スキューバダイビングのスキルアップ術Q&A
ベテランイントラ・かっしーが教えます
第39回 あおり足ほかフィンワークの悩み解決!
スキューバダイビングでは安全に潜るためのスキルを身に着けておく必要があります。でも、耳ぬき・中性浮力・潜降など、なかなかできない!という方の声が多いのも事実です。
これまでたくさんのダイバーを輩出し、スキルアップの手助けをしてきたベテランイントラ・かっしーこと柏崎洋介さん(スキューバプロショップ大井町店店長)に、読者の皆さんの質問や悩みに答えていただきます!
今回は、たくさん相談いただいたあおり足の上達法をはじめ、流れに逆らったり効率よく泳いだりするフィンワークについて、かっしーインストラクターに教えてもらいました。
柏崎洋介さん率いる《スキューバプロショップ》はダイビングスキルに悩みのある方やブランクダイバーにも優しいお店です。大井町、渋谷、東伊豆・富戸にお店があるので『マリンダイビングWebを見て』と直接相談してみましょう!
あおり足でカッコよく泳ぎたい
Q
2024年は重器材を購入するなど、今までで一番ダイビングにお熱になっています。最近、彼女がアドバンスを取得したこともあり、今後一緒に潜る機会が増えていくかと思います。そんなときにかっこよくダイビングをしている姿を見せたいと思い、「正しいフィンキック(あおり足)」のやり方についてかっしー先生にレクチャーいただきたいです! よろしくお願いします!
(タオ島大好き/7年/100本)
※ほかにも「あおり足のやり方を教えて」という声がたくさん届いています。
A
いいですね! 彼女さんにかっこいいフィンキック見せたいですね。
ただ、あおり足の感覚をつかむまで難しいですよね。しかも、あおり足って上手くできるとカッコいいですが、イマイチだと、逆にダサく見えます。
インストラクターは、無意識にできてるけど、教えるとなったら意外と難しいスキルなんですよ。昔は、慣れればいつの間にかできるようになってるって言ってたんですけどね(笑)。
最近では、教え方を研究したのでコツを教えますね。
あおり足は、3つのパートに分かれています。
①足を引いて体に引き付ける
②足を伸ばしながらキック
③最後に足首を伸ばしフィン先をそろえる
この3つのパートに分けてアドバイスしますね。
①足を引くときは、フィン先を真っすぐ後ろに伸ばして、抵抗がないようにかかとを水平にそーっと引く。かかとを上下にも左右にもブレないように真っすぐお尻に引き付けるイメージです。
②引いた後に足首を縮めてフィンの先が真下に向くようにして、かかとを水平に後ろにキックする。フィン全体で水を押してるイメージで。注意点は、カエルのように足が開きすぎないように、ほぼ真っすぐ後ろに押すようにしましょう。
③最後が大事です。後ろまでキックしたら、真下を向いてるフィン先を後ろに伸ばします。そのときにただ後ろに伸ばすのではなく、巻き足のようにフィンの裏と裏を合わせるようにします。そのあと①に戻り繰り返しです。
最初は、カクカクした動きになると思いますが、進むようになったら、徐々に滑らかにしていきましょう。
文章で説明するのは難しいですね。イメージできました? もう少しわかりやすくなるようにYouTube動画を参考にしてみてください。ファンダイブ中に練習するとついていけなくなるので、水中での待ち時間や、プールなどで練習するといいですよ。
流れに逆らって泳ぐ方法
Q
流れがあるところで、流れに逆らって行くときに体力がないのでどうやったらうまくいけるのでしょうか?
