DIVINGスタート&スキルアップBOOK 2015
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第2回 コンデジでムービーにチャレンジ!
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第2回 コンデジでムービーにチャレンジ!
皆さんこんにちは、石川です。
今回は
【コンデジ(コンパクトデジタルカメラ)でムービーにチャレンジ!】
お手持ちのコンデジのムービー機能をフルに使って動画を撮ってみましょう。
「男の部活カメラ」を売り文句にした高級コンデジの雄。爆発的に売れた前機種S110からレンズ、映像エンジン、センサーの全てを一新。嬉しいことにハウジングもメーカ売りされているのでユーザーに優しい価格。本体のコンパクトさを損なわない筐体は手になじむしハウジングからの操作でほぼ全てのセレクトが可能。ビギナーは元より、ハイアマチュアまでも刺激するキラーカメラであります。
映像をご覧になってお判りかと思いますが、ムービー撮影中のオートフォーカスの正確さと早さはピカイチ。被写体と背景が近いシーンでは背景にピントが引っぱられてしまうことがありますがS120は一旦つかんだ被写体をそう易々手放さない。オートフォーカスまかせで滑らかにターゲットを追従する働きっぷり。このあたりの仕掛けはボクの常用カメラCanon5D MarkⅡをも凌駕する。
コンデジ動画を上手に撮るちょっとしたコツをご紹介!
以下のポイントを押さえる!
コンデジで動画を撮る際にちょっとしたポイントを押さえると見違えるような動画になります。以下のポイントを押さえてみてください。
・カメラをしっかり構える
・被写体を見極めてからできるだけ体を固定して撮影スタート
・様々なアングルにチャレンジする
・1つの被写体に3ステップサイズを撮る
・記録メディアを見直す(最適なものを)
・水中ライトを用意する(安物で妥協しない)
・シーンに合ったサウンドを思考
カメラをしっかり構える
コンパクト故に、軽さ小ささが手ぶれの原因にならぬよう、しっかりホールドする。
フィンワークやBCD操作もムービー撮影時はよりスムーズに。レンズの前に指やストラップがかからないように気をつける。コンデジだからと気を抜いてテキトーに撮るのではなく的確に!
被写体を見極めてからできるだけ体を固定して撮影スタート
被写体の顔の向きや群れの流れなどを見定めて、自分の体勢が安定した状態でレックボタンを押します。いきなり回すのは失敗の見本を作るようなもの。
岩などにカメラを固定する場合、生物が着いてないか確認してから着底しましょう。
様々なアングルにチャレンジする
様々なアングルにチャレンジ。カメラの角度って案外お決まりになってませんか?初心者にありがちな「あっ!マンタだー!パシャ!!」と一枚だけ写真を撮るのと同じで、いつも決まった角度や距離から撮り始めて終わってしまう人。これではマンネリの玉手箱。時には下から水面を見上げるようなアングルや、ワイドマクロ的な使い方も迫力があります。被写体は一期一会です。毎回新鮮なマインドでチャレンジあるのみ!
1つの被写体に3ステップサイズを撮る
1つの被写体で最低でも3ステップのバリエーションを。例えばカエルアンコウを撮る際には
1:生息環境がわかる広めのサイズ
2:全身が収まるサイズ
3:顔のアップ(業界用語=どん寄り)
ちなみにディスカバリーチャンネルやナショジオなら、これに加えて生物の一生を追ったり四季を変えて撮ったりと、よりわかりやすく深みのある映像を追求します。
動きの少ない被写体は撮り易い反面単調になりがち。3番目のアップシーンでは、目の動きや補食シーンにチャレンジする気持ちで少々粘ってもいいと思います。
記録メディアを見直す(最的なものを)
記録メディアは贅沢に。16GBのCLASS10レベルを使いましょう。
(CLASSとは撮影データを読み書きする、最低転送速度を現したレベルのこと。CLASS10は10MB/秒の書き込みが可能。)
写真と異なり、映像収録はカメラ機材やメディアに負担がかかります。
それを軽減する最新のハイスペックカードを使いたいもの。
最近はWi-Fi内蔵のSDカードもあり、ハウジングを開けないで画像を移動できるのはとても便利です。ログづけなどでタブレットや大型モニターに飛ばして見たらカッコイイかも。対応カメラを確認して購入のこと。
水中ライトを用意する(安物で妥協しない)
写真撮影と異なる点が“水中ライト”を多用すること。使わないで撮ることもできますがどのシーンも青っぽく被って単調です。これから購入するなら照射角の広い1000ルーメン以上の明るいものを勧めます。価格は性能に比例し、良いものはそれなりに高価です。ここであなたの本気度が問われます!(笑)
ボクはAQUAVOLT3500(フィッシュアイ製)を使用中。
芯のないフラットな照射で4段階の調光が可能です。
実はライトの使い方は案外難しく、神経質な生物には徐々に近づくなど知識と経験が必要ですが、上手にライティングされた鮮やかな映像は人に見せても感動されるはず。
シーンに合ったサウンドを思考
映像を撮りながら頭の片隅で音楽をイメージすると♪
プロの世界では編集マンというのがいて、シーンに合ったサウンドを見つけるのが仕事。薄暗い編集室でこのシーンにはこの音楽?この曲にはこのシーンがピッタリだ!というように映像の世界に没頭するわけ。かなりオタクな世界だが、映像って同じコンデジを使った撮影でも、写真とは全く別次元のお作法が要求されることがおわかりかと。
いよいよ、実際の海での撮影をイメージしてセットアップ!
水中動画もカメラのセットアップは大切。水没して水中でテンションが下がらないように、念入りにセッティングしよう。
①Oリングのグリスアップ
砂地でのダイビング終了時は要注意!砂やキズがないかチェックします。周りの溝に入り込んだ砂やホコリは、綿棒などでクリーニング。
②結露を防止する為に乾燥剤は有効
カードタイプの薄いものまで各種アリ
③防水チェック
大切なカメラ 本番前に防水チェックを!
水中ではとにかく手ぶれに注意して!
被写体に出会ったらまずは一呼吸!カメラのスタンバイ状況やら被写体の様子を一通り見極める。落ち着いたらテキトーな場所から録画開始。一旦レコーディングが始まったらカメラを揺らさないことに全神経を集中。3ステップを思い出して距離を変えながらアングルも考えつつ。
あれれ逆REC(ONとOFFを間違えること)・・なんて事にならないようにモニター内の赤丸をよく見よう!
撮影できた動画はこの通り
次回は マクロムービーにチャレンジ
【石川肇プロフィール】
1961年東京生まれ (株)水中造形センターを経て独立。
写真・映像撮影の編集や、3D関連の撮影編集を手掛ける。
「海辺の旅」をテーマに作品を撮り続け、撮影で訪れた国は80カ国以上。
テレビの海洋ドキュメンタリーやCM、ビデオ作品、政府観光局のPVといった映像作品や、雑誌、イベント、ラジオなどの多方面のメディアで活動中。最近は3D映像の作品を多数手がける。
3D番組としては、世界初の試みを中心に企画して番組化。
主な3D 番組「タヒチ:ザトウクジラ」・「モルディブ:ハニファルベイ」・「南インド」・
「ハワイ:ナイトマンタ」・「3Dカリブ海 最速のプレディターセイルフィッシュ」など。
国際3D協会ルミエール・ジャパンアワード2013 にてドキュメンタリー賞を受賞
of 石川肇公式サイト
URL:http://www.horizon-uw.com/