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ダイビングに最適なマスクの条件とは?
GULLマスクで変わるダイビングの世界
ダイビングを快適に楽しむために欠かせない器材が「マスク」。ダイビングに適しているマスクとはどんなマスクなのか、《GULL》大阪営業所の滝口公孝さんに教えてもらいました。これからマスクを購入しようとしている方も、愛用のマスクをお持ちの方も、ぜひチェックしてみてくださいね。
聞き手:鴫谷隆(マリンダイビングWEB編集長)
ダイビングに最適な
マスクの条件とは?
――いろいろなマスクがありますが、滝口さんとしてはどのようなマスクがダイビングに適していると考えていますか?
滝口:やはり「顔に合う」ことですね。顔に合う、合わないによってさまざまなストレスが発生する可能性があるので、まずは顔に合うということが大前提になりますね。
――では、顔に合っているか合っていないかは、どのように見極めればよいのでしょうか。
滝口:陸上(1気圧)でチェックする場合は、マスクを顔につけて、鼻から息を吸ったときに、空気が入ってこないというのがひとつの基準になります。
――マスクが顔に合っていないと、ダイビング中にどんなデメリットがありますか?
滝口:まず考えられるのが、マスク内への浸水ですね。ダイビング中にマスクに水が入ってくるというのは大きなストレスになりますし、水が入ってくることによって、水中でしなければいけない作業も増えてきます。さらには、マスククリアの回数が増えることでエアの減りも早くなったり、魚を見逃してしまったり、ダイビングをする上で楽しめる要素が減ってしまいます。
――なるほど。それを防ぐためには、どんなマスクを選べばいいのでしょうか?
滝口:水中でいかに顔にフィットするかを重視していただきたいですね。陸上でどんなにフィット感が良くても、水中(水圧の変化を受ける環境)ではフィット感が損なわれてしまうこともあります。ただ、水中でのフィット感を陸上で試すのは難しいです。その点、GULLのマスクは、水圧による変化を考慮し、陸上でのフィット感と水中でのフィット感が同じになるようにシリコンの厚さを調整しています。たとえば、マンティスLVやヴェイダーなどの場合、シリコンにコシをもたせたような感じになっていますので、陸上では多少固いという感覚を持つ方もいるかもしれませんが、水中に入るとそれが安心感に変わってきます。
陸上のフィット感=水中のフィット感となりますので安心してお選びいただけます。
――陸上ではちょっと合わないかなと思っても、水中ではピタッとくるということもあるのですね。
滝口:そうですね。やはり水中でいかに快適にマスクを使えるかが最も重要だと考えています。そのために、スカート全体の固さはもちろんのこと、厚さを変えている部分もあります。たとえばヴェイダー ファネットのように顔に当たる部分を柔らかくしているマスクでも、スカート全体を柔らかくするのではなくて、フレームに向かうごとに厚みを出しコシを持たせることで、水中でも水圧に負けず、抜群のフィット感を実現しています。
――男性用と女性用に違いはあるのですか?
滝口:GULLのマスクでは、ユニセックス(男女共有)と女性用の2種類があります。以前はすべてユニセックスだったのですが、近年はヴェイダー ファネットやココといった女性用のマスクや、ランツェのように女性でも合いやすいマスクも用意して、より支持を得られるようになりました。女性用のマスクは、先ほどお話ししたように、顔に当たる部分を柔らかくし、女性に合わせたラインで顔当たりを良くするなどの工夫がされています。女性でもマンティス5を使っている方はとても多いのですが、女性用のマスクを使ってみて「今までのマスクもいいけれど、こちらのほうがもっといい!」と驚かれる方も多いですね。もしかしたら、「これくらいの違和感は普通なのかな」と思っていることが、実は普通ではなくて、女性用のマスクを使うことで解消する可能性もありますので、ぜひ試していただきたいですね。
――フィット感がマスクについての最も重要なポイントということですが、それ以外にダイビングに適したマスクのポイントとしては、どのようなことが考えられるでしょうか。
滝口:あとはお客様の目的や好みによりますね。たとえばAさんにとっては良いマスクでも、Bさんにとっては良くないマスクになる可能性もあります。まずフィット感を重視したうえで、目が悪い方は2眼タイプにする、広い視野を確保したい方は1眼タイプにする、デザインやカラーを好みのものにするなど人によって重視するポイントが変わってきますね。
――今お話に出た「視野」については、どんな点に注目すればいいのでしょうか。
滝口:わかりやすく言えば、上下左右の見やすさというところですが、レンズが目により近いマスクは、やはり視界が良くて見やすいですね。レンズが目から離れていると、横目でみた際にシリコン部分やフレームが視野を遮ってしまい、視界が狭く感じてしまうかもしれません。一般的に2眼の方がより目に近づけることができ視野角も広くなるのですが、1眼のように真ん中に何もない方がセンターフレームの死角をもう片方の目が補正しなくてよいので、より自然な視野となり視界が広く感じます。GULLのマスクでは、海女さんがつけるような丸メガネ型のマスクもありますが、それを除けば、数値では2眼マスクの方が視界は広く、実際の使用感でも視界は広いのですが、センターにフレームのないヴェイダーのような1眼マスクの方が視野が広く感じるという方も多くいると思います。
――レンズが目に近いマスクの視野が広いということは、内容積が少ない(ローボリューム)のマスクのほうがおすすめということですか?
