【新連載】ウミウシの素顔
第3回 「これもウミウシ?」〜泳ぐウミウシ
by DSあらいぐま

今月もお待ちかねのWeb版ウミウシ・ダイビング。ガイドは葉山のダイビングショップ《DSあらいぐま》新井隆大さんです。今回も北は北海道から南は沖縄まで、あらゆる海から「え、これもウミウシ?」と驚きのウミウシたちが続々、登場します。テーマは「泳ぐウミウシ」。
※2026年9月の情報です
これは本当にウミウシなの?

キヨコカメガイ(水深5m 体長0.8㎝ 撮影地:浮島)
《DSあらいぐま》の新井です。「水中写真を始めてみたい!」そんな方にもウミウシは撮りやすく、とてもおすすめです。というのも、ウミウシは、
・逃げない
→動かないのでピントを合わせやすい
・色が強い
→コントラストが強いのでピントを合わせやすい
・浅い
→初心者でもゆっくり写真を撮りやすい
と、三拍子揃って撮りやすい生きものなのです。が、今回に限っては、
・よく逃げる
・透明な(こともある)
そして、「これは本当にウミウシなの?」と思うような、泳いだり、海面を漂ったりするウミウシたち。浅いことに変わりはないので見るだけなら簡単なのですが、写真を撮るとなると苦労に苦労を重ねることになります。今回はそんなウミウシたちを、タイプ別に紹介していきます。
前後に羽ばたき泳ぐウミウシ

ハダカガメガイ(水深2m 体長2㎝ 撮影地:羅臼)
「泳ぐウミウシ」という名前が最も似合うウミウシの仲間です。水族館やテレビでも見たことのある人も多いのではないでしょうか。着底することはなく、生涯を中層を泳いで暮らすと言われています。これは北海道、羅臼(ラウス)の浅場で撮影しました。水温はなんと、-1.5℃! 文字通り、凍り付く寒さの海でした。なお北海道の魚屋さんでは観賞用に800円くらいで売られていることもあるのだとか‥‥。

コチョウカメガイ(水深5m 体長0.3cm 撮影地:浮島)
個人的に撮るのが難しかったウミウシNo.1です。今年の冬、伊豆でクラゲが大量発生した中に混ざって泳いでいました。完全に透明で体長約3mmの生きものがそれなりの速さで動く‥‥とても大変な撮影となりました。
上下に羽ばたき泳ぐウミウシ
ウミコチョウの仲間は普段は着底して地面を這っていますが、外敵から逃げる時などに、ときたま、羽ばたいている姿を見ることができます。

アユカワウミコチョウ(水深8m 体長0.8㎝ 撮影地:佐渡ヶ島)
手持ちの図鑑には「よく泳ぐ」と書かれているウミウシです。「よく泳ぐ」と言われるほどに頻繁に泳いでいたか?については少し疑問ですが、無事泳いでいる姿を撮影することができました。

アカボシエチゴウミコチョウ(水深6m 体長1cm 撮影地:柏崎)
新潟県の柏崎でのみ見られると言われていましたが、近年、熊本県の天草でも見つかっているウミウシです。交接を観察していた際、交接器を抜くときに羽ばたいて抜いていました。
体を横にくねらせて泳ぐウミウシ
ユビウミウシの仲間はウミヘビのように体を横にくねらせて泳ぐことで知られています。この速度が意外と速く、カメラのモニターからいなくなることも‥‥。

ヒオドシユビウミウシ(水深6m 体長1.5cm 撮影地:沖縄本島)
沖縄本島で見たヒオドシユビウミウシです。伊豆諸島にも生息しており、意外と色々なところで見ることができます。ヒオドシユビウミウシは体を左右にくねらせて、泳ぐことで知られています。意外とダイナミックに泳ぎます。

ササノハウミウシ(水深5m 体長1.5cm 撮影地:浮島)
透明なウミウシで、「羽ばたき泳ぐウミウシ」のようにも見えますが、よくよく見るとカメガイの仲間のような翼はなく、ヒオドシユビウミウシと同じような体の作りをしていますね。
体を縦にくねらせて泳ぐウミウシ

ヘキサブランクス・サングイネウス(水深15m 体長20㎝ 撮影地:宮古島)
スパニッシュダンサーとしても知られるウミウシですね。このウミウシを含むミカドウミウシの仲間は比較的大型になります。宮古島で中層をバッサバッサと泳いでいました。そんなにも泳げたのかと驚きでした。また、大型になるアメフラシの仲間も似たように泳ぐのですがここまで力強く泳ぐことはなく、「泳いでいる」と自信を持って言えるかは微妙なところです。
水面を漂うウミウシ

アオミノウミウシ(水面 体長3cm 撮影地:葉山 )
春〜夏になると湘南エリアで度々話題になるブルードラゴンです。こちらも水族館で目にしたことがある人も多いのではないでしょうか?
アオミノウミウシは海の表面を気ままに漂っており、流れに乗って近づいてきたギンカクラゲやカツオノエボシなどの餌を食べています。自分でわずかに動くこともできるのですが、大抵は波に流されたタイミングで上手く餌にひっついているのではないかと思っています。

タイヘイヨウアオミノウミウシ(水面 体長0.8㎝ 撮影地:八丈島)
どこに浮かんでるのかというと、日本の東側を流れる「黒潮」に乗って生活していると言われています。こちらは八丈島で見た「タイヘイヨウ」アオミノウミウシ。黒潮が流れる三宅島と八丈島の間での目撃例のほうが実は多く、この2種は台風や強烈な南風によって湘南エリアに流れ着いてくるウミウシと言われています。湘南エリアに流れ着くのは秋のほうが多いと言われています。
流されるウミウシ
さてもう一つ、「泳ぐウミウシ」ではないのですが、ダイビングをしていると意外と中層でウミウシを見ることもあります。誰かのフィンキックで飛ばされたり、ウネリで飛ばされてきたり‥‥。そんな時、多くのウミウシは飛ばされた時には体を背中側に反らします。他の砂や泥よりも落ちてくる速さが遅いので、よくよく見たらウミウシであることが分かります。ウミウシ探しをするときは、壁や地面だけではなく、たまに中層にも目を向けてみてはいかがでしょうか? 今回は「泳ぐウミウシ」を紹介してみました。次回は「これもウミウシ?」の続編として、「貝殻のあるウミウシ」を予定しています。お楽しみに!
Profile
新井隆大
Takahiro Arai
「一緒にウミウシ探してみない?」そんな妻のなんとなくの一言から、すっかりウミウシ探しに夢中になりました。葉山をウミウシ探しの拠点としつつ、水温0℃の北の海から水温30℃の南国まで、海水さえあれば様々なところでウミウシ探しをしています。これまで見たウミウシは1000種類以上になりました。今、行きたいけど予定が立たない海はザンジバル。「そこまでしろとは言っていない」、妻には最近そう言われます(笑)
⚫︎ダイビング歴:10年
⚫︎経験本数:約1,700本











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