スキューバダイビングのスキルアップ術Q&A
ベテランイントラ・かっしーが教えます
第38回 耳が抜けない! 耳ぬき完全攻略
スキューバダイビングでは安全に潜るためのスキルを身に着けておく必要があります。でも、耳ぬき・中性浮力・潜降など、なかなかできない!という方の声が多いのも事実です。
これまでたくさんのダイバーを輩出し、スキルアップの手助けをしてきたベテランイントラ・かっしーこと柏崎洋介さん(スキューバプロショップ大井町店店長)に、読者の皆さんの質問や悩みに答えていただきます!
今回は、多くのダイバーが相談を寄せる耳ぬきについて。「耳抜きアドバイザー/耳抜き克服プラクティショナー」でもあるかっしーさんが満を持して耳ぬきスキルを開設!!
柏崎洋介さん率いる《スキューバプロショップ》はダイビングスキルに悩みのある方やブランクダイバーにも優しいお店です。大井町、渋谷、東伊豆・富戸にお店があるので『マリンダイビングWebを見て』と直接相談してみましょう!
耳ぬきがうまくできるようになるには
Q
◎耳ぬきが苦手で上手くなりたいのでコツを知りたいです。(mi/1年未満/7本)
◎耳ぬきがうまくできません。どうしたら、上手く抜けるようになりますか? (エリー/8カ月/3本)
など同様の質問・相談が多数届いています。
A
よくぞ聞いてくれました! 僕は「耳抜きアドバイザー/耳抜き克服プラクティショナー」をやってるんですよ。ダイビングスキルの悩み相談のなかでも耳ぬきが一番得意です。
やっぱり、耳ぬきで悩んでる人、多いですよね。でも、飛行機に普通に乗れる人なら、誰でも耳ぬきができます。上手くできない人は、ほとんどの場合、コツをつかめば改善できますよ。
耳ぬきのコツですが、4つのポイントがあります。
①早めに、こまめに、痛くなる前に
タイミングが遅れると耳管が圧力の影響で塞がってしまうので、詰まる前に、痛くなる前に、こまめに、耳ぬきしてください。違和感を覚えたら、すぐ耳ぬきって感じです。
②しっかり鼻を塞いで耳ぬき
マスクを着けると鼻がつまみにくくなります。つまめても、塞ぎきれずに漏れてしまってる人が多いです。鼻はつまむのでなく、塞ぐようにしましょう。親指と人差し指をくっつけて、「キュンです。」の指の感じにして、マスクの鼻の下側から押し上げるように塞いで耳ぬきします。
③しっかりした強さで吹き込む
ライセンスのマニュアルを読むと、強くやり過ぎないよいにと大きく注意が書いてあるので、慎重過ぎる耳ぬきをする人が多いです。結局、吹き込み方が弱すぎになってます。少し強めを意識してやりましょう。鼻で風船を膨らませるくらいの強さがベストです。イメージすると結構強いですよね。
④力を抜いて、リラックスしてから耳ぬき
これが一番大事かも。緊張したり、力んで耳ぬきすると、耳管の周りの筋肉が張ってしまって、ただでさえ細く狭い耳管をさらに狭めてしまいます。首、肩、顎を回したり、ガムを噛んだりして耳管周りの筋肉をストレッチしたり、耳から鼻に向けてマッサージしたりしてから耳ぬきしてみましょう。また、無意識に力が入ってしまうので、耳ぬきをする前に一息空けて、深呼吸してから耳ぬきをすると抜けやすかったりします。特に耳ぬきの瞬間に下向き気味に力んでしまう人も多いので、耳ぬきの瞬間は、リラックスしてやや上向き気味で耳ぬきするようにしましょう。
耳ぬきのコツは、ブログで詳しく画像付きで解説しているので、ぜひ読んでみてください。