滝口:視野の広さだけでなく、圧平衡のしやすさなど、基本的にはマスクはローボリュームが適していると思います。ただ、あまりにもローボリュームすぎると、目の悪い方がレンズを作れないという問題や、マスクの大きさも小さくなるので、ローボリュームにすればするほど使える人が少なくなってしまいます。たとえばフリーダイビングのマスクはすごくローボリュームでいいのですが、視野が限られてくるため、スクーバダイビングにはあまり向いてはいません。マスクがダイビング用なのかスノーケリング用なのかフリーダイビング用なのか、そこは注意して選びたいですね。
――視野が広いマスクにはどんなメリットがありますか?
滝口:ワイドで大物を見たり、透明度の良い青い海で周囲を見回したりするダイビングが好きな方は、上下左右ができるだけ見えるもののほうが当然いいでしょう。また、視野が広いと、首を動かす範囲を少なくすることができます。たとえばドライスーツを着ていて首を動かすと、首から浸水する原因になることも。何十cmも変わるというレベルではありませんが、できるだけ正面を向いた状態で上下左右が見えるというのが、マスクとしては優れていると思います。
――なるべく下を見ずに、手元の操作がしやすいというのはいいですね。
滝口:BCのDリングの位置にもよると思いますが、首をぐっと下げないとDリングにぶら下げているものが見えない、インフレーターが見えないということがあります。その点、GULLのマスクのほとんどが、レンズに下向きの角度がついているので、より下方が見やすくなっており、手元の操作がとてもしやすいと思います。視野の広さに加え、少し顔を動かすだけで下が見えるので、操作がしやすくとても快適です。
――もうひとつ、ユーザーとしてはせっかくマスクを買ったなら、少しでも長く使いたいというのがありますが、頑丈さ(耐久性)はどうなのでしょうか。
滝口:GULLのほとんどのマスクは、レンズ+スカート+フレームという、いたってシンプルな構造になっているため、不具合が発生する率が少なくなっています。あとは、お客さまの扱い方も重要ですね。レンズを物にぶつけてしまっては当然傷つきますし、スカートに関していえば、きちんと水洗いをして陰干しすることが大切です。特に女性は、ファンデーションがついていたり、日焼け止めがついていたりで、汗や唾と同様にバクテリアが発生しやすくなります。しっかり真水で濯いで陰干ししていただき、きちんと乾燥させることで、汚れやカビの発生を防げると思います。
マスクを快適に使用するための
ポイントは?
――最初に選ぶときに自分に合ったマスクを選びましょうというのが大前提なのですが、ではそのマスクをなるべく上手に、快適に使うためにはどういうところに気をつければいいのでしょうか。先ほどフィット感のところでも話がありましたが、マスクに水が入ってくるとストレスになりますが、水が入ってこないようにするためにはどうしたらいいですか?
