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ニュース2026.07.10

小笠原の海の魅力がぎっしり! 南俊夫さんの写真絵本『アオウミガメの帰る島』

南 俊夫/写真と文[定価 2,640円(本体2,400円+税)B5判・48ページ]

南 俊夫/写真と文[定価 2,640円(本体2,400円+税)B5判・48ページ]

小笠原諸島・父島でダイビングガイドとして活躍しながら写真家としても撮影を続けている南俊夫さんが6月、文一総合出版から写真絵本『小笠原諸島・父島 アオウミガメの帰る島』を発売しました。拝読して感動した編集ライターの筆者・後藤は、南さんにお話を伺いました。

小笠原にやってくるザトウクジラの話も

小笠原にやってくるザトウクジラの話も

アオウミガメのライフサイクルを物語の中心にしたのはなぜでしょう?
「移住してすぐの頃は、迫⼒あるものを求めてクジラやイルカ、ダイビングでレアな⿂を夢中になって撮っていました。島で暮らし数年経った頃から、一年を通して⾃然を⾒るようになってきました。島の中の⽣きものの暮らしで季節の変化を感じるようになったのです。
特にザトウクジラやアオウミガメは繁殖のためにはるばるとやってきます。それは⼈がこの島に暮らし始める前から繰り返されてきた命の営みです。それを奇跡的な光景ととらえてえていましたが、⻑く⾒ていくうちに島に暮らす⾃分たちと変わらぬ⽇常を繰り返し送っているということに気づいたのです」

ダイナミックな小笠原諸島父島の海に現れるアオウミガメ

ダイナミックな小笠原諸島父島の海に現れるアオウミガメ

「⽣きものの繁殖や誕⽣などのサイクルを追うことは、とても難しいことですが、住んでいるからこそ、⾃分だから撮れるものを⽬指しました。
春にアオウミガメが繁殖のために本州近海からはるばる旅をして⼩笠原に来て交尾をし、メスは夏になると砂浜に上がり卵を産む。孵化した⼦ガメの旅⽴ち。時間をかけることでその⼀つ⼀つを撮ることができたら本にまとめることができると思ったのです」

「難しかったのは産卵で上陸してくるメスのアオウミガメの撮影です。産卵そのものは夜間に砂浜に⾏けば多くのメスが産卵しているので⾒ることができますが、上陸のシーンはいつ上がってくるかがわからない。しかも夜間だと暗くて写真に撮れない(ライトやフラッシュは厳禁)ので⼣暮れに砂浜で上陸をひたすら待ちましたが、ほとんど撮れませんでした。その後、満⽉の⽉明かりで撮れないか?と思い撮影を始めましたが、満⽉になるのは⼀⽉に⼀回ほど。産卵シーズンのピークの5⽉から7⽉だとチャンスは3回。曇ってしまうと撮れません。光の強さで満⽉の前後1⽇が限度でした。
上陸するメスに気配を感じられないように砂浜の⽊陰でひたすら上陸を待ちました。上がってきてもその場所が⽉の影になっていると撮れません。条件が揃った⽇はほぼ徹夜で撮影をしました」

チャンスがごくわずかしかない母カメの上陸シーン

チャンスがごくわずかしかない母カメの上陸シーン

「掲載写真は撮影を開始して3年⽬で撮れたもの。メスカメの姿を⽉夜の海岸の⾵景の⼀部として表現したかったので、この場所に上がってきてくれたのを⾒た時にはカメラを持つ⼿が震えました。夜間なので三脚を⽴てて撮るのですが、メスカメが歩いているときはブレてしまうので、メスカメが時々⽌まる時を狙ってシャッターを切りました。今年で満⽉の撮影をして6年になりますが、そのとき以来このような写真は撮れていません」

「この本のアオウミガメのほとんどの写真はボートに乗って潜って撮った写真でなく、⽗島の普段はみんなが泳いでいるような海岸や、ビーチからスノーケルで泳いで撮ったものです。そんな身近な場所で産卵などの営みが⾏われています。島の⽇常の暮らしとアオウミガメの営みが近いということも伝えたかったことの⼀つです。時間をかけることでその⼀つ⼀つを撮ることができたら本にまとめることができると思ったのです」

島の暮らしのすぐ先にある、アオウミガメや魚たちの暮らし

島の暮らしのすぐ先にある、アオウミガメや魚たちの暮らし

さて、最後に南さんが⼩笠原で⼀番好きなのはどんなことでしょう?
「⽣きものをどれかというのは⾮常に難しいですが、ザトウクジラの営みはずっと撮り続けているテーマです。まだまだ終点が⾒えませんが、移住してクジラを撮り始めた翌年には、⼩笠原にいない時の夏の様⼦を⾒たくてアラスカにも⾏きました。
アオウミガメも⼀つの区切りとして本にまとめることができましたが、もう少し奥深い写真が撮りたいと思い撮影は続けています。どの⽣きものも通年撮れるのではなく、季節限定で、その時に撮れないと翌年に持ち越しとなります。四季を海や⽣きものの営みで教えてくれるところがこの島の .番の魅⼒で私が好きなことかもしれません」

ますます小笠原諸島父島に魅せられてしまいますね。ぜひ写真絵本をご覧いただき、小笠原にも遊びに行ってください!


(ライター/後藤ゆかり)

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