(ミナミハコフグ/10年/480本)
A
流れに逆らって泳ぐのを少しでも楽にするには、4つのポイントがあります。
①流れを真正面から受けないように泳ぐ
②流れが少しでも弱い場所を泳ぐ
③手で岩など掴みながら泳ぐ
④楽に、推進力が得られるフィンに変える
①流れに逆らうときに、流れに真っすぐ向かって泳いでる人が多いですが、それはシンドイです。風が強い日に少し体を傾けると楽になったり、坂道を自転車で登るときに少し斜めに登ると楽になりますよね。それと同じで、流れに対して体を傾けて、やや斜め気味に泳ぐとかなり楽に進むようになりますよ。
よく見るとガイドさんも、そんな泳ぎ方してますよ。まずは、ガイドさんをマネして同じ向きを向いて泳ぐようにしてみましょう! その際、ガイドさんのほうに向かってガイドを見て泳ぐと流れに真正面を向きがちになるので、ガイドと同じ向きで泳ぎながら、ガイドは横目で見る感じで行きましょう。
②泳ぐ位置も大事で、岩など地形によって流れの強い所、弱い所ができるので、なるべく弱い所を泳ぐようにしましょう! その場所を見極めるのは、相当な熟練者にならないとなので、やっぱりガイドのマネをするのが一番です。ガイドと同じルートを進むようにしましょう。場所によっては、1m横にズレても、1m上下にズレても流れの強さが大きく変わる場合もあるので、きっちり同じルートを進むのがおすすめです。
③岩や砂地など地面がある場合は、岩を掴んだり、砂に手や指し棒を差し込みながら進むのもありです。その際は、環境保護も考慮し、ガイドのアドバイスを聞いてくださいね。ルート上、可能であれば、何も掴まれない中層よりも、水底があれば、すぐ掴める下層気味を泳ぐのがいいですね。
④一番楽に泳ぐ方法は、いいフィンに替えることです。あとの質問でフィンの選び方はアドバイスしますが、いいフィンは、脚力、ロケーションによって変わりますが、流れがある所をなるべく楽にって場合では、長めで足の負担が少ない柔らかいフィンを選ぶのがいいですね。僕のイチオシは、GULLのバラクーダフィン/スタンダードです。バラクーダって長くてキックが大変そうで、長いから邪魔になるって思ってる人も多いですが(長くて邪魔になるのは確かなので、場所を選びますが)、長くて、柔らかく、抵抗が少ないフィンなので、女性でも年配の方でも脚力に自信がない人でも楽にキックできて、強い推進力が得られる最高のフィンです。おすすめです。GULLの回し者ではないですよ(笑)。
フィンワークがダメなのかみんなについていけない
Q
海の中でみんなについて行けません。自分は体力があるほうではないです。フィンの関係もあると思うのですが、すぐに息が上がってキツイのとみんなについて行かくちゃという焦りで怖くなってしまうときがあります。どうしたら良いのでしょうか?
(tom/3年/51本)
A
ガイドしてて、なかなか進まなくて、遅れをとって、疲れちゃう人は、よく見かけます。
たいがいの場合は、フィンキックがちゃんとできてないのが原因です。フィンをちゃんと効率よく使えるようになれば、楽になると思いますよ。
まずは、ちゃんと中性浮力をとるようにしましょう。マイナス浮力で足が下がり気味になると浮くためにフィンの推進力を使ってしまうので、前に進むのが遅くなります。また、足が浮きがちの方も、進みにくくなります。まずは、BCDを使って、ちゃんと中性浮力をとりましょう。
そして、フィンキックは、以下のポイントを意識して効率のいいキックをしましょう。
①上半身からフィン先まで一直線に伸ばす
②お尻をキュッとしめる
③膝を伸ばす
④足首を伸ばしてフィンを足と水平にする
⑤モモを上下同じくらい広げて閉じるキック
これらを意識してフィンキックしてみてください。
ちゃんとできてるか確認するには、1キックしたらフィンを止め、惰性で少し進みます。惰性で進んでるときに下がったり、上がったりしなければ中性浮力がしっかりとれている証拠です。また、惰性で2〜3秒進めばしっかりキックできてます。まずは、普段の泳ぎをコレで試してみるといいかもですね。
中でも多いパターンは、
・マイナス浮力で足が下がってる
・膝が曲がって上半分しかキックできてない
・お尻が伸びてなく下半身が下り気味
まず、自分がどんな泳ぎ方になってるかチェックしてみましょう。誰かに動画を撮ってもらうと一発でわかりますよ。
足がつらないフィンキックとは
Q
ダイビング中に泳いでいるとき、よく足の裏がつってしまいます。泳ぎ方が悪いのだと思います。平泳ぎの足の使い方(編集部注:あおり足)のときに、つらないような正しい泳ぎ方が知りたいです。
(マリカリ/12年)
A
あおり足のときですかね? 足がつるってことは、そこに負荷がかかってるってことですね。
足の裏に負荷がかかってるとしたら、考えられる原因は、まず、フィンやブーツのフィッティングが考えられます。
キツくて、足の裏が縮こまってるようだと、つりやすいですし、逆に緩すぎると足の裏の筋肉を使ってフィンをコントロールしないといけないので足の裏に負担がかかります。
ちょうどいいサイズのフィンを使いましょう。
あと、あおり足の場合、一番目の質問の回答で話した③の工程の「後ろまでキックしたら、真下を向いてるフィン先を後ろに伸ばします。そのときにただ後ろに伸ばすのではなく、巻き足のようにフィンの裏と裏を合わせるようにします。」の最後の巻き足のときに足の裏の筋肉を使うので、速いペースであおり足をすると足の裏がつりやすくなります。あおり足でダッシュをすると、たまに僕もつっちゃいます。
あおり足は、ゆっくりペースのときに使うのがいいです。ダッシュのときは、通常のフラッターキックのほうがいいですよ。場面場面でフィンキックを使い分けると、負担を軽減できますよ。
フィンの選び方を教えて!
