DIVINGスタート&スキルアップBOOK 2015
水中動画の撮り方・編集のコツ~実例編~
動画はダイビングの楽しさや海の生物のおもしろさを人に伝えるのに、とても有効な手段。『マリンダイビング』6月号で特集した「水中動画の撮り方・編集のコツ」を、実際の動画の作例を交えながらさらに具体的に紹介しよう。
「人に楽しんでもらえる動画」を作るコツとは?
昨今コンデジ+ハウジング、ウェアラブルカメラなどで、お手軽に水中動画が撮れるようになっている。ダイビングのたびに動画を撮っているという人は多いかもしれないが、「撮ったはいいけれど、撮りっぱなし」という人も少なくないのでは? せっかく撮影した動画をそのままにしているのではもったいない! というわけで、撮った動画を人に楽しんでもらえる作品にするためのコツを紹介しよう。
作品をまとめるためのテーマをしっかり考えよう
動画のおもしろさは、編集によって左右される。1ダイブ中ずっと撮影していた動画をそのまま人に見せるのでは、ダラダラと長いものになってしまう。かといってあまりに短く切り取った画像は、インパクトはあっても、物足りなさを否めない。そこで「テーマを決めて、作品を編集する」ということが動画を人に見せるためには欠かせない。
好きな生物、動きや姿かたちがユーモラスな生物は恰好の被写体
では編集するときは、どんなテーマで映像をまとめていったらいいのだろう? 本誌の企画でもアドバイザーになってくださった日本シニアダイバーズクラブ会長で日本アマチュア映像作家連盟、水中映像サークル所属の大隅楠夫さんに「ビギナーから取り組みやすい水中動画のテーマ」を伺った。
◎旅行記
「これは動画編集の初心者におすすめのテーマです。『どこで、誰と、何をして、何がよかった』といった内容をわかりやすく盛り込んでいきましょう。一緒に旅した仲間のエピソードを加えると、さらに盛り上がります。記念ダイブのお祝い、ちょっとしたハプニングなども入れると、さらにおもしろくなります」(大隅さん)
◎自分の好きな生き物
「クマノミが大好き」「マンタやジンベエなどの大物が好き」など、人によって好きな生物の好みはそれぞれ。自分が好きな生き物を撮りためておくと、おもしろい作品が作れる。
「私はウミウシやエビ、ハゼなど小さな生物が大好きです。ダイビング中もマクロ生物にカメラを向けていることが多く、自ずと作品のテーマを考えるときも、これらの生物が主役になることが多いです」(大隅さん)
そんな”マクロ大好き”な大隅さんの作品、『海の宝石箱』を見てみよう!
作例その1:『海の宝石箱』
大隅さんお気に入りのウミウシを集めた作品『海の宝石箱』。最初は「ウミウシってどんな生物なの?」というテーマから入り、ウミウシのルーツの巻貝やナメクジなどの生物の画像も登場。そして後半では、「泳ぐウミウシを見たい!」というテロップが出てきて、沖縄で撮影したヒオドシユビウミウシ、さらに紅海で撮影されたスパニッシュダンサー(ミカドウミウシ)が最後に登場‼ ラストの華麗なスパニッシュダンサーの舞は必見だ。
撮影・編集/大隅楠夫
人が取り上げないテーマは斬新な作品づくりに欠かせない
「人と同じような作品ではなく、オリジナリティあふれる作品を作りたい」という人におすすめなのが、ほかの人が取り上げなさそうなテーマでの作品づくり。
「小さな魚やエビ、カニなどを撮影しているうちに、ウミシダの魅力に目覚めました。植物のように見えるのに泳ぐウミシダがいたり、いろいろな生物が擬態してすみかにしていたり、ウミシダにはいろんな側面があり、これをひとつの作品にまとめてみました」(大隅さん)
なかなか見ることのない、ウミシダをテーマにした作品を見てみよう!
作例その2:『ウミシダ物語』
泳ぐウミシダ、キレイなウミシダ、エビやカニ、小さな魚たちのすみかとなっているウミシダ……。いろいろなウミシダの姿を紹介した大隅さんのウミシダへの愛情を感じる作品。動くウミシダや泳ぐウミシダの動画は、一朝一夕には撮影できないもの。撮りためた動画を編集することで、作者のこだわりが感じられる内容の濃い作品ができあがる。
撮影・編集/大隅楠夫