滝口:初心者にありがちなのが、髪の毛がスカートの間に挟まっていることによる浸水です。ビーニーのような帽子をかぶる、髪の毛をしっかりまとめるなどして、スカートの間に髪がはさまらないように注意しましょう。
あとは、マスクバンドの締めすぎが原因ということも多いですね。フィンのストラップにも同じことが言えますが、マスクバンドは強く締めればOKと思っている方が意外と多いようです。特に、水中でマスクに水が入ってきて慌てている方で、よく見かけるのはマスクバンドを締め直しています。締め直すということは、さらに圧がかかりますので、顔に当たっているスカートの部分がめくれ上がり、結局はさらに隙間を作ってしまうことになります。エントリー前にマスクを顔につけて、鼻から息を吸って空気が入ってこなければ、おそらく水中では髪の毛が挟まっていたりスカートが破れたりしていないかぎりは、水が入ってくることはありません。そのレベルでマスクバンドを締めてマスクを装着するのが一番いいと思います。
――マスクの中に水が入ってくるのが心配だからとマスクバンドをギューッと締めてしまう方がいますが、かえって逆効果というわけですね。
滝口:そうですね。そこは明らかです。水中では水圧がマスクを顔にフィットさせるのを手伝ってくれることもありますので、きつく絞めすぎないようにしていただいた方がよいですね。
――マスクバンドを締めすぎると、顔にマスクの跡もついてしまいますしね。
滝口:シリコンが固くなっている場合や、シリコンではないラバーのスカートなどのマスクを使っている方は、バンドの締め方の強弱以前に、マスクをつければ自ずと顔に跡がついてしまうのですが、GULLのマスクの中で「カールリップ」という機能を採用しているモデルは、バンドの締め方ひとつで解消されます。特にGULLのマスクは、スカートの顔に当たる部分を面でとらえて、顔あたりを柔らかく作っているので、適度な圧力でバンドを締めれば、顔に跡が強く残るということはある程度防げます。
――あとはマスクの「曇り」ですね。水中でマスクが曇ってしまうことにストレスを感じるダイバーは多いと思うのですが。
滝口:曇りに関しては、マスクを購入したときに中性洗剤等で油分や汚れをしっかりと洗い流していただくことが必要です。その他、曇る原因として、鼻から呼吸している場合が多いので、そこは注意したいですね。
――適切に曇り止め液などを使えば、きちんと曇り止めができるというわけですね。
滝口:そうですね。それでもどうしても曇るという場合は、曇り止めフィルムを使うのも手です。ダイビングごとに曇り止め液を塗るというひと手間がなくなりますし、マスククリアが苦手な方や、どうしても鼻から息をしてしまう方には、すごく適していると思います。ご自分に合った方法で曇り止めをしていただければ良いと思います。
――あとはマスクのお悩みでいうと、「ブタ鼻」でしょうか。
滝口:これもマスクバンドの締めすぎが原因ということが多いのですが、そもそもバンドを締める前に、マスクがちゃんと適正な位置でつけられているかどうか、インストラクターやバディにきちんと確認してもらうといいでしょう。そのうえで、水中などでブタ鼻になっている場合は、マスクバンドの締めすぎやマスクがずれているのが原因と思われます。
――ブラックシリコンやホワイトシリコンのスカートで隠すというのもひとつの手ですかね(笑)
滝口:そうですね、クリアシリコンはやはりブタ鼻が見えてしまうので、ブラックシリコンやホワイトシリコンに変えていただくのもひとつの手ですが、根本的な解決にはなっていませんね(笑)。やはりマスクをつける位置やバンドの締め具合をきちんと確認することをおすすめします。ただ、女性としては、ブタ鼻も含め、水中できれいに見えるのにブラックシリコンやホワイトシリコンはとてもいいと思います。
――ちょうど話に出たのでお聞きしたいのですが、ブラックシリコンやホワイトシリコンのメリットは何でしょうか?
滝口:ブラックシリコンのスカートは、余計な光が入ってこないので、水中撮影をする方にはすごく向いています。ホワイトシリコンは、最近は男性もつける方が非常に多いのですが、自分が被写体になったときに男性はかっこよく、女性はかわいく見えるというのがポイントですね。ただし、ホワイトシリコンの場合は取り扱い(メンテナンス)に気をつけないと、汚れが目立ってしまうかもしれません。ブラックシリコンは汚れが目立ちませんが、見えないだけで汚れていることも多々ありますので、気づかないうちに劣化していることも。そのあたりは注意が必要ですね。
――日焼けについてはどうですか?
滝口:マスクによって日焼けしやすい、日焼けしにくいは、あまり聞いたことはありませんが、ブラックシリコンやホワイトシリコンだと光を通しませんので、日焼けしにくいかもしれません(日焼けの境目はクリアシリコンのほうが目立たないとは思いますが)。それよりも気をつけたいのが、目の日焼けです。マンティスLVなどではUVカットのレンズを採用していますが、その目的は目の保護にあります。紫外線だけでなく、HEV(波長が400〜420nmの高エネルギー可視光線)も防いで、人間が本来持っている目を守る成分の減少を防ぐ効果もあります。
――レンズによって水中での物の見え方にも違いがありますか?
