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水中写真家・清水淳のビギナーズ水中撮影テクニック 第5回
TG-6+ストロボでワイド撮影成功術2

水中写真家・清水淳のビギナーズ水中撮影テクニック

前回からTG-6でのストロボを使ったワイド撮影の仕方を解説していますが、今回はさらに具体的な撮影手法を紹介します。
今回も使用する撮影モードはストロボを使用した水中景観撮影なので、カメラ側は「水中ワイドモード」になります。

水中ワイドモードをセレクトします

水中ワイドモードをセレクトします

深みのあるブルーバックで被写体とモデルさんを写したい

スカシテンジクダイとダイバー

作品 2「スカシテンジクダイとダイバー」
撮影モード:水中ワイドモード
焦点距離:12.5mm(ワイコン使用時35mm換算)
露出補正:-2.0EV
フラッシュ:ON/-0.7EV(RC)
ホワイトバランス:水中ホワイトバランス標準
仕上がり:水中
シャッター速度:1/320
絞り値:F2.8
ISO:100
フラッシュ:OLYMPUS UFL-3×2
ワイドコンバージョンレンズ:UWL400A(0.5倍)
ブラケット:MPBK-02
アーム:MPアームSセット
光ファイバーケーブル:OLYMPUS PTCB-E02
ブラケット:MPBK-02
撮影地:モルディブ/TRIX CAVE

ディープダイビングの雰囲気を伝えるために少し濃い目のブルーになるように露出補正を-2.0EVに調整した。スカシテンジクダイの群れがアクセントになるようにフラッシュを当てるがオーバーにならないようにフラッシュ補正をマイナス側に調整。あとはモデルさんとの間合いを調整しながら仕上げた。

水中ワイドの撮影のメソッド

TG-6で水中ワイド撮影を行なうときにコントロールする項目は2つのみ。
① 露出補正
② フラッシュ補正
撮影の手順ですが、水中で絞り値やシャッター速度に気を回している暇はありません。画面全体の露出が明るいのか?暗いのか? フラッシュの発光が強いのか?弱いのか? このポイントだけをモニターから読み取り、TG-6のダイヤルを回して露出補正とフラッシュ補正を調整します。コンデジも一眼も全く同じ要領です。

露出補正は、ハウジング上部にあるダイヤルを回すと露出補正が調整できます。プラス2.0からマイナス2.0まで四段絞り値の幅で露出を好みにコントロールすることが可能です。

フラッシュ補正は、一度OKボタンを押して画面右側に表示されるLVコントールパネルでフラッシュ補正を呼び出してダイヤルでコントロールします。どちらもダイヤルでコントロールするのですが、一度フラッシュ補正を呼び出しておけば、ダイヤルそのままで露出、OKボタンを押してフラッシュと単純な操作で好みの作風に調整が可能です。

まずは露出補正、次にフラッシュ補正

手順としては、まず背景になるブルーの明るさを露出補正で決めます。

露出補正±0.0EV

露出補正±0.0EV
外洋の陽射しが強い南の島などでは、露出補正をしない段階では少し明るめに表現されます

露出補正-1.0EV

露出補正-1.0EV
見た目に近い、もしくは少し明るい感じになりました

露出補正-2.0EV

露出補正-2.0EV
露出を絞り過ぎた感じに

次にフラッシュの量を多過ぎないように調整していきます。フラッシュの到達距離はせいぜい2mがいいところなので、被写体をつかめる距離にあるものがフラッシュの威力を得られる範囲と理解してほしいです。
つまり離れた位置にある被写体にはフラッシュ光は届かず、大光量によってゴミが浮き上がってしまう逆効果になることが多いのです。

フラッシュ補正していない±0.0EVの場合

フラッシュ補正していない±0.0EVの場合

フラッシュ補正を+1.0EVにしたところ少し明るすぎたようです

フラッシュ補正を+1.0EVにしたところ少し明るすぎたようです

逆に-1.0EVにフラッシュを補正。海の青は見た目に近い感じに

逆に-1.0EVにフラッシュを補正。海の青は見た目に近い感じに

露出補正、フラッシュ補正の方法

露出補正の仕方
水中ワイドモードの場合、ハウジング背面親指押さえの左隣のダイヤルで調整します。十字キーでも操作が可能。補正値はモニター下部中央に黄色で表示されます。

フラッシュ補正の仕方
撮影可能状態で、OKボタンを押します。十字キー上下操作でフラッシュ補正を呼び出します。ダイヤルを動かしてフラッシュの光量調整を。十字キーでも操作が可能。

ライブビューインフォメーションを駆使

メニューからLV-infoを選びます

メニューからLV-infoを選びます

カスタム1、2のチェックを外します

カスタム1、2のチェックを外します

ライブビューインフォメーション画面

ライブビューインフォメーション画面

LIVE info(ライブビューインフォメーション)でいろいろな情報が得られますが、水中撮影では画面が見づらくなるので、全て省く設定を施しておきます(水平、ヒストグラム、ハイライト&シャドー)。メニューからinfo設定→LV-info→カスタム表示1,2ともにチェックを外します。

UWL-400Aクイックリリースシステム

ワイコンは、エントリー後に必ず水中で一度脱着させてレンズ内側の気泡を取ることが大切。
これを行わないとレンズに泡がついて画像にノイズが乗ります。
このほどワイコンの脱着がワンタッチでできるオプションが登場しました。少し値が張りますが、これを装着すると、ネジ込む必要がなく瞬時に着脱が可能です。ボタンを押すだけで外す場合も力もいりません。

注)このシステムを使う場合、スペースの問題で光ファイバーケーブルの接続方法が変わります。別売のFCA-01が必要になります。

UWL-400Aクイックリリースシステム

次回もお楽しみに!

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「感動の一瞬はこうして生まれた……水中写真家 作品探訪」連載
清水 淳さんインタビュー記事も併せてご覧ください。

水中写真家 作品探訪 清水淳さん

清水淳

清水 淳(しみず じゅん)
PROFILE

1964年生まれ。
水中写真や海辺の風景を撮り続けている。執筆や撮影を行ないながら、沖縄・那覇にて水中写真教室マリーンプロダクトを主宰。
また、カメラメーカーの研究開発にも携わり、水中撮影モードや水中ホワイトバランスの開発アドバイザーも務める。1998年にデビューしたOLYMPUS C900Zoomから最新機種まで全てのOLYMPUS水中モデルのチューニングテストを行なっている。
カメラ機材に精通し、機材の特性を生かす能力が評価され、水中撮影アクセサリーメーカーのアドバイザーやテスト撮影の要望も多い。
執筆活動では、水中撮影機材の解説や撮影の仕方、楽しみ方の記事をPADI Japan/デジカメ上達クリニック、OMDS/水中デジタルカメラ・インプレッション、マリンダイビングWeb/水中デジカメ撮影教室、オーシャナ/カメラレビューを現在連載中。最近では、「清水淳のマンツーマン水中写真教室」が好評いただき熱意あふれるフォトグラファーたちと一緒に撮影をしている。
公益社団法人日本写真家協会会員。
▶清水淳オフィシャルサイト