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海のいきもの
第46回 クリーナーシュリンプの話

海のいきもの

一般にクリーニングといえば洗濯や掃除のこと(考えただけでも面倒くさい)。
でも海の生き物に対して使う場合は、
ウツボやハタなどの体表にいる寄生虫などを「小さな生き物」が食べて除去することをいい、
その「小さな生き物」をクリーナーと呼ぶ。最も有名なクリーナーはホンソメワケベラで、
次に知られているのが各種エビたち。今回の主役です。●構成・文/山本真紀(2018年8月制作)

白いアンテナが目印かも?

クリーナーシュリンプの中でも目立って派手な3種類(大きさ3~5cm)。共通の特徴としては、長くて白い触角が挙げられる。単なる偶然かもしれないけれど、「自分はクリーナーですよ!」というアピールかも?

アカシマシラヒゲエビ
名前の通りの模様で、大変覚えやすいクリーナーシュリンプ。伊豆半島から沖縄まで、日本各地の海で魚たちをクリーニング。フォト派にとっては、そこそこサイズがあるし美形だし、三拍子そろった絶好の水中モデルですよ。分布はインド-西太平洋。日本では伊豆半島以南の南日本で見られる。
❶ ガブッとやればちょっとしたオヤツになると思うのだが、ウツボは口を大きく開けたまま。もしクリーニングという生態を知らなければハラハラドキドキ、あるいはワクワクのワンシーン。撮影/伊豆海洋公園
❷ 客の選り好みは特にしないようで、自分より小さなテンジクダイの仲間をクリーニング中。周囲には順番待ちの連中も。「おい、割り込むなよ!」「俺が先だ!」とか言ってたりして。撮影/沖縄・ケラマ諸島

ホワイトソックス
真っ赤な体に白い触角と脚が見事なカラーリング。シロボシアカモエビともいうが、ホワイトソックスのほうが覚えやすい。インド-西太平洋の熱帯域に分布し、日本では沖縄などで見られる。撮影/奄美大島

オトヒメエビ
この仲睦まじい画像からは想像できないが、「オトヒメエビがウツボに喰われた」という観察例や写真もある。ウツボが裏切った? 地中海を除く全世界の温・熱帯域に分布し、南日本でも普通種。撮影/伊豆大島

得意技はノーガード戦法?

「何たらコモンエビ」と呼ばれる2~3cmのテナガエビの仲間。彼らは岩陰にクリーニングステーションを構え、やってくる魚たちを集団で「掃除」する。中層に泳ぎだしたとき、ピンピンと飛び跳ねるような独特の動きをする。そのとき脚をダラリと下げた姿勢をとり、まるで矢吹君のノーガード戦法みたい。これも「クリーナーですよ、食べないで」というアピール? なお「ノーガード戦法って何だ?」という方は「あしたのジョー」で検索。

ミカヅキコモンエビ
名前も姿も美しい。奄美大島以南の南日本からオーストラリアにかけての西部太平洋に分布。
❸ガイドさんがクリーニングステーションにそっと手を入れてみたところ、ワラワラと寄ってきてクリーニングしてくれた。魚じゃなくてもいいらしい。撮影/沖縄・西表島
❹このアングルだと少々ピンとこないが、実際に見るとホントにノーガード戦法に見えます。撮影/沖縄・西表島

ベンテンコモンエビ
赤白の斑点が特徴。逆さまになりながらも、ノーガード戦法でウツボに接近中。インド-西太平洋に広く分布。日本では八丈島以南で見られる。撮影/パラオ

ソリハシコモンエビ
よく似た仲間が多いが、額角(頭部先端の角状のもの)が白く、先端付近に赤帯があることで区別。八丈島以南のインド-西太平洋に分布。撮影/沖縄・伊是名島

こんなエビもクリーナー

白い触角の連中と「何たらコモンエビ」以外にも、クリーニング行動をとるエビはいっぱい。その一部を紹介。

スザクサラサエビ
アオウミガメの顔にスザクサラサエビが乗って何やら作業中。もしかすると岩と間違えているだけかもだが、魚を掃除するシーンもたまに観察される。インド-西太平洋の熱帯域に分布。撮影/沖縄・ケラマ諸島

ハゼと共生するテッポウエビ
最強の共生関係との呼び声高いハゼとテッポウエビ。ハゼが見張りでエビが巣作りというウイン-ウインの関係のうえ、さらにエビがハゼをクリーニングするという。どこまで仲良しなの、君たち。撮影/パラオ

オドリカクレエビ
近縁のアカホシカクレエビなどと同様、イソギンチャクやナガレハナサンゴなどに共生しており、その周囲にきた魚をクリーニングすることがある。クリーニングシーンがなくてすいません。撮影/沖縄・西表島

ヨコシマエビ
ずんぐりした小さなエビで、昼はほとんど外に出てこない。たま~にウツボなどをクリーニングするらしいけれど、主食はヒトデやウニの表皮というから掃除シーンが見られれば超ラッキー。撮影/八丈島

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