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現地の海から2023.03.07
バットフィッシュに恋をして・ガラパゴス諸島探訪記第7回 ガラパゴス諸島の誤解されがちポイント3選
こんにちは、ガラパゴスバットフィッシュ愛好家のバットフィッシャーアキコです! 連載7回目は、ガラパゴス諸島の勘違いされがちな点についてお話しいたします。
ガラパゴス諸島の風景
1 住民が意外と多い?!
「野生のゾウガメやイグアナだらけのジャングル」と想像されがちですが、ガラパゴスには約33000人もの住民がいます。小学校~大学まで諸島内にあり、病院やスーパーもあるので、生活において大きな不便はありません。島のメインストリートにはレストランやホテル、土産物店も多く活気があります。
一方で、世界自然遺産のガラパゴス諸島は陸地の約97%が自然保護区です。つまり、人間が生活している範囲はたった3%。大小あわせて234の島々からなるガラパゴスですが、人が定住している島は4島のみで、その4島も中心地や集落を離れるとすぐに壮大な大自然が広がります。観光地のにぎやかさと、大自然を一挙に味わえるのもガラパゴスの魅力かもしれません。
サンタ・クルス島のメインストリート
2 常夏ではない
赤道下に位置するため、「浜辺でヤシの実片手にビキニで寝そべる常夏世界」を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、ガラパゴスは寒流が諸島にぶつかる影響で意外と涼しいのです。特に寒流の勢力が増す6月~11月の最高気温は24℃前後もあるのですが、朝晩はウインドブレーカーなどを羽織らないと寒いほどです。浜辺にビキニでいたらガタガタ震えて風邪をひきます。暑い時期である12月~5月であっても最高気温は30℃程度なので、実は日本の真夏の方が暑いのです。
ただ、紫外線は強烈です。「今日は涼しいし曇っているから」と油断しているとあっという間に日焼けします。島で販売されている日焼け止めはSPF100以上のものばかり(※日本で販売されている日焼け止めは最大でもSPF50+)。渡航の際は紫外線対策をお忘れなく!
浜辺(トルトゥーガ・ベイ)
3 コモドドラゴンはいない
ガラパゴスへ行くと言うと多くの方から「コモドドラゴンに食べられないようにね!」とご心配いただくのですが、残念ながらいません。コモドドラゴンはインドネシアのコモド島などに生息しているそうですね。おそらく、ビジュアル的にイグアナがそれと混同されているのではないでしょうか。
ガラパゴスには「海」と「陸」の2つのイグアナがいます。ウミイグアナは海に潜って海藻を、リクイグアナは大きなサボテンの下で実や葉が落ちてくるのをじっと待つという食生活を送っています。つまり、人を襲って食べるということはまず起こりえません。
サボテンの下で実や葉が落ちてくるのを待つリクイグアナ
それでは他に危険生物がいるのでは?」と思われるかもしれませんが、ガラパゴスにはオオカミなどの肉食の陸生大型哺乳類が存在しません。危険ではないけどびっくりするという点でしいて挙げるならアシカでしょう。公共のベンチに我々人間が座っていると、まれに「そこは私のものだ!」と言うかのように大声で鳴きながら走り寄ってくることがあります。そういう時はアシカと口論せず、大人しくベンチを譲りましょう。ガラパゴスは生態系保全のための、そして野生生物にストレスを与えないための「ルール」が存在するからです。
ベンチで寝転ぶガラパゴスアシカ
次回は、そんなガラパゴス諸島のルールについてお話しいたします!
< 第1回 プロローグ
< 第2回 なぞカワイイ
< 第3回 ガラパゴスの海はキビシイ?
< 第4回 海の「大物」たち
< 第5回 すごいぞガラパゴスアシカ
<第6回 ガラパゴスの2枚看板
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バットフィッシャーアキコ
ガラパゴスバットフィッシュ愛好家、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ。高校3年の夏に本で見たガラパゴスバットフィッシュに一目惚れし、大学の進路を決める。大学在学中にガラパゴス諸島に渡航し、卒業後現地のチャールズ・ダーウィン研究所のボランティアスタッフとして活動。現在、日本人でおそらくもっとも多くのガラパゴスバットフィッシュを観察してきた者として、講演、寄稿、メディア出演等を行っている。2022年4月、初の著書『バットフィッシュ世界一のなぞカワくん』(さくら舎)を出版。
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【ガラパゴスバットフィッシュとは?】
南米エクアドルのガラパゴス諸島に生息するアンコウの一種。体長15~20㎝。魚なのに泳ぎが得意でなく、ヒレを前脚と後脚のようにして海底を歩く。口紅を塗ったかのような真っ赤な唇が特徴的。生態がほとんどわかっていない謎多き存在である。
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