多様な生き物と出会う八丈島
八丈ブルーでジオダイビング!
伊豆諸島の一つである東京都・八丈島。朝の飛行機に乗れば午前中から潜れるし、船便なら夜寝ている間に移動ができる意外にも気軽に行ける島で、充実の休日ダイビングが叶うと多くのダイバーが訪れています。
溶岩が噴出して形成されたダイナミックな景観と、八丈島ならではの生き物たちに出会いに行きましょう!
※2024年7月31日現在の情報です
東京都の南国で週末ダイビングを!
「ナズマド」のエントリー/エグジット口 。対岸に見えるのが八丈小島。島の間は潮の通り道になっていて、潮当たりが良く透明度も抜群!
写真提供/山本貴嗣 (ブーメラン)
八丈島は溶岩が噴出して形成された島のため、アーチやケーブなどダイナミックで複雑な地形に富んだダイビングスポットが、島一周をぐるりと囲うように点在しています。
また、太平洋沿いに流れてくる大暖流・黒潮の通り道になっているので、その恩恵をたっぷりと受けています。一年を通して素晴らしい透明度を誇り、コンディションが良いときには50m先まで見渡せることも! ここでしか見られない海の青は「八丈ブルー」と呼ばれ、日本の固有種をはじめとした色とりどりの魚たちがダイバーを出迎えてくれます。
※八丈島の位置やアクセスなどの基本情報はコチラを参照ください。
八丈島ならではの生き物がいっぱい
黒潮の影響を強く受ける八丈島は、生物の宝庫! このエリアならではの珍しい生き物たちが数多く生息しています。
ウミウシ、甲殻類、八丈島ならではのかわいい幼魚、季節の移り変わりで変化する生き物……フォト派も大興奮のマクロな被写体が、そろいにそろっています。
ユウゼン
ダイビングスポット「ナズマド」
写真提供/山本貴嗣 (ブーメラン)
体長15cmほどの日本固有のチョウチョウウオで、コンスタントに見られるのは八丈島と小笠原諸島だけという貴重さ! 友禅染が名前の由来となっています。春と秋には多いときに200匹もが集結する「ユウゼン玉」と呼ばれる群れを成すことがあります。
ハチジョウタツ
ダイビングスポット「八重根」
写真提供/山本貴嗣 (ブーメラン)
「ジャパピグ」の愛称で親しまれているピグミーシーホースの仲間。新種記載の際に八丈島のガイドさんが協力したことから、和名は“ハチジョウ”が入ったこの名前に。八丈島では年間を通して見られます。
レンテンヤッコ
ダイビングスポット「八重根」
写真提供/山本貴嗣 (ブーメラン)
八丈島ではごく普通に見られますが、実は南日本、ハワイ諸島、ミッドウェイなどの限定分布の種です。
ナメモンガラ
写真提供/ 仲谷順五(アルケロンダイビングクラブ)
日本近海では伊豆諸島、小笠原諸島、沖縄周辺に生息していて、八丈島では特によく見られます。オスは黄色く、メスは暗褐色の見た目をしています。八丈島では「トミメ」と呼ばれ、食用にもなっています。
ベニシボリ
ダイビングスポット「八重根」
写真提供/山本貴嗣 (ブーメラン)
八丈島を代表する、貝を持つウミウシ(貝の仲間と分類されることも)です。同じく貝を持つミスガイなどとも出会えます。
ホホスジタルミの幼魚
ダイビングスポット「局長の浜 」
写真提供/山本貴嗣 (ブーメラン)
黒潮に乗って沖縄などの南方から、サンゴ礁の生き物たちの卵や幼生が八丈島の海にも流れ着きます。そのまま八丈島で成長したかわいらしい幼魚たちは季節来遊魚と呼ばれ、夏から秋の海に彩りをもたらします。
パンダのような模様のホホスジタルミの幼魚ですが、成長するにしたがって全く違う見た目へと変化していきます。
フリソデエビ
ダイビングスポット「八重根」
写真提供/山本貴嗣 (ブーメラン)
これが見たくて世界中の海へ潜りに行くダイバーも多いのですが、八丈島では10ペアが1カ所のスポットで見られることもあるほど、とにかく数が多い! 世界中を見ても珍しい場所です。
キンチャクガニ
ダイビングスポット「底土」
写真提供/山本貴嗣 (ブーメラン)
こちらも八丈島ではごく普通に見られる種ですが、これほど生息している場所はほかにあまりありません。
八丈ブルーのワイドな景観で大物も!