Q
フィンキックしやすく、なおかつボートダイブ後に脱ぎやすいフィンがないかと探してます。普段ブーツ着用でフィンを使用してますが、ボートダイブ特にドリフトダイブ後に、フィンを履いたままハシゴをまだ上手く上がれないし、ハシゴ下でフィンをすぐに脱げなくてもたついてます。スマートにフィンを脱ぎたいです。
(ひつじ雲/220本)
A
うーん。フィン選び、なかなかって悩ましいですよね。
ベストなフィンは、脚力、シチュエーションによって変わりますからね。
タイプ別に分けると
①ストラップフィン+ソール付きのブーツ
②フルフットフィン+フルフット用ブーツ
③フルフットフィン+ソックスor素足
脱ぎやすさだとストラップフィンですが、ドリフトもやるとなるとフルフットフィンのほうが断然、推進力があるのでいいですね。①は外れます。
②か③か脱ぎやすいのは、③の素足またはソックスタイプです。素足またはソックスタイプは、フィンのかかとが柔らかいので脱ぎやすいです。
具体的な商品名で言うと、GULLのミューフィン、ワープフィン、バラクーダフィン、TUSAのカイルフィンあたりですかね。
脚力に自信があるなら固くて長いワープや抵抗が強めのカイルフィンがおすすめです。
また、とにかく楽に泳ぎたいなら、柔らかく抵抗が少ないミューフィンですかね。
スーパーミューやバラクーダフィンは、ブーツ着用が推奨のかかとが厚くなってるタイプなので脱ぎやすさでは劣ります。
なんだかんだ、総合評価ならミューが最強なんですね。
素足またはソックスタイプではありますが、ミューブーツを履いても大丈夫。少し脱ぎにくくなりますが、それもありです。
フィンの種類も大事ですが、もっと大事なのは、フィット感です。選ぶときに単純にメーカー推奨サイズで選ぶと足の形によっては、キツかったり、緩くなったりするので、しっかりフィッティングしてから選ぶといいですよ。緩いのが不安でぴっちりサイズにしちゃう人が多いですが、僕的には、やや緩めがおすすめです。緩めでも外れないですよ。
ブーツを何にすると丁度いいか、ソックスにしたほうがいいか、しっかりフィッティングしてから購入しましょう。当店でも、フィンのフィッティングやってますよ。
プロフィール紹介
かっしーこと柏崎洋介さん
東京農業大学に入学後、ダイビングクラブに入り、すっかり海とダイビングの虜になる。在学中に《スキューバプロショップ》でアルバイトを始め、卒業後はもれなく同社へ。東伊豆の富戸でダイビングガイドを担当した後、同社の代表兼大井町店の店長に。ダイビング歴25年、インストラクター歴21年。現在はPADIコースディレクターとして、ノンダイバーからプロを目指すダイバーまで指導。
東京に2店舗、東伊豆に1店舗あるから
スキルアップやステップアップに超便利!
スキューバプロショップ
大井町店 TEL:03-6712-0920
ダイビングを始めたい!という方から、ファンダイバーや、もっとうまくなりたいという方にはステップアップコースを意欲的に開催。
話題の渋谷・宮下パークから徒歩1分のオシャレな渋谷店、交通至便な大井町店、そして東伊豆で海が目の前に立つ富戸店(写真)と3つの拠点で講習&サービスを展開。『マリンダイビング』主催のランキング企画で8年連続No.1を樹立した富戸店には、1位に何度も選ばれているダイビングガイドの山口敬大さんも常駐。のんびり、あったかな雰囲気にきっとリラックスできるはずです。