滝口:GULLのマスクの場合、レンズに色をつけることによって、物の輪郭をはっきりさせる効果や、明るく見せる効果をもたせています。年によって変えており、アンバーレンズは物の輪郭をはっきりさせる効果があり、アクアレンズはどちらかというと明るく見せる効果を狙っています。見え方は異なるものの、どちらのレンズでも物を良く見せる効果があります。
あとはレンズにHEV防止効果を持たせているのもGULLの特徴です。人間の目を保護する「ルテイン」という成分があるのですが、ルテインはHEVによってどんどん減少してしまいます。体の中では生成できない成分なので、ルテインのサプリを飲んだり、野菜をとったり、そういうことをしないと補填できません。このレンズは多少なりともそういうことを防いでいるというわけです。
――GULLのマスクは目に優しいうえ、水中ではより鮮やかなシーンを楽しめるという特長があるのですね。
マスクを少しでも
長持ちさせるコツは?
――先ほど、マスクの耐久性のところでも少しうかがいましたが、マスクを少しでも長持ちさせるには、どうしたらいいのでしょうか。
滝口:密閉された容器の中に濡れたまま置いておくとか、高温の場所や、直射日光の当たる日向に長時間放置するというのは、やはりよくないですよね。ダイビングが終わったあとは、かならず真水でよく濯いで、陰干しするのが大切です。あとは人にもよると思いますが、使う頻度を上げることも私はとても大切だと思っています。年に数回しか潜らないという人もいると思いますが、その間に放置しておくと、やはり劣化が進む場合があります。できれば定期的に使っていただくことが、長持ちする秘訣ではないでしょうか。
おすすめのマスクはこれ!
――最後に、これまでお話ししていただいたことを踏まえて、滝口さんがおすすめするマスクを紹介していただけますでしょうか。
滝口:基本的にはマンティスLVが私の一番好きなマスクですね。男性にも女性にも合うように作られています。これにヴェイダーとヴェイダー ファネットを加えた3種類がGULLのGシリーズのマスクで、この3種類であれば万人に合うというわけではありませんが、大体の方をカバーでき、商品のクオリティとして自信を持っています。たとえばフレームなどもひとつひとつを職人が塗装しているなど、機能にもデザインにもとてもこだわりがあるマスクなのですが、なにより水中での「見栄え」がとてもいいですね。皆さんは水中で自分がどのように見えているか(ご自身が被写体になった時)、気にしたことはありませんか? 自分が水中写真に撮られたときに、この3つのマスクは、女性はすごくかわいく、男性はすごくかっこよく写るというのがポイントだと思っています。
――マンティスLV、ヴェイダー、ヴェイダー ファネット、それぞれにどんな違いがあるのでしょうか。
滝口:マンティスLVについては2眼なので、目の悪い方は度付きのレンズを入れることが可能でより快適にお使いいただけます。2眼と1眼の好き好きはあると思いますが、2眼の好きな方、下方視界、ワイドな視界を重視する方はマンティスLVがいいと思います。1眼で視界の広さを重視するという方はヴェイダーがおすすめですね。あとは顔に合う合わないだと思いますが、たとえば買い替えのときに、今までは2眼を使っていたけれども次は1眼を使ってみたいなど、逆も然り、そんなのもありかと思います。ヴェイダー ファネットは、リークレスシステムという独自のシステムを使っています。スカートの顔にあたる部分だけを柔らかくし、フレームに向かうにしたがってコシを持たせているのに加え、頬骨のあたりのラインと、ほうれい線などを包み込むような感じでフィットするので、浸水を防ぐことができます。それと、先ほどお話ししたように、顔に跡がつきにくいのも特徴。このリークレスシステムは、ヴェイダー ファネットとココ、ランツェ、ヴェンティアの4つに共通しているシステムです。女性で選ぶのでしたら、ヴェイダー ファネットをおすすめします。
――それぞれのマスクで、快適にダイビングを楽しむためにいろいろな工夫が施されているのですね。
滝口:よくモニター会などでもGシリーズのマスクを貸し出すことがあるのですが、特に初めて使った方は「今までマスクに感じていたストレスはなんだったんだろう」と皆さん感動していただけています。皆さんにGULLのGシリーズのマスクを試していただき、「メイドインジャパン」のこだわりとクオリティの高さ実感していただく機会を増やしていけたらと考えています。直近で一番早いモニター会への出展は、西伊豆・土肥で7月18日(土)を予定しておりますので、GULLのマスクを試しにぜひ遊びにきてください。それ以降のモニター会の情報は随時GULLのSNSで公開していく予定です。
ご都合が悪い場合は、最寄りのGULL製品の取扱店舗で商品を手にとってみてください。スタッフの方が相談に乗ってくれます!
※事前にご希望のGULL製品があるかショップまでお問い合わせください。
ぜひ皆さんもGULLのマスクで、安心安全に、より快適なダイビングを楽しんでくださいね。
――今日はありがとうございました。
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