゴスバットフィッシュが笑顔で手を振っている……!

しかしこのお花畑がよく見たらイバラまみれだったのです。バットフィッシュに夢中になっていたためすっかり忘れていましたが、自分は大の語学嫌いであることを外国語学部の入学時に思い出しました。加えて、彼(バットフィッシュのこと)に会うにはダイビングが必須なのに水が苦手なカナヅチだということも。

どう考えても無理です。ここは私が通れる道ではない。しかし、バットフィッシュへの思いは消えない……。ということで呻き声をあげながら傷だらけで突き進み、ついに渡航し念願の彼との謁見を果たすと、ひょんなことからガラパゴスの研究所に所属することになり、先日日本初のバットフィッシュの本を出版しました。

バットフィッシュに出会わなければ、ダイバーになることもありませんでした。最初の海洋実習では「どうかこの身が沈みませんように……」と半泣きで天に祈っていましたが(沈まないとダイビングにならない)、今では「このまま水中にいさせてくれ!エラを売ってくれるなら買う!」と思うほど海が好きです。

そんなわけで、これから、ガラパゴスバットフィッシュやガラパゴス諸島について連載でお話ししていきたいと思います。皆さんどうぞよろしくお願いいたします!

第2回 「なぞカワイイ」はこちら>
第3回「ガラパゴスの海はキビシイ?」はこちら >
第4回「海の生物たち」はこちら>

バットフィッシャーアキコ

ガラパゴスバットフィッシュ愛好家、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ。高校3年の夏に本で見たガラパゴスバットフィッシュに一目惚れし、大学の進路を決める。大学在学中にガラパゴス諸島に渡航し、卒業後現地のチャールズ・ダーウィン研究所のボランティアスタッフとして活動。現在、日本人でおそらくもっとも多くのガラパゴスバットフィッシュを観察してきた者として、講演、寄稿、メディア出演等を行っている。2022年4月、初の著書『バットフィッシュ世界一のなぞカワくん』(さくら舎)を出版。

≫書籍の詳細、購入はこちら

■Webサイト
■Twitter

☆ ☆ ☆

ご質問などはこちらまでお気軽にどうぞ!

【公式】年間125万人ユーザーマリンダイビングWEB

  • Facebook
  • Twitter
  • Line

※クリックすると、そのカテゴリーの一覧が表示されます