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現地の海から2023.02.02
バットフィッシュに恋をして~ガラパゴス諸島探訪記~第6回 ガラパゴスの二枚看板
こんにちは、ガラパゴスバットフィッシュ愛好家のバットフィッシャーアキコです!連載6回目は、ガラパゴスを象徴する2大生物についてお話しいたします。
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「ガラパゴス諸島」と検索すると、表示される画像にもっとも多く写っているのがガラパゴスゾウガメとウミイグアナ。「ガラパゴスといえば」部門のツートップと呼んでも過言ではないかもしれません。どちらもガラパゴス諸島のみに生息する固有種です。
特にガラパゴスゾウガメは土産物屋でとにかくよく木彫りになっていたり、Tシャツにプリントされています。その人気の高さときたら、ショコラトリーに並ぶチョコレートも亀型なほど。
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そんなガラパゴスゾウガメですが、ガラパゴスならどこにでもいるのかと思うと意外とそうでもありません。たとえば私の暮らしていたサンタ・クルス島の場合、島の中心地ではどんなに必死に探しても野生のゾウガメを見つけることはまず不可能です。
彼らが生息するのは、港近くの中心地から車で10分以上離れた内陸部の標高の高いエリア(ハイランド)。ここでは、道路上や農場などで自由に闊歩する野生のゾウガメを目にすることができます。場所によっては沢山現れるので、まるでマリオカートでよく投げられている甲羅がそのへんに点在しているかのような景色に。大きな個体だと150センチほどになるため、甲羅を通り越してもはや隕石のようにも見えます。
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ハイランドの村に住んでいる友人は、家の前にゾウガメが停留してしまい車を出せなくなることがあると話していました。そんな時はゾウガメが動いてくれるまでひたすら待つのだそうです。彼らは時折車道の真ん中でも立ち往生するので、ハイランドでは「ゾウガメ通過待ち」のプチ渋滞が発生することがあります。
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一方のウミイグアナ。初めてガラパゴス諸島へ行くという方から「ウミイグアナが見たい。現地でどこに行って探したらいいか」とご相談いただくことがあるのですが、探しに行かなくて大丈夫です。なぜなら、彼らは望まなくても目に入る存在だからです。
ゾウガメと異なり、ウミイグアナは当たり前のように中心地の路上にいるので、中心地に3日も滞在すると彼らを駅前や公園の鳩のような身近な存在に感じるようになるでしょう。
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あまりにウミイグアナがありふれた環境なので、彼らが好んで横切る中心地の車道には「イグアナが通ります。速度を落としてください」という看板が設置されています。
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そんな彼らの主食は海藻。海に出て潜水し、岩にしがみついてそこに生えたアオサのような海藻を食べます。その後は冷えた体を温めるために上陸し、体を寄せ合ってひなたぼっこ。ガラパゴスの中心地は港をはじめ海が近くにある環境なので、彼らにとっても「アクセスがいい」のでしょう。
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私の愛するガラパゴスバットフィッシュも、このくらい出会いやすかったらなと思ってしまいます。必死に探しても見つからないなんてこともザラですから……。
次回は、ガラパゴス諸島の勘違いされがちなポイントについてお話しします!
< 第1回 プロローグ
< 第2回 なぞカワイイ
< 第3回 ガラパゴスの海はキビシイ?
< 第4回 海の「大物」たち
< 第5回 すごいぞガラパゴスアシカ
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【ガラパゴスバットフィッシュとは?】
南米エクアドルのガラパゴス諸島に生息するアンコウの一種。体長15~20㎝。魚なのに泳ぎが得意でなく、ヒレを前脚と後脚のようにして海底を歩く。口紅を塗ったかのような真っ赤な唇が特徴的。生態がほとんどわかっていない謎多き存在である。
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バットフィッシャーアキコ
ガラパゴスバットフィッシュ愛好家、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ。高校3年の夏に本で見たガラパゴスバットフィッシュに一目惚れし、大学の進路を決める。大学在学中にガラパゴス諸島に渡航し、卒業後現地のチャールズ・ダーウィン研究所のボランティアスタッフとして活動。現在、日本人でおそらくもっとも多くのガラパゴスバットフィッシュを観察してきた者として、講演、寄稿、メディア出演等を行っている。2022年4月、初の著書『バットフィッシュ世界一のなぞカワくん』(さくら舎)を出版。
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