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海のいきもの
第51回 海の「うり坊」たち
今年(2019年)は亥年。
とはいえ1月も下旬の今日この頃、干支ネタなんてとっくに話題遅れという気もいたしますが、
この機会を逃すと次は12年後。とりあえず、やっちゃえ。●構成・文/山本真紀(2019年1月制作)
正当派「うり坊」はコレ!
「瓜坊(うりぼう)」とはイノシシの赤ちゃんのこと。生後4カ月くらいまでの幼獣には、瓜のような縞模様があることが通称の由来(周囲の環境に溶け込む保護色としての効果があるという)。イサキ(南日本沿岸や台湾、中国沿岸などに分布する魚)も「うり坊」と同じで、幼魚から若魚の頃は縦縞模様があり、相模湾や山口県など多くの地域で「うりぼう」と呼ばれている。また、イサキという和名の由来は、「縞模様によって体が裂けたように見えるから」「「斑(いさ)のある魚」など諸説あるが、これも幼魚の模様にちなむようだ。
なお、イサキは刺身、塩焼き、干物などが美味な高級魚で、旬は晩春~夏。ただし硬く鋭い骨があるため、食べるときには、のどに引っかけないよう注意が必要。そこから「カジヤゴロシ」の異名あり。
イサキの幼魚
写真はダイビングでもよく群れを見かける幼魚たち。大きさは10~20cmくらい。撮影/初島
イサキの成魚
25cmくらいに成長すると模様は消える。ダイバーが会う機会は幼魚より少ない。撮影/伊豆大島
英語圏のイノシシ(とブタ)
今年の干支、イノシシの成獣は鼻が長い。そこから英語圏の人は、鼻先が突き出た魚を見るとイノシシを連想するようだ。なお、イノシシの鼻は長いだけではなく嗅覚も鋭敏。土中の芋類などを嗅ぎ分け掘り起こして食べる。また、鼻先から突っ込んで下から突き上げる攻撃スタイルは脅威。人間など軽く吹っ飛ばされる。
テングダイ
伊豆諸島や小笠原、南日本で見かけることが多いテングダイは、口元がとがっている。日本人はこの顔から長い鼻を持つ天狗を連想したが、英語圏ではイノシシを思い浮かべたようで、Banded boarhead(縞のあるイノシシ頭)、Striped boarfish(縞のあるイノシシ魚)などと呼ばれている。撮影/紀伊半島・串本
モンツキベラ
イノシシを家畜化したブタも鼻が長い。英語圏では口が尖っているタイプのベラの仲間をhogfish 、pigfish(いずれもブタ魚)と呼ぶ。写真のモンツキベラはRedfin hogfish、Diana's hogfishなど。また、日本ではキツネダイのように口元が尖っているベラの仲間を「いのしし」と呼ぶ地方がある。撮影/沖縄・ケラマ諸島
こじつけの「うり坊」たち
茶色っぽい体に縦縞なら「うり坊」に似ているに違いない! と探してみた。どうでしょう。やっぱりこじつけっぽいかな。まぁ、異論反論オブジェクションは認めます。
アズキハタの幼魚
赤茶の体にうっすら白い縞模様が「うり坊」っぽい。鼻も長いし。と思ったけど、どう? 成魚は縞模様がやや薄くなる。撮影/インドネシア・コモド
ムスジコショウダイの若魚
モヤモヤっと入り交じった茶と白が「うり坊」っぽい、と思ったけど、どうでしょう? 成魚はくっきり縦縞模様(尾ビレは水玉)となる。撮影/モルディブ
ヌノサラシ
インド-太平洋のサンゴ礁の浅場に隠れているハタ科の魚。地色が茶ベースに縦縞ではあるが、さすがに模様がクッキリしすぎか? 撮影/三宅島
タテジマヤッコの幼魚
「面影ゼロじゃん!」 という声も聞こるが、個人的に4例の中で一番「うり坊」っぽい。理由はシンプル、かわいいから。撮影/インドネシア・レンベ
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