また、YouTubeでも解説してます。
連日潜ると耳が抜けなくなってくる
Q
耳に負担なく耳ぬきをする方法のコツを伺いたいです。 毎月1〜2泊して本数を重ねていく中で耳が疲れて潜れないことが起きてしまいます。最後まで満足いくダイブができるよう、負担なく抜く方法を探してます。
(りつこ/9年)
A
わかります。僕は、ツアー引率で3日間、4日間とか連続で潜ることがよくありますが、僕もツアー参加者の方も3日目あたりから耳ぬきがやりにくくなってきます。
それは、しょうがないことで、耳ぬきをするたびに耳と鼻を繋いでいる耳管を広げたり、閉じたりするので、だんだん炎症が起きてきます。この炎症は軽いもので、生活に支障が出るとか、痛くなるとかではないです。ただ、耳鼻科に行くと中耳炎と診断されると思いますが、ダイバーなら毎回起こる軽い炎症です。
では、どうすれば良いかと言うと、1つは、なるべく耳ぬきのタイミングを早くして、小刻みに耳ぬきするようにしましょう。耳管が閉じる前に早めにするイメージです。そうすれば、炎症を最小限にできます。
もう一つは、耳管の炎症をできる限り消炎することです。一番は、よく寝ることです。よく寝て休めれば炎症も治まってきます。また、僕がよく使う裏技は、タイガーバームです。タイガーバームには消炎効果があります。湿布みたいなものですが、耳に湿布は貼りにくいので、タイガーバームを塗ります。塗る箇所は、耳の裏から顎の横、首筋にたっぷり塗るといいです。耳の穴の中に塗るのもありです。塗るタイミングは、寝る時に塗って寝ると、かなり効果的です。また、潜る30分前くらいに塗ると即効性も期待できます。
これで、連日のダイビングの耳の負担も緩和できると思いますよ。
耳ぬきで鼻血が出る
Q
体質的に耳が非常に抜けにくいのですが、普段から意識したら良いことなどあれば。今日はかなり抜けやすいと感じた日でも鼻血出てます。
(えいか/20年/600本)
A
体質的に抜きにくいのは、つらいですね。飛行機に乗るのもつらいレベルですかね? それだと、騙し騙しやっていくしかないですが、飛行機に乗るのは問題ないレベルでしたら、コツさえつかめば、だいぶ改善できると思いますよ。
耳ぬきのコツは、1つ目の質問で解説してますので、そちらを参考にしてください。えいかさんの話を聞くと特に①と④に気をつけると良さそうです。
①早めにこまめにが、遅れてしまうと、耳管が閉じきってしまい、耳ぬきをする時に強くやらないといけなくなります。そうなると④の力が入って力んでしまいます。力み過ぎで強い耳ぬきをすると、左右の鼻を繋いでいる細い通路が傷ついてしまい鼻血が出ます。
かなり早めに耳ぬきをすれば、少し抜けやすくなると思います。特に潜降時は、連続で耳ぬきをし続けるくらいでいいです。
また、力みにくい体勢で耳ぬきするのもいいと思います。真上を向きながら、顎を少し出して、『アイーン』の口のまま、耳ぬきするのがオススメです。
その時、右手も『アイーン』のポーズを忘れずに(笑)。これ冗談じゃなくてほんとです。そんなポーズをしてる自分が笑えてくるので、笑うと力が抜け耳ぬきしやすくなるので! 騙されたと思ってやってみてください。
耳が抜けにくくヘッドファーストができない
Q
耳が抜けにくく、ヘッドファーストで潜降できません。ドリフトの時に、ヘッドファーストでなくても、早く潜降できる技術はありますか?
