「マリンダイビング」最新号
地球の海フォトコンテスト2017
The Blue Earth Underwater Photo Contest
地球の海フォトコンテストとは
「地球の海フォトコンテスト」は、1971年に始まった「マリンダイビング水中写真コンテスト」から数えると、40年以上の歴史を誇る、世界最大規模の水中写真のフォトコンテストです。マリンダイビング水中写真コンテストは、「水中写真を撮るダイバーを一人でも増やしたい」という思いから始まり、デジタルカメラの普及に伴い、気軽に水中写真が撮れるようになり、今ではダイビングを楽しむ上で重要な要素となっています。
1999年に「地球の海フォトコンテスト」と名称を改め、今年は19回目を迎えます。2016年8月から2017年1月20日の間に作品募集を行ない、「ネイチャー・環境部門」「自由部門」「ビギナー部門」「ビーチフォト部門」の4部門に国内外から数多くの作品が応募され、全入賞作品は、2017年4月7日から9日まで池袋サンシャインシティ コンベンションセンターTOKYO文化会館 C,Dホールで開催された「マリンダイビングフェア2017」会場内で展示され、多くの来場者にご覧いただきました。また上位入賞作品は、会場内で授賞式が執り行われました。
本サイトにて全入賞作品が掲載される他、月刊『マリンダイビング』2017年5月号(4月10日発売)誌面でも各部門の上位、優秀賞、特別協賛賞、エリア賞とビギナー部門全入賞作品が掲載されています。
審査員紹介
ネイチャー・環境部門&自由部門
(審査員長)
福永友保
Tomoyasu FUKUNAGA
全日本写真連盟理事。千葉大学工学部卒業後、1967年に朝日新聞社に入社、写真部に配属。1987年から北海道支社写真部キャップを務め、その後は大阪本社写真部部長、東京本社写真部部長などを歴任。
ネイチャー・環境部門
(審査員)
奥谷喬司
Takashi OKUTANI
軟体動物の分類・生態・資源研究が専門。水産庁東海区水産研究所、国立科学博物館動物研究部、東京水産大学を経て、現在は東京水産大学(現東京海洋大学)名誉教授。日本貝類会名誉会長。理学博士。
ネイチャー・環境部門
(審査員)
瀬能 宏
Hioshi SENOU
《神奈川県立生命の星・地球博物館》学芸部長。専門は魚類分類学と生物地理学、保全生物学。ダイバーや釣り人などから写真を集めて研究に生かす、「魚類写真資料データベース」を構築中。
ネイチャー・環境部門
(審査員)
山崎麻里
Mari YAMAZAKI
2007年環境省入省。国立公園の保護と利用、白神山地世界遺産地域の管理、生物多様性の普及啓発、名古屋議定書、鳥獣保護管理などに関わった後、2016年7 月より海洋の生物多様性保全を担当。
自由部門( 審査員)、
ビーチフォト部門(審査員長)
高砂淳二
Junji TAKASAGO
自然写真家。海をはじめとする地球全体をフィールドとし、自然全体の姿や生き物の繋がり、人との関わり合いなどをテーマに撮影活動を行なっている。『Dear Earth』『night rainbow』など著書多数。
ビギナー部門
(審査員長)
鍵井靖章
Yasuaki KAGII
水中写真家。大学在学中に伊藤勝敏氏に師事。1993年よりオーストラリア、伊豆、モルディブなどで撮影に励み、1998年にフリーランスフォトグラファーとして独立。写真集『夢色の海』など多数。
※ビギナー部門とビーチフォト部門では、『マリンダイビング』副編集長・後藤ゆかりも審査に参加しています。
審査員総評
ネイチャー・環境部門
福永友保
かつての告発型や警告型、または可哀想な魚や自然という作品が激減して、ネイチャーのドキュメンタリー的な面白さを探る作品が増えてきたと思います。それも種類的な珍しさや姿の美しさより、生態への興味や面白さを強く感じさせる作品がでてきたことは喜ばしいことです。水の中でよく被写体を観察しているからでしょう。
奥谷喬司
上位入賞作品に象徴されるように、今回も魚類をはじめ脊椎動物を被写体とした作品が多かった。少々残念ですが、無脊椎動物に目を転じますと、過去には猫も杓子もウミウシという時期もありましたが、最近はそれも落ち着いて題材が多岐にわたってきたようです。
また、接写流行りで「ただ生き物がそこにいるだけ」という写真が多かった時代に比べれば、ダイナミックな動きや生態をワイドで写し撮ったものが増えてきました。こうやってたくさんの水中写真を見ておりますと、ものを食べたり子供をつくったり敵に襲われたり逃げたり隠れたり、海の生き物たちは水というものをとてもうまく利用して生活していることを再認識いたします。
瀬能 宏
マクロの写真は例年になく不作。最近はカメラの機能が向上しており、接近してもピントが合ってしまうことが原因かもしれません。せっかくいい被写体と出会っても、ただ拡大して撮るだけという作品が目立ちました。フォトコンテンストなのですから、その生物の生き様がわかるような構図を考慮してほしい。面白いシーンや珍しい魚などの作品もありましたが残念です。ワイド系の作品はいい写真が多かったと思います。それでも、例えば寄りすぎてしまったためにせっかくの大群がいまひとつ表現されておらず、「もっと引いてくれ」と切実に感じた作品もありました。距離をおくと光量不足になるし、そのへんの兼ね合いが難しいのでしょうね。「環境」という点からは、昨年話題となった白化現象などをテーマとした作品が見られ、全体として良かったと思います。
