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現地の海から2023.04.03
バットフィッシュに恋をして・ガラパゴス諸島探訪記第8回 ガラパゴスの独自のルール
すっかり春ですね。ガラパゴスバットフィッシュ愛好家のバットフィッシャーアキコです!ガラパゴス諸島ではそのユニークな生態系を守るために、住民や観光客が守らなければならない10のルールがあります。今回はその中で代表的なものをご紹介いたします。いつかガラパゴスに行く時のために、是非覚えておいてくださいね!
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街中でのんびり眠るガラパゴスアシカ
この連載を以前よりお読みくださっている方はご存知のとおり、ガラパゴスは街中で当たり前にアシカやウミイグアナなどがゴロゴロしています。しかし、彼らに触ることは厳禁です。接触や接近は彼らにストレスを与え、生態系に影響を及ぼす可能性があるため、野生生物からは2m以上離れることがルールとして定められています。同様の理由で、フラッシュ撮影も禁止です。
さて、問題は魚影が濃いことで知られるガラパゴスの海。「水中で2mルール順守は無理なのでは」と思いませんか?そうです、無理です。海の中はラッシュアワーの新宿駅構内さながらですから。ということで、ダイビングにおいては「生き物に触らないこと」「岩などに手を着く際はそこに生き物がいないかを確認してから」を徹底するのが決まりです。
水中でのフラッシュについてはガイドによって見解が分かれますが、近年は「フラッシュはNG、ライトはOK」との指示が多いです。
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視界を覆いつくすガラパゴスクロスジイサキの群れ
この2mルールに関して、実はひとつ問題があります。それは、ガラパゴスの生き物たちは人間をあまり怖がらないため、自らこちらへ近寄ってきてしまうケースが多々あるということです。こういった場合の対処法を、ガラパゴスでありがちなシチュエーションを例に勉強していきましょう。
Q テラス席で食事していたら、ダーウィンフィンチ(スズメ大のガラパゴス固有種の小鳥)たちが寄ってきたのですが?
A 野生生物に人間の食べ物を与えることは生態系に悪影響を及ぼしかねないため、餌付けは禁止です。その上で、フィンチたちを驚かせないことが大事なので、手で追い払うことはよしましょう。ただ、皿から食べ物をついばまれないように決して目を離さず、皿を移動させるなどして対処しましょう。
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ダーウィンフィンチ
Q 正面からアシカが迫ってきたのですが?
A ゆっくりその場を離れましょう。狭い橋の上などで逃げ場がない場合、その場でじっとしていましょう。とにかく、野生生物を驚かせないことが最重要です。
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前進するガラパゴスアシカの親子
Q 浜辺で眠っていたらウミイグアナが足にのぼってきて目が覚めたのですが?
A とにかくじっとしてウミイグアナが横断し終えるのを待ちましょう。おそらく倒木か何かと間違えられてしまっただけで、彼らに悪気はありません。そもそもガラパゴスの浜辺はあらゆる生き物たちの通行路なので、眠ることはおすすめしません。巨体のアシカに踏まれたら事故になりかねません。
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浜辺のウミイグアナ
ガラパゴスのルールの詳細は、NPO法人日本ガラパゴスの会公式サイト内のこちらのページ を是非ご覧ください。
次回は、ガラパゴスの生態系を保全するチャールズ・ダーウィン研究所での日々をお話しいたします!
< 第1回 プロローグ
< 第2回 なぞカワイイ
< 第3回 ガラパゴスの海はキビシイ?
< 第4回 海の「大物」たち
< 第5回 すごいぞガラパゴスアシカ
< 第6回 ガラパゴスの二枚看板
< 第7回 ガラパゴス諸島の誤解されがちポイント3選
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【ガラパゴスバットフィッシュとは?】
南米エクアドルのガラパゴス諸島に生息するアンコウの一種。体長15~20㎝。魚なのに泳ぎが得意でなく、ヒレを前脚と後脚のようにして海底を歩く。口紅を塗ったかのような真っ赤な唇が特徴的。生態がほとんどわかっていない謎多き存在である。
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バットフィッシャーアキコ
ガラパゴスバットフィッシュ愛好家、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ。高校3年の夏に本で見たガラパゴスバットフィッシュに一目惚れし、大学の進路を決める。大学在学中にガラパゴス諸島に渡航し、卒業後現地のチャールズ・ダーウィン研究所のボランティアスタッフとして活動。現在、日本人でおそらくもっとも多くのガラパゴスバットフィッシュを観察してきた者として、講演、寄稿、メディア出演等を行っている。2022年4月、初の著書『バットフィッシュ世界一のなぞカワくん』(さくら舎)を出版。
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