マクロだけでなくワイドも楽しめる、多様性の高い八丈島。八丈ブルーの海とのコラボレーションが最高に美しいのです。
ワイド派も大満足の気持ち良い海
ダイビングスポット「底土」
写真提供/山本貴嗣 (ブーメラン)
アオウミガメとの遭遇率が非常に高い八丈島の海。体験ダイビングやライセンス講習中、スノーケリングでも出会えるというのだからなんとも贅沢!
ダイビングスポット「底土沖ボートポイント」
写真提供/山本貴嗣 (ブーメラン)
火山島が造り出した自然の造形は、海中にもアーチやケーブなど圧巻の光景をもたらします。水深が浅い場所でも地形ダイビングが楽しめるので、ビギナーダイバーでも安心です。
ダイビングスポット「ナズマド」
写真提供/山本貴嗣 (ブーメラン)
きらりと光るオキアジの群れ。そのほかの大型回遊魚の群れもさまざまなスポットで見られ、小魚の群れにアタックする様子も観察できます。
大物との遭遇にドキドキ!
ダイビングスポット「ナズマド」
写真提供/ 仲谷順五(アルケロンダイビングクラブ)
太平洋に浮かぶ離島では何が起こるか予測不能です。運が良ければハンドウイルカやザトウクジラ、ニタリ、ハンマーヘッドシャークと出会えることも!
写真は大人気のビーチスポット「ナズマド」で遭遇したハンドウイルカの群れです。
ダイビングスポット「お千代ヶ浜 」
写真提供/山本貴嗣 (ブーメラン)
八丈島では2015年の冬からザトウクジラが観察されるようになりました。陸上からは頻繁に見られているのですが、ダイビング中にはなかなか会えないため、出会えたらラッキーですよ! 冬、大物出現率が高いビーチスポット「ナズマド」で出会える確率が高まります。
観光のススメ~温泉&グルメ
八丈島は陸にもお楽しみがたくさんあります。雄大な風景に火山島ならではの温泉、島のグルメなどなど。海だけで帰っちゃうのはもったいない!
島の西側から海を望む。右手に見えるのは八丈小島。
八丈島には7つの温泉があります。手軽に楽しめるのは「足湯きらめき」。太平洋を一望する絶好のロケーション。冬ならザトウクジラが見えるかも!
こちらもおすすめの「裏見ヶ滝温泉」は豊かな緑と滝を眺めながら入る露天風呂。混浴温泉なので水着をお忘れなく。
八丈島の海の幸は数々あれど、まずは「島寿司」をお楽しみあれ。八丈産のトビウオやメダイをヅケにして、甘めのシャリで握っています(ワサビではなく辛子を使用)。これがまた、島焼酎とよく合うのです!
独特の苦味をもつ明日葉は、「今日新芽を摘んでも、明日にはもう新しい芽が出ている」ほど強い生命力を持っています。天ぷらやおひたしが一般的ですが、スイーツ(画像)にしてもまた新たな魅力発見。
コンディションカレンダー
八丈島の海には四季折々の見どころがあり、また大暖流・黒潮と、黒潮から派生する冷水塊などの影響で思いがけない出会いもあります。関東方面からは週末ダイビングで楽しめるので、季節ごとに変わる八丈の海を楽しみましょう!
※気温は気象庁発表の1981~2010年の平均値より編集。
※水温は気象庁発表の2016年から2020年の平均値より編集。
※その年の黒潮ルートや気象によって変動があります。
協力/八丈島スキューバダイビング事業者協会
ライター/新井夏海