年間125万人が訪れるダイビング情報サイト

Marine Diving web

現地の海から2025.01.30

パラオのダイビングスポットBEST 10 
第9回 神秘のケーブは魚の宝庫「シアストンネル」
~アクアマジックパラオの堀さん解説~

パラオは、海外の憧れのダイビングエリアの中でも超ダイナミックな最強の海。せっかく行くならベストなタイミングでベストなスポットを潜りたいということで、《アクアマジックパラオ》のチーフガイドでパラオ歴15年の堀義雄さんがパラオのダイビングスポットベスト10」を毎月お届け! 第9回は神秘的な地形に感動しつつも、よく見るとお魚天国という贅沢なスポット「シアストンネル」。

ドラマよりおもしろい、ドラマチックなダイビングスポット

これまで紹介してきたパラオのダイビングスポットの中でもベストといわれる8つのダイビングスポット。今回は、「ブルーホール」と同じく地形が楽しめるスポットとしてカテゴライズされますが、当然のことながら同じ形状の地形ではなく、スポット名のとおり、“トンネル”です。
エントリーしてからエグジットするまで、ストーリー展開がとてもエキサイティングでおもしろいのが特徴です。トンネルの出口の神秘的な美しさに、大げさではなく涙するダイバーも少なくありません。
トンネルの入り口、出口が深めなためアドバンス以上のCカード保持者でないと入れませんが、パラオに行ったらやはりぜひ潜りたいスポットの一つです。
それでは《アクアマジックパラオ》のチーフガイド、堀さんがごあんな~い♪

エントリーしてすぐ広がる癒しの天国

「シアストンネル」は、ウーロンチャネルの北側に位置し、マラカル島にある《アクアマジックパラオ》からはボートで約45分。「ブルーコーナー」などのゲメリすエリアよりは若干近くて便利なダイビングスポットです。
ユネスコの世界複合遺産にもなっているロックアイランドの一部でもあり、陸も海も景観は抜群です。
エントリーするとすぐ水深10mにも満たない浅いリーフの棚が広がっています。棚上にはアカネハナゴイやカスミチョウチョウウオが大乱舞していて、まるで天国のような美しさ。ここにいるだけでも幸せな気分になれること間違いありません。

探検気分満点の水中トンネル

癒しの棚にずっといたい気分ではありますが、エアをなるべく消費したくないので、トンネルに向かいます。向かうといっても、すぐですが。
トンネルの入り口は水深26m。やや深めですが、トンネル内で段々深くなっていって出口は穴の上のほうで水深30mぐらい、穴の下のほうは30mを超えるため、「シアストンネル」の注意点としては、アドバンス以上のCカードを保持しているダイバー向けです。
トンネル内でややカーブしていて、長さは約20mぐらいでしょうか。一瞬真っ暗に感じられるところを通過しますので、探検気分を味わうにもぴったりです。
でも、振り返れば入り口の青い窓が見えますし、進行方向には出口、途中にも小さな横穴が開いていますので、閉塞感はほとんどありません。
しんと静まったトンネルの雰囲気と、進んでいくと広がるソフトコーラルの群生、その先の出口に広がるブルーの美しさに、感動の涙を流すダイバーも意外と多いんです。
「ブルーコーナー」や「ジャーマンチャネル」など大物や魚群のスポットを「動」とすれば、「シアストンネル」や「ブルーホール」は「静」の海。その落ち着いた雰囲気に心も癒されることでしょう。

トンネル内には超レアな魚や生きものも!

実は「シアストンネル」、トンネル内にはパラオでもめったに見られないアヤメヤッコ(以前はコリンズエンジェルフィッシュと呼ばれていました)やバージェスバタフライフィッシュ、ボルケーノシュリンプゴビーといったレアな魚や生きものも生息しています。ひとつ上の動画ではトンネルの天井にいる生きものを探しているようですが、上の動画のように砂地を観察しているダイバーも。お目当てのものは見つかったでしょうか。

シコンハタタテハゼやアケボノハゼの姿も!

ボディのグラデーションカラーが美しいアケボノハゼ
写真/堀義雄(アクアマジックパラオ)

ボディのグラデーションカラーが美しいアケボノハゼ
写真/堀義雄(アクアマジックパラオ)

フォト派にとても人気のハゼ、シコンハタタテハゼ(パラオでは学名から来ているヘルフリッチと呼ぶ人が多い)やその近似種のアケボノハゼも「シアストンネル」の砂地に潜んでいます。
2025年1月現在、ヘルフリッチは2個体見つかっています(もっといるのかもしれません)。

穴の中で休息中の大物も!

穴の中は外敵に襲われる可能性が低いのでしょうか、大きなサメの仲間が休んでいたり、カッポレなどの回遊魚が入ってきたりすることがあります。「シアストンネル」を潜っている時、砂地に隠れて眠っていたのでしょうか、大きなマダラエイが出現! ごめん、起こしちゃったかな? でもこ~んな出来事もよくあることなんです。

トンネルから出ても魚シャワー!

トンネル探検を楽しんで、外洋に面した横穴から出ていくと、そこもまた魚、魚、魚! しかも潮加減によってはユメウメイロが動画のようにぐちゃっと群れていて、まるで魚シャワーを浴びているような気分になることもあります。
「シアストンネル」は、最初から最後まで、本当にドラマチックで、ドラマよりおもしろい! ぜひ多くのダイバーの皆さんに潜っていただきたいですね。

ところで、《アクアマジックパラオ》として、パラオ政府観光局のブース内でマリンダイビングフェア2025に出展します! 僕も行く予定です。4月4~6日、日本でお会いしましょう♪

アクアマジックパラオ チーフガイド/ゼネラルマネージャー
堀 義雄さん

パラオ在住歴足掛け15年。福岡県出身のベテランダイビングインストラクター。「パラオは初心者でも潜れる」をモットーに安全で楽しくパラオの海を案内してきた、創業30年の《アクアマジックパラオ》ならではの経験と実績をDNAに組み込んだ、ガイドテクニックとアフターダイブを盛り上げる術を兼ね備えた頼れるお方。
初心者はもちろんのこと、ベテランやゲストのニーズに対して幅広く合わせたサービスを提供してくれます。
水中でのワイドで撮る魚群の撮り方では角度、構図などもしっかり丁寧に教えてくれます。群れとどう向き合うのか、どのポジションをキープしていたらいいのかなど、ご自身で写真を撮る方法と逆に人から撮られる際の写り方などまで、堀さん本人が経験して得た感性を惜しむことなく伝授してくれます。

  • Facebook
  • Twitter
  • Line

※クリックすると、そのカテゴリーの一覧が表示されます