山崎麻里
今回初めて審査に臨み、海の中の不思議な生き物や興味深い生態を楽しく拝見させていただきました。専門の先生方の説明や解釈も新鮮で、新たな知識をたくさん得ることができました。また、昨年はサンゴ礁における白化現象が深刻だったのですが、それをテーマとした作品も多く、さすがダイバーは環境の変化に敏感なのだなと感心いたしました。タイトルからも不安や心配する様子が伝わってきます。ただ、それ以外では環境を意識させる作品は少なく少々残念。とはいえ、ダイレクトに危機感をあおるような啓蒙的な作品ばかりでもありきたりになってしまいますので、そのへんの加減が撮影される側も難しいのでしょうね。パッと見たときに「美しい」「きれいだな」だけではなく、さらに「これを守りたいな」と思わせる作品を来年は期待します。
自由部門
福永友保
被写体をきっちりと撮る、という意味で非常に高レベルです。でも、それは入選するための必要条件。上位や優秀賞を狙うなら表現力が問われます。見る人に何かを感じさせる力です。応募作品のほとんどは「被写体と自分」という関係性で完結していて、だから露出が適正でピントが合っていれば満足してしまう。細かいことをいえば、全体的に仕上げが荒っぽい。プリントの発色もそうですし、特に気になったのはトリミングです。空間をどう切り取って生かすか、あるいは殺すかということです。もちろん「ノートリミングで使える写真を撮る」ことは基本であり理想ですが、作品として見せるときには構成のバランスを考えることも制作の一環です。文章にたとえるなら、皆さんが撮ってきた写真は原稿です。誤字・脱字や「てにをは」を直すことは、人に読ませる以上は必要な作業です。それと、せっかく重力から解放された水中で撮るのですから、構図づくりにおいてもそれを生かしてほしいと思います。
高砂淳二
毎年のように「アート性を求めた作品を見たい」とコメントしていたせいか、今回は多くの作品から「何かを表現しよう」という意志が伝わってきます。今までは「目を引く魚がいた」、だから「撮った」だけの写真も目立ったけれど、それが「この魚をどう撮ろうか」というふうに変わっている。バックをどう処理するか、明るさや向きはどうかと撮影時にいろいろなことを考えているから、「被写体+自分の表現」が人に伝わるようになったのだと思います。 全体的にレベルが高くなったので、例年なら上位入賞に入ったであろう作品でも今回は入選止まりというケースもありました。皆さんが海を写真で楽しんでくれていることがよく伝わってきて、来年もますます楽しみですね。
ビギナー部門
鍵井靖章
今回ひとつ感じたことは、アングルの面白さです。視線を下げたり俯瞰したり、いろいろ考えながら撮っていることがわかる。その一方、地形+マンタやモアイのような岩などビギナーならではの視点を持つ作品も多く、バラエティ豊かで審査を楽しませていただきました。全体に身近な撮影地や人気被写体が多かったのも初々しくて良かったです。今は性能のいいコンデジもあるので、機動性を生かしてガンガン撮ってほしいですね。
また、審査員にもよりますが、僕はタイトルを参考にするほうです。良作に必ずしもマッチしたタイトルが付いているわけではないけど、目を引く作品はタイトルも面白いことが多いですね。撮影者の意図を表現するひとつのツールとして、タイトルも重視してほしいと僕は思います。
ビーチフォト部門
高砂淳二
「優秀賞は間違いなし!」という上位クラスの作品は例年より少なかったと思います。応募作品全点落選という方も結構いましたし、「なぜ出そうと思ったかわからない」という作品もチラホラ見られましたね。ただ、その中間クラスは頑張っていて、被写体も細かいものから夜の星までいろいろあり、「ビーチ際をいろんな目で見ている」ということはよく伝わってきました。また、ハウジングに入れたまま陸上を撮ったという片手間写真が激減したのは良かったです。
気になるのは魚眼レンズの多さでしょうか。パッと見は面白いけれど、考えなしに多用すると逆効果。特殊なレンズなので使用時にはそれなりのシチュエーションや意図が必要です。それと、夕景や夕陽の静かな作品も相変わらず多い。美しいから撮りたくなる気持ちはわかりますが、元気で明るい昼の海ももっと見たいなぁ。「ビーチフォト=風景写真」というイメージがありますけれど、被写体の強さや躍動感を感じる作品も来年は期待したいですね。
お問い合わせ先:「地球の海フォトコンテスト2017」事務局
TEL:03-3222-0317 FAX:03-3222-0310
受付時間:月~金 9:30~18:00
Emailでお問い合わせ:photo-con@marinediving.co.jp
2017年部門別入賞作品
■氏名、タイトルなどの字体、特殊文字などが、応募者の表記と異なる場合があります。ご了承ください。
■撮影データ:基本的に「カメラ レンズ ハウジング ストロボ 絞り シャッタースピード ISO感度(またはフィルム名) 撮影地 水深 利用ダイビングショップ・サービス名」という順番になっています。
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2017年入賞豪華賞品!
過去の受賞作品
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