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現地の海から2022.09.30

バットフィッシュに恋をして~ガラパゴス諸島探訪記~
第2回 なぞカワイイ

こんにちは、ガラパゴスバットフィッシュ愛好家のバットフィッシャーアキコです! 連載2回目は、私が愛してやまないガラパゴスバットフィッシュの生態についてお話しいたします。

彼は体長15~20㎝ほどで、アンコウ目アカグツ科ニシフウリュウウオ属の一種。ガラパゴス諸島を主たる生息地としています。「ペルー沖にも分布」とする論文もありますが、実際にペルー沖で発見されたという情報はほとんどありません。冷たい水を好むので、ガラパゴスの海面水温が22℃以下になる6月~9月頃がダイバーにとってのバットフィッシュシーズン。この時期には水深10m以深で出会うことができます(ただし、1ダイブで1バット出会えればラッキー程度の遭遇率)。

魚でありながら泳ぎはあまり得意ではないため、基本的に腹ビレと胸ビレをそれぞれ前脚と後脚のようにして海底に佇んでいます。そして、歩きます。そういった生き方をしているため、足場がよくひらけた砂地を好みます。「そんな場所にいては天敵に見つかるのでは」と思われるかもしれませんが、砂地に溶け込む体色と模様をしているため、これが意外と目立ちません。そのうえ基本的にじっとしているので、現地のダイビングガイドですら存在に気付かずに真横を素通りしてしまうことも。

エノキダケのような疑似餌を出すガラパゴスバットフィッシュ

エノキダケのような疑似餌を出すガラパゴスバットフィッシュ

 
そして、ほかの多くのアンコウと同様に疑似餌の持ち主。これをピノキオの鼻のような突起(吻)の下からぴろぴろと出し入れして獲物をおびき寄せるとされるのですが、これがどう見てもただの一本のエノキダケ。私は彼の「狩り」が成功している様子を見たことがなく、現地のダイビングガイドや海洋生物学者たちからも捕食シーンの目撃情報がないので、「ちゃんと食べてますか」と離れて暮らす子を心配する母親のような気持ちなのですが、小さなエビやカニといった甲殻類、多毛類、軟体動物を食べていると推測されています。

何より特徴的なのは真っ赤な唇! これがなんと、なぜ赤いのかは解明されていません。「唇の赤さで獲物をおびき寄せている」という説もありますが、ダイバーの皆さんはご存知の通り、水中では赤色は吸収され暗くぼやけた色になってしまいますよね。実際水中でバットフィッシュを見ると、その唇は顔面中央のこげ茶色模様の中に埋もれて存在感ゼロ。ライトを当てて初めて「Oh!セクシーリップ♡」と気づくのです。あくまで私の推測ですが、逆に「獲物に唇の存在を気付かせないため」に赤いのかもしれません。

ガラパゴスバットフィッシュは生態がほとんどわかっていません。だからこそ、実際に潜って観察して初めてわかることがたくさんあり、一方でますます膨らむ謎もあります。飽きがこない「なぞカワくん」です。次回は、そんなバットフィッシュを取り巻くガラパゴスの海についてお話しします!

< 第1回「プロローグ」はこちら
  第3回「ガラパゴスの海はキビシイ?」>
  第4回「海の生物たち」 >

バットフィッシャーアキコ

ガラパゴスバットフィッシュ愛好家、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ。高校3年の夏に本で見たガラパゴスバットフィッシュに一目惚れし、大学の進路を決める。大学在学中にガラパゴス諸島に渡航し、卒業後現地のチャールズ・ダーウィン研究所のボランティアスタッフとして活動。現在、日本人でおそらくもっとも多くのガラパゴスバットフィッシュを観察してきた者として、講演、寄稿、メディア出演等を行っている。20224月、初の著書『バットフィッシュ世界一のなぞカワくん』(さくら舎)を出版。

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