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現地の海から2022.10.28

バットフィッシュに恋をして~ガラパゴス諸島探訪記~
第3回 ガラパゴスの海はキビシイ?

こんにちは、ガラパゴスバットフィッシュ愛好家のバットフィッシャーアキコです!連載3回目は、ガラパゴス諸島の海についてお話しします。

ガラパゴス諸島でダイビングというと「常夏の海!」とイメージされる方が多いのですが、実はガラパゴスの海は寒いのです。 赤道下に位置していますが、クロムウェル海流(深層流)やペルー海流(寒流)が流れ込むため、年間の平均海水温は2324℃。中でも、海水温が最も低くなる8月と9月は2122℃ほどに下がります。

「その程度で寒いは言いすぎでは?」と思われた方、ここまでお話ししたのはあくまで海面の温度なのです。問題は海中。複数の海流が流れ込むガラパゴスの海は、潜降していくごとに、前進していくごとに、コロコロと水温が変わります。1ダイブの間に水温が5℃変化するのは普通で、時には10℃近く変化することも。つまり、89月にダイビングする場合、海の中が16℃になることはよくあります。

それなのに、体の濡れないドライスーツは使えません。ガラパゴスの海は塩分濃度が高く浮力の調整が難しいからです。現地の海を知り尽くしたダイビングガイドでもセミドライスーツが限界。観光客は厚手のウエットスーツで、濡れてブルブル震えながらダイビングします。

私の愛するガラパゴスバットフィッシュは冷たい水を好むので、89月は狙い時です。この時期私は6.5ミリのウエットスーツに加え、防寒対策として厚手のフードベスト、そして上下に保温インナーも仕込んで潜るため、せっかくバットフィッシュに謁見するというのに、ゴーストバスターズのマシュマロマンばりにパッツパツになります。 寒さに加え、ガラパゴスの海は流れもあります。マシュマロマンの体は水の抵抗が大きく、強い流れに「おっとっと」となることもしばしば。

しかしそんな時、地に足(※ヒレ)を着けて生きているガラパゴスバットフィッシュもまた流されかけています。泳ぎが不得意なため流れに逆らって泳ぐことはできないのか、じりじりと後ずさりをしてふんばろうとするものの、結局流されかけてしまう彼らを私は見てきました。 その姿を撮影した映像を、皆様にもご覧いただければと思います。

緩やかな流れの日でこのご様子です。時にガラパゴスの海中は稼働中の洗濯機の中のような強い流れになりますから、一体どうなってしまうのでしょう。 次回は、そんなバットフィッシュを見守るガラパゴス諸島の海の生物についてお話しします!

< 第1回「プロローグ」はこちら
< 第2回「なぞカワイイ」はこちら
  第4回「海の生物たち」はこちら >

バットフィッシャーアキコ

ガラパゴスバットフィッシュ愛好家、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ。高校3年の夏に本で見たガラパゴスバットフィッシュに一目惚れし、大学の進路を決める。大学在学中にガラパゴス諸島に渡航し、卒業後現地のチャールズ・ダーウィン研究所のボランティアスタッフとして活動。現在、日本人でおそらくもっとも多くのガラパゴスバットフィッシュを観察してきた者として、講演、寄稿、メディア出演等を行っている。20224月、初の著書『バットフィッシュ世界一のなぞカワくん』(さくら舎)を出版。

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