(3児の母/755本/19年)
A
確かにヘッドファーストだと耳ぬきがやりにくくなりますね。
では、なぜヘッドファーストが耳ぬきしにくいかと言うと、頭が下になると、頭に血が落ちてきて、耳管のまわりがうっ血して、耳管が細くなり、耳ぬきがしにくくなるのです。
また、素早い潜降になるので、耳ぬきの動作が遅れがちになります。特に潜降開始の時は、体の重さで一気に1.5〜2mくらい沈むので、最初の耳ぬきが遅れます。これを対策すれば、少し楽になりますよ。
具体的な方法は、
1、水面で一度耳ぬきをして、耳管を広げてから潜降する。
2、一回目の耳ぬきをなるべく早くする。体が沈んだらすぐに耳ぬきする。
3、最初のうちは、すぐ耳ぬきできるように、鼻をすぐつまめるようにしておく。
4、耳管が、塞がりにくいように、アゴを動かしたり、首筋を伸ばしたり、ツバを飲み込みながら潜降していく。
これで少し楽になると思いますよ。
それでも抜けにくい場合は、潜降する角度を斜めに緩やかにして、圧力の影響を緩やかにして潜って行き、抜けないときは、ほぼ水平になり、抜けたら斜めに降りていくようにするといいです。
また、ヘッドファーストの耳ぬきを陸上で練習することも可能です。前屈を角度を徐々につけながらしながら耳ぬきをしていきます。少しずつですが、抜けやすくなっていきますよ。
斜めのヘッドファースト潜降と陸上練習方法は、ブログでイラスト、写真ありで解説してますので、参考にしてください。
ジグザグダイビングだと耳が抜けにくい
Q
水中で一度深い場所に行って浅い場所を泳ぎ、再び深い場所に行くと耳ぬきができないことがある。(20m→10m→18mと移動する時など)一人だけ10mのままで泳ぎ続けてしまうが、耳ぬきを上手にできる方法等を教えてほしいです。850本潜っていても耳ぬきが苦手で……困っています。
(あきこ。/7年/約850本)
A
なるほど。ただ、耳ぬきが一番難しいところって浅い所なんですよ。特に10mまでは、水圧の変化率が一番大きいので、耳ぬきを頻繁にやらないとです。
0mが1気圧、10mが2気圧なので圧力変化が2倍ってことです。
逆に深い所は、20m=3気圧、30m=4気圧なので圧力変化は1.3倍しかないんです。なので、耳ぬきの負担も少ないし、頻度も少なくてすみます。
深い深度での耳ぬきは、楽なはずですが、実は、そこが盲点で、圧力変化が少ない分、耳(鼓膜)で水圧変化を感じにくいので、耳ぬきをし忘れて遅れがちになる人がいます。浅い深度だと耳で水圧変化をものすごく感じますが、深場ではないので、うっかり耳ぬきを忘れがちになります。遅れると耳管が塞がってしまうので、耳ぬきがやりにくくなります。
原因の一つは、これかなと思います。深場でも、耳の感覚に頼らず、こまめに耳ぬきするようにしましょう。
もう一つの原因は、浅く戻ると、耳の奥や副鼻腔、鼻の奥に溜まった鼻水などの粘液が戻ってきて、粘液が溜まったような状態になります。そうなると、鼻詰まりような感じなので、耳ぬきもしにくくなります。
対処方法は、水中で鼻をかむことです。マスクつけたままで片鼻ずつ塞いでかんで、マスククリアして流す。鼻の奥の鼻水を出すように、しっかりかみましょう。試してみてください。
文章だけだと、伝わりづらいので、耳ぬきが苦手で悩んでる人がいましたら、一度、相談してみてください。絶対、改善できます!《スキューバプロショップ大井町店》の柏崎宛にご連絡ください。Instagramからも相談可能です。
≫スキューバプロショップ大井町のInstagram spro_oi
≫柏崎のInstagram kassy_diver
プロフィール紹介
かっしーこと柏崎洋介さん
東京農業大学に入学後、ダイビングクラブに入り、すっかり海とダイビングの虜になる。在学中に《スキューバプロショップ》でアルバイトを始め、卒業後はもれなく同社へ。東伊豆の富戸でダイビングガイドを担当した後、同社の代表兼大井町店の店長に。ダイビング歴25年、インストラクター歴21年。現在はPADIコースディレクターとして、ノンダイバーからプロを目指すダイバーまで指導。
東京に2店舗、東伊豆に1店舗あるから
スキルアップやステップアップに超便利!
スキューバプロショップ
大井町店 TEL:03-6712-0920
ダイビングを始めたい!という方から、ファンダイバーや、もっとうまくなりたいという方にはステップアップコースを意欲的に開催。
話題の渋谷・宮下パークから徒歩1分のオシャレな渋谷店、交通至便な大井町店、そして東伊豆で海が目の前に立つ富戸店(写真)と3つの拠点で講習&サービスを展開。『マリンダイビング』主催のランキング企画で8年連続No.1を樹立した富戸店には、1位に何度も選ばれているダイビングガイドの山口敬大さんも常駐。のんびり、あったかな雰囲気にきっとリラックスできるはずです。